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【川崎市中一殺害事件】恐怖と後悔。事件を忘れられない心理学的な理由
Mocosuku Woman 4月6日 14時0分配信
おそらく、2015年上半期の最大のニュースの一つとして語り継がれることでしょう。
川崎市中一殺害事件、本当に痛ましい事件でした。事件の現場には未だに献花が絶え
ないという報道もあります。
事件に至る経緯では、地域の同年代の人たちの多くが関わっていたようです。何もで
きなかった自分を責める人も少なくないでしょう。また、地域の大人たちもこのよう
な事件が起こってしまったショックを痛感しているのでしょう。
この事件以後も、実は痛ましい事件はたくさん起こっています。祖母が1歳の孫を刺
殺した事件、母親が17歳息子を刺殺未遂した事件、兵庫では5人を殺傷した事件もあ
りましたし、老女が刺殺された事件に女性が硫酸をかけられた事件もありました。
ですが、この川崎市中一殺害事件のインパクトは風化することなく、私たちの心に深
く刻み込まれています。事件の残虐性だけでは説明できない、何かがこの事件にはあ
るように思えます。
◆容疑者への恐怖を募らせた一連の写真報道
この事件で特徴的だったのは被害者の写真です。容疑者らと交遊する以前の笑顔の顔
写真…苦労してきたせいでしょうか、どこか憂いのある、その一方で人柄がにじみ出
るようなきれいな笑顔でした。
きっと、華のある存在感で、人気者だったのでしょう。ですが、容疑者らとつきあう
ようになって目の周りに青あざを作った写真、カッターナイフにより切れ込みを入れ
られた写真…思わず心配になってしまうような痛ましい写真が流れ続けました。
痛ましい写真はそれだけで怖いのですが、被害者の笑顔の写真とのギャップに私たち
はさらに加害者への恐怖を募らせたのではないでしょうか。恐怖はストレスホルモン
を分泌させて、恐怖対象を強調したまま私たちに強く記憶させます。写真が私たちに
与えたインパクトの大きさが事件の記憶に深く関わっていると言えるでしょう。
◆残酷な方法で少年が…という恐怖
殺害方法も想像するだけで背筋が凍るような恐ろしさでした。あまりの恐ろしさにこ
こでは詳しくは書けませんが、被害者の恐怖と苦痛、そして絶望感を考えるといたた
まれない気持ちになります。
被害者は「ここで、この場所で、突然に、人生が終わってしまう…」と察した瞬間に
何を思ったのでしょうか。そしてもっと怖いのは、同じ人間で、同じ少年であるはず
の加害者は何を思いながら凶行に至ったのでしょうか。
被害者の思いを察しても、決して理解することができない加害者の内面を思っても、
恐怖は増すばかりです。この恐怖も、私たちが忘れられない一因でしょう。
◆子どもの裏社会への恐怖と後悔
この事件は大人が立ち入らない「子どもだけの裏社会」で展開しています。学校に、
教師の目が届かない、暴力やいじめの温床になる「学校裏社会」ができてしまうこと
は度々問題になり、対策も考えられてきました。
しかし、地域の子どもの裏社会への対策はどうだったでしょうか。この事件でその恐
ろしさが私たちに強く認識されました。さらに、この事件には良識ある大人が介入で
きるチャンスも何度かあったようです。警察、学校、もしかしたら民生委員といった
人たちも関われたかもしれません。しかし、実際には、誰も何もできなかった…後
悔も恐怖と同様に私たちの記憶に残る出来事です。
2度と起こしてはいけない、そのために忘れてはいけない…。数々の恐怖と後悔によ
って私たちがこの事件を忘れられないことが、子どもたちが健全に育つ社会づくりに
つながることでしょう。事件の検証を通して、今私たちが何をするべきか、考える事
が重要です。
<執筆者プロフィール>
杉山 崇
神奈川大学人間科学部/大学院人間科学研究科教授。教育支援センター副所長、心理相
談センター所長(15年4月から)。臨床心理士、公益社団法人日本心理学会代議員、
キャリアコンサルティング技能士。
今年4月に『入門!産業社会心理学-仕事も人間関係もうまくいく秘訣(北樹出版)』
が発売予定。
URLリンク(headlines.yahoo.co.jp)