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貴乃花理事立候補もしょせんはコップの中の嵐
ポストたらい回し、甘い汁吸う体質変わらず
｢そうまでして、何がしたいのかがよく分からない。理事になったところで意見が通るか
分からないし、（立候補は）性急じゃないか｣
ご意見番のやくみつる氏（漫画家）はテレビでそう疑問を投げかけていた。この日（８日）
二所ノ関一門を離脱し、初場所後の日本相撲協会理事選への出馬を表明した貴乃花親方に
対してだ。選挙は４期（８年）ぶりの投票となるが、この３７歳の元横綱は当選ラインが
１０票前後とされる中、６～８票前後の票しか固めていないらしい。
Ｊリーグのようなサポーター制度を取り入れ、力士給与の年俸制導入、地方巡業の
共同宿舎化などとチマチマ、公約を掲げているが、｢改革派｣というならもっとズバッと
いかないものか。あるベテラン相撲記者が言う。
｢貴乃花親方がやりたいのは、角界を一部金持ちとかあやしい筋のうごめくタニマチから
一般に開放すること。それと無気力相撲の横行する土俵を、かつて藤島部屋で父親
（元大関貴ノ花）と目指したような緊迫感あふれるものにしたいんです。ふたつ目が
メーンですが、武蔵川理事長や次期理事長候補の九重広報部長（元横綱千代の富士）
では悪くなりこそすれ、良くなることはないと思っている。そう明言しないのは、自身にも
後ろ暗い部分があるのかもしれません｣
スポーツライターの工藤健策氏はこう言う。
｢相撲協会は相撲取りによる相撲取りのための組織です。霞が関官僚と一緒で、外野が
どう騒ごうが、自分たちの利権確保以外、眼中にない。一連の不祥事で０８年に外部から
役員を３人（理事２人、監事１人）入れましたが、その後ほとんど何ひとつ変わらなかった。
彼らは非常勤だし、発言する機会すら与えられていないんじゃないか。貴乃花親方が１０ある
理事のイスのひとつに座ったとしても、旧態依然の密室政治を打ち破るのは難しいでしょう｣
税の優遇措置を受ける公益法人なのに、一門という５大派閥で理事のポストを割り振り、
甘い汁を吸い合う協会の体質改善には触れていない。貴乃花親方の理事選立候補は、
しょせんはコップの中の嵐にすぎない。
2010年1月9日発行の日刊ゲンダイより
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