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アンネの夢
2016年06月12日 05時09分
彼女は日記を「キティ」と名付けた。息を潜めた隠れ家暮らしの楽しみは読書と「キティ」に日々の思いを伝えることだった。
第２次世界大戦中のナチス・ドイツのユダヤ人迫害を伝える『アンネの日記』は７４年前の１９４２年６月１２日に始まる
◆悲劇の結末を知るだけに本をなかなか手にできなかったが、好奇心旺盛な１３歳の少女が初恋などを知る成長の物語だ。
同胞の犠牲に胸を痛めながらも「書いてさえいれば忘れられる。新たな勇気がわいてくる」と書き続けた
◆アンネは自分が生き抜くと信じていた。戦争が終わり、自由になればジャーナリストになる夢もあった。
しかし、２年続いた日記は「４４年８月１日」で突然終わる。隠れ家が見つかり、家族と連行されたためだ。半年後に強制収容所で病死する
◆ナチスの非道さは断罪されたが、人種差別や民族対立は今も続き、戦争やテロの火種ともなっている。日本も無関係ではない
。在日韓国・朝鮮人へのヘイトスピーチを聞くと、日本人はここまで寛容さをなくしたのかと思う。差別に苦しむのはアンネの家族のような普通の暮らしを望む人たちだ
◆唯一生き残った父親が日記を刊行し、娘の思いを世に伝えた。アンネは「澄み切った良心は人を強くする」とも書いた。きょうは日記の日。憎悪の連鎖を断ち切る勇気を心に刻みたい。（日）
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