10/01/20 13:51:40 hEFDPJv30
母親が退院した。
実際のところ、俺はそれを歓迎すらした。
妹と二人だけで暮らしていたら、どんなに踏みとどまろうとしても、
間違いなく最後までいってしまうことがわかっていたからだった。
俺は退屈な学校生活を続けた。妹は受験に備えて部屋で遅くまで勉強するようになった。
朝食の時間や、夜の居間での一時、俺と妹は、母と一緒にたわいもない話を交わし、
お互いを慰めるように、微笑み合うことを繰り返した。
ある日、母が、旅行のパンフレットを俺たちに見せた。
母は友人達と快気祝いをかねて、近場の温泉に泊まりに行くと言った。
母の話を聞きながら、俺は妹と目を合わせた。妹はまっすぐに俺を見ていた。