15/05/20 04:08:29.77 .net
■正義の悪徳社長
坂本篤紀(49歳)―。大阪市住之江区に本社を持つ「日本城タクシー」社長である。
この「悪徳社長」、実は地元大阪で少しばかり話題になっていた。
今年1月末から、自社で所有するタクシーすべての後部窓に、「ヘイトスピーチ、許さない。」と書かれたステッカー
を貼りつけたのだ。いま、大阪市内ではヘイトスピーチに堂々と異を唱える54台のタクシーが街中を流している。
怒号まみれの“差別デモ”だけではなく、うっすらとした排外的な気分が世の中に広がるなか、客商売の民間企業
があえてこうした「反ヘイト」を訴えることには、それなりのリスクと覚悟が必要であろうことは想像に難くない。
だから興味を持って訪ねてみたのだが、間近で見る坂本は当初予想していたような社会運動家的な空気をまとった
人ではなく、算盤をパチパチ弾く音が聞こえてきそうな「浪速の商人」然として私の前に現れた。
雑談を終えると坂本は私を駐車場に連れ出し、停めてあったタクシーの後部窓をポンポンと叩いた。
「目立ちますやろ?」
確かに。
「こんなん貼ってるの、ウチのタクシーだけやから、すぐに『日本城や!』ってわかってもらえますがな」
黄色を背景としたデザインは遠くからでもよくわかる。でも、このデザイン、どこかで目にした記憶があるのだが・・・・・・。
「法務省の啓発ポスターとそっくりやろ?というか、そのまま使わせてもらった(笑)。
もちろん無断使用やない。ステッカー作り終えてから法務省に電話したら、かまへん言うてた。お上のお墨付きや」
今年初め、法務省はヘイトスピーチ防止を目的とした啓発ポスターを製作。1万6000枚を各省庁や出先機関、
自治体などに配布したほか、主要ターミナルの液晶広告板にも映し出されるようにしている。
で、この「お墨付き」ステッカーをなぜタクシーに貼ろうと・・・・・・
私の質問が終わらぬうちに、坂本は「商売のためや」と笑いながら答えた。
「大阪はぎょうさんタクシーが走っている。そんななかでヘイトスピーチに反対しているタクシー見つけたら、『ようやってる
なあ』と評価してくれるお客さんもいるはずや。わざわざ選んで乗ってくれるお客さんもいるかもしれん。そしたらウチも
儲かるがな。な?悪徳社長やろ?」
どこまで本気なのか、たんなる韜晦なのかはよくわからない。だが、小難しい理屈をこねて「反ヘイト」を語らないところに、
かえって好感を持った。
ソース:現代ビジネス 2015年05月18日
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