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SUPER SELECTION メールマガジン「清水成駿の競馬春秋(08/05/22)」
【あるアンちゃんの秘かな決意】
「人はええ。馬はどないなったんじゃい」
携帯に届いた落馬報告に、そうまくし立てた馬主。人とはジョッキー。それも昨日初めて手綱を とったばかりのアンちゃん騎手。
問題はそれで終らなかった。今度は所属厩舎と馬主が、生産ファームの担当者をはさんでこじれた。
結局は同じ冠がつけられた所有馬のすべてが転厩。
最悪の形で幕がおろされた。
唇を噛み、うつむくアンちゃん。
が、まさに「親」であり、管理馬という財産をなげうち、 体を張って自分を擁護してくれた調教師への恩は金輪際忘れまい。
「もう、あの人の馬には跨りません」
顔をあげ、キッとまなじり決したアンちゃん。思わず調教師に熱いものがこみ上げる。
これで東西2人目の騎乗拒否宣言となった。
今は馬主の時代。それも急速な格差社会の波及で、ほんの一握りの大手馬主がヘゲモニーを握る。
彼らの多くは経済社会の勝利者であり、もっとも嫌うのは負けること。
ある調教師はその馬主にリーディング・トレーナーの成績表を目の前に突きつけられ、「よくもこんな成績でワシの馬を預かれるもんだ」と罵倒された。まさに自社の社員の尻を叩くのと同じ。
仮初めにも「師」である。当然のことながら、その厩舎にその冠名を持つ馬はすべて消えた。
調教師にとって冬の時代はまだまだ続く。ただし、今6時をさしている時計の針は必ず12時へと戻る。
ここはぐっと我慢、やれることだけを精一杯やって時節を待つより道はない。
そして、もう一つ、預かりたくない馬は預からないこと。乗りたくない馬には乗らないこと。優勝劣敗 の社会とはいえ、調教師同士の強い横の連携、調教師と騎手の縦の連携、これがない限り厩舎に春は訪れない。
今まで親身になってジョッキーを育てなかった厩舎のツケもある。目先の利益を捨てて、厩舎全体の利、 底上げを考えるようなリーダーが現れてこそ、初めて一握りの大馬主と互角に渡り合える力を持つことになる。
因みにそのアンちゃんは、近い将来、武豊を超えることになろう。
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この最後の見当違いの一文を書きたいが為のコイツお決まりの妄言ストーリーだっての