08/01/27 15:09:49.63 zunJJk+w0
賢「旅が終わったら一緒に暮らさない?」
彼女の声はとても静かで、けれど、今まで聞こえた言葉の何よりも大きく、強く聞こえた。
勇「・・・え?」
そして彼は、いつもの様なふぬけた声を出す事が精一杯だった。
彼女の素振りはいつも通りだったから。
けれど、勇者にとって、彼女の今の一言はたった一部にしか過ぎなかった。
賢「私だけじゃない。みんなが思ってる、パーティーのみんなが貴方と一緒になりたいと。」
賢者は確かにそう言った。勇者もそう聞こえた。
唯一の非日常は、いつも無口な彼女がこんなに喋っている事だけ。
それ以外は、いつも通りの彼女なのに。
勇「え、きゅ、きゅ、急にそんな、そんな事、え、そ、そんな、え?」
賢「貴方の困った顔が。貴方の弱った顔が。希に見せる勇敢なとこが。
みんな好きって思ってる。貴方の事を大事に思ってる。素直じゃないだけ。」
勇「だって、え、皆さんあの、ほら、いつも僕を苛めてるし、いつも僕は役立たずで、」
賢「貴方のそう言うところが好きなの。言ったでしょ、素直じゃないの。」
困惑した表情を浮かべる彼に対し、賢者は冷静な表情で勇者を見ていた。
少しだけ強い風が吹いて、マントと共にスカートがめくれパンツが見えている事も、
今の勇者には楽しむ余裕が無かった。見る余裕さえ無かった。
続く