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■街頭デモで「可視化」された、生活保護バッシング
「生活保護バッシング、在日外国人バッシング、ヘイトスピーチ。それらは、別個の問題ではなく、すべて地続きである」
『ネットと愛国 在特会の「闇」を追いかけて』(講談社、2012.4)などの著書があり、在特会をはじめレイシストデモを精力的に追いかける
ジャーナリストの安田浩一氏は、講演の冒頭でこう語った。
安田氏によると、これまでも外国人差別などと同様に「生活保護バッシング」も存在したが、これが今、街頭デモなどの行動で可視化
された状態になっているのだという。
毎週末に行われているというデモの映像が、会場で流された。
「殺せ!」などと叫び、「竹島を日本領と言えない奴は殺せ」と書かれた横断幕を掲げながら、闊歩する人々。西日本最大の在日韓国
・朝鮮人集住地域である、大阪市鶴橋で「南京大虐殺ではなく、鶴橋大虐殺を実行しますよ」と叫ぶ女性の姿が映し出された。
この女性は、当時まだ中学2年生だったという。彼女以外にも、中学生・高校生・会社員・無職の人など、デモ参加者の属性はいろいろ
だが、彼らに共通するのは、自分たちは福祉の恩恵を受けていないという、「被害者意識」なのだと、安田氏は分析する。
■在特会は、間違った「被害者意識」を与えている
こうした排外差別デモを主催するのは「在日特権を許さない市民の会」、在特会だ。安田氏は、自身が在特会を知るきっかけとなった
エピソードを振り返った。
2007年、ある中国人男性の遺族が起こした訴訟により、宇都宮地裁で裁判が行なわれた。中国人男性は、実習生として来日したものの
不法滞在となり、警察官に在留許可証の提示を求められたことから逃走した末、警官が発砲した銃弾を受けて死亡した。
裁判に対して抗議の声をあげ、裁判所の前に集まる人々が安田氏の目に止まった。ごく当たり前に町を歩いている、一般市民といった
姿格好の彼らが掲げる横断幕には、「不逞支那人は射殺せよ」という差別的な言葉が書かれていたという。
「2ch(インターネット上の匿名掲示板)を見て駆けつけた」という彼らの言葉を手がかりに調べていくと、「在特会」の存在に辿り着いた。
安田氏は、在特会が生活保護について、「日本では毎年2万人が経済的な理由で自殺する。なぜなら生活保護が正当に支給されて
いないから」と訴えていることについて、「そこまではその通りである」と同意する。
しかし、そのあとに続く「生活保護が行き渡らないのは、不正受給と在日外国人の受給のせいだ」というのが問題であり、在特会は、
「権利を獲得したい」と思っている人を、間違ったところへ引きずり下ろすのだと、安田氏は指摘した。
「日本人差別をなくそう」という在特会が作成するチラシには、「年計2兆3千億円が在日朝鮮人の生活保護費として使われている」などと、
間違った数字が並んでいるが、幹部は誤りだとわかっていながら、それを作成し、配布しているのだという。
生活保護問題対策全国会議代表尾藤廣喜弁護士は、「弱いもの同士が足を引っ張り合う」ことが「生活保護バッシング」で起きていると
指摘したが、安田氏は、インターネットを通した草の根的な動きのみならず、政治家が生活保護を非難する動きも出ていると指摘した。