16/01/09 13:29:42.40 CAP_USER.net
ヘイトスピーチという病理どう立ち向かうか…朴 一(大阪市立大大学院教授)
ヘイトスピーチの攻撃対象が在日コリアンに限定されてきたもう一つの理由は、在日コリアンだけが「在日特権」を享受してきたというものである。
在特会は、あたかも在日コリアンに「特権」があるかのように主張するが、実際はどうなのか。
まず在特会はホームページ上に「在日(コリアン)が日本に寄生することを認めている」と書き、
そうした行為を認めている「特別永住資格」こそが「在日特権」であると主張している。
彼らが問題にしているのは、一般の永住資格をもつ在日外国人と違って、歴史的経緯をもって日本に滞在してきた在日コリアンだけが、
入国審査時に顔写真の撮影や指紋採取の必要なく、証明書の携帯も求められていないという、特別な扱いを受けているという点である。
だが、こうした在日コリアンの処遇は、1965年の日韓条約における在日コリアンの法的地位協定に関する協議を経て、
1991年に「(在日コリアンの)歴史的な経緯と日本での定着性を踏まえた配慮」として日韓で取り決められたもので、根拠のない「特別な扱い」ではない。
日本に定住している在日コリアン2世から5世までの多くが、日本の植民地支配の影響を受け、
戦時中の労務動員を含め日本に移動することを余儀なくされた人々の子孫であるという歴史的経緯を踏まえ、
実施されたアファマーティブ・アクション的性格をもつ措置である。
また在特会は、生活保護についても在日コリアンへの給付率が「異常なほど高い」とし、在日コリアンが優遇されていると主張している。
確かに50年以上前は在日コリアンの生活保護受給率が高かった。韓国戦争休戦直後の1954年には、日本人の生活保護受給率2%に対し、
在日コリアンは23%と突出していた。これは、朝鮮戦争による難民の発生と54年に出された行政通達の影響と考えられる。
現在はどうか。ネットでは「日本人の生活保護受給率0・9%に対し、在日コリアンは22・7%」(「在日の就業と生活保護の統計を見る過去ログ保存ページ」2001年)
という怪情報が流されているが、これは事実ではない。生活保護に関する在日コリアンの受給データはないが、在日外国人の受給者数はわかる。
例えば2003年の在日外国人の受給者数3万5038人のうち、在日コリアンの受給者数の構成比が8割
(浅川晃広「戦後『在日神話』としての国籍剥奪という嘘」『正論』2005年8月号)という「在日特権」派の研究者の指摘を認めたとしても、
在日コリアンの受給者数は2万1110人となり、この数字を当時の在日コリアンの全体数(62万5422人)で割ると、
在日コリアンの生活保護受給率は4・4%にしかならない。
この数字をみれば、在日コリアンへの給付率が「異常なほど高い」とはいえず、
在日コリアンが特恵的に生活保護を受けているとはいえないことがわかる(宮島理「生活保護と在日」『嫌韓流の真実!ザ・在日特権』宝島社、2006年)。
かつて永住外国人への地方参政権付与に賛成だった政党は、その声をあげず、一部の政党とはいえ、
在日コリアンへの特別永住制度の見直しを党のマニュフェストに掲げる政党が出現する中、
少数とはいえ一部の排外主義グループが主張してきた声が日本の政治に反映されていく過程は、排外主義が、下から上に広がっていることを示している。
在日コリアンの権益擁護・獲得を求める団体にとって、ヘイトスピーチを禁止する法案制定を求めることは重要であるが、
それ以上に大切なことは、「在日特権」という言葉に集約された在日コリアンへの誤解と偏見を取り除くために、
また特別永住権の見直しを阻止するためにも、在日コリアンの置かれた差別的な人権状況を一人でも多くの日本人および日本の政治家に、
正しく理解してもらう戦略的な情宣活動を展開していくことである。(2016.1.1 民団新聞)
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