09/08/25 06:43:49 0
>>1の続き
野球落選のニュースは、放送現場に、この半年間に届いたどんな訃報よりも、深い沈黙を
もたらした。それだけ関係者の受けた衝撃が深かったということだ。
野球の落選と、生身の人間の訃報を同列に並べて論じるのは不謹慎かもしれない。 でも、
メディアにとってみれば、訃報は、あれでメシのタネにもなる。まるっきり悲しいだけのものではない。
が、落選や敗北は、商売にならない。落選記念でCDの売り上げが伸びたり、DVDが
再発されることもない。とすれば、口数が少なくなるのも当然ではないか。
ついに野球も終わりか、と、私自身、かなり気落ちした。
単に野球のためにではない。野球とともに、野球が代表していた何かが失われていく予感を
覚えたのだ。
野球は、ただのスポーツではない。サッカーネーションにとってのサッカーがそうであるように、
野球文化圏の国々にとっての野球は、その国の人々のものの考え方の骨格を形成するものだ。
文化なら、簡単には失われないのではないかと、そう考えることも可能だ。無論、野球は5年や
10年で消滅しない。100年かかって定着した文化は、たぶん、あと100年ぐらいは生き残るだろう。
でも、文化である以上、伝承が途絶えはじめると、後戻りがきかなくなる。のみならず、文化は、
文化であるからこそ、一度失われたが最後、決して復活しない。
たとえば、プロ野球中継の視聴率が低下し、放送の頻度が激減した結果、野球のルールを
知らない子供たちが増えている。というよりも、21世紀の平均的な小学校5年生は、
ヒットエンドランの意味を正しく理解していない。
で、その、ルールを知らない子供たちは、野球に興味を持たない。と、野球に興味を持たない
世代が多数派を占めるようになった結果、ますます野球中継の視聴率は低下していく。で、
野球の放送頻度はますます低くなり、以下、冒頭に戻ってループ……深刻な状況だ。
前にもちょっと書いたことがある(「本田△」の回)が、野球は、意外なほど複雑なルールの上に
成立している競技で、その意味では、初心者には非常にハードルが高い。
>>3以降へ