10/01/10 23:15:59 h7VM6rq10
…くっ……
(重厚な扉の開く音に苦々しげに眉根を寄せてしまうのは、自らが主人と言う立場にありながら)
(常に彼に思うように弄ばれてしまうから、という理由が1つ)
(代々続くこの計り知れない財を有する名家を継ぐことを義務付けられた彼女には)
(それはあまりに耐えがたい屈辱だった)
(視界に入るや否や、男は普段のように低い声で囁いてきた)
(少し前の彼女であったならそれを喜んで受け入れたのであろうが、今は違う)
…もう…止めてくれ…!私を馬鹿にするのも大概にしろ…!
(小さいけれども、はっきりとした意志の込められた声で彼を拒絶する)
お前は私をどうしたいんだ…?もう、分からない…
(情けないとは分かっていても、声が震えて視界がぼやけ始めてしまう)
(彼女だって分かっている。如何に思いを募らせようと、決して結ばれはしないことくらいは。)