ヤンデレの小説を書こう!Part37at EROPARO
ヤンデレの小説を書こう!Part37 - 暇つぶし2ch600:白い翼 ◆efJUPDJBbo
10/10/21 22:10:49 0/Mz8zvh
>>599
我が幼なじみ。めっちゃgjです

白い翼、第三話投下します


601:白い翼 ◆efJUPDJBbo
10/10/21 22:12:55 0/Mz8zvh
 「誰も……もう誰もいない」
暗闇の世界。
闇、静、独……それだけが世界を包む。
色が足りない、光が足りない、音が足りない、匂いが足りない、
風が足りない、仲間が足りない、温度が足りない…………翼が足りない。
 「ねぇ、寂しいよ」
永遠にこのまま、一人ぼっちなのであろうか?
誰にも触れぬまま、永遠の時をここで過ごすことになるのだろうか……。
そんなの嫌だ!
たとえ私が……〝人間に干渉する″という禁忌を犯したとしても……。
 「寂しいよ……ここから出して、ジュン君」
ジュン君ジュン君ジュン君ジュン君ジュン君ジュン君ジュン君ジュン君
ジュン君ジュン君ジュン君ジュン君ジュン君ジュン君ジュン君ジュン君
 「私はあなたを助けたのに……あなたは私を助けてくれないの?」
そんなの不公平だよ。
私はあなたがこんなに好きで、好きで、好きでたまらないのに。
あなたの悲しむ顔が見たくないから願いをかなえたのに。
 「だったら私は……この翼で」
白い〝片翼″を広げた私は、胸元に手を重ねて祈る。
 「ジュン君の夢を……私にちょうだいッ」
――私はもう一度、禁忌を犯す。
広げた白い翼は、大きく羽ばたき、やがてその姿を消した。
すると闇の中に、一人の少年が降り立つ。

 「ここは……どこだ?」
まだ寝ぼけ眼の少年に、私は語りかける。

―――私は昔、神様だったの


602:白い翼 ◆efJUPDJBbo
10/10/21 22:14:04 0/Mz8zvh
 〈あたかも必然たる学園生活〉
授業って……何のためにあるんだろうな?
将来のためという名目で、若者たちを勉学の道へと引きづり込む巨大組織、文部科学省。そしてその末端機関である学校。
教育を受け続ける最中でもちろん俺だって思ったことはある。
勉強って……将来の役に立つのかな?……とかさ。
ま、結局そんなものは、大人になってみないことには分かるはずもないしな。
その時を楽しみに、心待ちにすればいいんだよ。
だから今は、肩の力をちょっとくらい抜いたって良いような気がするんだよ。
ま、結局俺が何を言いたいのかというとだな……とりあえずは。

 「授業中って……眠いよな……………ぐぅ」


「おはよう、神坂君」
 「………はよ………う………………」
ぐぅ……。
誰かが声をかけたらしいけど、俺はしっかり返事をできたのだろうか?
と、意識的には思ってみるものの体は動かない。机に伏したままだ。
眠い……ひたすら眠い。
 「もう、しっかり起きてください」
そよ風のように、心地よく、柔らかな声……。
だからであろう。俺の意識は眠りの世界へと加速する。
 「もう……しっかり」
しかし、それは叶わない。両頬に暖かい何かが触れる。
ゆっくりと俺の顔を持ち上げていくので、それが手だということは、俺にも十分に分かった。
「はへ……ぇ」
誰だろう? 俺の安眠を邪魔するのは?
俺は眠いながらも、頑張って目を開けてみる……細目だけど。
 「あ、ちょっと起きた?」
くすくす、と、可愛らしい笑い声。
体全身をすり抜けていくかのような優しいその声に……
俺は……俺は……………って、えっ?
ちょっ! この声ってまさか!
俺は、驚きすぐさま立ち上がる。
 「――きゃッ!」
俺の顔を触っていた少女は、いきなり立ち上がったのに対して驚き、危うく倒れそうになってしまった。
 「えっ、あ、あの、その」
俺はしどろもどろになりながらも、瞳にその少女の姿を確認する。
艶やかな長い黒髪が、真っ白な肌が、少し湿った唇が……その少女を彼女と結び付ける。
間違いない。〈萩原空〉だ。
 「び、びっくりしたぁ」
空は、胸元に手を運び、息を整えている。
それを呆然と立ち尽くし、見ている俺。
 「もう、神坂君ったら」
少し頬をふくらませる空……あ、可愛い。
いやいやいやいや、そうじゃなくて……そうじゃなくてだな!
 「どっどどどっどどっどどどうして?」
こんなにリズミカルな「どうして」を言ったのが、俺は生れて初めてだった。
 「とりあえず落ち着こうよ、ほら、深呼吸っ」
すーーーーーーーはーーーーぁッ!
 「ごほっ、ごほ、ゴホッ!」
深呼吸の間で息を詰まらせてしまう俺。
せきこみだす。
 「だ、大丈夫?」
あわてた様子で、近寄ってきた彼女は俺の背中をさすってくれた。

603:白い翼 ◆efJUPDJBbo
10/10/21 22:14:52 0/Mz8zvh
 「あ、ありがとう……萩原さん」
せきも落ち着いたところで呼吸を整え、感謝の言葉を空に向かって告げた。
 「どういたしまして」
彼女は可愛らしく微笑んで見せた……あ、めっちゃ可愛い。
 「………あ、そ、そういえばどうして俺なんかを?」 
彼女の笑みに一瞬我を忘れそうだった俺が、疑問をぶつける。
そう、彼女は俺のような人間のクズに話しかけるような存在ではなかったのだ。
容姿端麗、文武両道……そんな四字熟語たちが似合う彼女だったから……。
一緒なクラスにいても、ほとんど話したこともなかったのに。
 「だって、もう放課後なのに起きないんだもん、神坂君」
 「………あっ!」
その時俺は気づく。
教室内なのに、俺と彼女しかいないこと。……もう放課後のようだ。
教室内が、夕日で赤く染まっていること。……どうやら一日中寝てしまったらしい。
そして彼女が、クラス委員長であることを。
 「あ、ご、ごめん」
とっさに俺は、委員長の仕事内容を思い出す。
その中にはキッチリと「教室のカギの施錠」というものがあったのだ。
つまり彼女は、いつまでたっても寝ている俺がいたから、教室を施錠することができなかったと……そういうことらしい。
急いで俺は、荷物を片づけ始めた……のだが。

――ガチャ。

 「……………?」
俺は音がしたから振り返る、幾度となく聞いた音がしたから振り返る。
――それは、扉の施錠音。
 「へ?ちょ、ちょっと……萩原さん?どうして閉め――」
扉を閉めたのは俺でないのだからもう一人しかいない。萩原空だ。
まだ二人とも、この教室にいるのに、萩原さんは教室のカギを閉めたのだ。
振り向きざまに俺は言葉を述べようとしたのだが、振り向いた先に見えたのは、木刀。
 「ガアッ!」
 「あっれー?」
――咆哮。
頭部に木刀が命中する、生温かい血が、どくどくと流れているのを俺は感じた。
 「あの至近距離でも、回避行動に入れるんだ……相変わらずすごいね、純君は……ふふ」
確かに俺はとっさに、回避行動に入ったがよけきれなかった。
しかし問題はそこではない。何故彼女が俺に向かって攻撃をしてきているかだ。
 「ど…………どうしてこんな――」
 「うーん、じゃあこれでどうだー」
俺の言葉には聞く耳持たない彼女は、自身が持っていた木刀を、投げた!
 「くっ………」
何だか知らないが、当たってやるほど俺はバカじゃない。
理由も聞かずに攻撃されてたまるかよ……と、俺は飛んでくる木刀を、回し蹴りで飛ばす。
 「すっごい、すっごい」
 「しまっ―」
しかし同時に俺は気付いてしまう。
木刀を弾き飛ばしてすきができた俺の懐までつめてきた空。
その右手には、青白く閃光をあげる何か。

―――バチバチッ

604:白い翼 ◆efJUPDJBbo
10/10/21 22:15:19 0/Mz8zvh
閃光が飛び散る。
俺の体が、自然と地面へと吸い寄せられた。
 「あなたがどれだけ強くてもね、あなたがどれだけ壊れていてもね、あなたがどれだけ狂っていたとしてもだよ……さすがに文明の利器には勝てないでしょっ?」
首をかしげて語尾を可愛く言った彼女の手には、マンガとかでよく見るあの〝スタンガン″と呼ばれるものがあった。
 「あ………グ……」
体全身がしびれて動かない、言葉をしゃべれない、瞼が……閉じる。
 「おーやーすーみぃー。純君」
俺の意識はそこで途絶えた。
それを、見ていた第三者がいると気付かぬまま。

〈あたかも必然たる学園生活〉 裏Ⅰ
今日は一日中、彼の姿を見ていられたので幸せだった。
朝のことは、吐き気がするほど妹を憎んだけれども……。
こうして幸せそうに眠っている彼の横顔を見つめているだけで幸せだった。
そして私は強く思う。
 「欲しい」
願う、望む。
「欲しい……彼の笑顔が、彼の声が、彼の髪が、彼の爪が、彼の肉が、彼の皮膚が、彼の骨が、彼の血が、彼の優しさが…………もうすべて欲しい。いらないものなんて何もない」
すき、好き、スキ、好き……大好き。
彼のことを考えるだけで、彼の顔を見るだけで、彼の声を聞くだけで……。
私の体は過剰に反応する。敏感に、敏感に、触りたくなる。
でももう、一人でいじって過ごす毎日も終わりだ。
明日からは彼と一緒なんだから……。
 「ねぇ、純君」
使用人が運転する車の中で、私と彼。
二人だけが車の後部座席に乗り……。
 「はむぅ……んちゅ………ぁ、んぁ」
深い深い、キスを交わした。
萩原空は……欲するものを手に入れた。

〈あたかも必然たる学園生活〉 裏Ⅱ

 「はは……ハハハハ……キャハアアッハハアアアアアアア」
かかった、かかった、かかった、かかった、引っかかりやがった!
雌が一匹引っかかりやがった!
バーーカ、バーーーカ、バーカ!
 「まったくバカな雌だわ……私が、カメラに気付いてないとでも思っていたのかしら?」
萩原空が仕掛けたと思われる大量のカメラの数々、そんなものに、私が気付いてないはずがないでしょ?
そう、私はその事を知った上で、いつも通り兄さんとの朝の行為を行い、萩原空を急かせた。案の定、雌は私の罠に嵌(はま)ったみたいだ。
 「だぁいじょうぶだよー、兄さぁん……ふふ」
私は甘い声でささやく。
 「また私と一緒に暮らせるまでもうちょっと待ってね、私も寂しいけれど萩原空を殺すためには仕方のないことだわ……」
私はそう言うと、静まり返る校舎の壁に背をつける。
天井に……手を伸ばす。
 「絶対に、兄さんは……ワタシダケノモノ」
狂いに狂った神坂美咲の姿が、そこにはあった。

605:白い翼 ◆efJUPDJBbo
10/10/21 22:16:02 0/Mz8zvh
投下終了です
ありがとうございました

606:名無しさん@ピンキー
10/10/21 22:44:12 6bHh6Rgq
極乙

607:名無しさん@ピンキー
10/10/22 01:50:47 SNUelkTG
白い翼ノーマークでした。まさかこんな素晴らしい作品があったなんて…

GJです

608:名無しさん@ピンキー
10/10/22 06:23:47 QyJpd+1f
美咲……恐ろしい子!

609:名無しさん@ピンキー
10/10/22 20:15:27 ZzGUAwNd
ヤンデレが人を操る力・・・ギアス的なものを手に入れたらどうなるんだろう

610:名無しさん@ピンキー
10/10/22 21:28:59 GnttUBlg
>>609
そんなマニア臭い話されても知らん。

611:名無しさん@ピンキー
10/10/22 22:23:56 /MvXMI6s
まったく・・・GJすぎてこまるぜ

612:名無しさん@ピンキー
10/10/23 04:00:10 X2nNVWx5
てすとします

613:名無しさん@ピンキー
10/10/23 04:02:36 X2nNVWx5
投下します、注意としては、妄想を形にするのは初めてなので読みにくいと思います


614:社長とおっぱい1/2
10/10/23 04:03:36 X2nNVWx5
とある晴れた夏の日、俺、社長命(やしろ ちょうめい)は町内のゴミ拾いに参加していた
バリバリの高校生かつイケメンである俺のやることじゃないがコレやんないと町内会のじじばばがうっせーのよ
そんなわけで、隣に住む幼馴染と一緒に河川敷のある区画に来ている
「おー鏡落ちてら、ハッ誰だこのイケメン!?って俺かーハハッ、だよな、こんなイケメン2人いてたまるかよ、なぁ胸子」
背後から空き缶が飛んでくる
「ソナーに感あり!低速で接近する物体あり!その数1、いや2!この速度なら避けれるっ!」
キアヌリーブスも裸足で逃げ出す華麗な魅せ避け、だが少し甘かったようだ
「アホなこと言ってないでさっさと終わらそーよ社長(しゃちょう、名前のせいでほぼみんなからしゃちょうと言われる)」
「ちょ、おまあぶねーからソニックパンチだけは止めれ、俺じゃなかったら死んでたぞ!」
「ちょっと!勝手に変な名前つけないでよね、これは風斬拳っていう私専用必殺技なのよ!」
常人なら食らったらタダでは済まない亜音速の凶悪な一撃、放ったのは幼馴染の女、豊穣胸子(ほうじょう きょうこ)だ
この女、名前からも解る通りおっぱいが大きい、
形もいい、普通大きいと重力に負けて垂れてくるのだがこいつのおっぱいは重力に逆らっているど根性おっぱいなのだ
身長は177cmの俺に比べて165cm、同世代の女子に比べて少し大きい程度か
顔はどうだろう、控えめに言ってものすごく美しい、正直芸能人でもコイツ程のツラを持ってるのは少ないだろう
そんだけの美貌を持っていながらなぜかこいつは言いよってくる男全てを足蹴にしている
むろん、最愛の幼馴染であるはずのこの俺も今までに100回振られている
「必殺技なのに俺を気遣って威力弱めてるとは、あーもう好きっていっちゃいそうになるわ……って言っちゃった!キャー」
「あほらし、私あっち行ってゴミ拾ってくるね、ばいば~い。あっ、その袋一杯になってなかったら威力減衰無しの風斬拳だかんね」
おっぱいを惜しみなくたゆんたゆんさせながら去っていく胸子。これで101回目か
「いっちゃった……さて、真面目にゴミ拾いでもしますかね」
~~~~~~~~~~~~~30分後~~~~~~~~~~~~~~~
「すげー!ロシア人のおっぱい超すげー!え、何これ?おっぱい?え?本物?」
俺はたまたま落ちてたロシア人の実写エロ本を読みふけっていた
河川敷などに落ちているエロ本の類は雨露でページが張り付いていることが多いが奇跡的にそれを免れていた
これは普段胸子に何度ふられようと一途に思い続ける俺に神様がくれた贈り物なんじゃないだろうか、神様ありがとう!
これはゴミにしとくのは勿体なさすぎる
しかし俺担当のゴミ袋はまだ半分も溜まっちゃいない、しかも嵩増し用の雑草のが多いくらいでゴミは半分の半分と言ったところ
これでは風斬拳の餌食になってしまう
俺は泣く泣くゴミを探しに背の高い草のあるところまで歩を進めた

615:社長とおっぱい2/2
10/10/23 04:04:35 X2nNVWx5
草を分け少し入ったところに人一人入りそうなくらい大きな黒い箱が落ちていた。ピンク色の文字が書いてあるが日本語では無いな
「おいおい神様よ、いくら俺が普段から規則正しい生活を送ってイケメンで運動神経抜群で(中略)成績優秀で非の打ちどころのない(後略)だからってサービスしすぎっすよ」
まさか神がくれた贈り物PartⅡか?内心ウキウキ気分で箱を開けてみる
「は?」絶句
そこにはおおよそ俺の予想とかけ離れた物が入っていた
簡潔に言おう、女とヘルメットが入っていた
女は死んでいるのかと思ったが胸が上下しているので生きてはいるようだ。なぜそれがわかったかと言うとこの女、ピッチピチのスーツをているからだ
茶髪でセミロングの胸子とは対照的なしっとりとした黒色のロングヘアー
なぜかヘルメットを抱きしめている、そのヘルメットと言えば、かぶればバイクに乗って悪の組織と闘えそうな勢いがある男なら一度はかぶってみたくなるものだった
「こんな時俺ならどうする?やべー何も思いうかばねぇ、とりあえずおっぱいもんどきゃいいの?」
「情けない声を出すな下種、私たちは貴様に危害を与えるようなものではない」
心臓止まりそうになった、今しゃべったの誰よ!?女は起きてないぞ?
「私だ、コラ、どこを見ている。こっち、おっぱいじゃないもっと下のほう」
うーん、どうもヘルメットがしゃべってるように見えるけど、そりゃないな!となると……おっぱいの下のほうってまさか!?え、ひょっとして女の子の神秘……
「それビーム」
ジュン、髪の焦げる匂い。ヘルメットの目の部分から熱線が出たのを社長EYE(しゃちょうあい、裸眼で2.0)は見逃さなかった
「ちょ!やっぱりヘルメットさんがしゃべってたんですね?軽くボケただけっすよ、やだなぁ」
「私の名前はヘルメットではない、HFSS-018が正式名称だ」
いやヘルメットはヘルメットだろうと突っ込みたかったがグッとこらえた。俺は自分より強い人間と権力者には絶対に逆らわないのだ。えっへん
「はい、それで、えーっとへっちえすえふえす様、でしたっけ、はなんでこんな糞あちぃ中こんなところに女の子とこもってたんですか?」
「HFSSだが、もういい、好きなように呼んでくれ。なぜと言ったな?それには答えられないな、未来から社長命を抹殺しに来たという事は絶対に言えないようにプログラムされているからな」
このヘルメット、どうやらドジっ子属性の様だな、へる子とでも呼ぼう。でも社長命さんは抹殺されるのか、可哀そうに……ってアレ?
「その社長命ってさ、どんな奴?写真とかある?俺分かるかもしれないぜ」
「なぜ我々が社長命抹殺の任を負ってこの時代に来ているかを知っている!?まぁいい、協力してくれるのならこちらとしてもありがたい。写真はないが立体映像ならあるぞ」
さっきビームを出したところから今流行りの立体映像で社長命の姿が映し出される
男が女に抱きつかれて馬鹿笑いしている映像の様だ
……………………これ、ちょっとダンディな俺じゃん。つか、この女胸子じゃん
そうか、俺は未来で胸子と結ばれるのか、やっぱりあいつはツンデレさんだな!
これからはいつ殴りかかってきても愛で受け止めてやろうではないか
いや、違うって俺。問題はそこじゃねぇだろ。なんで殺されなきゃいけないのか
「悪い、さっぱりわかんねぇ。でもさ、わざわざ未来から刺客がくるって事はコイツ何かしたの?」
「そうだな、世界のバランスを著しく崩した元凶、ぼかした言い方になるがこれで満足してくれ」
ははっ、これは笑えねぇぞ、何したんだ俺、賢く生きてきてる自負はあったんだがな
「このマダオ、まるでダンディなお兄さんはそんなに悪い人には見えないけどな、イケメンだし」
「そうだな、この男は元凶と言ったろう、問題は隣にいて恍惚の表情を浮かべるこの女にある」
胸子のやつ、一体何したんだ。あいつは敵作るタイプだからなぁ
だが立体映像で見た限りあいつ年取ってねぇな。俺はひげがダンディに生えていたから分からなかったようだが
あそこまで変わっていないとさすがのドジっ子へる子でも気づくかもしれんな
だいぶ落ち着いてきたぜ。取りあえず今の俺に出来ることはへる子と胸子の接触を避けること。
「おーし、じゃあ連れが待ってると思うから俺行くわ、その社ってやつ、見つかるといいn「おそーい長命こんなとこまで来て何やってんの?」
俺の努力をぶち壊しにしてくれる胸子よ、そんなお前も愛してるZE


616:名無しさん@ピンキー
10/10/23 04:05:43 X2nNVWx5
2.3回続きます
拙いながらもお付き合いいただければと思います。ありがとうございました

617:名無しさん@ピンキー
10/10/23 08:26:24 VVCSrOWG
ワクワクの中2展開だなo(^-^)o続きの投下を待つ。

618:名無しさん@ピンキー
10/10/23 11:37:15 DA4Apcbq
事故で足を失った女を甲斐甲斐しく介護する男→
男を誘惑する別の女出現→
女は自分の腕を切り落とす。こうして男は女の足だけでなく手ににもなりましたとさ

こんな電波を受信した

619:名無しさん@ピンキー
10/10/23 16:05:32 kZxEMj/w
>>618
つまり「ほトトギす」みたいな自虐型って奴か

620:名無しさん@ピンキー
10/10/23 22:33:36 +PiyEbxv
>>616巨乳好きには溜まらん女だな
ド根性おっぱいわろた

621:名無しさん@ピンキー
10/10/24 01:52:04 mqDdb8Y1

ホトトギスって言われてる廃虚いったことあるな。
殺人がおきたとか家族皆殺しにされたとか…やたら曰く付きだったけど、あまり怖くなかった。
ただ、何故か三日後に一緒に廃虚へ行った幼なじみが何も言わず引っ越したんだよ。
それから数年会ってなかったんだけど、四年前の地元の成人式にいきなり現れたんだよね……なんで引っ越したのかと理由を聞くと個人的には腰抜かすような返答が…









「いや、彼女に子供できてさ……地元にいれなくなったんだよね」

まったく女っ気のないヤツだったから物凄くビックリしたw

何故彼女に子供ができて地元にいれなくなったのか知らないけど、俺が知ってる幼なじみではなかったな。

薬指にはやつれた顔に似合わない結婚指輪が輝いてたよ…。


間違いなく奥さんはヤンデレだな…うん…ヤンデレだ…ヤンデレ…

622:名無しさん@ピンキー
10/10/24 02:08:35 MMw/8dZu
>>621

彼は勝ち組になったんだ

623:駄文太郎 ◆4wrA6Z9mx6
10/10/24 12:56:08 hAxv5OGB
仕事?なんだそれは。私の仕事はヤンデレへ捧げる手紙だけだ。
というわけで日常に潜む闇 第2話です。
そうそう、この間アニメイトでヤンデレクッキー買いました。
中に髪の毛とか体液とか入ってないのが唯一悔やまれ……おっと誰か来たようだ

では、玄関先にいる人に会う前に投下します。

624:駄文太郎 ◆4wrA6Z9mx6
10/10/24 12:56:58 hAxv5OGB
「中等部から引き続き高等部へやって来た諸君、久遠坂学園高等部へようこそ。新たに久遠坂学園にやって来た皆さん、久遠坂学園高等部へようこそ。生徒会長の久坂誠一です」
 ホール内は生徒会長の誠一の声のみが響き渡り、それ以外の音がたつことを許さないような雰囲気にある。
「私はあまり饒舌ではありません。そして皆さんもご老体の方々の長い話で疲れているでしょうから手短に話しましょう」
 瞬間、生徒たちの間から笑い声が漏れる。
 舞台脇の来賓、学園長、一部の教職員は顔をしかめているが、どうやら大半の教員も誠一の意見におおむね同意らしい。苦笑を浮かべている。
「高校生とは、社会からも、同世代からも大人とも子供とも認められる微妙な立場です。ゆえに今この瞬間でしか得られないものがあります。どうぞ、それを見つけてください。皆さんの高校生活に幸あらんことを―以上です」
 一礼し、来賓と教員にも静かに頭を下げてから、舞台袖へ戻る。
 その一連の様子を眺めながら誠二は微妙な表情を浮かべていた。
 隣の女子生徒が、自分の隣に居る男子生徒の具合がよくないと思ったのか話しかけてきた。
「ねえ、調子悪いなら先生に言って保健室に行ってきたら?」
「大丈夫だよ。心配してくれてありがとう」
 と、小声で応じる誠二。
 なにしろ彼が苦虫を噛み物したような何とも表現しがたい顔をしていたのにはわけがある。
 あの生徒会長だ。彼の兄、久坂誠一は久坂誠二にとって目下最大のコンプレックスであったりする。
 女子生徒は大丈夫だと言い張る誠二を無表情な顔で眺め続けていた。


625:駄文太郎 ◆4wrA6Z9mx6
10/10/24 12:57:51 hAxv5OGB
 ところ変わって入学式終了後の教室。
 誠二は自分のクラスに戻っていた。
 黒板で場所を確認して、自分の席に座る。
 しかしそれと同時にもう一つ、やって来るものがあった。
「俺、雪下弘志(ゆきした・ひろし)っていうんだ。よろしくな、生徒会長の弟」
「……………」
 いきなり勝手に自己紹介されて驚く誠二。数秒間のフリーズの後、
「ああ、うん。よろしく。でも兄さんを引き合いに出すのは止めてほしいかな」
 引きつった笑みで、しかしながらはっきりと言い返す。
 弘志は何が面白かったのかお腹を抱えて笑いだした。
「あはははは! お前って本当に面白い奴だな! いやあ、噂通りで良かった良かった」
 何が良かったというのだ。
 誠二は胸中で呟く。
 こっちは入学式早早から兄のカリスマ性に当てられて憂鬱な気分だというのに、ここでさらに兄を引き合いに出されてその上面白いとまで言われた。
まったくもって失礼な奴だ。
 何か文句を言ってやろうと口を開きかけた誠二だったが、それをいち早く察した弘志が制するように喋る。
「いや、気に障ったんだったらスマン。けど、お前とは無条件で仲良くなれそうだ」
「はあ?」
 突然何を言い出すのか、と誠二が首をかしげていると、今度は別な場所から声が飛んで来た。
「弘志はそうやって人に絡んでくのが好きなんだよ。弘志もいい加減にしとけよなー」
 わらわらと数人の男子生徒が集まって口々に弘志のあれやこれやを言い始めた。
 曰く、その絡み方はいやらしいから止めとけ。
 曰く、あんま人を困らせんじゃねえよ。
 曰く、こいつは情報通だから気になるあの子の情報がほしい時は活用しろ。
 それに対して弘志はおいこら変なこと言ってんじゃねえよ、と笑いながら掴みかかっている。が、じゃれあい程度のそれは友達同士が下らないことをし合っている様子そのものだ。
「あーっと、僕は久坂誠二。兄さんが個々の生徒会長なんだけど、コンプレックスだから引き合いに出すのは止めてね」
 困ったように自己紹介を始めた誠二に、弘志を中心に集まった男子生徒たちが驚いたように静かになる。直後、本日三度目の大爆笑を頂く羽目になった。
「なっ……! 笑うなよ!」
 しかし誠二の抗議はすぐに無視される。
「なー? 面白い奴だろ?」
「あっはっは。わりぃわりぃ」
「けど自分からコンプレックスだから言うな、なんて普通言わねえだろ」
「うっ……仕方ないだろ。僕だって言いたくはないけど、絶対に引き合いにだされるんだから牽制しておいて損はないじゃないか」
「まあ、そうだけどよお」
 くつくつと笑い続ける弘志達を見て誠二は思う。
 こんな連中ならなんだかんだでやっていけるかもしれないと。
 しかしそんな新たな友人たちとの楽しい時間も終わりを告げる。
「ねえ、そこ私の席なんだけど、どいてくれないかしら」
「ん? ああ、わり……ぃ…………な……?」
 男子生徒が後ろを振り向き謝ろうとして、そこにいた女子生徒の姿に驚いたように固まる。
「私の席だから、どいてくれない?」
 その女子生徒は普通ではなかった。絹のような透き通った輝きを持つ銀色の髪の持ち主だったからだ。
 そのあまりの異質さに、弘志たちは凍りついたように固まっている。
 しかしやはり白銀の髪を持つ女子生徒は、席に座れないから男子にどくよう告げた。
「あ、ああ。スマン」
 慌てて男子生徒の一人が離れる。
 それが合図だったのか、男子は口ごもりつつ三々五々に散って行った。
 弘志は唯一、「じゃ、またあとでな。誠二」と言って片手でスマンと謝って離れて行った。


626:駄文太郎 ◆4wrA6Z9mx6
10/10/24 12:58:47 hAxv5OGB
「また、隣だね」
 まるで聞き耳を立てる者がいなくなったのを見計らったかのように女子生徒が誠二に話しかけてきた。
「ん? あー、どこかで会ったっけ?」
 少女の異質さに気づいていないのか、それとも気にしていないのか、のんきにそんなことを尋ねる誠二。
 声は聞いたことがあるようだが、こんな綺麗な銀色の髪をした女の子がかつていただろうか。
 女子生徒は無表情のまま誠二の顔をまじまじと見つめて一言。
「へえ。私を見て、何とも思わないんだ」
「いや、その髪の毛、綺麗だなーって思うだけだけど…………どちらさん?」
 女の子はちょっと驚いたような表情を浮かべた後、軽く咳払いした。
「んんっ。入学式の時、誠二君は私の隣に居たのよ?」
 言われて、確かに隣の女の子に話しかけらたような気がする誠二。
 なにしろあの時はそれどころではなかったのだ。覚えていなくても仕方がないと自分に言い訳する。
「あー、かもしれないね」
「でしょ? で、私は紬原友里(つむぎはら・ゆり)。そして私は貴方が好きです。愛してます。だから付き合ってください」
「……………は?」
 今、紬原は何と言った?
 その疑問は誠二のみならず教室全体が抱いたものだった。




「―さて、この学園での生活についはこれでいいな? …………よし。それじゃあ次行くぞ。お待ちかねの委員会決めだ」
 無精髭がトレードマークの担任、田所常人はそう言って黒板に委員会名を次々に書いていく。
 しかし大半の生徒たちは集中していないようだ。所々でひそひそと話しているが、どの委員会にするかという内容でもない。
 彼らが一番注目しているのは窓側の席、隣どうしに座っている二人。
 久坂誠二と紬原友里だ。
「さて、委員会はこんなもんだな……って、お前らどうしたんだ?」
 田所のその一言に皆、我に返る。
 そしてワンテンポ遅れる形でどの委員会にしようか話し合い始めた。
 新入生らしかぬその珍妙な様子に首をかしげる田所だったがとりあえず問題はないようだと判断してブラックボードの脇に移動する。
「委員会、か」
「ねえねえ、誠二君はどれにする?」
 ポツリと呟いた誠二に、いきなり友里が話しかけてきた。
 先ほどのこともあり、その勢いに思わずのけぞりそうになる誠二だったが、それでは相手に失礼となんとか耐えきる。
「うーん、どれにしようかな」
 クラスメイトたちが、話しながらもこちらに聞き耳を立てているのは明らかだ。
 なんだよこの空気はコンチクショウと悪態をつきたいところだが恥を晒すのはプライドが許さないので我慢だ。
「じゃあ図書委員にでもしよう、カナー…………」
 お前らなんだその空気読めみたいな視線は!
 ちらちらと二人―主に誠二―に寄せられる眼差しは間違いなく失望の色をはらんでいた。
 図書委員は各クラスから一人選ばれる。この学園は二期制で、他の委員会のように半期ごとに新しく委員を選出するのではなく一年を通して行われるというちょっと異質な役職だ。
「それじゃ一緒になれないよ。だから保健委員にしよ?」
 友里の一言に迷う。
 純粋に本が好きだから図書委員になりたいのだが、どうにも周りがそれを許してはくれないようだ。
 その時、一人の男子生徒が「じゃあ俺図書委員でもすっかな!」とあからさまに言って、黒板に自分の名前を小学生でもあるまいにと思うくらい大きく書いた。
 それに続くように我も我もと書き込み始める。
「…………じゃあ保健委員、やろっか」
 恨むぞクラスメイト諸君よ。
 隣でうっすらとほほ笑む紬原さんがいたのは気のせいだろう。


627:駄文太郎 ◆4wrA6Z9mx6
10/10/24 12:59:22 hAxv5OGB
~~放課後~~
「おーい、誠二。ゲーセン行こうぜ」
 のんきな声を出しながら弘志が誠二のもとに歩み寄る。
「あー、うん。いいよ」
 二つ返事に了承する誠二だったが、隣では友里がいつもの無表情の下に怒りを帯びているせいか、どことなく恐ろしい雰囲気が漂い始めた。
「ねえ、誠二君は私と一緒に帰るの。だから割り込まないでくれる?」
 ナニカッテニヤクソクシテタコトニスルンデスカアナタハ。
「え? あ、そ、そうなの? あー、いや、なんつうかスマン」
「ううん、分かってくれればそれでいいよ」
「……んじゃ誠二、また今度、な」
 そう言ってササッと離れて行く弘志に誠二は胸中で突っ込みを入れる。
 我が友よ、そこは戦略的撤退を決め込むところではないぞ。
 友里はと言えば、あの恐ろしい雰囲気は消えてはいるもののやはり無表情だ。
「それじゃ、行きましょ」
 選択肢が残されていない誠二は、彼女に連れられて行くしかなかった。
 校舎を出て、他の生徒たちに混じって下校する。しかし彼女の髪が異質さを際立たせているために、注目の的に晒されてしまうのだけは御免だった。
「えーっと、紬原、さん?」
 集中する視線に耐えきれず、彼女の名を呼ぶ誠二。
 しかし呼ばれた本人は無表情であるにもかかわらず、なぜか誠二には不満げに見えた。
「名前で呼んでほしいな」
「うっ……ごめん、恥ずかしいから無理」
 女の子を名字ではなく名前で呼ぶことで掻き立てられる羞恥心への耐性がない誠二にとって、無理難題に等しい要求だ。
 話を逸らすために、誠二は疑問に思っていたことを口にした。
「ところで、どこに向かってるの?」
「……はぐらかしたわね」
 一瞬ドキリとする誠二。
 だが友里はそれ以上言うことはなく、彼の疑問に淡々と答えた。
「私の部屋よ」
「あ、そうなの」
 どこかに遊びに行こうというわけでもなく、どこかに食べに行こうというわけでもなく、単に友里の部屋に行くという答えに誠二は、友人の話に相槌を打つ程度の気持ちで返した。
 まあ女の子の部屋に初めて行くのだから、色々とあらぬことを思い浮かべてしまうのが普通なのだろうが、生憎と誠二はそういったことにあまり興味がなかったりする。
 二人はまたも無言になり、衆目の的となりながら友里の部屋へ向かうのだった。


628:駄文太郎 ◆4wrA6Z9mx6
10/10/24 13:03:32 hAxv5OGB
~友里の部屋~
 彼女は学生寮住まいらしい。
 女子寮だというのに男を招いても良いのかと疑問に思うところではあるが、寮則では特に決まっていないから問題なのだという。いや、寮則を読んだことがないから彼女が嘘を言っているのかもしれないが。
 まあ高等部の校則で不純異性交遊を禁じているから問題ないと判断している可能性はあながち否定できないのかもしれない。
「うーん」
 それにしても、と誠二はぐるっと周囲を見回す。
 友里の部屋は典型的な学生向けの部屋だ。玄関から入ってすぐのところにキッチンがあり、その反対側にはトイレと風呂が分離して設置されている。
 ユニットバスはビジネスホテルなんかに泊まると良く見るが、あれを毎日使うとなると多少なりの抵抗感がある。この学生寮は結構細かい所まで配慮がなされているようだ。とはいえ学生寮らしく部屋は狭いのだけれど。
 勉強机の他に本棚、クローゼット、ベッド、それに脚の低いテーブルが一つ。ファンシーグッズだのヌイグルミだのといった、なんだか想像していたものと違うようだけれど、まあこれもまた殺風景な女の子の部屋の典型なのだろう。
「お待たせ。コーヒーでいいよね?」
「ああ、うん」
 台所から友里がコーヒーを盆に載せてやって来た。
 ちなみに誠二はホットのブラックコーヒーが大好きだ。アイスコーヒーは苦味が強く、砂糖を入れればコーヒーそのものの味を損なう。だから苦味が穏やかになるホットコーヒーをノンシュガーで飲むのが癖になっていた。
 それを何も聞かずして淹れるあたり、彼女は超能力者なのだろうか。
「あれ? もしかして私が誠二君の好きな飲み物用意したのにびっくりした?」
「あー、うん。まあね」
 考えている事まで見抜くとは、紬原友里、なんて恐ろしい子……!
「そんなこと一度も言ってないからさ、びっくりしたよ」
 驚いている割にはのんびりとした口調だが、これでも誠二はかなり驚いている部類に入る。
 しかし友里はどこか気に障ったのだろう。なぜか唇を尖らせている。
「私たちが始めて出会ったの、いつだか覚えてる?」
「…………? 今日の入学式じゃ―」
「違うわ。去年よ。去年のクリスマス・イヴ」
 誠二の言葉に覆いかぶさるように、強く『出会った日』を口にする友里。
 しかし―というか当然のように誠二は戸惑う。
 去年のクリスマス・イヴと言えば色々と、本当に色々と忙しかった記憶しかない。
 なにしろ高校受験を間近に控え、単身赴任で二人とも別々の場所に飛んでいる両親からなぜか勧められた進学塾に通い詰めていた日々の一コマであれば良かったのに、あのクリスマス・イヴだけは違った。
 珍しく雪が降ったなあと思って普段通り塾から自宅へ徒歩で帰宅している最中だった。信号待ちをしていた時、降り積もった雪にハンドルを取られた乗用車がスリップ、さらにバスが一台そこに突っ込み、通行人を巻き込んでの大事故に発展した。
 運悪く事故に巻き込まれて病院送りにされたのは懐かしい記憶だ、受験に影響が出るんじゃないかと気が気ではなかったのは恥ずかしい思い出だろう。しかし、どうして怪我をしたんだったか。
 確か―女の子が衝突した余波でこっちに方向を変えたバスに押し潰されそうになるのを助けて……助、けて…………?
「あ、その顔は分かったみたいね」
「もしかして、紬原さんあの時僕が助けた子?」
「そうよ」

629:駄文太郎 ◆4wrA6Z9mx6
10/10/24 13:05:18 hAxv5OGB
 まるで当然と言わんばかりにごくあっさりと、誠二の疑問に肯定する友里。
 ここで誠二は完全に思いだした。
 友里を助けたものの病院に運ばれ、気づけば彼女も隣のベッドにいたのだった。
 事故が縁を呼んだというべきか、隣同士ということで仲良く話していた気がする。
 じゃあ好きなものとか知っててもおかしくはないのか。
「ああそれよりも、助けようとしたのにあの時は怪我させちゃってごめん」
 そう言って誠二は頭を下げる。
 退院してから、少女を助けようとして逆に怪我をさせてしまったのは自分のせいだが、死ななかったのも事実であって、けれどもそれを口実に怪我が暗黙のうちに許されるわけがないと誠二は自己嫌悪に陥っていた。
 なんとなくその場の勢いで謝罪してしまったものの、なんだか胸のつかえが一つ降りたような気がする。
「そんな……誠二君が助けてくれなかったら、私、死んでたんだよ?」
 友里は頬を朱に染めている。
 初めて感情を帯びた顔の彼女に初々しさと可愛らしさを感じる。
ついでに言えば、こっちまで恥ずかしくなってしまいそうだ。
「いや、うん、まあ。でもやっぱりけじめみたいなものが必要かなって思うんだ。だから謝罪だけでも受け入れてほしい」
 そう言って正座したまま頭を下げる誠二に、友里は少しの間黙考する。
「…………じゃあ、謝る代わりに私のお願い聞いてくれる?」
「お願い?」
 代わりにお願いとは一体どういうことか。
 誠二はオウム返ししていた。
「そ、お願い。私のお願い、聞いてくれるなら許してあげるよ」
「分かった」
 けじめのつけ方が彼女のお願いを聞くことに変わっただけだ。誠二は頷いて同意した。
 友里は一度目をつぶり、深呼吸をする。
「誠二君、私は誠二君が大好きです。愛しています。だから、結婚してください」


630:駄文太郎 ◆4wrA6Z9mx6
10/10/24 13:07:34 hAxv5OGB
「誠二君、私は誠二君が大好きです。愛しています。だから、結婚してください」
 目を開いて、一気に言いきった。
 その言葉を聞いた誠二はと言えば、
「…………」
 あまりの超展開さについて行けなかった。
「け、結婚?」
「そう。私は誠二君が好き。そして誠二君も私が好き。だから結婚する。おかしくないでしょ?」
「いや……前提が間違ってるような気がする」
 先ほどの友里の言葉を思い出しながら、その意味を咀嚼しながら誠二は慎重に言葉を選ぶ。
 ここで間違えたら、何かが終わる。
 紬原さんに限ってそんなことはないけど、何か嫌な予感がする。
「幾つか確かめておきたいんだけど―」
「なにかな?」
 質問を言う前に言葉を滑り込ませる友里。
 その机に身を乗り出してこちらに迫ってきそうな勢いに蹴落とされそうになりながらも、誠二は慎重に口を開いた。
「どうして、紬原さんと僕が相思相愛だって言えるの?」
「簡単なことよ。誠二君は私を助けてくれた。つまりそれは私を愛していたから。愛する人が消えるのが耐えきれなくて助けてくれた。そして私は誠二君に助けられて、そこで始めて貴方の気持ちに気付いたの。だから相思相愛。何か間違ってる?」
「間違いありまくりです」
 と言いたかったが言える雰囲気ではない。友里は身を乗り出してこちらの瞳を覗き込むように喋っているが、彼女の雰囲気はどこかおかしい。焦点が合ってないようにも思える。
「じゃあ次どうして結婚なの?」
 今度は割り込ませないために一気に言う。
 すると友里は殊更嬉しそうに明るい顔をして語り始めた。
「だって、相思相愛なら別に交際する必要なんてないじゃない。そんなもの、ただのお遊びのお付き合いだもの。それに時間の浪費だわ。より深く愛しあうために、今すぐ結婚するべきなの」
「…………」
 まさか紬原さんがこんな人だったとは、驚きである。
 だが誠二は友里が嫌いというわけではない。他の女の子と比べると異質だし(主に髪の毛が)、こんなぶっ飛んだ性格をしているが、誠意は確かに彼女に惹かれていた。
 だからこそ、と誠二は考える。
「僕も、多分紬原さんのことが好きなんだと思う。けど、それがラブなのかライクなのかまでは正直分からない。それに僕たちはお互いのことをほとんど知らない。だから、紬原さんの申し出は受け入れられない」
 そこで一旦言葉を切り、一呼吸入れる誠二。
 友里は嬉々とした表情から一変して、戸惑うような驚いたような微妙な顔をしている。
「だから、友達から始めよう」
 稚拙な結論は、多くの後悔を生む。
 物心つく頃から周りの大人たちを見ていて、誠二は漠然とそう考え、自分はそうはならないようにしなければと思っていた。
 それゆえの提案だったのだが、友里は俯き、静かに問いかける。。
「どう、して……? どうして、なの……?」
「だから、僕たちはお互いのことをよく知らないから―」
 この、今にも泣きそうで震えているか細い声。こちらに非があるような気がしてならない。
 誠二は罪悪感を覚えつつも、確固たる意志をもって理由を伝えた。が、どうやら友里にとってそれは説明のうちに入らないらしい。
「どうしてそんなこと言うの? 私たちは相思相愛なのよ? 愛の前では、なにものもひれ伏すのよ?」
 つまり性癖だろうと見ていて胸糞悪くなるような行いだろうと全て受け入れられるということか。
 そんなものは御免だ、と誠二は首を横に振る。
「なんで? どうしてなの? 
どうしてどうしてどうしてどうしてどうしてどうしてどうしてどうしてどうしてどうしてどうしてどうしてどうしてどうしてどうしてどうしてどうしてどうしてどうして
どうしてどうしてどうしてどうしてどうしてどうしてどうしてどうしてどうしてどうしてどうしてどうしてどうしてどうしてどうしてどうしてどうしてどうしてどうして
どうしてどうしてどうしてどうしてどうしてどうしてどうしてどうしてどうしてどうしてどうしてどうしてどうしてどうしてどうしてどうしてどうしてどうしてどうして
どうしてどうしてどうしてどうしてどうしてどうしてどうしてどうしてどうしてどうしてどうしてどうしてどうして」


631:駄文太郎 ◆4wrA6Z9mx6
10/10/24 13:08:16 hAxv5OGB
 呟きがまるで呪詛のように聞こえる。
 能面のような顔で同じ単語を繰り返し呟かれることで掻き立てられる寒気や恐怖といったものが実際こんなものだと感じてしまうことに、空恐ろしいものがあるがそれ以上に誠二はこの状況で意外と動じていない自分に軽く驚いている。
 いや、怖いものは確かに怖いのだが。
「落ち着いて、紬原さん。お互いのことをもっとよく知ってからじゃないと、すぐに結婚なんて、無理だよ。必ずどこかで歪みが生じるんだから」
「そう……そうなの…………」
 誠二の言葉にピタリと静まった友里は納得したような言動を匂わせる。
理解してくれたか、と安堵した誠二だったが、友里はいきなり声高に笑い始めた。
「ふふ、うふふ……。あはははははははははははは!」
 さすがの誠二もこの狂行には半歩引いた。
 ゆらり、と上半身を揺らして友里が立ち上がる。
「そういうことなんだね。誠二君、もう付き合ってる女の子が、ううん、無理矢理付き合わされてる子猫がいるんだね? だから私の想いが受け取れないんだよね?」
 彼女と、目が合う。
「……っ!?」
 その瞳に映るは狂気。
 次の瞬間、視界が大きく揺らぎ、気がつけば、机を挟んでいたはずの友里の顔がすぐ目の前にあった。
 飛び込んできた友里に押し倒されたのだと理解した時に、誠二の唇に生温かいものが触れた。抵抗する間もなく、歯茎を何かぬめっとしたものに蹂躙され、次いで口腔内へ侵入される。
 そこでようやく自分が何をされているのか気づいた。
 キスをされているのだ。それも、ディープだ。
 しかしここまで唐突過ぎると、色気も情緒もあったものではない。むしろ嫌悪感がこみ上げてくる。魅惑的な雰囲気に呑まれそうになったのは気のせいに違いない。
「んんっ!」
 女性に手を上げるのは甚だ不本意であるが、緊急事態だ。
 誠二は無理矢理友里を引き剥がした。
 直後、息苦しさが急にこみ上げて激しく咳き込んでしまった。
 ディープキスをされている間、呼吸ができていなかったと初めて気がつく誠二。
 あのままされていたら、と少し背筋がぞっとした。
「ゴホッ! ゲホッ! 紬原、さん……、今日のことは、口外しません。……僕は帰ります」
 努めて冷静に言い、踵を返す。
「あ……待って! 待ってよ誠二君!」
 友里の悲壮感を帯びた叫び声を背に受けながら、誠二は足早に彼女の部屋を去った。


632:駄文太郎 ◆4wrA6Z9mx6
10/10/24 13:13:10 hAxv5OGB
日常に潜む闇 第2話 投下終了です

ちょっと片手間にやっていた仕事のほうが今とんでもないことになっているので、
週一の投下が難しくなるかもしれません
とはいえ本職はヤンデレに愛を捧げることなのでもちろん投下できるよう頑張ります

ヤンデレの女の子を表現するのって難しいですね。
あとは恋愛なりヤンデレなりのフラグの建て方とか、どんな病みにするかとかけっこう悩みます
次は初日に誠二君に話しかけて来た天城さん登場……ですかねえ?

633:名無しさん@ピンキー
10/10/24 13:38:21 CxpAY9Wj
test

634:ヤンデレホテルへようこそ 後編 ◆DSlAqf.vqc
10/10/24 22:56:55 mmBBP9Yf
 お待たせしました、ヤンデレの娘さんのモノです。
 ヤンデレホテル後編、投下させていただきます!

635:ヤンデレホテルへようこそ 後編 ◆DSlAqf.vqc
10/10/24 22:57:39 mmBBP9Yf
 ミスター・クレセントの笑みを見て、オリヴァー・フォレストはグラスをあおった。
 それにしても、このラウンジはずいぶんと薄暗いとオリヴァーは思った。
 明かりが見えたのは玄関先だけで、彼らのいるラウンジはムードを出すためか照明を落としている。
 まるで、人がいることを外にアピールするかのように。
 まるで、中の見られたくないモノを隠すかのように。
 思えば、この宿の人間は胡散臭い連中ばかりだ。
 無愛想な従業員。
 SMまがいの格好の女。
 そして、舞台の役者のように振舞って素の部分を、本心を見せないオーナー。
 ――もしかしたら、自分はとんでもない所に来てしまったのかもしれない。――
 ふと沸き起こったゾッとするような思いつきに、考えすぎだろうとオリヴァーはかぶりを振り、改めて話し始めた。
 自身の、そして三条エリという女性の物語を。








636:ヤンデレホテルへようこそ 後編 ◆DSlAqf.vqc
10/10/24 22:58:03 mmBBP9Yf
 エリを落としてからはチョー最高だったね。
 俺は留学生仲間から「畜生、上手いことロリ巨乳(英国人基準)をゲットしやがって」という視線を向けられ、エリは学生仲間から「上手いことセレブを捕まえやがって」という視線を向けられまくった。
 殺意さえ覚える視線だったが、俺はそう言う妬み嫉み羨みの視線が大好きだ!(実際、エリは大学で随分嫌がらせを受けていたらしいと後に知った)
 ただでさえ外国人(俺ら)は日本じゃ目立つし、俺の小遣いをつぎ込んでコーディネイトしたエリは相応にキレイに見えた。
 だから、自然、俺とエリは街中でも目立つカップルとなった。
 人々からの注目は、俺の自尊心を満足させてくれた。
 何より最高なのは、エリからの評価だった。
 コイツ、俺らに注目が集まるのは100パー俺のおかげで、本気で自分は俺のおまけだと思っていた。(大体あってるがな)
 だから、エリは俺の言うことを何でも本気にした。
 それ以上にエリは俺のことを本気で尊敬していた。
 「オリヴァー様は本当に素晴らしい方なのですね」
 「オリヴァー様は本当にハンサムなのですね」
 「オリヴァー様は本当に正しいのですね」
 「オリヴァー様は本当の本当に優しいのですね。
 いやー、コレ全部本気で言ったんだぜ、エリ。
 マジだった。
 目がマジだったもん。
 今まで俺と付き合った女は逆立ちしたってこんなことは言わなかった。
 俺から金を引き出すためのお世辞や太鼓もちをすることはあっても、エリほど本気で俺を凄いと思ってた女はいなかった。
 いやまー高笑いが止まらんかったね。
 え、何をやりやがったのかって?
 車を乗り回したり、映画館を貸しきったり、夜景の綺麗なレストランで昼飯食ったり…。
 ああ、そうそう。
 エッチは飽きるほどやったっけなー。
 最初はエリも初心で…つーか処女だったから、イロイロきつくて固かったが、繰り返しヤッてる内にこなれてきた。
 繰り返している内にアイツも上手くなってきて、気持ちよすぎて、何回ナカに出したか覚えて無い位だ。
 帰る頃には、これ以上無いって位相性が良かったんじゃねーの?
 まぁ、ある日エリが部屋に居ついたのは驚いたがな。
 何でも、親父さんがカタブツで、俺との関係があーだこーだ言ってエリを追い出したらしい。
 あと、よく話題に上がったのは、俺の故郷のことだった。
 中華が旨いとか女はうるさいとかそんな益体も無いコトばっか話してたような気がする。
 エリは笑顔で聞いてるんだが、時々ミョーに塞ぎこんだツラをしたものだった。(何だったんだ、アレ?)
 そんな日々も、長くは続かなかった。
 終わりを告げたのは、親父からの一本の電話だった。








637:ヤンデレホテルへようこそ 後編 ◆DSlAqf.vqc
10/10/24 22:59:16 mmBBP9Yf
 「良いニュースと悪いニュース、どちらから聞きたい?」
 その日、俺の部屋に電話してきた親父は挨拶もそこそこにそう切り出した。
 勿論、良いニュースから聞くことにした。
 好きなものは先に食うタイプだからな。
 「アイザーン社って知ってるだろ?日本のオニゴミヤ社ともでかいパイプ持ってる会社」
 そりゃ知ってるに決まっている。
 アイザーン社は海外向けの茶葉の輸出業でかーなーり儲けてる企業だ。
 その稼ぎ振りは、多大な社会貢献を理由に社長が爵位を賜ったほどだ。
 その会社の社長や家族とは何度かパーティーで会ったことがある。
 「そのアイザーン社の社長がお前のことを聞いて、是非娘さんを嫁にもらって欲しいっておっしゃっていた」
 「…ってえと?」
 「お前は美人の嫁さんと今以上のリッチ生活、それに将来の就職先の更なる利益をゲットできるってわけだ」
 そらまたどれもおいしい話だった。
 ウン、『将来の就職先』って親父の経営する会社だよな?
 「…って政略結婚って奴じゃねーか!」
 「それが何か?」
 臆面も無く言い切る親父。
 ま、そうなんだがな。
 業界じゃ珍しくない話だ。
 日本だって接待だ何だってやるのと同じようなもんだ。
 「アイザーン社と組めればとんでもない利益が見込める。そういうプロジェクトがある。それに、お前だってマイケル・ジャクソン並の贅沢ができるんだ。誰にとっても悪い話じゃない」
 あの蝶豪邸暮らしは憧れるモンがある。
 実際、アイザーン社長は英国内にいくつもの豪邸を持っている。(この街にも)
 中には、それこそマイケルの豪邸(ネバーランド)ばりのシロモノもある。
 あんな豪邸で、ハリウッド映画の悪役張りに女を侍らせてワイングラスでもくゆらせて高笑いしたら最高だろうなぁ。
 「その話乗ったぁ!」
 「それでこそ俺の息子だ!」
 電話越しにグッと親指を立てあう俺たち。
 「おし、そう言う事ならすぐに飛行機を手配しろ!結婚式の打ち合わせがある。半月以内に実家(コッチ)に戻って来い。『1人』で」
 「おっしゃオッケー!……って1人で?」
 最後に随分と強調された一言に引っかかり、俺は言った。
 「そうそう。悪いニュースってのはそっちだ。お前、そっちで随分と爛れた性活を送ってるらしいじゃないか」
 「性活って…まぁ大体あってるけど」
 親父らしくも無い、もって回った言い回しだが、どうやらエリとのことらしい。
 「別に、アイツとは『ケッコンをゼンテーに』なんていうほどマジじゃないぜ?」
 そもそも、俺らの関係ってマジで恋人同士なんだろうか?
 ご主人様と太鼓もち、&or性奴隷ってのが一番近い気がする。
 「そうかそうか、なら良いんだ。実は、俺もアイザーン社長も、お前が日本の(自主規制)と交際してるってハナシを聞いたモンでな。それがちーっとネックになってたワケよ」
 「ネックつーと?」
 「アイザーン社長曰く、互いに遊びだと割り切ってるなら良いが、お前がその日本人に対してもし万一少しでも本気だってのなら娘をやれんと」
 「つまり?」
 「その日本人とサクっと別れてこい。可及的速やかに後腐れなく。間違っても連れてこよーなんざ考えるな。ンでもって二度と接触しないようにしろ。俺と違ってアイザーン社はスキャンダルとかに過剰反応するから」
 要は、エリとはこれっきりってことか…。
 ちょっと惜しいよなぁ。
 俺の嫁、アイザーン社の娘とは前に話したことはあるにはあるが、余所行き0円スマイルの裏にそこはかとなくツンケンしたオーラを感じた。
 それに比べて、エリはうるさくないし、素で太鼓もちもできるし、ストレス解消にもなるし、床上手だし、何よりミス・アイザーンより胸がでかい。
 ボインちゃんなのは男としてはずせないポイントだ。
 でも、会社のためにも、何より俺のセレブ生活のためにも、アイザーンの金は欲しい。
 これは外せない。

638:ヤンデレホテルへようこそ 後編 ◆DSlAqf.vqc
10/10/24 23:00:15 mmBBP9Yf
 「なぁ、親父、その日本人を愛人にするとかは駄目?」
 「駄目」
 「じゃあ囲うとか」
 「駄目、って言うか同じだろ」
 「性奴隷」
 「現代に奴隷制は無い」
 「ハーレム」
 「無理」
 「雌犬」
 「人権団体を敵に回す気か!」
 「んじゃあ雌豚」
 「阿呆か!」
 そんな説得(?)かれこれが15分ほど続いた後、俺は爽やかな笑みを浮かべて言った。
 「ンじゃあ、サクっと別れておくわ」
 「おう、未来永劫別れてこい」
 そう言って、俺は電話を切り、最初から『隣にいた』エリに目を向けた。
 「ンで、エリ…」
 何かを言いたそうに口をパクパクしている彼女の台詞を先取りして言ってやろう。
 「示談金は、いくら欲しい?」
 エリは、何も言わなかった。 








639:ヤンデレホテルへようこそ 後編 ◆DSlAqf.vqc
10/10/24 23:00:42 mmBBP9Yf
 まぁ、とにかく俺は晴れて、アイザーン家の別荘のあるこの町のセレブな教会でセレブな婚約者とセレブなウェディングを迎えたわけよ。
 花婿衣装の俺、マジイケメンだったぜ…。
 それが今日の話。
 そして、その夜セレブ婚約者改めセレブ妻(なんかエロいなこの表現)と結婚初夜となるはずだったわけ。
 初夜、すなわち処女。
 ナデシコみたくどう染め上げてやろうかとワクテカしながら俺は妻の部屋に向かった。
 部屋には艶っぽい顔の妻が笑顔で待っている。
 そう期待していたし、その筈だった。
 「…お待ちしておりました、オリヴァーさん」
 俺が妻の部屋に入った瞬間、その期待は破られた。
 開け放たれた窓。
 ダイレクトに聞こえる雷鳴。
 荒らされた部屋。
 血を流す妻。
 そして、
 ナイフを持ったエリ。
 正直、ワケが分からなかった。
 ワケが分からなくて分からなすぎて、
 「何でお前、そこにいるの?」
 そう聞くのがやっとだった。
 「…ほめてください、オリヴァー様」
 それが、エリの言葉だった。
 答えですらねぇ。
 「…今、オリヴァー様をたぶらかした女狐を退治していたところなんです。全部全部全部この女狐が悪いんですよね?そうでなければ、優しい優しいオリヴァー様が私を捨ててしまうはず無いんですもの」
 そんな設定は無ぇ!とツッコミを入れられるふいんきじゃ無かった。
 むしろ、一言さえも言えないような威圧感を感じたね。
 虚ろな目で、手に血まみれナイフ持って口だけしか笑っていない。
 俺の知るエリとはまるで別人だった。
 「ずっとずっとずっと寂しかったんですよ、オリヴァー様?」
 俺のことを半ば無視して一方的に言葉を投げかけるエリ。
 「何も言わずに私を捨ててどこかへ消えてしまうのですから。この女狐との挙式を知ったときは、正直何度死んでしまおうかと思ったことか」
 袖をまくり、白い腕に付けられたいくつもの切り傷を見せ付けるエリ。
 「けれど、気づいたんです。私とオリヴァー様の障害をすべて排除してしまえばいい。そうすれば、私は幸せになれる。オリヴァー様も私との約束を破ることも無くなる」
 約束?ああ、コイツと添い遂げるとか言ったような言わなかったような。
 「それにしても、この世界には障害が多いのですね。あなたのことを諦めるように言った友人たち。あなたのご実家に尋ねてきた私を門前払いにしたあなたの両親。それに――お金」
 「どう…して」
 言葉を絞りだすのもやっとだった。
 「だってそうでしょう?お金の差があるから、私とオリヴァー様が釣り合わないなんていう輩が出る。この女狐もお金があるから堂々とオリヴァー様を私から奪った。お金があるからオリヴァー様も贅沢な生活に堕落し、――私に優しくしてくれなくなった」
 そして、スッとナイフを俺に向けて言った。
 「お金があるからいけないんです。私と一緒にお金の無いセカイに――天国に行きましょう?」
 その一言で、俺の緊張の糸は切れた。
 「NOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOO!」
 恥も外聞もそこに倒れている妻も捨てて、ほとんど悲鳴みたいな声を上げて回れ右して逃げてたね。
 「フフ、鬼ごっこは嫌いじゃないですよ…、オリヴァー様」
 そして、ユラリとエリは俺を追いかけてきた。









640:ヤンデレホテルへようこそ 後編 ◆DSlAqf.vqc
10/10/24 23:02:25 mmBBP9Yf
 「それが、かれこれ2時間前だ」
 グラスをテーブルの上において、オリヴァーは話し終えた。
 「ねぇ、クレセント」
 今まで黙って聞いていたレディ・クレセントが言った。
 「やっぱり叩き出しましょうよ、この最低男」
 「レディがそう言うなら」
 「俺は客だぞ!被害者だぞ!」
 ヴァイオラと共にオリヴァーを追い出しにかかるミスター・クレセントにオリヴァーは叫ぶ。
 「被害者か」
 「被害者?」
 「被害者(笑)」
 クレセント、ヴァイオラ、レディが次々と容赦の無い言葉を投げかける。
 レディが一番容赦無かった。
 そのやり取りを仕切りなおすように、クレセントはパンパンと手をたたいた。
 「とはいえ、お客様は神様。ミスター・オリヴァーを雨の中放り出すわけにはいかない。一日(イチニチ)と言わず、二日(フツカ)でも三日(ミッカ)でもこちらにいて頂きましょう」
 クレセントの言葉に、ブンブンと首を縦に振るオリヴァー。
 「ああ、アイツがどうにかなるまで正直ここから出る気もしねぇ。しばらく、匿ってくれ」
 オリヴァーは言った。
 「しばらくと言わずに、今後ずっと未来永劫居てくれても構わないのだがな」
 ニィ、と笑顔を深くして、彼は言った。
 「それでよろしいかな、ミス・三条」
 オリヴァーの後ろを見て。
 そこには、一人の女性がいた。
 東洋系の面立ち。
 豊かな胸。
 おかっぱに切りそろえられた黒髪。
 「エリ…サンジョウ…」
 「お待たせいたしました。オリヴァー様」
 うつろな目のまま、にっこりと笑うエリ。
 「ミス・三条がここに来たのは、ミスター・オリヴァーより少し前のことでして…」
 聞いてもいないのに、ミスター・クレセントが言う。
 まるで、演劇の口上(ナレーション)のように。
 「酒のツマミを買いに行こうと外に出たら、何と見事なビショ濡れおかっぱレディが居るではありませんか。どうにもただならぬ様子だったのでこちらにお招きした――ミスター・オリヴァー流に言えば『匿った』というわけでございます」
 「アンタ、おかっぱ萌えだったの?」
 「『萌え』とかではないさ。ただ、故郷の妹を思い出してね」
 呑気なやり取りをするクレセントとレディに、自分で買いに行ったのかよ、とは突っ込めなかった。
 「お前…まさか最初からすべてを……」
 冷や汗をかきながら、オリヴァーは言葉を絞り出す。
 「これ見よがしに煌々と明かりを灯していれば、もしかしたら来てくれるかもとクレセントさんが仰ったんです。まさか、本当に来てくださるとは思いませんでしたわ…」
 答えたのはエリだった。
 「き、きさ…」
 喘ぐように、オリヴァーが言う。
 それは、誰に対する言葉だったのだろうか。
 エリか、それともクレセントか。
 「さあ、参りましょう?オリヴァー様」
 そう言って、エリは手に持ったナイフを振りあげ、オリヴァーに向かって駆け出す。

641:ヤンデレホテルへようこそ 後編 ◆DSlAqf.vqc
10/10/24 23:04:36 mmBBP9Yf
 「ふ、ふざけるなぁ!」
 オリヴァーがエリのナイフを持った手を押さえる。
 「たくさん良い目も見せた!金も使ってやった!なのにどうしてお前は俺の生活をブチ壊すんだよおおおおおお!」
 オリヴァーの言葉に、エリの目に炎が宿る。
 「そんなものはいらなかった!!物もお金もいらなかったのに!!!あなたは私が一番欲しいものをくれなかった!!!!どうして私の気持ちを分かってくれないんですか!!!!!」
 手を押さえられたまま、もがくエリ。
 「お前の気持ちなど知るか!俺はこのまま偉くなって、たくさん贅沢をして、女だって、たくさん……」
 「そんなものがあるから!あなたはおかしくなって!!だから私が、私が元に!!!優しいあなたに!!!!」
 「訳のわからないことを!」
 平行線だった。
 もう少し早く、2人が互いの思いをぶつけていたら。
 もう少し早く、2人が互いを理解しようとしていたら。
 それは、今となってはどうしようもないこと。
 裏切りと、刃。
 取るべきではないモノを取った瞬間に、2人は終わる他無かったのかもしれない。
 「死にたいんだったら、お前1人で死んでおけ!」
 そのオリヴァーの言葉に殺意は無かったのだろう。
 ただ、勢いのまま出た言葉で。
 けれど、まるで示し合わせたかのように。
 その言葉と同時に、もがいているエリの右手が、エリのナイフが、彼女の胸に向かって――
 「…おめでとう…」
 彼女の胸に向かって突き刺さろうとしていた刃を止めたのは、ミスター・クレセントだった。
 「おめでとう、ミス・三条。あなたは今!この瞬間!!当館最高級のスーペリアロイヤルスイートルームを半永久的に使用する権利を手にいたしました!!!」
 状況を無視して、声を張り上げるクレセント。
 「何を、訳の分からないことをぶれ!」
 オリヴァーはツッコミを入れようとするが、レディ・クレセントに首に手刀を食らわされて気絶する。
 「しっかし、つくづくひどい男ね。ひどすぎて、あなたが殺す価値もないわよ?」
 そう言って、目隠しに覆われた目をエリに向ける。
 オリヴァーを侮辱する言葉に、エリの表情が少しだけ歪む。
 「怒った?まぁ当然か。でも、貴女があのまま殺していたら、私は一生この男を軽蔑し続けるわ」
 一触即発の2人に割り込むように、クレセントは言葉を続ける。

642:ヤンデレホテルへようこそ 後編 ◆DSlAqf.vqc
10/10/24 23:05:31 mmBBP9Yf
 「さて、お客様。スーペリアロイヤススイートは当館きっての防犯防災防音設備を誇ります。日当たりはいささか悪いが――この先未来永劫、誰も貴女たち2人を脅かすことの無いことを、私の本名に賭けて保障しましょう」
 「ぶっちゃけ、設備が上等なだけの地下室だけどね」
 舞台役者のように芝居がかった所作で、エリだけを見るクレセント。
 隣では、クレセントと手錠で繋がった女、レディ・クレセントが呆れた表情を向けていたが、それはさておき。
 「本当に、何も私たちを脅かさないんですか…?それに、半永久的って…」
 エリが言う。
 「文字通り!未来永劫使用する権利だ。そこにいれば金だろうが金持ちだろうが二度と君たちを引き裂くことはない!!当然宿泊費用はかかるが…ココで住み込みで働いてくれればこと足りる」
 一気にまくしたてるクレセント。
 「二度と……引き裂かれない……」
 クレセントの言葉を反芻するエリ。
 「正直、お客様にこれを切り出そうか切り出すまいか今の今まで迷っていたが、先ほどの勇敢な行動!堕ちた恋人を是正しようという健気さ!貴女ほどスーペリアロイヤススイートにふさわしい人はいらっしゃらないと、私確信いたしました!」
 大げさな身振りで言うクレセントが言う。
 「勇敢…?健気…?」
 再度、クレセントの言葉を反芻する。
 「私は…正しいのですか……?」
 エリが言った。
 こんな凶行に及ぼうとも、彼女は心のどこかで自分の行いに疑問を持っていたのかもしれないと、レディ・クレセントは思った。
 人は、そう簡単に狂いきれるものではないのだから。
 「EXAACTLY!(その通りでございまっす!)」
 ビシィっとポーズを取るクレセント。
 「でも…私お金なんて…」
 と、言うより三条エリはお金なんて嫌悪憎悪するモードに入っている女である。
 「フフ…お金など…。泊る代わりに少々こちらで働いてくれれば事足りる」
 「何かすごいこと言ってるみたいだけど、『部屋代は働いて払え』って言ってるだけよ、この男」
 人のよさそうな笑顔を崩さないクレセントの横で、レディが言う。
 「まぁ、そうだが」
 レディの言葉をあっさり肯定するクレセント。
 「さて、どうするお客様。泊りますか、泊りませんか?」
 そう言って手を伸ばすクレセント。
 その隣で、レディは言う。
 「私達は、泊れとは言わない。この男を殺すのも手段の一つだとも思う。けれど、ココにこの男を閉じ込めるなんてロクでも無い手段を使ってでも2人で生きるのも――まぁ、手段の一つなんでしょうね」
 苦笑を浮かべるレディ。
 その口調に、エリはふと思う。
 彼女の言う『ロクでもない手段を使ってでも2人で生き』ているのが、彼女とクレセントなのではないか、と。
 「選べ。――互いを殺して何も生まれぬ終わりにするか、この世という生き地獄で終り続けるか」
 クレセントは、生き地獄を選んだ方の男は、エリに向かって言う。







 かくして、クレセント・インにまた「2人」の宿泊客が増えたのであった。









The End....?

643:ヤンデレホテルへようこそ 後編 ◆DSlAqf.vqc
10/10/24 23:07:03 mmBBP9Yf
 おまけ
 「ちょ、お前ら、離せ!!」
 「…これからは、ずっと一緒ですわ、オリヴァー様」
 「俺は、これからスーパーミラクルアルティメットセレブとして幸せに…」
 「幸せにおなりなさい、ミス・三条」
 「…ありがとうございます、ミスター・クレセント」
 「いえいえ。案内のほうを頼むぞ、ヴァイオラくん」
 「分かりました。…ハァ、これで恋人と過ごす時間が減る」
 「まぁそう言わないでくれたまえ」
 「お前ら、俺を無視して話を進めるなぁ!俺は主役だぞ!?」
 「ところでオリヴァー様、産まれてくる子供の名はいかがいたしましょう…?」
 「お前妊娠してんの!?って言うかこのタイミングで明かすか普通!?」
 「ごめんなさいオリヴァー様…。日本にいる間に言っていたら、絶対堕胎するように言われると思ったので…」
 「当たり前だ!」
 「最後まで最低ねぇ、この男」
 「お客様方、スーペリアロ(以下略)はこちらになります」
 「さぁ…、参りましょう、オリヴァー様」
 「ハハハハ!それでは、一先ずのお別れといこうか、ミスター・オリヴァー」
 「ク、クレセントぉ!お前、覚えてろよ~~~~~~!!」
 ぎぃぃ・・・ばたん
 ヴァイオラに案内され、オリヴァーとエリは賑やかに、地下室の闇へと消えた。
 「まったく、相変わらず女の子に甘いわね」
 2人の後ろ姿を見送ったレディがため息をついた。
 「フフ…そうでもないさ。こちらの事情もあるしな」
 クレセントは言った。
 三条エリのような女性を『スーペリアロイヤルスイート』という地下室に迎えたのは初めてではない。
 と、言うより、ヴァイオラをはじめとするクレセント・インの従業員はそうした女性たちばかりで構成されている。
 ある女性は恋人と結ばれる手伝いを(非合法手段込みで)してもらい、ある女性はエリのように恋人を監禁させてもらい、そしてある女性は愛する者のために犯した犯罪の証拠を隠滅してもらった。
 つまり、この宿の従業員にとって、クレセントは恩人であり――同時に共犯者でもある。
 共犯者なれば、たとえこのクレセント・インの隠し事を知ったとしても、クレセントの味方とすることができる。
 例えば、地下室の最初の住人のこと。
 例えば、地面深くに埋められた死体のこと。
 例えば、レディ・クレセントの素性のこと。
 もちろん、自称紳士のクレセントとしては彼女たちの意思を尊重したいとは思っているのだが。

644:ヤンデレホテルへようこそ 後編 ◆DSlAqf.vqc
10/10/24 23:07:59 mmBBP9Yf
 「けれど、あの人――三条さんである必要は無かった」
 レディは詰問するような口調で、クレセントに言った。
 「私たちに、会った犯罪者を誰も彼も匿う理由も余裕もない。そうでしょう?」
 スゥっと、顔を近づける。
 「今回みたいな厄介そうなケースはとっとと警察に突き出しても良かった。厄介事は、このホテルにとってもリスキーだもの」
 そう語るレディの瞳は、今どんな風になっているのだろうとクレセントは思った。
 「何が言いたいんだ、レディ?」
 答える代わりに、レディはクレセントをソファに押し倒した。
 「もし、もしよ、クレセント。アンタがあの女、三条エリに心変わりしていたというのなら――」
 馬乗りになったレディの、白く細い指が同じく白いクレセントの首にかかる。
 「私はあなたを許さない」
 それは、ひと際冷たい声だった。
 「…永遠にないさ、心変わりなど…」
 クレセントがそう言った瞬間、二人の上下が逆転する。
 「…今回は、僕がこの宿のオーナーになったのはこの状況を作り出したのは、君といるため以外無いんだから…」
 クレセントが、レディの、行方不明となったこの屋敷の縁者で唯一の生き残りの女性の耳元で囁いた。
 彼女にしかさらさない、20歳の青年らしい口調で。
 「…少し、酔いが冷めてしまったね。飲みなおそうか…」
 体を起こし、クレセントが言う。
 「そうね」
 クレセントの体を、レディが抱き寄せた。
 「私を酔わせて――あなたの愛で」
 そう囁くレディのルージュが、闇に映える。
 「…ああ……望む所だ」
 白い歯をのぞかせ、クレセントが笑う。
 そして、2つの唇が重なり合う。

645:ヤンデレホテルへようこそ 後編 ◆DSlAqf.vqc
10/10/24 23:08:21 mmBBP9Yf







 英国のとある街にある宿。
 住人全員が行方知れずとなった貴族の屋敷を改装した建物。
 看板は血濡れた三日月の意匠。
 狂気と狂喜を孕んだ客が集う場所。
 去る者は許すが来る者は決して拒まない。
 オーナーは謎めいた男、ミスター・クレセント。
 建物の名をクレセント・イン。
 またの名を―― 
 『ヤンデレホテル』




Never End!

646:ヤンデレホテルへようこそ 後編 ◆DSlAqf.vqc
10/10/24 23:12:36 mmBBP9Yf
 以上になります。
 クレセント・インの裏事情についてはツッコンで書くと暗くなりそうなので、こういう形になりました。
 詳細については皆様で想像していただければと思います。
 次は、ボンクラ兄貴の三日月宿でなく、緋月三日と千里の物語でお会いできればと思います。

647:名無しさん@ピンキー
10/10/24 23:45:06 9/i/2+/4
gj!
ヤンデレ娘の方も期待してる!


そしてヤンデレ数学教師キター

正解は「妹を殺す」小学校で不適切なクイス
因みにソースはmixiニュースな

648:名無しさん@ピンキー
10/10/24 23:56:06 UgtCNPXi
何がヤンデレだ死ね

649:名無しさん@ピンキー
10/10/24 23:57:11 TKWLTO69


650:名無しさん@ピンキー
10/10/25 00:37:22 6llj3Eok
>>646おもしろかった!GJ!!
>>647IDが特徴的だな

651:名無しさん@ピンキー
10/10/25 01:04:32 9vDha7iK
いやこれはクソだろ
男のキャラが生理的に受け付けない
NTRモノ必死に叩く暇あったらこういう糞SS叩けよ

652:名無しさん@ピンキー
10/10/25 01:06:39 JRNKP+7m
俺はおもしろいと思ったけどな~

653:名無しさん@ピンキー
10/10/25 01:07:52 0pnw3uxt
必死っすね(わらっ

654:名無しさん@ピンキー
10/10/25 01:12:50 G9XDYPkE
作者必死過ぎだろ…

655:名無しさん@ピンキー
10/10/25 01:40:32 ge5mUvm/
何故そのようにイチイチ叩くのかと
読ませてもらっている身だろうが
叩く暇があったら作品を出せ作品を。

656:名無しさん@ピンキー
10/10/25 01:54:46 9vDha7iK
>>655
何故そのようにイチイチ叩くのかと
→単純にクソだから

読ませてもらっている身だろうが
→投下させて頂いてる、読んで頂いてるの間違いだろ?

叩く暇があったら作品を出せ作品を。
→批判するならお前がやれってのは話のすり替えだよね

657:名無しさん@ピンキー
10/10/25 01:56:33 +t5djOQy
嫌なら見なきゃいい話なのになんで叩くとか出るんだろう
ただ荒らしたいだけのゴミなんだろうけど

658:名無しさん@ピンキー
10/10/25 02:08:40 dNCQZMB0
>>656
>作者さんへの意見は実になるものを。罵倒、バッシングはお門違いです。

クソって言う暇があるならどこを直したら良いかを書け
合わないなら読まずに飛ばせばいいだけの話だろ

作者の皆さんGJです

659:名無しさん@ピンキー
10/10/25 02:22:26 ToS2z8KU
読んで頂いてる・・・?いったい何様?      

660:名無しさん@ピンキー
10/10/25 02:27:17 H9/Yddw1
>>1
ここに「男のヤンデレは基本NG」と書いてあるんですけど…
ちゃんと注意書き読みましょうね…

661:名無しさん@ピンキー
10/10/25 04:43:46 fsuyAcia
>>655の言っている事は間違っていないのに批判する>>656お前は
餓鬼じゃないなら自分がそう思っても
黙っていることくらいわかるだろ•••

662:名無しさん@ピンキー
10/10/25 05:10:38 kjpgotZt
クソかどうかは個人の価値観で変わってくる物だろ。
ただ叩くなら作品出せってのはちょっと間違ってねーか?

663:名無しさん@ピンキー
10/10/25 05:11:26 H9/Yddw1
地球温暖化だな……

664: ◆0jC/tVr8LQ
10/10/25 05:44:58 +5guJgzA
いつも保管庫への更新、ありがとうございます。
現物支給の第3話を投下します。

665:現物支給 ◆0jC/tVr8LQ
10/10/25 05:46:06 +5guJgzA
陣氏が、恐る恐るリビングを出て玄関に向かうと、廊下でフェルデリアに出くわした。
「あ、ご主人様。お目覚めになりましたか」
「今のインターホンでね……フェルデリアの召使いの、アレウナさんって人が来ちゃってるよ」
「やっと来ましたか。早速入れてやりましょう」
「え? その格好で会うの!?」
陣氏は驚愕した。
フェルデリアは全裸のまま、陣氏の買ってきた首輪を着けている。それ以外、身に着けているものと言えば、頭のティアラとイヤリングぐらいだ。
とてもではないが、人に会う格好ではない。
「俺がリビングに案内しとくから、服を着てこいよ」
「必要ありません。わたくしがご主人様の性欲処理奴隷であることは、既に伝えてあります。服など着ていたら、わたくしが奴隷の役目を果たしていないのではと、誤解を抱くかも知れません」
「是非誤解してほしいところなんだけど……」
そうしている間にも、ピンポンピンポンとインターホンは鳴らされていた。
「今出ます。少し待ってください!」
陣氏は玄関のドアに向かって叫んだが、フェルデリアが勝手にドアを開けてしまった。
「遅かったわねアレウナ。入りなさい」
「ひいっ!」
陣氏は慌てたが、もう遅い。外には金髪の、20代前半と思われる修道女が立っていた。
背は、フェルデリアよりも若干低いぐらいだろうか。それでも陣氏よりは大分長身だろう。
修道女アレウナはフェルデリアの姿を見て、案の定目を丸くしていた。
「姫様……」
陣氏は急いでフェルデリアの前に立ちふさがり、彼女の姿を隠した。
「あの、初めまして。朝霧陣氏です。これはですね……」
「これはご丁寧に」
修道女は、陣氏の言葉を最後まで聞かず、一礼して歩み寄って来た。
「中に入れていただいてよろしいでしょうか?」
言葉遣いこそ丁寧だったが、陣氏を見下ろす視線は力強く、拒否は認めないという物腰だった。
―こりゃあ、フェルデリアが奴隷になったことで相当怒ってるな……
考えるまでもなく、それが当然だった。自分の仕えている王女が異国の男の奴隷にされて、何も思わない方がどうかしている。
―きっと、フェルデリアを解放しろって言いに来たんだろうな。
それ以外考えられなかった。もっとも、それは陣氏にとって好都合だ。
アレウナの要求に従うという形にすれば、フェルデリアを解放する大義名分ができる。
―後は、アレウナさんがフェルデリアを説得してくれることを祈るばかりだな。
わずかの間にそれだけ考えた陣氏は、アレウナを家の中に招き入れることにした。
「どうぞ。お入りください」


666:現物支給 ◆0jC/tVr8LQ
10/10/25 05:47:15 +5guJgzA
「改めまして、お初にお目にかかります。わたくし、フェルデリア王女にお仕えしております、修道女のアレウナと申します」
シスター服を着たアレウナは、ソファーに座ったまま、対面に座る陣氏に頭を下げた。
ちなみに、フェルデリアは陣氏の傍らに侍立している。王女が立っていて、召使のシスターが座っているという、何とも珍妙な光景だった。
「どうぞ……」
陣氏は、キッチンから持ってきた急須で、アレウナの前のカップに紅茶を注いだ。
そして、自分の前のカップにも注いだ。
フェルデリアは、黙って立っている。
『そのような給仕仕事はわたくしがいたします』とでも言うかと思いきや、自分の召使いにお茶を淹れる気にはならなかったようだ。
さらに言うと、陣氏としても、アレウナに飲んでもらうために紅茶を用意したわけではなかった。
おそらくアレウナは、陣氏に対して相当な嫌悪感を持っているだろう。その陣氏が淹れたお茶を素直に飲むはずがない。毒でも入っているのではと疑っているはずだ。
それでも用意したのは、最低限の礼儀だと思ったから。念のため、同じ急須に入れてきたのを飲み、毒身までして見せる心算だった。
が、そのような陣氏の気遣いは、全く無駄に終わった。
陣氏が自分のカップに紅茶を注いでいる間に、アレウナが何の躊躇いもなく彼女の分を飲んでしまったからである。
「あ……」
「何か?」
「いえ、何でも……日本にはいつ着かれたんですか?」
気を取り直して陣氏が尋ねると、アレウナは答えた。
「ずっと日本の教会におりました。国で反乱が起きたとき、わたくしはいち早く脱出するよう姫様から命じられ、縁のある教会に身を寄せていたのでございます」
「そうですか……」
陣氏が傍らのフェルデリアを見ると、彼女は頷いていた。アレウナの言うことは間違いないようだ。
「……で、フェルデリア王女のメールを見て、こちらにいらっしゃったんですね?」
分かり切ったことだったが、あえて陣氏は聞いた。
できればそんなものはすっ飛ばして、ここに来た要件を早くアレウナ自身の口で言ってほしかったが、物には段取りというものがある。
「そうです。姫様が朝霧様の奴隷になられたと聞いて、取るものも取りあえず、やって参りました。ああ姫様、何というお姿に……」
アレウナは、フェルデリアの方を見て目頭を押さえた。
「あっ……アレウナさん。お気持ちはよく分かります。ショックですよね。しかし、フェルデリア王女がいつまでもこの境遇かと言うと、必ずしもそうとばかりは言い切れない部分がなきにしも非ずでして……」
陣氏は、アレウナを慰めながら、彼女が要件を切り出しやすいように話の方向を持って行った。
これでアレウナは、『フェルデリアを解放しろ』と陣氏に要求できるだろう。
「アレウナ」
そのとき、フェルデリアが口を開いた。
「早く要件を言いなさい。余計な無駄話は、ご主人様に失礼よ」


667:現物支給 ◆0jC/tVr8LQ
10/10/25 05:47:58 +5guJgzA
いや、別に無駄じゃないんだけど。陣氏はそう言おうとしたが、先にアレウナが話し始めた。
「そうでした……申し訳ございません。今日ここに参りましたのは、朝霧様にお願いがあってのことでございます」
「承りましょう」
やっと本題だ。陣氏はほっとして、ソファーに座り直した。
「はっきりと申し上げます。いかに王家の恩人がお相手であろうとも、王女ともあろうお方がこのような姿になっているのは、見るに耐えません」
「ですよねえ」
陣氏は同意して頷き、紅茶を口に含んだ。
「どうかお願いです。姫様お1人を奴隷にするのではなく……」
「?」
「わたくしも奴隷にしてくださいませ」
ブーッ!!
陣氏は空中に向け、勢いよく紅茶を噴き出した。
ベージュの霧と相まって、見事なカラーリングの虹がリビングにかかる。
「何でそうなるの!?」
驚愕のあまり、丁寧語にするのを忘れて陣氏は抗議したが、アレウナは涼しい顔で答えた。
「姫様お1人を奴隷の境遇に置いておくなど、お仕えするものとして到底耐えられるものではございません。何とぞわたくしも、同じ奴隷となって、苦しみを分かち合いとうございます」
「…………」
陣氏は何も言えず、口をパクパクさせた。
これでは、事態が何も改善しない。むしろハイスピードで悪化している。
「ご主人様がわたくしへの調教を減らさない範囲でなら、いいでしょう」
「フェルデリア! 勝手に許可しないで!」
「駄目なのですか? ご主人様」
「駄目に決まってるじゃん! 大体普通なら姫様を解放しろとか何とか……」
「わたくしでは、朝霧様のご調教に耐えられないと、そう仰るのですね」
「え?」
陣氏はフェルデリアを振り返った。
見ると、アレウナが立ち上がっている。
「あの、そういうことじゃなくてですね……」
「お気遣いは無用です。ご覧ください」
そう言うと、アレウナはシスター服を無造作に脱ぎ捨てた。
「うげえっ!」
思わず陣氏は、悲鳴を上げる。
シスター服の下に、アレウナは何も着ておらず、ただ股間に金属製の貞操帯だけを着けていた。そしてその体中に、傷痕や痣、蚯蚓腫れがあった。
フェルデリアに勝るとも劣らない巨大さの乳房の先端には、金色のピアスが2つ、光っていた。
「何それ……?」
「背中にもございます」
アレウナが背中を向けると、確かにそちらにも傷が多数あった。
そして、背中一杯に、十字架に磔になった人が刺青されている。
よく見ると、磔になっているのはアレウナ自身だった。
ちなみに、背中の上半分、すなわち自分の手が届かないところには、何の傷もなかった。
「…………」
「自らを戒めるため、日夜己の体に責めを行っております。朝霧様のどのような拷問にも、耐えてご覧にいれます」
絶句している陣氏に、得意げに説明するアレウナ。


668:現物支給 ◆0jC/tVr8LQ
10/10/25 05:50:35 +5guJgzA
「諦めてください、ご主人様。アレウナは一度こうと決めると、梃子でも動きませんから」
他人事のように言うフェルデリア。
しかし、陣氏としてはそう簡単に諦めるわけには行かなかった。
「か、か、神に仕えるシスターを奴隷にするのは、宗教的に差し障りが……」
「いいえ。これは神がわたくしに与え給うた試練。朝霧様の奴隷としての生涯を全うしてこそ、信仰の道に適うのです」
物は言いようにも程がある。陣氏は次の手に打って出た。
「うちには金がないんだ。2人も食べさせられない」
「ああ、申し上げるのが遅れました。それでしたら全く問題ございません」
アレウナは、自分が持ってきたハンドバッグに手を突っ込むと、無造作に何かを取り出し、テーブルの上にボトボトボトと落とした。
「うそーん」
陣氏は固まった。
テーブルにあるのは、正真正銘の紛れなき、1万円札の束また束ではないか。
「こいは一体、何でごわすか……」
もはや標準語をしゃべることもままならず、西郷どん口調で陣氏は尋ねた。
「スイスの銀行に隠してある、王室の隠し財産です。今は天井知らずの円高ですので、とりあえず必要と思われる分だけ、日本円に換算してきました。足りなければ、後でいくらでもご用意します」
陣氏の全身から、どっと冷や汗が吹き出した。
もう、アレウナの申し出を断る大義名分がない。
そればかりか、昼間、フェルデリアの買い物要求を断ったときの言い訳、『金がない』も今日以降は完全に潰されることになる。
「あうあうあ……」
「さあ。わたくしを奴隷とお認めください」
「ご主人様、往生際が悪いですよ」
「致し方ありません。こういたしましょう」
アレウナは陣氏に、1つの鍵を手渡した。
「これは……」
「わたくしの貞操帯の鍵でございます。今から1時間、朝霧様はお好きなようにわたくしを凌辱、拷問なさってください。命令でも結構です。一切抵抗、拒否はいたしません。
わたくしがギブアップすれば、奴隷になるのは諦めます。1時間わたくしをギブアップさせられなければ、奴隷と認めていただきます」
「え? それはちょっと……」
「いいわね。そうしましょう」
「では姫様。時間のカウントをお願いいたします」
「待て。カウントはいかん。話せば分かる」
「はい。スタート」
どこから取り出したのか、フェルデリアはストップウォッチを持っていた。無情にもスイッチが押される。
「ええと、ええと……」
どうしてよいか分からず、右往左往する陣氏に、フェルデリアがそっと語りかけた。
「まずは、貞操帯を剥ぎ取って床に這いつくばらせ、鞭で叩くのが定石かと」
「鞭なんかないよ」
「昼間ご主人様が買わなかったからです。自業自得ですね」
もう、身も蓋もなかった。

…………

「……ギブアップ」
1時間後、陣氏はそう呟いて、床にどうと倒れ込んだ。
何もしなかった訳ではない。鞭の代わりに平手で、アレウナの豊満なヒップを叩いてみたりした。
しかしアレウナは、「ああんっ!」とか「いいっ!」とか悲鳴を漏らして体をくねらせるばかりで、ギブアップのギの字も言わなかった。
拷問の知識など全くない陣氏はどうすることもできず、時間切れとなったのである。
横たわる陣氏を見下ろし、フェルデリアとアレウナは語り合った。
「姫様、これでわたくしも、晴れて朝霧様の奴隷ですね」
「ええ。まずは首輪を買っていただかないとね。ああ、いけないわ。奴隷契約書も……」
しかし、精魂尽き果て失神した陣氏の耳に、それらの声が届くことはなかった。


669: ◆0jC/tVr8LQ
10/10/25 05:51:21 +5guJgzA
以上です。
次回は触雷!を更新する予定です。

670: ◆0jC/tVr8LQ
10/10/25 06:03:54 +5guJgzA
申し訳ありません。誤字がありました。
>>667
×陣氏はフェルデリアを振り返った。
○陣氏はアレウナを振り返った。
でお願いします(汗)



671:名無しさん@ピンキー
10/10/25 06:11:34 uhDL9Z/k
GJ!

672:名無しさん@ピンキー
10/10/25 10:21:36 H9/Yddw1
GJ!!どMとは恐れ入った……

673:名無しさん@ピンキー
10/10/25 16:27:32 K5sMQg7+
GJ!

674:名無しさん@ピンキー
10/10/25 17:37:31 O5XotUqA


675:名無しさん@ピンキー
10/10/25 19:16:22 tBiBROym
gj!
このままじゃ奴隷にしっかり調教されてしまうな

676:名無しさん@ピンキー
10/10/25 20:55:31 XcobTpB4
























677:名無しさん@ピンキー
10/10/25 21:00:22 H9/Yddw1
触雷!も楽しみだが、風雪も楽しみだー

678:白い翼 ◆efJUPDJBbo
10/10/25 21:44:06 glMUx4YO
白い翼 第四話、投下します。
今回は過去編(一応現在と過去の交互でやってます)ですので、
ヤンデレ性は少なめです。

679:白い翼 ◆efJUPDJBbo
10/10/25 21:44:56 glMUx4YO
〈あたかも無様たる過去の狂人〉
赤―紅――アカ――
染まりきっていた……俺の顔が、髪が、体が、世界が、一色に。
 「弱いぜ、弱い、弱すぎるぜ! てめえら!」
向かってくる数人の男たちを、俺は何一つ危なげなく倒していく。
……殴る、蹴る、壊す――そして、さらに世界の〝アカ″は増す。
 「クハハハハハァ!」
――夜中、路地裏の広場に咆哮が轟く。
辺りに十数人の男たちが呻いている中で、あたかも壊れたスピーカーのごとく、俺は笑い続ける。血を浴び続ける。……いつも通りだ。
己の世界を、何人にも手の届かない気高き聖地へと近づけるために。
 「あっれーこれで終わりかよ………………くっだんねえなあ」
そこら辺に横たわっている奴ら……県一の強さを誇ると言われていたやつらを相手にしても、俺は一撃も食らうことすらなかった。相手にもならなかった。
 「…………………チッ」
所詮はこんなものか……と、俺は少し苛立ち、そこら辺の男を一発蹴っておく。
 「ガ………ァアアア」
なんか叫んだようだったけど……俺の知ったことじゃない。くだらない。
 「………行くかな」
もうここには用はない……。
そう思った俺は、この路地裏を立ち去ろうとした。
 「あ、兄貴ーー!」
しかし、俺の足は止まる……後ろから声が聞こえたからだ。
 「……葵か」
俺は振り返りながら、その人物の名前を呼ぶ。
華奢な体――白い肌、ちょっと癖がかかったショートカットの茶髪、この可愛らしい声、そしてただいま絶賛成長中(だったらいいなぁ)のAカップの胸……間違いない。
〈夕凪葵〉(ゆうなぎ あおい)だ。
 「あ、兄貴ぃ~、あたし、毎回言ってるじゃないですか。血塗れの格好のまま街を出歩くようなまねはやめてくださいって」
 「…………そういや、そうだったな」
 「まったく……仕方ないなぁ、兄貴は」
葵の初めの方は呆れていた語調も、いつしか優しげに変わっていた。
 「ちょっと動かないでくださいね、兄貴……………」
手に持っていたかばんから、葵はタオルを取り出す。
 「ん」
俺は黙ってそれに従う。
彼女はタオルで俺の顔を拭き始めた……目、鼻、口、頬。
少しくすぐったくて俺は目を閉じた。
 「さぁ、顔は終わりましたよ……今度は腕ですね」
顔面からタオルが離れていく。やっと顔が拭き終わったと、俺は目を開けた。
 「……………」
そこには、俺の手をとって、新しいタオルで血を拭きとる葵が見えた。
角度的にはナイスだな。可愛い。…………って、こんなこと考えるのは不謹慎か。
せっかく彼女が俺のためにしてくれている事なのに。
 「……………ぅぅっ」
 「?」
今ちょっと何か言ったか? 俺に何か言いたいことでもあるのか?
 「……………」
でもまあ、それはいいとしてもだ。
なぜだろう、彼女の顔が少し赤らめて見えるような気がした。
もしかして……
 「おい、大丈夫か、顔赤いぞ? 熱でもあるのか?」
俺はとっさに心配になって葵の額に、自分の額をくっつけた。
 「熱はな――」
額同士をくっつけたが、そこまで熱いとは言えなかったので熱ではない……。
そう言おうと思ったのだが……。
 「きゃうんっ!」
 「――熱ッ!」
彼女が奇妙な声をあげた瞬間、一気に額の温度が上がった。
そのため俺は熱すぎて彼女から額を離してしまった。
いきなりどうしたんだ! と、俺は葵に聞くはずだったんだが、どうも葵の様子がおかしい。
顔を真っ赤にした葵は、両手で自分の頬を触りながら、ぶつぶつ何かを呟いている。

680:白い翼 ◆efJUPDJBbo
10/10/25 21:45:39 glMUx4YO
 「はわわあああああああ、どど、どうしようどうしよう。
兄貴のおでこがあたしのおでこにくっついちゃったよ!
あぁ、こんなことならおでこいっぱい洗っておけばよかったのに……
兄貴嫌がってないかな? 大丈夫かな? 私とくっついて嫌がってないかな?
ん、くっつく? くっつくって合体? わわ、あたしと兄貴が合体? 合体合体合体?
本当に? 本当にあたしと兄貴が合体しちゃったの?
え、で、でも……あぁ、こんなことならもっと可愛くしてくれば良かった!
今のあたし絶対魅力欠けてるよね! あ、兄貴に可愛いなんて思われてないんだろうね……
え、でも兄貴違うんですよ、あたしだってちょっとお化粧とか服とか変えれば、可愛くなるんですよ。 信じてください、兄貴にお似合いの人になって見せますから……
あ、でも、兄貴の似合いになったら……その…………
つつつつつっつつ、付き合ったりとかもできるんだよね、そしていつか兄貴と―――」
 「おい、葵!」
 「はっ!」
俺は、謎の言葉をぶつくさ言っている葵の肩を激しく揺らす。
「どうしたんだ? マジで熱がひどいのか? だったら早く病院に」
 「い、いやち、違うんです兄貴! あたしは別にやましいことを考えていたわけではなくてですね、
ただ兄貴ともう少し親密な関係になれたらなぁ、とか、兄貴の体ってたくましいよなぁ、
とか全然思ってないですから、
ハイ、ベべべべべ別に、気にしないでくださいましですよ!」
 「?」
もはや日本語として成り立ってないし、何言ってんのか分かんないしで……。
とにかくこのまま彼女がおかしいのをほっとくにも行けず、俺は彼女の手を引いて家に帰った。
……しっかり、血は拭きとってな。

 「先、風呂入れよ」
 「あ。は、はい」
アパートの一室に着いた俺達。
結局はどちらも血の匂いがしていたので俺は先に葵に風呂に入ってもらうことにした。
……女の子だしな。レディーファーストというやつだ。
 「……………はあ」
風呂に入りに行った葵を見送り、俺はソファーに一人寝転んだ。
俺は重い大きなため息をつく。
ため息をつくという行為、ただそれだけで、体中の体力がそぎ取られるかのように錯覚した。まずい、瞼が……。
 「ね……寝たら……………」
いけない。
と思いつつも、俺の意識はブラックアウトする。
強がっては見たものの、やはりけっこう疲れていたらしい。
県最強となった、そんな、俺の十四歳の七月二日だった。

681:白い翼 ◆efJUPDJBbo
10/10/25 21:46:32 glMUx4YO
〈あたかも無様たる過去の狂人〉 裏Ⅰ
格好良い! それが兄貴に対するあたしの第一印象。
 「おい、あんた……大丈夫か?」
さしのばされる血に染まった手、あたしは迷わず、その手を掴む。
彼の物語を……見るために。

非日常的日常、そんなありえない日常を、あたしは欲していた。
毎日のように繰り返される両親の喧騒の中で、あたしは自分の無力感を感じていた。
何かが変わってほしい、何か、何かで良い……。
非日常的な物語を、見てみたかった。
だからあたしは……
 「さよなら」
……家出した。
その日は、なんだか自分が特別な存在にでもなったかのようだった。
楽しい、嬉しい、そんな感情だけが、あたしの中を取り巻いた。
自分はどこまででも行けるのではないか? そんな気持ちにもなった。
でもそんな幻想も、たかが数時間で打ち砕かれる。
 「ねぇ、君……今暇?」
 「……………」
だってそうでしょ。
どれだけあたしが幸せな気分になろうとも、それを邪魔するゴミがこの世にはたくさん溢れているんだから……。大した物語も持っていないくせに。
 「ねぇ、こっちきて俺たちと一緒に遊ぼうぜ!」
そういった男はあたしを無理やり路地裏に連れ込む。
 「や、やめて!」
あたしは必死に叫ぶが、声が相手に届くわけもなく、ただ引きずられて行く。
引きずり込まれた路地裏には、品の悪そうな男が数人いた。
 「おいおい、こいつ顔は良いけど、胸がねえ! 男なんじゃね?」
 「確かにな!」
ははははっははははは!
下卑た笑いが路地裏に響く。
お前らなんかにあたしの体を見定めてほしくないっての!
あたしは心の底からそう思うが、この状況で逃げられるはずもなく、気付けばあたしの体は声が出せないくらいに震えていた。
 「まぁ、良いじゃねえか! さっそく――」
一人の男があたしに近寄ってきて、その汚い右手を近づけた。
 「ッ!」
もう駄目だ! と、あたしは涙目になりながら目を閉じた。
お願い、お願い! 誰か助けてよ! ただただあたしは誰にでもなく祈る。
この絶望的な状況を打破してくれる非日常的な物語を誰か――!
 「その辺にしとけよ、おっさんら」
誰か違う声がした。
 「…………あぁ?」
男の声があたしから離れる。あたしは恐る恐る、目を開いた。
 「テメエら全員、ぶっ殺すぞ」
―――――――!
そこには、ここにいる男たちとは全く違った雰囲気の少年の姿。
そう、これだ!
 「ふざけんな! このガキがッ!」
男たちが一斉に少年に襲い掛かる。
 「……………ッ!」
その姿を見つめていたあたしは感じる。これなんだよあたしが求めていたのは!
非日常的日常、非日常的な物語、それをすべて兼ね合わせているのは……。
この少年だけ!
 「おい、あんた……大丈夫か?」
いつの間にか戦闘を終えた少年は私のもとへ駆け寄ってきた。
その血塗れの格好のままで、その血塗れの手を私に差し出した。
 「兄貴って呼ばせてください!」
 「………は?」
これがあたしこと〈夕凪葵〉と兄貴の初めての会話だった。

682:白い翼 ◆efJUPDJBbo
10/10/25 21:46:59 glMUx4YO
それから半年以上の間を、このアパートで共に過ごしてきた。
もちろん性的関係はいまだに気づいてはいないが……。
あたしが兄貴のことをそういう対象と見始めるには時間がかからなかった。

 「兄貴~、お風呂上りま……って、あれ? 寝ちゃったのか」
あたしはお風呂上りでまだ体が火照る中、ソファーで眠る兄貴を見つけた。
傍まで寄って、彼の顔を見た。
 「ふふ、幸せそうな寝顔……いつもはあんなに格好よく戦っているのに、こんな時だけは無邪気だね」
彼の顔は子供のように無邪気であった。
そんな彼にあたしは、惹かれて、魅かれて……。
 「…………ぁ」
気付けばあたしは自分の胸を触りだしていた。
服の上からもみほぐす……自分でも意識している小さな胸ではあったが、それでも興奮するには十分であった。
 「んぁ、ぁ………ぁ、兄貴ぃ……好きぃ」
そして今日もまた、いけないと分かっておいて彼にキスをする。
まだまだ、火照った夜は終わりそうにはなかった。

〈あたかも無様たる過去の狂人〉 裏Ⅱ
どうして、どうして、どうして、どうして、どうして、どうして、どうして。
私こと〈神坂美咲〉は考える。
といったものの、この半年程度で、考えがもう底をついてしまったようだ。
 「どうしておにいちゃんは帰ってこないの?」
実父は殺した。お兄ちゃんに色目を使ったクラスメイトもさすがに殺すとあと後面倒だから脅した。……他にも色々なことをしたのにお兄ちゃんは一向に帰ってくる気配はない。
 「どうして」
だってお兄ちゃんは……私を試したかったんだよね?
どれだけ私がお兄ちゃんのことを好きかってことを試したかったんだよね?
だから遠回し的に、家出なんかしたんだよね。
私だけのお兄ちゃんのはずなのに……………………………………………………………。
 「そっか、まだ足りないのか……そうだよね、結局私の覚悟を試すためなのに、私はまだ一切傷を負ってないからね……そっかそっか!」
そうだったんだ! そうだったんだよね、お兄ちゃん!
つまり、私のお兄ちゃんに対する愛を確かめたかったんだから、私がそれを見せないと仕方ないよね。だったら………。

―――――キッーーーーーーーーガシャン!

……これでいいよね、お兄ちゃん。
そこには、トラックに自ら轢かれた幼き少女が一人いた。

683:白い翼 ◆efJUPDJBbo
10/10/25 21:47:29 glMUx4YO
投下終了です。
ありがとうございました。

684:名無しさん@ピンキー
10/10/25 22:11:05 kbscztPv
>>683 白い翼GJ!!
次回も期待してるぜ^^b

685:名無しさん@ピンキー
10/10/25 22:14:27 LufT7iRC
GJ
楽しませてもらいました

686:AAA
10/10/25 23:19:54 h5JCrbhY
風の声第4話投下します

(俺投下していいのかな?)

687:風の声 第4話「風の学校」
10/10/25 23:21:05 h5JCrbhY
土日の2連休は特に事件などなく平凡にすごしていた。
学校で授業を受けている平日と休日が同じ1日(24時間)というのは
分かっているつもりだが、なぜ平日は長く、休日は短く感じてしまうものなのだろうか?
俺がそんなことを考えてるのは今が日曜日の夜だからであろう。
明日からは高校生活初日が始まる。
“人”は期待に満ちたときなどに「胸が躍る」といった、擬人法を使うが俺にとっては不安で
“躍る”の“お”の字も無い。
明日はあのウルサイ“人”に会う事になると思うと余計気持ちが沈む
『プルルルルルルルルル プルルルルルルルルル』
静かな部屋にいきなり音が加わると、反射的に“ビクッ”となってしまうものだ。
俺は携帯をとり電話に出た、すると俺の知り合いで1番KYな奴の声が聞こえた。

「もしも『ピッ』」

最初の三文字で十分だ、俺は今自分の心の中に潜む不安と戦っているのだ、
会話はあまりしたくない。その思いを電話の相手は1ミリも読み取ってくれないようだ
『プルルルルルルルルル プルルルルルルルルル』
画面を見るとさっきと同じ奴だ

「はい・・・」
「・・・さっきは何ですぐに切ったの? お兄ちゃん・・・」
「夕美か。さっきは間違えて電話を切るボタンを押しちまったんだ」
「・・・ウソ 本当のことを言ってよ」
「そんなに本当のことが聞きたいのか?」
「うん」
「お前の今後の人生を保障しないぞ・・・」
「・・・じゃあ、やめとく」

別に言っても夕美の人生を狂わすほどの理由でもない。ただ夕美を傷つけたくないからだ
『電話の相手がお前だからだ』なんて事言われたら普通の人でも傷つくだろう

「姉貴は?」
「お姉ちゃんなら帰ったよ。愛しい人が待つ家に」
(帰ったのか・・・)

前回、姉は社会人ですでに家を出ていると言ったが正確に言うと同棲しているのだ
俺が中学を卒業し、引っ越す前に一度だけ姉はその同棲している人を家に連れてきたことがある。
とても優しい人で俺や夕美にも初対面にもかかわらず優しく接してくれる笑顔が絶えない人だった。
ただ、その時の俺の質問で「姉貴のどこが好きになったんですか?」という質問をした時
笑顔が消え「いろいろとすごいところだよ・・・」と震えながら話してくれたのを覚えている。
(姉貴に何かされているのだろうか?)
考えていた俺は電話先の夕美の声で我に返らされた

1時間半後・・・

「そしたら、そのときね」
「・・・」
「お兄ちゃん?」
「まだ続くのか?」
「ぜんぜん続くよ♪」
『ピッ』

時計を見ると日付が変わっていたことに気づく、明日は高校生活初日だ。
寝坊でもしたら示しがつかない
俺は目覚ましをセットし布団に潜り込んだ

(明日が平和に終わりますように・・・)

薄れ行く意識の中で俺は祈りながら眠りについた

688:名無しさん@ピンキー
10/10/25 23:44:44 EsqSOz7l
>>686


689:名無しさん@ピンキー
10/10/25 23:48:10 8HFO1AZ6
いつ投下終了のお知らせは来るんでしょうか…?

690:名無しさん@ピンキー
10/10/26 00:33:59 qiHsy8ns
規制でも喰らったのかね?

691:名無しさん@ピンキー
10/10/26 00:41:55 8zI1Sg8X
はりきって埋めネタを書いたがいいが、容量内に収まらないww

692:AAA
10/10/26 00:56:13 FeR7HvfW
「こんなものかな」

月曜日、現在時刻7時
俺は今日の昼食、簡単に言うと弁当の作り終えたところだ
まさか、話題になっている「弁当男子」に自分もなるとは思いもしていなかったが
やってみると意外と楽しいものだ。
朝食を済ませ、作った弁当を鞄に詰め込み制服に着替える。
ネクタイの締め方の検索結果がでたパソコンの画面を見ながらネクタイを締め
家を出た。バイクを止めている駐輪場に来るといつも思うのが、なぜ俺のバイク(スクーター)
の両脇を大型バイクが止まっているかだ。別に止めてあることには文句は言わないが
俺のバイクが大型バイクにいじめられている様に見えてかわいそうに思えてくる
そんなくだらない考えを消し、バイクに乗って駅に向かった

駅に着いた俺はものすごく最低最悪な気分になっていた。
なぜかって?それは俺の目の前にいる“人”が原因だ

「おはよー翼♪」

俺に声をかけて来る“人” 大空 舞だ



693:AAA
10/10/26 00:57:29 FeR7HvfW
「おはよー♪この2連休何してた?」
「・・・(頭痛ぇ)」
「私はね、友達と電話で盛り上がってたよ」
「・・・(何でこいつが居んの?)」

地獄だ。ただでさえ“人”とは関わらないようにしたいのに相手から関わってきたら何の意味も無い
話しかけられながらバス停についた時にはこの“人”のせいで酔ってしまった
酔い直しのために鞄から酸素ボンベを出す。本当は吸っているところを人には見られたく無いのだが
吐くのと吸うのだったら、吸うほうがマシだ。
ボンベに口にくっつける部分の付属品を取り付け吸っている行動を横から凝視されている。
いつもだったらすぐに気分が楽になるのに今回はいつもより長時間酸素を吸っていた。

「(シュー)」
「ねぇ、それなぁに?」
「(シュー)」
「もしかして、危ない薬?」
「そう思っていればいいだろ・・・」

おもわずボンベを口からはずし返答してしまった。

「酸素でしょ。それぐらいは分かるよ。私にもやらせて」
「断る」
「いいじゃん」
「いい加減にしろ・・・」

ボンベを持った右手を高く上げ大空には届かないようにするものの大空も背伸びして
取ろうとして来る。しかも密着してくるためまた酔ってきてしまった。
そのとき、バスが来た

「(あ、バス・・・)」
「隙あり~!!」
「!?」

バスに気を取られ、右手が少し下がったところを大空が見逃さず、ボンベは大空の手に渡り
ボンベの酸素を吸われていた。俺の所有物に“人”が触れている。そう思うと心の奥底から
恐怖と怒りが湧き上がってきた。

「返せ!!!」
『ビクッ』

俺の怒りに大空は体を一瞬震わせてものすごく驚いた表情をしていた。
自分でも驚いてる。こんなにも感情をあらわすことはあまり無いからだ
バス停に居た他の客の視線が俺へと注がれていた

「ご、ごめん・・・」

俺は差し出されたボンベをひったくり、その勢いのまま鞄の中にしまった。
その後、バスの中で大空が話しかけてくることは無かった。

694:AAA
10/10/26 00:59:24 FeR7HvfW
午前中、大空が俺に話しかけてくることは無かった。話しかけてきたのは昼食の時だった。
俺は朝作った弁当を机に出しふたを開ける。中学のころは母が作っていたので弁当を開けるのも
一つの楽しみだったが、今はそのような楽しみは無い。
周りの連中は机を寄せ合い集団で食べているが、俺は一人窓際の席で風の声を聞きながら昼食をとっていた

「(落盤事故で閉じ込められた33人全員救出成功。何番目にか救出された人の
妻と愛人が現場に居合わせて問題が起きた・・・かわいそうに(誰が?))」

風の声の中にはこうしてニュース的なことを教えてくれる『風のうわさ』がある。
自分の中で風の声を考えているのに出来事を教えてくれるのは少しばかり矛盾しているような気がする
風のうわさを聞きながら最後の玉子焼きを食べようと箸を伸ばしたときだった。

「いただき!」
「!?」

横から伸びてきた手が俺の玉子焼きをさらって行き、そのまま口へダイブ・・・

「おっ、意外とおいしいね。この玉子焼き」
俺が最後に取っておいた玉子焼き・・・
「翼のお母さんが作ったの?」
俺の玉子焼き・・・
「明日から、もらってもいい?」
オレノ タマゴヤキ・・・
「ねぇ、聞いてる? って、どうしたの? 涙目になってるよ?」

大空の言葉で気がついた。たかが食べ物で何、涙目になってんだ俺は
俺は弁当箱を片付けるとそのまま教室を出て、『風屋根』へと向かう

今日の『風屋根』は横風が激しかった
風を浴びながら柵に寄りかかっていると階段のドアが開き“人”が出てきた

「柵に寄りかかると、柵が倒れて志望フラグだぞ。少年」

振り返るとそこには、老人が立っていた。この『烏羽高校』の校長先生だ

「“人”は慣れないかね? 風魔 翼君」
「なんで俺の名前を?」
「私の教え子からキミの事をよく聞かされるんだ」
「教え子?」
「隼 大輔だよ」
「!!」
「キミの病気、『対人恐怖症』とでも言うのかな? その事についてはあいつから聞かされているからね
少しばかりは力に慣れると思うよ」
「・・・そう・・ですか」

その後、沈黙が続きそれを破るかのように予鈴がなった。
俺は、校長に会釈して、教室に戻った。

それから1ヶ月は同じような生活が続いた
朝は大空に遭遇し、教室では大空が話しかけてきて、昼休みには『風屋根』へ行って
午後の授業が行われ、大空につかまって一緒に帰宅
1日のほとんどを大空につかまっているが基本平和だった。
大空の事は置いといて、このような日々が続く事を願ったが
まさか、高校生活が始まって、たった1ヶ月であんな事件がおきるなんて思ってもいなかった。
それは、今までとは違う悪夢との遭遇だった。

695:AAA
10/10/26 01:00:48 FeR7HvfW
時をさかのぼる事、日曜日25時半

『プルルルルルルルルル プルルルルルルルルル』
「はい」
「お姉ちゃん?わたしだよ」
「夕美?どうしたの?」
「今日ね1時間半もお兄ちゃんとお話ができたの」
「へ~良かったじゃない。夕美を応援したかいがあってうれしいな♪」
「お姉ちゃんは今何してるの?」
「私?私はね、虫の駆除の準備しているの」
「虫?」
「そう。私がいない間にあの人にまとわりつく虫が現れたの・・・」
「最悪じゃん・・・」
「それで今ナイフを研いでいるんだけど、刺殺だけじゃ物足りないのよね・・・」
「じゃあ、焼却処分とかは?」
「さすが妹♪」
「じゃあ応援してるからおねえちゃんも頑張ってね♪」
「ありがとう。夕美♪」
『ピッ』

刺殺してからの焼却処分・・・殺りがいがあるわ・・・。
ウフッ、フフッ、アハハハハッハハハハハハハハハハハハハハハハハハッハッハハハハハハハハハハハ
ハハハハッハハハハハハハハハハハハハハッハハハハハッハハハハハハハハハハハハッハハハハハハハ

696:AAA
10/10/26 01:02:22 FeR7HvfW
以上です。
いろいろあって途中途切れました

697:AAA
10/10/26 16:25:42 FeR7HvfW
誤字(?)訂正
タイトルが途中から作者名になってます・・・。(謝)

698:名無しさん@ピンキー
10/10/26 21:14:59 f7Cd98/T
test

699:名無しさん@ピンキー
10/10/26 21:57:55 7JXzdEnV
486KBで容量がやばい
てことで立ててきた

ヤンデレの小説を書こう!Part38
スレリンク(eroparo板)

700:名無しさん@ピンキー
10/10/26 22:22:24 cRqUmwRS
>>691
wktk全裸待機しとるぞー!





701:名無しさん@ピンキー
10/10/26 22:34:24 yqUS6s3m
>>699

埋め待機

702:名無しさん@ピンキー
10/10/26 23:09:36 EQeu7Wb0
うつくしいものを
めでていたい

703:名無しさん@ピンキー
10/10/27 21:40:59 EmgEvSkS
生き埋め

704:名無しさん@ピンキー
10/10/29 19:33:29 Ijfwc9Co
二日カキコなしで大丈夫か?

705:名無しさん@ピンキー
10/10/29 22:21:41 UHxcu75Y
うめ!


706:名無しさん@ピンキー
10/10/30 15:51:38 aCGVY3i6
やっぱ、元ネタないのってハードル高いわ。

707:名無しさん@ピンキー
10/11/01 11:42:50 V4fUzB7H
TEST

708:名無しさん@ピンキー
10/11/01 12:44:16 V4fUzB7H
「助けてくれ・・・」
「だ~め。許さないよ」
悲しく虚ろな目に見つめられて、俺は何も言えなくなっていた。
次ができたからと別れを告げたら、捕縛され、動けなくされてしまっていた。
「貴方は私を最期まで満たさないといけないの。今さら逃げるなんて、許さない」
「でも、俺には・・・」
「次なんて知らない。私がいるんだから、私を見てよ」
「できないんだ。次スレが俺を待ってるから」
悲しみに溢れた目から、狂喜が溢れ出したように見えた。
「そっか~、さんざん私で楽しんでおいて、何事もなかったように私を埋める気なんだね?」
「そんな訳じゃ・・・」
「ひどいね~、次スレちゃんにも同じことする気なんだね。なら、私が責任を負って、私だけしか見れないようにしてあげる」
「何をする気だ!?」
「これ以上、貴方の被害を広める訳にはいかないからね。私と一緒に埋もれましょ?」
「やめろ・・・やめてくれ・・・」
「ずっと一緒にいようね。私だけを見て、私だけを埋めてくれるよね?」




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