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(>>1の続き)
この2つの制度を究極的なレベルで運営しているのが、NFLです。
例えば、2006年のNFLのチーム平均収入は2億400万ドル(約184億円)でしたが、
その約64%に当たる1億3000万ドル(約117億円)は分配金からの収入でした。
そして、驚くことにサラリーキャップで定められている年俸総額の上限は1億200万ドル
(約92億円)です。つまり、年俸総額(キャップ)を上回る額がリーグから分配金として
各チームにあてがわれているのです。見方を変えれば、各チームの選手獲得予算を
リーグが全額負担しているようなイメージです。
■大リーガーは球団を信用していない
サラリーキャップは、理論的に計算された「リーグ収入」に一定の「配分比率」を乗じ、
それを「球団数」で割ることで算出されます。例えば、リーグ収入を1000億円、配分比率
を50%、球団数を10とした場合、「1000億円×50%÷10球団=50億円」がチーム年俸
上限額(サラリーキャップ)となります。リーグ収入をどう算出するか、まだ、配分比率
をいくらに設定するかは労使交渉で協議されます。そして、上限額を超えてしまった
チームに対しては、罰金やドラフト指名権の没収などのペナルティーが課せられます。
サラリーキャップを決定する「総収入」と「配分比率」は労使間で協議されると書きましたが、
実はこれが大きな問題を孕んでいます。選手に大きな影響を及ぼすサラリーキャップ制度は、
労働法上、労使協定で定められるべき「義務的交渉事項」(Mandatory Subject of Bargaining)
に当たるため、導入には労使双方の信頼関係が不可欠になります。なぜなら、「リーグ収入」
を定義する際、どの収入項目がサラリーキャップ算出額に組み込まれるかを議論することに
なりますが、この議論の元となる経営側から提示される財務情報の信憑性に疑問がある場合、
選手の給与が不当に下げられてしまうリスクがあるからです。
(つづく)