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イタリアのミラノで開催されている万国博覧会の韓国館について、一部メディアは非常に好意的
に評価しているが、今回は批判的な観点から見てみたいと思う。ミラノ万博は「地球に食料を、生命
にエネルギーを（Feeding the Planet, Energy for Life）」をテーマに世界145の国や地域が参加し、
今年5月から10月まで6カ月にわたり開催されている国際的なイベントだ。気候変動や異常気象、
さらに地球温暖化に伴い世界的に食料事情が不安定化すると予想される中、人類の未来のため
に新たな食料パラダイムとなる食料憲章の基礎を提案しようというものだ。
ドイツ館は来場者に白い段ボールを配り、これに照明が当たると展示物関連の情報が映し出され
る仕組みが施してあった。日本館では日本食の文化をアジアの神秘あるいは芸術と調和させ、来
場者に深い感動を与えた。米国館は展示場全体の空間を活用し、実用性と便利さを究極まで追
求した。
これに対して韓国館を訪れると、不快感と戸惑いを隠すことができなかった。まず第一に万博全
体のテーマを本当に理解しているのか疑わしかった。韓食の魅力を表現して伝えるコンセプトや、
それを解説するストーリーテリングもずさんなものだった。世界のトレンドはスローフードと材料主義
だが、そのような観点から韓国の「醤（ジャン、みそとしょうゆ）」に対する正しい理解、面白さ、意味
を演出するといったコンセプトも完全に欠けていた。
2番目に伝統発酵食品王国であるはずの韓国の「醤」は、その固有の味と薬味が大きな特徴だが、
これをしっかりと表現できていなかった。長く熟成させた（韓国式）しょうゆはもちろん、みそでも大豆
や天日塩をもっと前面に出していれば、これらは世界最高の材料であり、スローフードであることを
伝えることができていたはずだ。しかも韓国館は非常に広い空間が確保されているにもかかわらず、
展示物をつなぐルートや配置が非常にずさんかつ曖昧・散漫で、興味や余韻が残らないのだ。
また各国の展示館を見ると、どれもその建物自体が建築技術やデザインの粋を集めたものだ。こ
れに対して韓国館の外観は月壺（げっこ）と呼ばれる白磁をイメージしたものらしいが、実際に目の
当たりにすると、中東の無味乾燥な白い建物あるいは宇宙船を思い出してしまう。55ある国家館の
中で規模は9番目らしいが内容はない。韓国館のテーマは「韓国料理、未来への提案：食、それこ
そが生命だ」となっているが、これも陳腐で実際の展示物との一貫性がなかった。
こうなった理由は単純なことだった。昨年11月に万博関連業務の担当が産業資源部（省に相当、
以下同じ）から文化体育観光部に移った。万博（登録博）は「国際博覧会」として5年ごとに開催さ
れるが、今回韓国館の準備期間はわずか6カ月だった。もし時間が足りなかったのであれば、国ご
との「パビリオン」ではなくワイン館やチーズ館といったテーマ館あるいは共同館（クラスター）にして
おけば、まさに創造経済の実践となり、予算の浪費も抑え、国としてのメンツも立ったはずだ。ミラノ
万博における韓国館プロジェクトは、「パルリパルリ（急げ急げ）」という言葉で表される韓国人の瞬
発力と共に、ずさんな展示行政を示す一つの典型事例となってしまった。
孫大鉉（ソン・デヒョン）漢陽大学観光学部名誉教授
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ソース：朝鮮日報日本語版＜【寄稿】ミラノ万博韓国館はずさんな展示行政の標本＞
URLﾘﾝｸ(www.chosunonline.com)
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