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音楽で、同じ長さの音符が強・弱・弱で一単位になる拍子（ひょうし）を“三拍子”という。
三拍子にはほかの意味もあって、たとえば重要な三条件とか、三種の楽器で拍子を
取ることからそのものの評価をいやが上にも高める三つの条件、などとしている。
（現代国語、新明解国語辞典）
これを野球に当てはめると、強いチームは投・攻・守の三拍子がそろい、
これに“走”がつくともっと強いチームになる。選手は攻・守・走がそろうと
三拍子そろった好選手、となる。チームは“４冠”で最強、選手は“３冠”で
最優秀、ということになる。
２００９ゴールデン・ルーキー賞（新人王）を受賞した巨人の松本哲也外野手は
山梨学院大付高から専大に進み、０７年の育成ドラフト３巡目で巨人の育成選手になり、
同年２月から支配下選手に登録された。今季は１２９試合、３７２打数１０９安打、
打率・２９３を残して昨年の山口鉄也投手に次ぐ育成出身の新人王、併せて
ゴールデングラブ賞（守備のベストナイン）をも受賞した。
２５歳、身長１メートル７０、体重６６キロ、左投げ左打ちの“小兵選手”である。
松本は子どものころから足が速かった。守りを速い足が助けた。
自然に守備範囲が広くなった。
巨人の“Ｖ９”時代、川上監督と牧野ヘッドコーチはいつも選手に、
「球際（たまぎわ）に強くなれ」と教えた。ぎりぎりまで球を追え、球を捕ってこそ
アマチュア選手のファインプレーがプロでは当たり前のプレーになるのだ、
と毎日のように言われ、長嶋も王もついていった。
松本は打撃を自分で工夫した。打ちやすい形（フォーム）をつくってどんな球にも
対応できるようになった。天性の走と守は早くからコーチ、原監督の目に留まり、
守と走に攻が加わって松本は守・走・攻三拍子そろったプロ野球選手になった。
（続く）
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