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「無粋なことを聞きますが、あの、さっき何をお願いしたのですか?」
「えーっと、これからもゆらりと一緒にいられますように、だ。ゆらりは?」
「私も同じですよ。小波君とずっと一緒にいられますように、と」
「だと思った」
「叶えて欲しいものですね、出来ることなら」
「……なあ、ゆらり」
「なんでしょう」
「卒業したらさ、一緒に暮らそうよ」
「えっ、な、何をいきなり言い出すんですか!」
「だって、俺はプロ野球選手で、ゆらりはNOZAKIの社員だ。そうすると、お互いの都合で会えない日の方が多いかもしれない。
だけどさ、帰る場所が一緒なら、より多くの日を一緒に過ごせるだろ?」
「そ、それはそうですが……」
「会える時間が少なくなるとしても、そのなかでどれだけ多く過ごせるか、考えた結果なんだ。
プロポーズと言えるほどのものじゃないけど……どうかな」
「……その答えに、私が嫌だと言うわけがないじゃないですか」
「よかった。……これからさ、俺たち一人一人の時間はいろんなところで取られるかもしれない。
だけど、ふたりきりの時間は誰にも取られない。だから、ふたりの時間は『ふたりじめ』できるんだよ」
「…………くすくすっ」
「……ゆ、ゆらり?」
「あははは。小波くん、やっぱこういうところのセンスはないんですね」
「ほっとけ! 俺もちょっと滑ったかなーとか思ったけど!」
「ほら、あさみちゃんがもうすぐ戻ってきます。迎えに行きますよ」
「あっ、待て! ゆらりー!」