14/11/09 00:50:33.57 6aVRqyO+
佐藤優さま、ご丁寧なお便りを頂戴いたしましてありがとうございます。また、私が特派員として駐在した韓国で4年たらずの間に書いてきた記事について、
マスメディアや民衆の動静について、きめ細かく伝えようとしてきたことを読み取っていただいたことについても、感謝と敬意を申し上げます。
佐藤さまについては、東京地検特捜部に逮捕された後、取り調べの応酬を再現して「国策捜査」の真相をつまびらかにした「国家の罠(わな)」など
一連の著作の読者としても存じ上げておりました。
佐藤さまが外交官として、担当地域であるロシア(ソ連)駐在中に受けてきた「不愉快な事件」に比べると、「自由・民主主義国家」である韓国での、
現在の私の状況などは身体的な危険も小さく、はるかに幸せな状況であると、改めて感じました。
この問題は佐藤さまのご指摘の通り、朴槿恵政権が私と産経新聞を弾圧しているにとどまらず日本のマスメディア、記者、そして佐藤さまを含む
「もの書き」全員に対する挑発だと、私も思います。
韓国ではこの事件について、「一国の国家元首の名誉を毀損したのだから、厳しい刑事処分を受けて当然だ」などという主張が現在も幅広く見受けられますが、
近代的な民主国家であれば、国家指導者は自身に対する批評や論評を広い心で受忍する態度が求められるはずです。
産経新聞が現在の韓国に対する厳しい論調をもつメディアであると韓国で認識されていることは、承知しています。
ただ、いくら気に入らないメディアであっても、「言論には言論」ではなく、捜査・起訴という公権力の発動をもって
応じてしまった事実を、民主主義諸国は決して容認しないはずです。
韓国のメディアや政治家は「国格」という言葉をよく口にします。「国家の品格」という意味と受け止められているこの言葉は、
李明博(イ・ミョンバク)前大統領が2010年11月、ソウルで開かれたG20(20カ国・地域)首脳会合を開催した当時、
「韓国は先進国入りした」と宣言して以降、さらに重みを増しました。
「先進国入りを果たした」韓国にとって、今回の起訴は国家の体面を大きく傷つけることになりますが、
検察はなぜ、そんな選択をしたのか。それはこれまでの経緯を見ると分かります。
私のコラムについて8月5日、大統領府の海外メディア担当の報道官が民事・刑事での法的措置を通告してきました。
6日には、検察が告発状を受理しました。政府関係者やメディアの多くはこれを、「朴大統領への忠誠心を示すものだ」と感じたといいます。
その後、8月に2度の出頭をすると国際世論は韓国を激しく批判しました。
韓国政府や法務・検察当局に太いパイプを持つ法曹関係者によると、大統領府はこの時点でなお、
検察に呼び出して揺さぶれば産経は謝ると読んでいたというのです。しかし、謝罪も訂正記事も引き出すことはできなかった。
最後の取り調べとなった10月2日、ソウル中央地検の担当検事は私に大統領府との和解について確認し、
私が具体的な動きがないことを伝えると失望していました。検察は、大統領本人はおろか、
その周辺に「処罰意思の有無」を確認することもできなかったのです。
法的対応を宣言したものの、事態収拾もできない大統領府、そして大統領府に対してものが言えない検察…。
今回の在宅起訴は、朴政権の本質の一端をのぞかせたのではないか-。それが背景ではないか、と思います。
URLリンク(www.sankei.com)