14/08/21 12:12:47.32
永住資格を持つ外国人が日本人と同様に生活保護を求める権利があるかどうかが争われた訴訟で、最高裁は先日、「法的な権利はない」
とする判決を言い渡した。
生活保護法は対象を「国民」と定めている。最高裁は文言を厳格に解釈したといえるが、しゃくし定規な判断との印象はぬぐえない。
地方自治体は厚生労働省の通知に基づいて永住外国人を保護の対象としており、日本人と同等の扱いをしているのが現実だ。
その点は判決も認めており、そうした行政の対応については追認している。
ただ、憲法25条が定める生存権に基づく権利ではなく、「行政措置の保護対象」とした。あくまでも「恩恵」という位置付けである。
しかし、日本が批准した難民条約や国際人権規約は、公的援助について平等の扱いを加盟国に求めている。日本もそれを受けて
国民年金や児童手当では法を改正し、国籍による制限を削除した経緯がある。
同じ社会保障制度でばらつきがあるようでは、混乱を招く元となる。司法が明確な指針を示す必要がある。今回、最高裁は永住外国人
が保護を受ける権利を明記するよう、法改正を促すべきではなかったか。
訴訟は大分県内の中国籍の女性が起こした。日本で生まれ育ち、一度も外国に出たことはないという。
6年前、生活に困って地元の市に保護を申請し、退けられた。後に申請は認められたが、「生活保護は行政の裁量でなく、
法に基づく権利だ」として司法の判断を求めた。
最高裁は訴えを退けた。一方で、外国人の保護を否定したわけではない。自治体がこれまで通り保護の対象とする措置に支障
はないとしており、問題は残されたままだ。
もともと、旧生活保護法には国籍の制限がなかった。後の法改正でわざわざ「国民」という言葉を入れた。「国民」の権利をうたう
憲法の表現に合わせたとされるが、結果として他の制度と相反する形になった。
厚労省の通知によって、現在は永住者や難民などが保護対象とされている。兵庫県でも同様だ。外国人にも納税義務があり、
公的なサービスを保障するのは当然だろう。
この問題は現場任せのまま、長く放置されてきた。政府や国会は平等を求める国際社会の流れを踏まえ、矛盾点の解消に乗り出す時だ。
ソース:神戸新聞 2014/08/21
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