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時代の正体〈66〉 ヘイトスピーチ考〈下〉 耳奥に響く「傍観者」【記者の視点】=報道部デスク・石橋学
2015.02.16 11:51:00
ヘイトスピーチ・デモに抗議するために掲げられた横断幕=2013年5月12日、川崎市川崎
在日コリアンを「ゴキブリ朝鮮人」とおとしめ、「日本からたたき出せ」と排斥をあおるヘイトスピーチ・
デモを前にして少年(15)は身震いを覚えたという。
「デモに参加している人たちに在日は人間として映っていない。そうであるなら、この人たちは自分を殺しかねない」
神奈川朝鮮中高級学校に通う在日朝鮮人3世。デモの現場で語られていた一つ一つが「殺すための理由」に聞こえていた。
私は落差を思う。
初めてデモを目の当たりにした2年前、それほどの切実さと切迫感を持っていなかったことを打ち明けねばならない。
2013年5月、川崎。のちに京都の朝鮮学校で行った街頭宣伝が人種差別に当たるとして有罪判決を受けた
「在日特権を許さない市民の会」(在特会)、その当時会長だった桜井誠氏もマイクを握っていた。
「殺人、強盗、放火とやり放題。多くの日本人が在日の犯罪で命を失っている。だから出て行け、と言っている。
自分の国を守ることは決して差別なんかじゃない」
在日コリアンは生活保護が受けやすく、優遇されているといったデマや詭弁(きべん)を用いて憎悪をあおり、
排斥を正当化する。その稚拙さに首をひねるほかなかった。
デモを阻止しようと自発的に集まった、カウンターと呼ばれる人たちの対抗行動は激烈だった。
沿道から「帰れ、帰れ」の連呼が沸き起こり、「くたばれ差別主義者」「人間のクズ」と罵声が飛ぶ。
突き出されたプラカードに「日本の恥」の文字が揺れ、警官隊の警備をかき分け、デモ隊につかみかかった。
デモのシュプレヒコールも怒号にかき消され、道行く人もぼうぜんとする騒然の状況。その中で一つの横断幕が目に留まった。
〈ヘイト豚 死ね!〉
桜井氏の顔のイラストがあしらわれていた。
その時、頭をよぎったのが「それを言っては、どっちもどっちじゃないか」だった。
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