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【ソウル松本創一】韓国に駐留する米兵を相手に女性たちが慰安婦として働いた「米軍慰安婦問題」をめぐる訴訟が、ソウル中央地裁で本格化している。
長くタブー視されてきたが、元慰安婦の高齢化が進んでいることから、関係者が提訴に踏み切った。原告側は、国が性病の管理などを通じて関与したとして謝罪と賠償を求めている。
ただ、旧日本軍の従軍慰安婦問題をめぐる日韓の溝が、裁判の進展に影を落としている。
■122人が償い要求
「国は基地村の米軍慰安婦への法的責任を果たせ」「謝罪し、賠償しろ」。1月30日、第2回弁論を控えた地裁前に原告ら10人が集結。氷点下の寒さの中、横断幕を手に声を上げた。
元慰安婦122人は昨年6月、韓国政府が基地村設置に関わった事実を認め、1人当たり約100万円を賠償するよう求めて提訴。支援者は「名誉回復のため問題を周知させたい」と話す。
「基地村」とは、米軍基地周辺で、いわゆる米軍慰安婦が働いた地域を指す。朝鮮戦争後の1950年代後半、ソウルに近い京畿道(キョンギド)などの基地周辺に出現。
韓国政府は米軍への配慮から売春禁止の適用外とした。
77年に朴正熙(パクチョンヒ)大統領(当時)が署名した文書は「62カ所の基地村に9935人の慰安婦がいる」と報告。
女性らは行政文書で「米軍慰安婦」と記され、一般には「洋公主(ヤンゴンジュ)(西洋の姫)」などと差別的に呼ばれた。
■愛国行為と推奨
韓国の調査では、慰安婦の動員や移送に政府が関わった証拠はないとされる。ただ原告団は、行政機関が性病患者の隔離など基地村運営に関与したと主張。
裁判所に提出した京畿道の61年の国連軍簡易特殊飲食店営業許可に関する文書には、基地村で「慰安婦を固定でき、外貨も獲得できる」と書かれている。
原告の一人で60代の元慰安婦イ・ミョンジャさん(仮名)は「愛国行為と推奨された。裁判で悔しさを解き放したい」と語る。
対する政府側はこれまで「性病管理は自治体が行った」と主張。国の関与については「調査が必要」とし否定も肯定もしていない。
消極姿勢の背景には、旧日本軍の慰安婦問題をめぐる交渉で、米軍慰安婦の存在が、韓国側に不利に働くとの警戒がある。政府側は弁論で「慰安婦」の言葉を使わないよう求めた。
ある元米軍慰安婦の支援者も「米国慰安婦問題が日本の慰安婦問題の免罪符にされかねない」と懸念する。
市民団体トゥレバンの劉英任(ユヨンニム)さんは「日本政府に従軍慰安婦問題への公式謝罪を促すためにも、韓国政府は率先して韓国の女性の人権を回復するべきだ」。
戦争を背景にした人権侵害という日韓共通の問題として国家の責任を指摘した。<どうしん電子版に全文掲載>
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