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民放テレビ局が使う言葉は、私たちが理解している日本語とは違う意味らしい、と思うことが時々ある。
注目の試合を伝えるスポーツ中継で、「間もなく始まります」というアナウンスを信じて
1時間以上も待たされ、不信感を抱いたのは一度や二度ではない。今では
「この局が言う『間もなく』とは、少なくとも1時間後を指すのか」と身構えるようになった。
TBSが来月21日から始める新番組にも、同じ感想を持った。
内田康夫原作、沢村一樹主演の「浅見光彦シリーズ」を連続ドラマ化する「浅見光彦~最終章~」だ。
誰でも「このシリーズも今回が最後」と受け取るだろう。しかし、番組改編の発表会で
「必ずしも終わりではない。最終章と聞けば見たくなるんじゃないか。結果が良ければ
『最終章2』もありうる」と説明され、唖然とさせられた。
「現場がそのくらいの意気込みで作っていることをわかってほしい」と言われても全く理解できない。
民放の連続ドラマでは昨年から、最終回の直前で「最終章」「最終章序章」といった紛らわしい表現が
目に付く。今月は、テレビ朝日の「コールセンターの恋人」やフジテレビの「ブサー・ビート」が
最終回を翌週に控えた回で、「最終章」とのタイトルを掲げていた。
見てもらうための涙ぐましい工夫か、さもしい小細工と見るか。
それはともかく、「テレビ局の奇妙な日本語」は今後もこの欄で指摘したい。
(編集委員・鈴木嘉一)
読売新聞 2009年(平成21年)9月22日(火曜日) 25ページ