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行政刷新会議の「事業仕分け」で、公立小中学校の教職員の給与を
国が負担する「義務教育費国庫負担金」(概算要求額約1兆6千億円)
は、例外的に削減を求められなかった。かつて小泉政権下で自民党
文教族が死守してきた予算。温存の背景には「民主党文教族」の
動きがあった。
「100%負担にしたらどうですか」。同負担金をめぐる25日の議論で、
仕分け人の枝野幸男衆院議員が、国と地方の負担割合について
「国100%」を文部科学省に促した。事業仕分けでは異例の増額提案。
結論は「国と地方の関係の整理」となったが、予算削減には触れなかった。
この結果を、元小学校教師で日教組出身の輿石東・民主党参院議員
会長は歓迎。26日の記者会見で「最初から削減するわけはないと
思っていた」と言い切った。「義務教育は国の責任」と小泉純一郎元
首相に国会で迫ったこともある輿石氏は、同負担金の削減回避へ
活発に動いていた。
財務省がリストを出して協力した事業仕分け対象事業に含まれたことに
危機感を募らせ、18日に教育関連団体とともに平野博文官房長官や
小沢一郎党幹事長を訪問。小沢氏と連携し参院を仕切る輿石氏に
鳩山内閣は配慮せざるを得ず、平野氏は「教育予算には十分配慮
します」と応じた。
一方、文科省は野党時代から輿石氏に事務次官らが接触。いまの
自民党文教族を何十人も束ねたような存在だ。同省幹部は「輿石さん
は負担金削減に反対のうえ、民主党はマニフェストで『教員の質と
数の充実』を掲げる。仕分け人の同党議員はやりにくいのでは」と
期待していた。
別の幹部は言う。「輿石さんが仕分け人に働きかけたかどうかは
わからないが、公の場での言動だけでも影響力はある」
(園田耕司、青池学) asahi.com