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山教組弱体化 業界、公明票が穴埋め
涙声の電話だった。「頼みます。ほとんど差がないんです……」
参院選の投開票日前日の7月10日。県内のある公立中学教諭は、
山梨県教職員組合(山教組)の支部役員を務める後輩教諭から、
民主党参院議員会長の輿石東氏(74)へのさらなる選挙協力を
依頼された。前日の9日には、教諭OBからも電話を受けていた。
「組合員は1人1票上乗せを頼むわ」
最終盤の相次ぐ依頼に、教諭は「相当焦っているな」と感じたが、
ちょうど期末テストでてんてこ舞いの時期。OBには逆らえないため、
「わかりました」と応対した。だが、後輩の役員には「難しそうだ」と
答えた。
別の20歳代の中学教諭は明らかに選挙への関心を失っていた。
「先輩は選挙で慌てていたが、期末テストや成績表で忙しかった。
選挙なんてめんどくさいし、やる意味がないですよ」
3745票の僅差(きんさ)で3選を果たした輿石氏の支持組織の中核
は、出身母体でもある山教組だ。山教組には「3日選挙」の伝説がある。
「劣勢な選挙も短期間でひっくり返す」ほどの組織力を持つというわけだ。
だが、北海道教職員組合の違法献金事件などで、「先生と選挙」への
世間の視線は厳しくなり、今回の参院選は、現職教諭の動きは鈍った。
代わって法的に選挙活動の制限がないOBを中心に活動したが、結果
は自民党の新人、宮川典子氏(31)にぎりぎりまで追いつめられた。
輿石氏陣営は今回、別の組織票を頼った。公明票だ。「バーターしませんか」
輿石陣営幹部が複数の公明党議員らの自宅を訪ね歩いていた。同党が
山梨選挙区の「自主投票」を表明した6月17日以降のことだ。輿石陣営が
「比例は公明」を指示する代わりに、公明支持者に「選挙区は輿石」を依頼
するという非公式の選挙協力の打診だった。(続く)
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