グランド・ブダペスト・ホテル The Grand Budapest Hotel 1館目at CINEMA
グランド・ブダペスト・ホテル The Grand Budapest Hotel 1館目 - 暇つぶし2ch316:名無シネマ@上映中
14/06/15 23:10:58.97 5mtMxovU
>>300
「Inspired by the writings of Stefan Zweig」のwritingdは、アンダーソン監督のインタビューに依れば
小説「心の焦燥(Ungeduld des Herzens)」と、回想記「昨日の世界(Die Welt von gestern)」。いずれも
彼の晩年の作品。作家としてのツヴァイクはジュード・ロウ演じる作家に、思想家としてのツヴァイクは
グスタフに、それぞれ仮託されている。
だから、「昨日の世界」こそが、老ゼロが言う「彼の世界」だと言っていい。
「昨日の世界」で語られるツヴァイクは、1881年にウィーンに生まれ、後年「史上まれにみる文化の爛熟」と
言われた、この世紀末のハブスブルク君主国の首都で、西欧文明の果実を甘受した。
彼は、皆が次第により豊かになり、神話や迷信から解き放たれ、人種差別も、やがては国境さえも消え、
ヨーロッパは(あくまでも「ヨーロッパ」は)一つになるだろうと信じていた。だが、晩年の、ナチスに追われ
南米へ亡命した彼から観れば、それは永遠に失われた「昨日の世界」でしかなかった。
彼にとっての「今日の世界」が終わり、「昨日の世界」になってしまったのは、ナチスが台頭する1930年代
前半(この映画の時代設定は1932年)ではなく、1914年・第一次大戦勃発の年だと後に言ったのは
ツヴァイクの友人でもあったトーマス・マン。ゼロにはマンが仮託されているのかもしれない。

ツヴァイクが生まれ育ったハプスブルク君主国は、長い歴史の中で三つの美しい都を残した。
首都のウィーン、プラハ、そしてブダペストである。


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