08/06/24 23:21:38.22 dVKpY1Jo0
スイングドアを押し開けて、冒険者たちの一団が店へ入ってきた。
俺はテーブルを拭く手を止めて彼らに声をかける。
「よう、おかえり。と言ってやりたいところだが
まず鎧を洗って返り血を落として来い、ひでぇ臭いだ」
言われた剣士は鎧を鳴らしながら笑って答える。
「オークどもがしつこくてな。ま、ここの安酒よりはマシだろ?」
「違いない」
野伏がフードを脱ぎながらそれに同調した。
「そりゃお前らが飲んでるのはうちで一番安いやつだからな、
たまにはもっといいのを飲めよ。主に俺のために」
俺は顎をしゃくってカウンターの向こうを示した。
そこにはうちで一番上等な酒を寝かせている蔵への階段がある。
「そこまで稼ぎがありゃまず女を買うよ、それより布をくれるか」
剣士は素直に鎧を洗ってくる気になったようだ。
俺はカウンターの裏から麻布を摘み上げて放ってやる。
出て行った剣士と入れ違いにまた数人店に入ってきた。
剣士の仲間はすでにテーブルについてうちの店員に酒を注文している。
さて今日はいくつジョッキが割れるかな、などと他人事のように考えながら
俺はカウンターの裏へ回る。
荒くれどもが好き放題騒いで回る、ここが俺の戦場だ。
って言う太腕親父繁盛記