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【歴史戦 第8部 南京「30万人」の虚妄(1)後半】
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中国中央テレビに登場した元朝日記者「“虐殺”の記憶」今も説き続け…
国家レベルに格上げされた南京事件をめぐる宣伝戦は教育現場だけにとどまらない。
江蘇省南京市の「南京大虐殺記念館」は7月、インターネット上で事件を多角的に取り扱ったサイト「国家公祭網」を開設した。
疑似的な献花ができるほか、生存者の証言などさまざまな情報を公開している。
9月に同サイトはスマートフォンのアプリでも見られるようになった。
若者への浸透を狙ったものだ。
7月にはマンガ『南京1937』が出版された。
事件の生存者、夏淑琴(85)の証言などが基で、133ページ全編を通じ、旧日本兵が行ったという強姦(ごうかん)や殺戮(さつりく)も含む残虐なシーンが一方的に“史実”として描かれている。
夏は12月13日に「南京大虐殺記念館」で行われた追悼式典で国家主席、習近平とともに、青銅製の巨大な鼎(かなえ)の追悼モニュメントの除幕に立ち会った。
12月7日には歴史公文書を扱う国家档案局が公式サイトでネット動画の配信を始め、当時の南京住民が残したとする写真や記録などを公開した。
その中でも注目されたのが、陥落前後の南京の様子をつづった日記を紹介した映像だ。
37年当時、62歳だった執筆者の程瑞芳は南京城内の金陵女子文理学院で学生寮の監督をしていたという。
戦時下におかれた女性による日記という観点から、中国版『アンネの日記』と呼ばれ始めている。
中国が南京事件を、ナチス・ドイツのホロコースト(ユダヤ人大虐殺)と同列に扱おうとする狙いがうかがえる。
「世界文化遺産に」
南京市が12月8日に「南京大虐殺記念館」と周辺地区330ヘクタールの新たな都市開発計画を発表した際、当局者はこの地区が
「アウシュビッツ強制収容所と同じく世界文化遺産になってほしい」と述べた。
南京市は国連教育科学文化機関(ユネスコ)に記憶遺産として申請する準備も始めている。
習は3月の訪独時にベルリンで演説し、中独関係に関わりのない南京事件に言及し「30万人以上が殺害された」と強調した。
国際社会に旧日本軍の「残虐行為」を宣伝することで、世界の世論を誘導し、日本に対する包囲網を構築しようとしている。
誤りの事実「なし」
中国共産党の「喉と舌」とされる国営メディアの報道で、12月13日前後は「日本人による証言」が目立った。
国営新華社通信は記者を日本に派遣し、事件に関する日本側の研究者や、加害者としての反省を説く日本人活動家、旧日本軍人の「証言」などを12回にわたって11月から報道した。
京都の真宗大谷派(東本願寺)教学研究所の研究員、山内小夜子は新華社の取材に、「小泉(純一郎元首相)や安倍(晋三首相)による靖国神社参拝は違憲だ」と語った。
山内は12月9日、「南京大虐殺記念館」が行った今年の「特別貢献賞」を受賞した。11人の受賞者のうち唯一の日本人だという。
過去の受賞者には「南京大虐殺」を定着化させた『中国の旅』などの著書がある元朝日新聞記者の本多勝一もいる。
本多は中国中央テレビ(CCTV)が12月12日から5回連続で放送した番組「1937南京記録」に登場した。
インタビューの中で、本多は「私が書いた文章にもし誤りがあれば訂正してもよいが、誤ったとの事実は存在しない」と言い切った。
番組は「本多は今も日本国民に南京大虐殺の記憶を説き続け、右翼勢力から攻撃を受けている」と好意的に紹介した。
こうした日本人の声を報道で強調する意図を解くカギは、12月13日の式典で習が行った演説にある。
「極めて野蛮で残虐である日本の侵略者に偉大な愛国主義精神を持つ中国人民は屈せず、侵略者と徹底的に戦うとの闘志で抗日救国を行った」
「一つの民族の少数の軍国主義分子が侵略戦争を起こしたことをもってこの民族を敵視すべきではない」
72年の日中国交正常化にあたって毛沢東や周恩来が用いた「軍国主義者と一般人民を区別する二分法」と呼ばれる考え方を改めて持ち出した。
歴史認識では一歩も譲らない一方で、「反省する」日本人には好意を示し、日本国内を分断する狙いがみえる。
国家を挙げて「宣伝戦」を展開する中国の姿勢は明確だ。(敬称略)