08/07/26 11:52:15.24 gFwas2b20
夕暮れ、涼しい風が吹く。
マンションの隙間から見える、金色の空が眩しかった。
彼女が来る。話の内容は始めからなんとなく察していた。
「もう会えない…」
そう言い残して彼女は去っていった。
1人残され、空を見上げる。
彼女の涙はいったいどういう涙なんだろうか。
いくら自分を哀れんでみても答えは出ず、その場から動くことはできなかった。
「ジッ!」
鳴かなかった蝉が、突然沈黙を破り、それから地面にポトリと落ちた。
寒い季節が、来る。
手の甲に落ちる涙を、秋風が冷たく撫でていった。
おわり