10/06/12 10:04:21 VMibjKOR0
ところが有馬記念で横山典弘騎手が騎乗して、追い込み一辺倒のレースではなく、
早目に上位に進出して行くという柔軟性のあるレースを展開し、ブエナビスタ号には
色々なパターンのレースがあるのだということを教えてくれたことが大きな転機にな
ったと私は思っています。この時は2着でしたが、ブエナの可能性を大きく開くレース
だったと言っていいでしょう。
京都記念は自在性のあるところを見せ一瞬ジャガーメイル号に追いすがられました
が、最後は見事に振り切って優勝。勝負強さを発揮したレースでした。ドバイシーマ
クラシックは、後方に位置してバックストレッチで前に上がろうとしては何度も外の馬
に塞がれて動けずじまい、スムーズさを欠くレースになりながらも直線苦労しながら
追い込んで僅差の2着となりました。
この時、この馬は私自身が想像していたよりも遥かに強い馬であることを思い知らさ
れました。そして乗っていたペリエ騎手にとっては悔いの残るレースだったに違いない
と思ったのです。あのブエナを動かそうとしたとき、自分の思い通り前に上がって行け
たならば勝てていたかもしれないと思ったペリエには苦い思いが残ったレースだった
はずです。横山騎手が「どうしてあのとき僕が乗っていなかったのでしょう」と思わず語
りました。
ブエナビスタ号はドバイから帰国して3週間の検疫があり、栗東に戻って僅か2週間で
ヴィクトリアマイルだったので本当に大変な強行軍でした。横山騎手も返し馬で「いつ
もより少し動きが硬い感じで完調ではない」と思ったそうです。「東京コースの馬場状態
がとても良くて、ある程度前のポジションでレースを進めようと思ったけどもブエナは前
に行こうとしないんです。そこでブエナのリズムを崩さないようにゆっくり行くことにしま
した」とのこと。この辺りのブエナとの意志の疎通が見事であり相互信頼がとてもうまく
でき上がっていたということです。パーフェクトな状態でもないのに最後まで力一杯走っ
て勝利に繋げてしまうところが他の馬たちとは違う、いわゆる次元が違う馬ということな
のですね、と横山騎手は語りました。
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