10/04/10 15:29:44 OH4T/OXa0
「第二の入社式」~ようこそ、ドイラバへ~終章
一週間待つ必要も無かった。
彼女は翌日、私のところに飛んできた。サインをされた書類を持って。
「不束者ですが、何卒宜しくお願い申し上げます」
周囲のデスクからは「何だ、〇〇。お前もう新卒に手を出したのか?w」
と冷やかしの声が飛んだが、私は微笑みを備えて下品なジョークを一蹴した。
あくまで社内文書を受け取るが如く書類を受け取り、握手を交わした。2人だけの秘密である。
「入社後は色々大変だろうし、ドイラバのファーストカリキュラムと併行するのは大変だろう。
しかし、この洗礼を乗り越えた時、君は偉大なる勝者になれるよ。
社会?ちっぽけだね。私達は世界と宇宙を見据えているのだから。」
彼女は眼に涙を溜めつつ、一礼し、部を去っていった。
私が退社すると、風はもう春の香りがしていた。
桜並木を通り過ぎる頃、後方から呼び声がした。
「〇〇先輩(←私)、私、頑張ります!必ずドイラバに寄与し、アンチを殲滅させてみせます!」
私はウインクで返し、少し肌寒さを感じる風を受けてコートのポケットに手を突っ込んだ。
論理的な説明のつかない高揚感に身を委ね、私は行き着けのバーがある方向へ消えていった。
【FIN】