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「真珠の首飾り」「シルクロード経済圏」「一帯一路」…。何となくロマンの漂う魅惑的な言葉だが、その意図するところは野望と戦略性に満ちている。
「真珠の首飾り」は中国がインドを取り巻く港湾を建設し、インド包囲網の構築を目指すものだ。また「シルクロード経済圏」とは、陸と海とでアジアと欧州を結ぶ、中国を中心とした経済圏を形成しようというものである。
2つのルートを合わせて「一帯一路」と呼ぶ。
中国はこの経済圏実現に、自らが主導するアジアインフラ投資銀行(AIIB)の設立に加え、400億ドル(約4兆8千億円)を拠出し、各国のインフラ整備にあてることを表明した。
中国が甘い言葉で持ちかける“夢の計画”に、周辺諸国も思わず乗り気になったに違いない。
アジアは中国と米国がその影響力をめぐって、激しくぶつかり合っている場所だ。中でも中東からの原油輸送のルートとなっているインド洋は、米中印がパワーバランスを競う戦略的な海域である。
ここで中国は、インドを囲い込むようにパキスタンのグダワル、スリランカのハンバントタ、バングラデシュのチッタゴンなどで港湾施設を整備し「真珠の首飾り」戦略を推進してきた。その要衝となるのがスリランカである。
しかし今年1月、中国の戦略に大きな誤算が生じた。スリランカ大統領選挙で「中国一辺倒」だったラジャパクサ大統領が、シリセナ前保健相に敗北したからだ。シリセナ氏は欧米との関係修復や日中印との“バランス外交”を掲げる。
海外メディアは「真珠の首飾りの最大の“真珠”が欠けた」と指摘したが、中国が心穏やかでないことは間違いない。
スリランカはもともと日本が最大の援助国だった。しかし、少数民族タミル人との内戦による人権弾圧が国際社会の批判を浴び、支援が減少。その隙を埋めるように中国が援助を拡大させ、2009年には最大のドナー国となった。
米紙ウォールストリート・ジャーナルは1月、ラジャパクサ大統領の敗北を受けて
「今やスリランカの友人は必ずしも中国とはかぎらない。米国は新政権が提供している機会を素早く利用するように動くべきだ」とするアーミテージ元米国務副長官らの意見を掲載し、軍事交流の復活を訴えた。
1月25~27日にはオバマ米大統領がインドを訪問し、対中包囲網の形成を目指すとみられる「アジア太平洋、インド洋地域における共同戦略ビジョン」を発表した。