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【コラム】慰安婦問題の蒸し返し拒む安倍首相、歴史の真実を覆い隠すな
歴史の真実はただでは明らかにならない
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▲世論読者部=金泰勲(キム・テフン)部長
1895年に発生した乙未事変(いわゆる閔妃暗殺)が日本人の仕業だということを知らない人はいない。歴史にそう記録されている。しかし、前後の事情を見てみると、「事件が起こったので記録された」と簡単には言えないことが分かる。加害者が犯罪を隠ぺいしようとしたからだ。明成皇后(日本では閔妃、第26代朝鮮国王・高宗の王妃)暗殺後、日本は「日本人は全く関係ない」としらばっくれた。だが、幸いにも現場を目撃した米国人やロシア人がいて、彼らの証言で犯人が明らかになった。それがあったから日本は犯行を主導した三浦梧楼・在朝鮮国特命全権公使や、後に日本語新聞「漢城新報」主筆となる安達謙蔵ら関係者を逮捕した。
犯行を認めざるを得なくなった「閔妃暗殺勢力」は、代わりに事件の性格を歪曲(わいきょく)しようとした。乙未事変以降、監禁状態だった高宗を救出するため企てられた「春生門事件」が発生すると、日本は宮廷内にいた米国人宣教師たちを高宗拉致未遂犯に仕立て上げた。そして、漢城新報などで「西洋人たちが高宗を拉致しようとしたことと、日本人が閔妃を殺害したことは、大して変わらない」といったこじつけを大々的に報道し、犯罪を合理化してしまった。当初は慰安婦の存在自体を否定していたが、朝鮮の女性を性の慰み物として連行した事実が明らかになるや、被害者女性たちを売春婦扱いしたのと同じだ。
歴史の真実はただでは与えられない。きちんと明らかにし、記録しようという覚悟がなければ、加害事実が否定されたり歪曲されたりする。被害者だけでなく、加害者自身も自らの過ちを認め、真実を記録しなければならない。よく「ドイツはナチスの蛮行を認めているのに、日本は過去を消そうとしている」と指摘される。しかし、ドイツも敗戦直後はナチスという過去を隠そうとしていた。
歴史の真実はただでは明らかにならない
ドイツのノーベル文学賞受賞作家ギュンター・グラスは、そんな母国に対し良心の回復を訴えた。彼は自伝『玉ねぎの皮をむきながら』で、敗戦後、真実をしっかりと包んでいた「隠ぺいの玉ねぎの皮」をむいた経験を紹介している。彼は若いころ、ユダヤ人虐殺を全く知らなかったと書いた。「私は死体の山、焼却炉を見た…信じられなかった」。米軍が見せてくれた白黒写真で、ついに惨状を目撃した少年のころのグラスは絶叫した。「ドイツ人があんなことをしたって? ドイツ人はあんなことはしていないよ」。グラスは、このように過ちを隠そうとした祖国をしかりつけ、自身もナチス少年団に加入していたことを告白した。このような努力が重なって今のドイツになったのだ。
安倍首相は、今回の慰安婦合意後、これ以上は謝罪しないと言った。韓国に対しても「慰安婦問題を蒸し返すな」と要求した。同意できない。日本の後の世代の人々から「日本人はそんなことをしていない」と言われたくないからだ。安倍首相は今回の合意を口実に、慰安婦問題を覆い隠してはならない。合意の精神を生かすには、むしろ過ちを繰り返さないよう、歴史の記録に残して反省のかがみにすべきだ。韓国も「謝罪を受けたから終わり」と言ってはならない。京畿道広州市の慰安婦歴史館には、慰安婦被害を初めて証言した金学順(キム・ハクスン)さん(1924-97年)の言葉が刻まれている。「私たちが強要に負けてしたあのことを歴史に残すべきだ」。不幸を繰り返さないため、真実を追求して記録しなければならない理由を雄弁に語る言葉だ。
世論読者部=金泰勲(キム・テフン)部長
朝鮮日報/朝鮮日報日本語版
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