16/01/29 22:01:33.58 CAP_USER.net
◆ヘイトスピーチ抑止条例
・大阪市、幅広い賛同で制定 差別許さない、意思明示
「なぜ警察は取り締まらないのか」「家の中まで聞こえてきたのでテレビのボリュームをあげて子どもに聞かせないようにした」
「あなたたちはただ黙っているだけか」
２０１３年２月２５日以降に私の所属団体の事務所に寄せられた声だ。前日の２月２４日、１００人を越える集団が行列を
つくり練り歩き、大音量の拡声器で「殺せ殺せ朝鮮人」「くたばれくたばれ朝鮮人」を連呼した。真田山公園（天王寺区）を出発し
玉造筋を南下、細工谷の交差点を左折して生野区に進入。民家が隣接するソカイ道路と呼ばれる通りからＪＲ鶴橋駅に向かい、
そこでようやく解散した。
しかし、それで終わらなかった。集団の一部は引き続き駅前のＪＲ環状線高架下で街頭演説。在日コリアンをターゲットに
暴力的言動を繰り広げた。このとき中学２年生の少女もマイクを握った。彼女の言葉を文字にそのまま起こす。
「いつまでも調子に乗っとったら、南京大虐殺じゃなくて鶴橋大虐殺を実行しますよ。日本人の怒りが爆発したらそれぐらいしますよ。
大虐殺を実行しますよ。実行される前に今すぐ戻ってください。ここはニッポンです。朝鮮半島ではありません。いい加減帰れ」
この模様はいまも動画サイトで流れ続けており、この発言に大人たちが「そうだ」「おっしゃ」と呼応する音声も拾われている。
このグループは、同年３月３１日にも同様の街頭演説をＪＲ鶴橋駅前で行った。
特定の民族集団などに対して差別扇動し、排斥する発言をヘイトスピーチという。ヘイトスピーチの深刻さがこの鶴橋駅前の
出来事で一層注目をあびることとなったが、すでに大阪では難波、梅田などで繰り返されていた。そしてそれは今もなお続く。
大阪市議会が今月１５日、「ヘイトスピーチ抑止条例」を制定した。ヘイトスピーチの抑止を目的とする全国で最初の条例だ。
条例提案時よりも内容の後退はあるものの、大阪市が率先してヘイトスピーチを容認せずとの意思を明確に示したことの意味は大きい。
この条例は大阪維新の会が主導し、公明党、共産党、ＯＳＡＫＡみらいが賛成した。手続き上の理由から採決に反対した
自民党だったが、内容には賛成との立場を表明し、社会の幅広い賛同の中で制定されたことに間違いない。
一方、条例制定に反対して議場にカラーボールが投げ入れられる暴挙があった。本会議は場所を特別委員会室に替え、
毅然たる態度で採決した大阪市議会の対応にも感銘した。
国連人権理事会のリタ・イザック特別報告者が１月２５日に行った来日講演で「ナチスやルワンダの虐殺を見てもその最初に
ヘイトスピーチがあった」と語り、警鐘を鳴らした。ヘイトスピーチは平和を脅かす。差別は絶対に許してはならないことを
あらためて刻みたい。
＜文 金光敏＞
■人物略歴
１９７１年、大阪市生野区生まれ。在日コリアン３世。特定非営利活動法人・コリアＮＧＯセンター事務局長。
毎日新聞 2016年1月29日
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