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今年も不況が好転しないまま、暮れようとしている。
本年最後の「風を読む」ぐらい、少し明るい話題を取り上げたい。
不景気で企業業績が悪化し、野球やバレーボールといったスポーツ部を抱える企業は、経費削減から廃部や休部をするところが目立っている。
こんな折、首都の治安を守る警視庁に硬式の野球部が誕生した。
来年秋にも日本野球連盟に警察として初めて加盟し、将来は都市対抗野球を目指すという。「ガンバレ、警視庁ナイン」－。
野球部は、東京都立川市にある第４機動隊に置かれ、選手１８人と監督の計１９人でスタートした。
このうち、甲子園経験者も３人おり、監督は日大三高（東京）のエースとして昭和５４年に甲子園のマウンドに立った警部補（４７）という本格的な布陣である。
野球部員といえども特別扱いせず、本業の機動隊員の業務と両立させる。このため、練習できるのは非番や休みしかない。
しかし、警視庁魂でこのハンディキャップを乗り越える覚悟だ。
社会人野球の名門、日産自動車野球部が今年限りで５０年の歴史に幕を下ろした。
こんな時期に警視庁に野球部が発足した。同庁野球部が球児の「受け皿」的役割を果たす可能性もある、と関係者はいう。
不況が長引けば甲子園経験者の多くが同庁野球部を目指すことも、十分考えられる。ぜひ、社会人野球界の強豪チームに育ってほしい。
野球部発足のもう一つの狙いは、少子化で優秀な警察官の人材確保が厳しくなるなか、野球部をその呼び水にしたいという思惑もある。
野球で鍛えた屈強な機動隊員が誕生するのは大歓迎だ。
警視庁機動隊出身のプロ野球選手も…と夢はふくらむ。