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鳩山首相の国会答弁に、法制局長官は、ハラハラし通しだった。
「鳩山さんは政治的感覚のすぐれた方ではあったが、憲法論や法律論には
素人であり、正直のところその補佐には相当骨が折れた。鳩山さんの国会
出席の時間が終わるごとに『今日も無事にすんだ』とほっとした」
鳩山首相は鳩山首相でも、由紀夫首相の祖父、一郎・元首相の話だ。
1954年の第1次鳩山内閣以来9代の内閣で法制局長官を務めた林修三氏が、
雑誌「時の法令」(517号)への寄稿で駆け出し長官時代をこう振り返っていた。
時には野党から、詭弁(きべん)を意味する「三百代言」と揶揄(やゆ)されてきた
内閣法制局長官。林氏から数えて14代後の梶田信一郎・現内閣法制局
長官は、国会で鳩山首相の補佐に骨を折ることはない。
「政治主導」の名の下、官僚答弁禁止を掲げた民主党の小沢幹事長の
国会改革を先取りする形で、今国会から法制局長官は「政府特別補佐人」を
外され、国会に出席し答弁することが許されていないからだ。それはそれで
新政権としての一つの見識だろう。
法制局長官が戦後、国会に出席するようになったのは、52年春の参院
予算委員会で当時の吉田茂首相の憲法9条の解釈に関する答弁を巡り、
国会が大混乱したことがきっかけだった。
今回、党の方針で長官を政府特別補佐人から外したものの政府側は不安
でたまらず、予算委員会に首相が出席する間は、内閣法制局ナンバー3の
第1部長を秘書官席に座らせることにした。(政治部次長 高木雅信)YOL
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