14/10/31 01:55:30.48
URLリンク(www.sankei.com)
中韓の増産による供給過剰で、世界の鉄鋼業界がいらだちを募らせている(写真は国内メーカーの高炉)
世界の鉄鋼業界が韓国と中国にいらだちを募らせている。中韓両国の鉄鋼大手は近年、政府支援を背景に生産能力を急拡大。
2015年の世界の粗鋼生産能力は消費量を4割近く上回る見込みで、過剰供給による市況悪化が各国鉄鋼会社の経営を圧迫しているからだ。各地で反ダンピング(不当廉売)調査など通商摩擦も頻発。
9月にはJFEスチールがベトナムで計画していた製鉄所建設が中止に追い込まれるなど日本メーカーにも影響が及んでおり、中韓大手に対する“ブーイング”が高まっている。
市場価格2~3割落ち込む
「まさかこの供給過剰の状況で、政府系金融機関に救済させるつもりなのか!」。6月5、6日にパリで開かれた経済協力開発機構(OECD)鉄鋼委員会。
業績不振に陥った韓国鉄鋼大手、東部製鉄に対し、政府系の韓国産業銀行などによる金融支援の方針が事前に報道され、米通商代表部(USTR)の出席者は韓国の代表にこう詰め寄ったという。
委員会は12年から深刻化する供給過剰問題を議論し、昨年12月の会合では米国や欧州連合(EU)、中南米鉄鋼協会などが韓国や中国を念頭に生産能力拡大につながる政府支援措置への懸念を表明。
5月のOECD閣僚会合でも議長サマリーに「過剰能力問題への対応の必要性」が盛り込まれた矢先の報道に出席者の不満が噴出した。
実際、中韓両国のメーカーは生産能力の増強にひた走っている。韓国最大手のポスコは昨年、インドネシアに年間300万トンの生産が可能な製鉄所を建設し、インドでも計画を進める。
中国大手、宝鋼集団も広東省に15年末から計893万トンの製鉄所を順次稼働させる予定で、高炉建設が相次いでいる。
その結果、15年の世界の生産能力は22億8300万トンと、見掛消費量の16億6300万トンを6億2000万トンも超過する見込み。
中韓両国の圧延鋼板1トン当たりの市場価格は11年春から2~3割も落ち込み、ポスコや宝山鋼鉄は13年度に減収減益に陥っている。
増産にひた走る中韓
自らの首をも絞めるような高炉建設を可能にしているのが、政府系金融機関などの融資だ。調査機関によると、ポスコのインドネシア拠点設立には、韓国輸出入銀行が約4億9000万ドルの支払いを保証。
中国メーカーの財務状況は不明だが、国有企業だけに政府支援は確実だ。
ただ、地方の雇用確保や経済活性化策として粗鋼生産量を急激に増やし続けてきた中国には変化の兆しがみられる。中国共産党が昨年、生産態勢の再編をアジェンダとして取り上げた。
「地方首長の人事考課などにも反映される」(日本政府筋)とみられ、製鉄所の爆破といったパフォーマンスまがいの再編も進められているという。
また、中国は国内消費が依然旺盛なこともあり、鋼材輸出量は13年に約6000万トンとリーマン・ショック前の08年とほぼ同水準。
一方、韓国の輸出量は13年に約2900万トンと08年の1.5倍に伸びており、「最近の供給過剰の“主犯”だ」(同)。
韓国の鋼材輸出拡大の背景には韓国産業界の主導権争いがある。韓国の鉄鋼業界はポスコがほぼ独占し、自動車メーカーなどへの販売価格は一方的な「通達」で決まってきた。
これに対抗し、主要顧客の現代自動車がグループの現代製鉄などの生産能力を拡大。10年に各400万トンの高炉を2基建設するなど急激に力を付け、現代自動車は調達を切り替えてきた。
ポスコも交渉での値決めに踏み出したが、主要顧客である現代自動車の調達を奪われた結果、海外に活路を見いださざるを得ない状況だ。
白紙になったJFEのベトナム新工場
このあおりを食ったのが、JFEスチールだ。同社は9月16日、16年の稼働を目指してきたベトナムでの高炉一貫製鉄所の事業可能性調査(フィージビリティ・スタディ)の中止を決定。
林田英治社長(日本鉄鋼連盟会長)は9月24日の鉄連の記者会見で、「アジアの需給ギャップが非常に大きい。採算をとろうとすると現時点で判断するのは難しいということで中止した」と苦渋の表情を浮かべた。
URLリンク(www.sankei.com)
URLリンク(www.sankei.com)
URLリンク(www.sankei.com)
URLリンク(www.sankei.com)
URLリンク(www.sankei.com)
(>>2以降に続く)