10/03/10 16:57:52 gIkBUFaF0
「おい、屋上に来い！」
「おっ？死にたいのか！」などと返事はするものの50分の授業時間中、頭の中は複雑なものであった。胸の中では「あぁ、
どうなるんだろう…？殴られて倒れでもしたら、明日から学校にどんな顔で出てくればいいのか…どうしよう、どうしよう…」
映画『マルジュク通り残酷史』『放課後屋上』など、学園物で屋上は子供達が楽しく殴りあう、いわゆる学校の『一シーン』
として描かれてきた。両者のうち片方が白旗を上げない限り、絶対に降りる事の出来ない決闘の場であり、個々の腕力に
より『草食学生』から『肉食学生』までの食物連鎖が完成される場でもあった。
デジタル時代でも依然として、学校の屋上は決闘の場のままである。オンライン上の論戦で決着をつけられない人々が、
オフラインで直接会って戦う『現血(現実+プレーヤーキル)』が問題であった時期もあった。
しかし、今はそれすら必要がなくなっている。静かにこう囁けばいい。「お前の身の上（の情報）を奪われたいのか？」。
こうした言葉がデジタル時代において、一番恐ろしい宣戦布告文書として浮上しているからである。相手の住民登録番号・
携帯電話番号・口座番号等に代表される数字での各種個人情報はもちろんの事、インターネットカフェでの活動可否、
ブログの文章、活動中に残したコメントなど、オンラインでの過去の行状を一つ一つ掘り起こして公開してしまえば、それが即
実力として認められることになる。過去の戦いが二人の腕力によるものだったのに対し、身上公開は不特定多数に知らせる事に
よって「ああ、こんな人か」という『烙印』まで押す事が出来、相手の人生に致命傷を与えるほどの波及力を持っている。誰が
先に他人の身の上を明かすのか、これが新デジタル食物連鎖理論というわけだ。
学校のように、毎日見る義務があるわけでも無いのに、敢えて他人の身上を暴いて『肉食インターネットユーザー』になる
必要があるのだろうか？
(続く)