10/04/30 09:08:19 hqhjcnxl
ここに書き込むとモチベーションを下げてしまいそうな
長年の映画ファン経験から、老けメイクに関するちょっと違う感想を。
ピーター・オトゥールという英国俳優をご存知でしょうか?
60年代に「アラビアのロレンス」で世界的に有名になり、今なお現役で
たまに姿を見る俳優さんです。
彼は舞台出身の非常にうまい方ですが、大変な2枚目でもありました。
その彼が37歳のとき、「チップス先生さようなら」という映画で
教師の一代記を演じたとき、その終盤の老いの姿には品の良い美しい
老人の憂いがありました。
そして、オスカー候補で3年ほど前にアカデミー会場に現れた姿を
テレビで見たときに、この美しい俳優をもってしても(美しかったからこそ)
本当の老いは残酷なのだと、昔見たチップス先生の晩年の姿を懐かしく
思ったものです。
リアルそうに見せて実はリアルではない、それは映画の良さであり優しさ
なのだと思ったしだいです。
彼の老いの演技は今の実際に老いてしまった彼の姿とは違いましたが、
それでもチップス先生の背中には老いの寂しさが滲み出ていました。
同じように教師の一代記を描いた「長い灰色の線」(さすがにこちらは
リアルタイムではありません)では、主演のタイロン・パワーと
モーリン・オハラの晩年の姿に違和感を感じてしまいます。
それは、老けの顔ではなく、後姿やそのたたずまいに対してです。
背中にまで演技力は現れるものなのだと思います。
映画としては、「長い灰色の線」の方が心に残っているのですが。
堺さんは、これから日本を代表する俳優さんになってくれる方ではないかと
期待しているものですから、彼の老けの演技には大いに期待しています。
長々とすみません。