09/10/22 14:16:41 Fe7arIMz0
言いがかり…?
(ゆっくりと呟きながら首を振ると、いつのまにか日も暮れ、天井の明かりが窓に映っていることに気づき、
立ちあがってカーテンを締めにいく)
(長身で引き締まった身体を無駄なく動かすその身のこなし、所作振る舞いは
若くして生活指導を担当するだけあって、隙のないもの)
(窓際で振り返ると、スーツのトラウザーズのポケットに手を突っ込み)
真面目にねえ…。
うん、確かに僕も先生が真面目にお仕事をされていることを認めるのはやぶさかではない。
むしろ、感心しているぐらいだ。
けれども、湊先生―先生も子供じゃないから真面目にやっていれば、それで済む訳じゃないことはご存知でしょう?
そもそも、生徒達は工業製品ではない。人間なんだ。
それを規格にあっているかどうかを検品するように校則を振りかざして接するとしたら、
真面目であればあるほどグロテスクな話になる。
わかるよね? ここは独裁国家の強制収容所じゃないんだから。
(それから、ロッカーの紙袋を手にとり、再びソファに戻り)
もちろん、湊先生にも言い分はあるだろう。それは後からきちんと聞く。
しかし、川崎さん、つまり生徒は湊先生に対しては弱者の立場だ。
だから、まず彼女の言い分を確かめたい。
そのためには湊先生には川崎さんの気持ちをよく理解していただかなければならない。
わかっているとは思うが、これは今回のことと関係なく、教師に求められる共感する力でもある。
(そう言って、制服の丈が詰まり生地の薄いセーラー服と短いプリーツスカートを紙袋から取り出し、
目の前の応接テーブルに並べる。ご丁寧に紺のハイソックスと茶のローファーも)
さあ、わかったら、服装検査をされる川崎さんがどういう思いをしていたかを追体験してもらおうか。