09/09/23 05:29:24 FjvpcM7T0
ドラスティックな人事は外資系企業の匂いがして、別れの涙もない。
選手はころころ変わり、組織への忠誠が当てにできない。おまけにサッカー界は国際組織だから、義理や人情や浪花節が通用しない。
お父さんたちは旅人・中田英寿とグローバル化が苦手なのだ。
そういえば、Jリーグがチーム名から企業名をはずそうとしたとき、ナベツネが激しく抵抗したことがあったなあ。
その本音は、「会社の言うことを聞けばちゃんと面倒を見てやる」ということだったのだろう。日本のプロ野球機構は閉ざされたギルドである。
内輪で利益を山分けし、新規参入を認めない。ナベツネはその論法をJリーグにも持ち込もうとした。
と言うより、あの老人はサッカーが世界とつながっていることを知らなかったのだ。
さて、どちらがよかったのか。 それはもう今がいいに決まっている。
等々力競技場でわたしはしみじみ思った。Jリーグ、いい感じなのである。サポーターの応援は熱く、それに応えるべく選手たちもピッチで躍動している。
わたしのような素人にも試合のレベルの高さがわかった。はっと するプレーがいくつもある。十六年前には見つけられなかったことだ。
だいいち全体の景色が美しい。地元にチームがあれば、町は盛り上がることだろう。この日の開幕戦はどこも満員だった。
紅白歌合戦と日本レコード大賞と茶の間の巨人軍は、おとうさんたちが捨てられない昭和の大きな荷物である。
それは覇権と中央集権の象徴でもある。かつての栄光を忘れられなくて、あの手この手で盛り上げようとするが、
それは延命措置に過ぎず、根本的な治療法はもうない。無理なんですね。だって寿命が来たんだから。
Jリーグの百年構想が今になってわかりましたね。あとは歴史だけ。
仙台の牛タンもあと三十年頑張ったら、「後づけじゃねえか、しかも輸入牛」と難癖をつけるわたしのような人間が死んで本物の名物になる。 チームも一緒なのだ。
川崎フロンターレが地元民に愛されていることは、競技場を訪れたわたしにも充分伝わった。
実に楽しい土曜の午後だった。サッカーチームのある町がうらやましい。選手は町の誇りだ。
【サッカー】プロ野球おやじの目に映ったJリーグ。(奥田英朗・Number連載エッセイより) ★3
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