08/10/14 13:42:43.12 VHp6qpQg0
素材1
あれはクリスマスが迫ったある日。ソフトバンクショップで働いてるオレ。
クリスマスイブのシフトが決定し、毎年恒例のシフトを替わってくれ大会が始まる。
まあいつものことだが取り立てて用事もないオレがシフトに入ることになった。
飯を奢ってもらう条件付きだし、ま、悪くないね。
当日になり、もう一人の不幸な相棒がやってきた。
オレはちょっと驚く。白戸さんがやって来たからだ。
「あれ?このシフトに入るなんて珍しいね」
「はい。店長に無理矢理頼まれちゃって。空いてるの、私だけだったみたいで・・・」
日が日ということもあり客はいつもより少なく、暇なオレ達は沢山の話をした。
普段同じシフトに入ることもない相手なだけにお互い知らないことだらけで話は尽きなかった。
ただ、時々大きなあくびをして眠そうにしてる彼女を見ると、やっぱりオレといるのは退屈なんだろうな、と現実に戻されるわけだ。
数時間が過ぎたころ久しぶりの来客。カップルだった。
どうもその彼女の方が白戸さんと知り合いらしく親しげに話し掛けてきた。
「あれ?彩何してるの、こんな所で。今年のイブは好きな人と一緒に過ごせるんだってはしゃいでたじゃん」
そしてチラリとオレの方を見てはっと、そうセリフを付けるなら「ハッ!」しか有り得ないような顔をして「ご、ごめん」とだけ言ってそそくさと店を出て行った。
おい、ちょっと、どうするんだよこの空気。
白戸さんの方を見る。真っ赤な顔でうつむいてる白戸彩。
すると白戸さんがぽつりとつぶやいた。
「・・・昨日、ドキドキして一睡もできなかったんですよ」
なんてことがあったら絶対に好きになっちゃうだろ? 嘘の様な嘘の話しなんだけどな。