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（前略）北朝鮮はこの日、今回の事件について「戦争狂の米国に加えられた相応の懲罰」とした上で「米国を
糾弾する南朝鮮（韓国）人民の思いが反映されたものであり、拒絶の表示」とする論評を発表した。しかし、
もし北朝鮮がまともな考えを持っていれば、このようにとんでもない主張などできるわけがない。外交関係に
ついて取り決められたウィーン条約は、いかなる場合でも外交官の身辺に危害を加えることを禁じている。
これは人類歴史上、外交行為が始められてからずっと守られてきた規範であり慣習でもある。北朝鮮はこの
国際的な取り決めをも無視し、テロの実行犯とも言うべき金容疑者を擁護するだけでなく、反米のための
宣伝に今もなお熱を上げている。世界で非武装の外交官を襲うテロを称賛する国は北朝鮮以外にないだろう。
（中略）金容疑者による今回の犯行は、韓米同盟に反対することを目的としていた。もしかすると金容疑者は
韓米両国の間に亀裂が生じていると誤解し、自らが直接テロ行為に乗り出せばその亀裂をさらに大きくできると
勘違いしたのかもしれない。実際に韓国政府は1年以上にわたり、在韓米軍に高高度防衛ミサイル（THAAD）を
配備する問題に決着をつけることができず、またつい先日には米国務次官が韓日間の歴史問題で日本を擁護するかの
ような発言を行った。これら一連の状況を受け、韓国政府の内外では韓米関係に対する心配の声が出始めている
のも事実だ。しかし韓米両国は65年以上にわたり北朝鮮に対抗するため同盟関係を築き協力し合ってきた。この
程度のテロで揺らぐことなどあり得ないのだ。
韓米両国政府はこの日、事件直後から直ちに協議を行い「今回の事件により韓米同盟が影響を受けてはなら
ない」との点で一致したという。中東を歴訪中の朴槿恵（パク・クンヘ）大統領も直接コメントを発表し、
オバマ大統領もリッパート大使に電話をかけ、一日も早く回復するよう激励した。リッパート大使はオバマ
大統領の側近とされる人物だ。このように韓米両国の首脳が直ちに動いたのは、この事件によって両国関係に
いかなる影響も無用な誤解も呼び起こしてはならないとする強い意志の表れだ。リッパート大使も病院で
ツイッターを更新し「体調は良く元気だ」とした上で、韓国語で「共に前進しましょう」と書き込んだ。
これこそ60年以上にわたりさまざまな危機を乗り越えてきた韓米同盟の力だ。
しかし米国のメディア各社は今回の事件について「韓国の左翼活動家らは米国について、統一を妨害する
勢力と見なしている」などと一斉に報じた。同盟国の外交官への襲撃というショックを乗り越え、韓米関係を
一層進展させるためにも、両国は同盟に対する強い決意をあらためて示さねばならない。今年42歳のリッパ
ート大使は昨年韓国に赴任した直後、ソウルで生まれた最初の子どものミドルネームを韓国式にするなど、
これまでのどの大使よりも韓国に近づこうと努力してきた。またリッパート大使だけでなく、韓国国内でも
韓米同盟の重要性を訴える識者は非常に多く、米国への攻撃にばかり熱を上げる左翼勢力はごく少数だ。
韓米両国の間でこの点についての誤解は絶対にあってはならない。今回の事件は韓米同盟を一層成熟させ
強化するためのきっかけにしなければならず、この点に両国関係の未来が懸かっていると言っても過言ではない。
朝鮮日報／朝鮮日報日本語版
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