15/01/14 01:37:54.08
日本の政府開発援助(ODA)が他国の軍隊を支援できるようになる。このODAの新政策に朝日新聞が難色を示した。
だが、軍と名のつく存在を徹底的に忌避する朝日新聞の主張は、日本の国益という概念を軽視していると言わざるを得ない。過去の日本のODAが中国によってさんざん軍事転用されてきた現実さえも見ていない。
日本政府が、既存のODA大綱に代わる新たな「開発協力大綱」を決定することとなった(参考:「政府開発援助(ODA)大綱の見直しについて」外務省)。
この「ODA新大綱」はこれまで禁じてきた他国の軍隊への支援を災害救助など非軍事分野に限って認め、日本の「国益の確保に貢献」することを初めて明記する。
日本政府はこの“解禁”により、中国の軍事的脅威に悩むベトナム、フィリピン、あるいはミャンマーなどの軍への巡視艇供与や、軍人の日本留学受け入れを計画しているという。
日本の集団的自衛権の行使容認で、周辺の海上輸送路がさらに重要となるインドネシア、シンガポールなどへの安全保障がらみの援助強化も伝えられる。
ODA供与で自国の国益を求めてはいけないのか
安倍政権が推進するこうしたODA新政策に対して、朝日新聞(2015年1月9日付)は「他国軍支援解禁」を批判する記事を掲載した。
「ODA軍事転用の恐れ」という見出しを付け、日本の援助がたとえどのような国でも軍に提供されたり、軍事に転用されることは好ましくないという主張を展開した。
「日本が送った船が紛争に使われたり、支援によって整備した空港や道路を軍が利用したりするケース」が想定されるという。
その論調には、中国の軍事的脅威にさらされている東南アジア諸国の対抗策も、「軍」だからあってはならないという発想が見てとれる。
東南アジア諸国の軍隊への支援が、中国への抑止という意味で日本の安全保障に寄与するという基本を否定するのである。要するに、日本にとっての敵性国家も同志国家も区別しないのだ。
また朝日新聞は同じ記事で、日本が自国のODAを自国の国益に寄与させることにも批判をぶつけていた。
「日本の利益だけを追求して、本来の目的であるはずの貧しい国の経済成長がなおざりにされる」のはけしからん、という批判だった。
日本の公的資金の使用に日本自身の利益を求めてはならず、貧しい他国の経済成長を優先せよ、という主張である。
さらには「国益を露骨に出した援助に援助の先輩国の日本が寄ってしまっている」からよくない、とも述べていた。意味の不明な主張だが、つまり、日本のODAは自国の国益を求めてはいけないという極論だと言えよう。
軍事用にも使われる鉄道、道路、通信回線
ところが朝日新聞のこうした主張は、日本が中国に供与した巨額のODAが中国側によってさんざん軍事利用されてきた事実を無視している。
従来のODA大綱は軍事的用途を禁じていたが、現実には相手国の事情でいくらでも軍事目的に利用されるのだ。しかも中国の場合、日本からのODAを、日本に対する軍事的脅威の増大に活用してきたのである。
私は産経新聞中国総局長として2年余り中国に滞在していたとき、日本の対中ODAについてかなり詳しい取材をして報道した。当時、中国がODAを軍事転用した実例として以下のケースがあった。
いずれも1990年代から2000年代にかけての事例である。
・日本は、台湾海峡に面する福建省の鉄道建設に67億円のODAを供与した。福建省には中国人民解放軍の部隊やミサイルが集中的に配備され、その移動には常時、鉄道が使われてきた。
台湾の李登輝総統(当時)は「日本の対中ODAも結構だが、福建省内の鉄道建設だけはやめてほしい。台湾への軍事攻撃能力の向上に直結するからだ」と懸念を述べていた。
・2001年までに、中国全土の電化鉄道の40%は日本のODAで建設された。戦時に、人民解放軍の兵員や兵器の移動に鉄道が極めて重要な役割を果たすことは、解放軍総後勤部(補給や輸送を担当)が公式に強調してきた。
・日本は2001年までに、中国の高速道路建設に総計2500億円のODAを提供し、延べ2000キロ、12本の高速道路を開通させた。
解放軍当局者は公式論文で、南京~上海間などの高速道路には砲弾やミサイルの被弾に対する強度があり、軍事基地や軍事空港との連結、軍事管理施設への即時切り替え、
軍用機の滑走路や軍用ヘリ発着場への即時転用、などの用途が見込めることを強調していた。
URLリンク(jbpress.ismedia.jp)
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(>>2以降に続く)