14/11/18 14:39:29.57
■決め手となった1枚の写真
今年1月5日。この日も私はいわき市内で聞き込みを続けていた。
だが、歩いても歩いても、彼の所在はわからない。
人物像だけで住所を「当てる」ことは難しい。
しかもその段階において男が犯罪者であるという確信を持っていたわけでもないので、
通常の事件取材とは違い、聞き込みするにあたっても最低限のプライバシー配慮を
せざるを得ない。捜索は困難を極めた。
途方に暮れていた時、一通のメールが私のスマホに届いた。
ヨーゲン情報を集めていた、例の在日女性たちである。
メールには一枚の写真が添付されていた。
ヨーゲンが不用意にネットへアップした自室の写真である。
外の風景や家屋の外観が映っているわけでもない、ただの室内写真だ。
こんな写真で何かわかるというのだろう。
呆れる私に対し、彼女はメールで次のように記してきた。
「窓枠に特徴があります。このタイプの窓枠は集合住宅に多く使われるものです。
よって、ヨーゲンはアパートやマンションに住んでいる可能性が強いと思われます。
この窓枠の形に注目して探してみてください」
目の付け所が、さすがに女性らしい。注意深く、そして繊細な視点だ。
私は窓枠の形に最大の注意を払い、市内の集合住宅を訪ねまわった。
数時間も歩き回った後、私は一軒の二階建てアパートの前で棒立ちになった。
窓枠の形が、まさにメールに添付されていた写真のものと一緒だったのだ。
アパートの部屋をひとつひとつ確認してみる。ほどんどの部屋に表札はかかっていない。
集合ポストにもネームプレートはなかった。だが、ある部屋の前で、私は再び足が止まった。
「NHKの集金、お断り」
そう記されたステッカーが貼られていたからである。
ヨーゲンは日ごろから、メディアに対する敵意を露骨にネットに書き込んでいた。
なかでもNHKと朝日新聞は「左翼の牙城」だとして、常に攻撃の対象となっていた。
そこがヨーゲンの自宅であると100%の自信があったわけではない。
だが、なぜか背中の筋肉が強張った。
事件取材などで、重要な証言者にめぐりあったときの感覚と似ている。
私はとりあえずその場を離れ、近所の酒店で少しばかり高価な日本酒を購入した。
私の目的は彼を恫喝するためでも、脅すためでもない。
なぜにヘイトスピーチを繰り返すのか、それを聞いてみたかった。
そしてできるならば、在日女性に対する攻撃をやめてもらえるよう頼むことにあった。
だからせめて酒でも一緒に飲みながら話すことはできないかと思ったのだ。
酒を手にした私はアパートに戻り、ドアのインタホンを押した。
「はい」と応答したのは女性の声だった。彼の妻であろう。
私は「御主人はいらっしゃいますか」とだけ告げた。
「お待ちください」と返答があってからしばらくした後、男性の声が響いた。
「どなたですか?」
少し前にプロダクトキーの販売サイトに電話した際、応じた男の声と同じだった。
現代ビジネス 2014年11月18日(火) 安田浩一
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