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TVよ、誇りはあるか 忘れられた「公共」の電波 元毎日放送記者・鎌田正明
最終回 おかしくないか、企業戦略としての「コネ採用」
民放TV局には政財界・芸能・スポーツ関係者等、あらゆるコネに後押しされた
ご子息・ご令嬢がゴロゴロいるという。仕事ぶりはともかく、自動的に高給ガッポリ。
何でそうなるの? そんなんでいいの?
■東京中心の番組ばかり
民放には独特の悪しき文化がある。それは東京キー局独裁・局外スタッフへの身分差別等、
封建的な体質。社員のコネ採用も然り。民放ではコネ採用は企業戦略の一つとして、むしろ
積極的に行われている。腐臭を放ちながらも温存されてきた、それら「悪習」の影響は自ずと
番組内容に反映される。私はこうした民放の構造的問題が、そのまま日本社会全体に
悪影響を与えているような気がしてならない。
(略)
民放では番組の編成権・ニュースの中身の編集権等、放送内容の選択に関わる権限が
キー局のみに集中。地方局はキー局の判断がバランスを欠いたとしても、それに
従うしかない。東京中心の発想で何もかも仕切られると、民放で放送されるのは東京に
あるものばかりになる。例えば地方の若者達が文化的活動をアピールしたくても一向に
全国ネットにはのらず、意欲ある若い才能・労働力は東京だけに集まっていく。(略)。
国土の均衡ある発展・地方分権は不可欠かつ喫緊の課題だが、民放系列はそれに逆行。
民放TV局は127局あり、キー局を中心に、おおむね5つの系列ネットワークにまとまっている。
系列局は番組を相互に供給し合う協定を結んでいるが、キー局が大部分の番組を制作。
この日本独特の民放ネットワーク制度では地方局はキー局の番組をそのまま放送すれば
地域の市場規模に応じて電波料が自動的に東京から送られてくる。他方、地方局が本格的
な番組を制作しようと優秀なスタッフを抱えていても稼働率が悪くなりがち。収益が上がる
全国ネットの枠は殆どキー局がおさえているから、いくら頑張っても赤字になるだけ。
>>2以降へ
週刊現代2009年10月10日号からミットモナイトが抜粋・要約
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