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中国政府は7~9月期の実質経済成長率を6・9%と発表した。経済教科書からすれば、この成長率水準は好景気そのものだが、経済実体を示す各種のデータはマイナス成長を指し示し、世界の専門家の大半が中国GDPを信用しない。
米国に次ぐ経済規模を裏付けるはずの数値が偽装同然というのだ。(編集委員 田村秀男)
実は、中国のGDP統計は党幹部ですら信用していなかった。李克強首相は遼寧省の党書記時代の2007年、米国の駐中国大使に向かって、
「GDPは人為的操作が加えられるが、鉄道貨物輸送量は運賃収入を基にしているので、ごまかしがきかない」と打ち明けたことが、内部告発サイト「ウィキリークス」によって暴露されている。
李氏は鉄道貨物のほか銀行融資、電力使用量も参考にしていると語ったことから、最近では英国のコンサルタント会社などがこれら3つの経済指標をもとに「李克強指数」を作成して、現実に近い成長率を推計している。
グラフは鉄道貨物輸送量と輸入動向をGDP伸び率と対比した。12年後半以降、鉄道貨物と輸入はともに伸びが鈍化し続け、14年初めから急激に落ち込んでいる。
中国GDPの伸び率は経済の実勢ではなく、党の政治意思で決まる。中国は毎年秋に党中央が翌年の経済成長率を決めて政府に提示し、その年の3月に開かれる全国人民代表大会が政府案を採択する。
全国各地の党書記は目標値通りの成長率を党中央に報告する。達成できないと出世に関わるので、「人為的」な成長率が生まれやすい。
もちろん、党中央は成長目標達成のプログラムを考える。
手っ取り早いのはGDPの最大項目である固定資産投資で、08年9月のリーマン・ショック後は不動産開発投資に資金を集中投入させて2ケタ成長を実現したが、12年には不動産バブルが崩壊して、投資主導型成長モデルはついえた。
投資がだめなら、個人消費を増やすしかない。そこで習近平政権は株価をつり上げ、株式ブームを演出したが、この6月に上海市場が暴落した。
現実には需要が減退しているのに、国有企業などが党指令通り生産を増やすなら、過剰生産、過剰在庫が膨れ上がる。その多くは投棄され、燃やされる。大気や水の汚染、工場爆発と環境破壊が止まらないはずである。
党中央が高い成長率を決め、需要を無視して投資、生産の増加を指令する。民間主導の市場経済とは似て非なる中国式経済が異様に巨大化する。世界の市場を混乱させ、地球環境問題を深刻化させている。
経済実体から大きく乖離した虚偽の成長率が今や世界にとってのリスクなのだ。
URLリンク(www.sankei.com)
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中国GDP低水準 習政権に“打つ手なし” 次期5カ年計画目標1%下げも
世界経済にとって最大級のリスク要因となっている中国の景気動向が一段と不透明感を増した。
成長鈍化に対応しようと習近平政権は昨年来、5回に及ぶ利下げなど金融緩和策を続け、8月には輸出促進目的とみられる人民元の事実上の引き下げも行ったが、効果を上げていないことが7~9月期の統計値で裏付けられた。(上海 河崎真澄)
中国経済は、輸出入あわせて9月まで7カ月連続の前年同月比マイナスを記録し、9月の消費者物価指数(CPI)は同1・6%の上昇と8月を0・4ポイント下回ってデフレ懸念もささやかれるなど、外需も内需も力強さを欠く。
新たな公共投資など緊急景気対策への期待感もあるが、処理の先送りが続く不良債権問題をさらに深刻化することを警戒する習政権には打つ手がないといったところだ。
中国国家統計局の盛来運報道官は19日の記者会見で「世界経済の変調で貿易が伸び悩んだほか、国内の構造改革がなお進行中なことなどが理由だ」と、成長鈍化の理由を説明した。
ただ、同日付の中国紙、第一財経日報によると、盛氏は統計発表の前には「仮に今年の成長率が6・5%に終わっても政府目標の『7・0%前後』は達成したといえる」と弁明していた。
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(>>2以降に続く)
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