キモ姉&キモウト小説を書こう!part32at EROPARO
キモ姉&キモウト小説を書こう!part32 - 暇つぶし2ch608:幸せな2人の話 10
10/11/05 21:57:29 d75ZZSrY
今晩は。
表題について投下いたします。

609:名無しさん@ピンキー
10/11/05 21:58:03 d75ZZSrY

お兄ちゃんと約束をしてから2週間が経った。
そして、来月の終わりに私とお兄ちゃんは二人で、私達の約束を母さんに伝える。


今日も3人で夕飯を食べて、後片付けをして、いつもの様にお茶を3人分淹れてから居間に入る。
お兄ちゃんはまだ居ないみたいで、姉さんが鼻歌を歌いながら上機嫌で髪を梳いていた。
その度にさらさらと姉さんのビロードのような黒髪が揺れる。
「あら、どうしたの~?」
姉さんがのほほんとした様子で私に問いかける。
「気にしないで、姉さんの髪ってきれいだなって思っただけ」
私はお茶を姉さんの前に差し出す。
「くす、ありがとう」
姉さんの手元を何気なく覗くと、見たことのない小さな櫛が握られていた。
「あれ、いつものブラシじゃないの?」
「ふっふっふ~、良い所に気付いたね~」
姉さんはひらひらと私の目の前で櫛を揺らす。
「兄さんが私にちょっと前にプレゼントしてくれたんだよ。
 いつもありがとうって、良いでしょ~?」
私はその細かな細工のされた、綺麗な櫛を見つめていた。
手で削り出されたのが良く分かる丁寧な造りの歯で、まるで姉さんの髪の為に作られたみたいだった。
「も~、ダメだよ。
 そんなに羨ましそうな目をしてもあげないんだから」
姉さんが櫛を両手で握って、冗談っぽく笑う。

610:幸せな2人の話 10
10/11/05 21:58:24 d75ZZSrY
「ううん、いらないわ」
別に櫛が羨ましかった訳じゃない、私には姉さんみたいな髪は無いもの。
ただ、一つだけ気になった事があった。
「それは、お兄ちゃんが選んでくれたの?」
「そうだよ。
 いきなり渡されたから、初めは何なのか分からなくて困っちゃったわ。
 でも、こうして使ってみると本当に私に必要だった物そのものね。
 くすくす、兄さんは本当に雪風の事を良く分かってくれるんだよ」
姉さんがとても嬉しそうに言う。
お兄ちゃんを一番知っているのは姉さん。
姉さんの事を誰よりも分かっているのはお兄ちゃん。
それは私達が恋人になってからも変わらない。
お兄ちゃんと姉さんは昔から何をするのも、好きなものも、嫌いなものも、全部一緒だった。
別に二人で示し合わせている訳じゃないのに。
お兄ちゃんが何かを選べば、姉さんも当然それを選んでいる。
それが二人にとっての当たり前。
私はずっとそんな二人を見ていた。
「くす、シルフちゃんだって兄さんから素敵なプレゼントを貰っているじゃない。
 いいな~、私にも分けてくれないかな~?」
姉さんが物欲しげにトラ達を目で物色する。
「駄目、あげない」
私は部屋の隅に寝かせておいたトラ、タロ、ジロを姉さんから遠ざける。
みんなお兄ちゃんから貰った大切な子達だ。
「うふふ、いいな~。
 ふわふわのトラちゃんかな~?
 それとも、もこもこのタロちゃんかな~?
 やっぱり、もふもふのジロちゃんかな~?
 みんな枕みたいにふかふかだな~」
……話は変わるけど、最近トラ達が明らかに平たくなっきている。
あと、姉さんぐらいの長い髪の毛が付いていたり。

611:幸せな2人の話 10
10/11/05 21:58:48 d75ZZSrY
「別に姉さんが羨ましがる事じゃないわ。
 みんなお兄ちゃんじゃなくて、お兄ちゃん言われて私が選んだの。
 姉さんみたいに、お兄ちゃんが選んでくれたものじゃないから」
「ふふ、だから最近兄さんがシルフちゃんの事を私に聞いてくるんだ」
「私の事を?」
「そうだよ、すごく真剣な顔でお姉ちゃんに相談するの。
 シルフちゃんの好きな事とか、不安に思っている事とか。
 もちろん、シルフちゃんが喜ぶプレゼントの事もね」
くすくす、と姉さんが楽しそうに思い出し笑いをした。
「可笑しいよね、もう兄さんの方がシルフちゃんの事を良く知ってるのに。
 でも、兄さんってそういう所は昔から純真なままだから、何だか安心するわ。
 くす、それにしても、そんなに兄さんに想われるなんて、お姉ちゃんちょっと妬いちゃうかも?」
「別に姉さんが羨ましがる事なんかじゃないよ
 だって、姉さんもお兄ちゃんもお互いの事で悩む必要なんて無いじゃない」
姉さんは何も言わなくてもお兄ちゃんのことなら何でも知っている、きっとお兄ちゃん以上に。
お兄ちゃんはそんな姉さんの事を理解して、信頼している。
「姉さんとお兄ちゃんは、そんな事しなくても何でも分かりあってる」
私もお兄ちゃんと一緒に居ればそうなれるって思っていた。
でも、結局私にはお兄ちゃんが何を考えているかなんていつまでも経っても分からなかった。
今も、分からない。
あの時、どうしてお兄ちゃんは泣いていたのかも、好きと言ってくれた時のお兄ちゃんの気持ちだって。
姉さんなら当たり前の様に分かるんだろうなって思う。

612:幸せな2人の話 10
10/11/05 21:59:27 d75ZZSrY
「う~ん、逆に分かり合い過ぎちゃうのも難しいんだよね。
 お互いの事が気になって、悩んだりする楽しみが無いわ。
 それは便利だけど、残念でもある事かな?
 だから、シルフちゃんと兄さんみたいな初々しさが新鮮なんだって思うの」
「……姉さん達ってまるで夫婦みたいだものね」
そう思うのは私だけじゃない。
二人は学生結婚をしているから苗字が同じなんだ、って噂を本気で信じている人だって結構居る。
それぐらいに姉さんたちの距離は自然で、何者よりも親密。
「くす、シルフちゃんはやっぱり心配性だね。
 大丈夫、兄さんの恋人はシルフちゃん、それは絶対だよ。
 お姉ちゃんはシルフちゃんの次、だから安心して大丈夫」
そう言って、姉さんが朗らかに笑った。
「大丈夫だよ、兄さんは一途な人だのも」
「この前は、お兄ちゃんは薄情だって言ってなかった?」
「くすくす、言ったじゃない、冗談だよって」
……ずるいと思う。
自分だけはお兄ちゃんから見放されないって知っているのだから。
だから、あんな意地悪な冗談が言える。
「姉さんの意地悪」
「ふふ、そうだよ~。
 雪風お姉ちゃんはと~ってもいじわるなんだよ~」
にやにやと姉さんがわざとらしい表情を作る。

613:幸せな2人の話 10
10/11/05 21:59:58 d75ZZSrY
でも、姉さんの事が嫌いじゃない。
姉さんはとっても優しくて私の事も家族だって思ってくれる大切な人。
それでも、やっぱりずるいって、少しだけ思ってしまう。
だって、姉さんはお兄ちゃんはずっと一緒に居られるから。
私みたいに、いつかお兄ちゃんとただの他人になってしまうなんて事に怯えた事なんて無いのだから。
それは血が繋がっているからじゃない、心が繋がっているからだと私は知っている。
だから、姉さんには私の気持ちが分かって貰えないって思う時がある。
「やっぱり、姉さんは意地悪」
姉さんは答えないで、ただ柔らかい笑顔を浮かべるだけ。
「くす、じゃあそろそろ邪魔者は退散しましょうか~」
そう言って姉さんがぱたぱたと部屋から出る、そして入れ替わりにお兄ちゃんが入ってきた。
私はそっと立ち上がって、お兄ちゃんに向かう。
お兄ちゃんは何も言わないで、優しく私を抱き締めてくれる。
これが、いつの間にか私たちの習慣になっていた。
「私は、お兄ちゃんの恋人だよね?」
「ああ、恋人だよ」
こっそりとお兄ちゃんの向こうに視線を向ける。
ちょっとだけ姉さんに意地悪仕返してみた。
姉さんがお兄ちゃんの背後の扉からそっと私達を覗き込んでいたのが見えたから。
でも、私の視線に気づいた姉さんは、ぐっじょぶ!!、と言うように親指を立ててた。
私みたいな見苦しい嫉妬の気持ちなんて欠片も見せない。
やっぱり、姉さんには勝てないって思う。


……ところで姉さん?
なんで左手にジロを持ってるの?
あれ? 
タロも居ないんだけど……。

614:幸せな2人の話 10
10/11/05 22:00:24 d75ZZSrY
*************************************

ぺたぺたと絵の具を塗りつける。
うん、もうちょっとやっても大丈夫かな?
ちらりと横目で隣の椅子を見る。
雪風は絵を描かずに、俺の隣で一人チェス板を弄くっている。
まだ、俺はシルフとの約束の事を伝えていない。
あの日の雪風の事を考えるとそれを言う事に不安が有った。
いや、いつまでも黙っているわけには行かないか。
「なあ、雪風。
 俺、シルフとの結婚を本気で考えているんだ」
覚悟を決めて雪風に打ち明ける。
「うん、兄さんはちゃんとシルフちゃんに向き合えたんだね」
雪風は俺のほうを振り返り、嬉しそうな笑顔を見せる。
「おめでとう」
「……怒ったり、反対したりしないのか?」
「あら、シルフちゃんの長年の想いが兄さんに伝わって、
 兄さんはシルフちゃんへの想いにちゃんと応えられたじゃない。
 きっと二人にとって一番幸せになれる答えだよ。
 なのに、どうして私が反対すると思うの?」
雪風は不思議そうに答えた。
いつも通りの雪風に思わずほっとした。
ひょっとしたら沙紀の様に虚ろな目でナイフを握って詰め寄ってくるのではないかと恐れていたのが恥ずかしい。
その時に、ふとあのゲームの話を思い出した。
誰も傷つけず、なのに俺を閉じ込めるという今思えば禅問答の様な奇妙なゲームだ。
「じゃあ、お前の最後のゲームっていうのは、もう終わりでいいっていう事だよな?」
俺は一人しかいないから、その俺とシルフが結ばれるという事は雪風にとっては負けを意味するはずだ。
すると、雪風はおかしそうに口元を手で押さえた。
「くすくす、ううん、私のゲームはちゃんとまだ続いているから安心して。
 何て言えば兄さんに分かるかな? 
 私が今しているのはチェスじゃなくてポーカーなの。
 それも配られるカードを拾うだけ、交換もドロップも無い。
 そうね、ベットだけはいくらでも出来るわ、引き返せなくなるまでね」
「続いているか……、それで役は揃ったのか?」
「う~ん、例えるなら4枚カードを開いてワンペアも無いって所かしら」
ちょっと困ったように雪風が返事を返す。



615:幸せな2人の話 10
10/11/05 22:00:43 d75ZZSrY
4枚まで開いて役がない、ならそれは5枚目に何が来ても結果は同じだ。
それは雪風にとっての敗北宣言なんじゃないのか?
「別に、例えゲームに負けても何も変わらないからな。
 もし雪風さえ望んでくれるなら、俺はお前にもずっと側に居て欲しい」
「ふふ、兄さんは優しいね。
 でも、やっぱり私の事を分かっていないんじゃないかな?
 何回も言ったと思うよ? 
 私の望んでいる事はそんな事じゃないって。
 私が望んでいるのは……」
そうだね、と言って雪風が椅子から立ち上がって俺を見下ろす。
「ねえ、兄さん。
 シルフちゃんがしてた事、私もするよ?」
「え、お、おい!?」
雪風が俺に抱きつく。
咄嗟に下を向いて胸元の雪風を見ようとした時、唇と唇が触れ合った。
ほんの数秒だったと思う、なのにそれがとても長く感じた。
「ふふ、シルフちゃんったら、お姉ちゃんが気付いてないとでも思ったのかな?
 ね、兄さん?
 雪風が兄さんの側に居るっていうのは例えばこういうことだよ」
雪風が笑いながら距離を開けた。
頬が高潮している、その朱色が白い肌に映えて綺麗だった。
「くすくす、シルフちゃんがさっきの私達をみたら何て思うかな~?
 あの子が私に色んなコンプレックスを持っている事、恋人なら勿論知っているよね。
 じゃあこの事をシルフちゃんに知られたい? 知られたくない?
 くすくす、なら黙っててあげるから雪風のお願いを一つだけ、聞いて?」
「雪風、お前は!?」
「ふふ、冗談よ、兄さん。
 私はこういう風に兄さんを扱いたい、それが私の幸せだから。
 私が生まれてから、そしてこれからも、ずっと抱き続ける唯一つの願い」
くすり、と笑って確かめるように俺の顔を見つめる。

616:幸せな2人の話 10
10/11/05 22:03:36 d75ZZSrY
「兄さんはそれでも私を側に置いてくれる?
 本当に私を捨てないの?
 それに、私の願いを叶えることが兄さんにできる?」
「俺には、お前の願いをそのまま叶えることはできないよ。
 でも、それでも俺は雪風に側に居て欲しい。
 そして、俺は雪風もシルフも幸せになれる答えを出して見せるよ」
「いつも自信満々で、自分勝手、兄さんらしいね。
 ふふ、期待しないで待っているわ。
 でも急いだ方がいいよ、くす。
 早くしないと兄さんは雪風のモノだよ~?」
言っている事の剣呑さとは裏腹に、雪風は楽しそうだった。
そして、その笑顔には温かみが篭っていた。
はぁ、ったく、清純な顔して物騒な事を毎度毎度言いやがって。
ま、それでも雪風は雪風だな。
「雪風、ありがとう」
だから、ちゃんと言っておかないといけない事がある。
「え、ありがとう?」
雪風は虚を突かれたように俺を見つめる。 
「あ、ええ、どういたしまして。
 あのさ、兄さん、それはどういう意味のありがとうなの?」
「色々な意味が混じってて、自分でも良く分からないんだ。
 ただ、やっぱり俺には雪風が居てくれて本当に良かったって思う。
 何て言うのかな?
 今まで、ずっと俺の為に頑張ってくれて、今も俺の事を一番に考えてくれて。
 それなのに俺は一度もちゃんとお礼を言った事がなかったのを思い出したんだ」
「あら、別にそんなの構わないわ。
 私はお礼なんて要求した事ないもの」
「ははは、そう言えばそうだったな。
 でも、俺が自分に対して疑問を持つことができたのも、
 こうやってシルフとの関係を変える切欠を作れたのも、
 今ここで描きたい物ができた時に絵を描く事ができるのも、みんな雪風が居てくれたからだ。
 きっと、雪風は俺自身以上に俺の事を分かってくれている。
 それだけじゃない、シルフにとっても最高の姉でいてくれる」
そう、どんな思いを秘めていても、雪風は俺にとって大切な存在だ。
今の俺ならば確信をもってそう言い切れる。
「だから、ありがとう」
もう一度、雪風に言った。


617:幸せな2人の話 10
10/11/05 22:04:26 d75ZZSrY
「ああそう、どういたしまして」
如何にも体裁だけ繕ったように、儀礼的な返事が帰ってくる。
雪風はもう笑っていなかった。
いや、多分怒っているといった方が正しい。
何が雪風の気に障ったのだろう?
俺にはそれが分からなかった。
雪風は喋らず、黙って扉に向かう。
「雪風?」
「じゃあ私、先に帰るね。
 ……兄さんは今、幸せなの?」
「あ、ああ、幸せだ。
 でも、それはシルフと居るからだけじゃない。
 お前もここに居てくれるからだよ」
「そう、じゃあその幸せをたくさん楽しんで。
 それは私も望む事だから」
ドアを出る時に雪風が思い出したように言った。
「そうそう、さっき言ったとおり私のカードはまだ役なしだよ。
 但し手札はスペードの10、J、K、Aだけど。
 くすくす、兄さんは運に左右されるゲームが嫌いだから、カードはやらないんだよね?
 私は大好きなんだ、私でも兄さんに勝てる可能性が有るから。
 あのね、10、J、Q、K、Aが同じマークで揃うと」
雪風が振り向いて、指を一本ずつ曲げる。
最後に小指だけが残った。
「絶対に勝てる最高の役が出来るんだよ。
 私が狙っているのはね、初めからそれだけ。
 だから、カードを全部開けないと勝敗は私にも分からない。
 勝負は最後の一枚で全部が決まる、そういうお話なの。
 最後の一枚にQは有るかな、きっと無いよね、無いに決まっている。
 そんなに都合のいい奇跡なんて在る訳が無いに決まっているよね?」

618:幸せな2人の話 10
10/11/05 22:04:47 d75ZZSrY
「それは……」
48枚の内からたった1枚を引かなければいけない賭け。
そんな賭けは俺から見れば負けの先延ばしに見える。
雪風が最後の一本をゆっくりと折り曲げる。
「それでも、勝ってみせるわ。
 絶対に勝って私は兄さんを手に入れる。
 やっぱり、兄さんは私のモノじゃないと、許せない」
けれど、雪風にはそれは勝ちに近づく過程に過ぎないというのだろうか?
雪風の表情には暗い決意が宿っていた。
「なあ、さっきも言ったが俺は雪風の願いに応えることはできない。
 だが、それは雪風の想いを否定する訳じゃない。
 俺は雪風も幸せになれる道を探している、それがどんな形でも構わない。
 例え周りから見れば道を外すような形であっても」
「ふうん、そうなんだ。
 でも、兄さんに私の幸せが理解できるのかな? 本当に」

619:幸せな2人の話 10
10/11/05 22:05:10 d75ZZSrY
雪風は出て行った。
そして、入れ替わりに先生が入ってきた。
「ん、珍しいね。今日は雪風君と一緒に帰らないのかい?」
「え、ええ、そうなんです。
 もうちょっと描いていたい気分なんです」
「ほう、なるほど確かに一段と良く描けているよ」
その後で、軽く首を捻った。
「うん?
 ところで、これは誰の模写かな、私も初めて見る絵だね?」
「いや、これは俺のオリジナルです。
 ちょっとこの前、書きたいなって思うものができて。」
先生は何も答えなかった。
じっと俺の絵を見ている。
何かこの絵にまずい事でもあったのだろうか?
「……そうだね。 
 その手前の女の子はそんなに背景との明暗をはっきりさせない方がいいと思うよ」
そう言って先生が隣の席に着いた。

620:幸せな2人の話 10
10/11/05 22:06:27 d75ZZSrY
以上です。
ありがとうございました。
また次回もよろしくお願いいたします。

621:名無しさん@ピンキー
10/11/05 23:13:06 g+y8LFEG
いつもご苦労様です
次回期待してます

622:名無しさん@ピンキー
10/11/05 23:17:00 j4pcydiq
GJ
雪風がほんと分からん

623:名無しさん@ピンキー
10/11/05 23:46:21 pL6FDD2p
GJ!続き楽しみにしてます。

最後の女の子の絵の件が不気味ですね…


624: ◆wBXWEIFqSA
10/11/06 03:10:06 xuKm5et9
>>508の続きを投下します
今回は少し長いですがエロ無しです。
流血はありませんが、暴行シーンなど不快に思われる展開はあるので嫌な人はスルーして下さい。

625:狂依存 20
10/11/06 03:10:47 xuKm5et9
翌日
「ただいま……」
と言っても誰もいないんだけどね。
麻由お姉ちゃんは今日は帰りが遅くなるとか言ってた。
「夕飯はっと……」
作ってあったか。
意地でも僕には家事をやらせないつもりなのだろうか。
何が麻由お姉ちゃんをそこまでさせるのだろう。
「ちょうどいい機会か……」
自室に篭り、ベッドで横になって色々考える。
何故麻由お姉ちゃんがあんな風になってしまったのか。
生まれた時からずっと大好きだった。
物心つく前から、お父さんやお母さんの言う事は聞かなくても、麻由お姉ちゃんの言う事だけはちゃんと聞いていたと、両親は言っていた。
生まれながらのお姉ちゃんっ子だったそうだ。
本当に小さい頃、幼稚園ぐらいの時はとても仲が良かった。
何処へ行くのもいつも一緒で、本当に良く面倒を見てくれた。
そんなお姉ちゃんが大好きで、いつしか本気で結婚したいと思い始めて、麻由お姉ちゃんは僕のお嫁さんになるとか言い出し始めた。
でも、僕が小学生になる前後から段々構ってくれなくなって、僕に対する態度も冷たくなった。
人目も憚らずベタベタくっついて来た僕に嫌気がさして来たのだろう。
今考えれば当然の事だ。
だけど、それでも全然嫌いになれなくて、麻由お姉ちゃんにベタベタするのを止める気にはなれなかった。
むしろ、邪険にされればされるほど、どんどん過激になって来た気もする。
いつからだったろう?
麻由お姉ちゃんに変な事しなくなったのは……

フフフ……
もうすぐ、麻由お姉ちゃんの15歳の誕生日。
今年もちゃんと麻由お姉ちゃんのプレゼント買ってあげるからね。
「夫が妻の誕生日を祝うのは当然だよね。」
これを機に一気に嫁との距離を縮めておかないと。
今年は何買ってあげようかな。
「去年は確かストラップをあげたんだっけ。」

「麻由お姉ちゃん、お誕生日おめでとう!ハイ、これプレゼント。」
「……ありがとう……」
ムスっとした表情でお礼を言い、プレゼントを受け取る。
もう、素直じゃないんだから。
「えへへ、受け取ってくれて嬉しいよ。」
もっと喜んでくれて欲しかったけど、今はこれでいいや。
「用はそれだけ?」
「え?あ、うん……」
うーん、もっと甘々な展開を期待してたんだが……
「そう。なら、とっとと出てって。私やる事あるから。」
「麻由お姉ちゃん、良かったら今夜は夫婦二人で一緒に甘い夜を……」
「いいから、出てけつってんだろうが!」
バンっ!
「もう、照れる事ないのに……」
まだまだ、素直になれないんだね。
まあ、まだ慌てる様な時期じゃないか。
じっくり行こう。うん。


626:狂依存 21
10/11/06 03:11:33 xuKm5et9
って感じだったか。
あれから、夫婦仲は一向に進展してない気もするから、今年は何とかしないとね。
「麻由お姉ちゃん……」
「あっはははは!うっそ、それマジ?超受けるじゃん。」
リビングで友達と携帯電話で話をしているみたいだな。
「それで、どうなったの?うん……」
むう、麻由お姉ちゃん僕が去年あげたストラップ全然使ってくれてないなあ。
その前の年にあげた、ブローチも使ってくれてる様子がないし……
うーん、麻由お姉ちゃんのお気に召さなかった様だな。
嫁が喜ぶものをちゃんと理解出来ない様では、僕もまだまだ修行が足りないみたいだ。
今年はちゃんと、麻由お姉ちゃんが喜ぶものをちゃんとあげないとね。
「あ、そう。うん、じゃあね。」
ようやく通話を終え、リビングから出てくる。
「麻由お姉ちゃん、もうすぐ誕生日だよね。何か欲しい物ないかな?」
「ああ、別にないわよ。」
うーん、去年も同じ事言ってたな。
「でもでも、今年はちゃんと麻由お姉ちゃんが欲しい物あげたいし。あっ去年あげたストラップどうしたのかな?やっぱり気にいらなかった?」
「さあ、どうだったかしらね……」
この表情見る限り、気に入らなかったみたいだな……
今年はどうしよう?
「ねえ、麻由お姉ちゃん。今年は二人で楽しく過ごせると良いね。」
出来れば、姉弟の一線を超えて夫婦の契りを……
「ふん。」
ドンっ!
「あん!もう……」
僕の肩にわざとぶつかって、部屋に行ってしまった。
相変わらずのツンデレさんだなあ。
でもこれは、麻由お姉ちゃんの頑なな心を開かす事の出来ない僕がいけないんだよね。
うん、頑張らなければ。

「麻由お姉ちゃんが喜びそうなものはっと……」
翌日、近所のデパートの小物売り場に出向き、プレゼントを探す。
あれなんか……いや、高すぎるな。
お小遣いに限りがあるから、あんまり高い物は買えないしなあ。
本人に聞いてもわからない以上、自分で考えるしかない。
ストラップはダメ、ブローチもダメ、その前の年にあげたぬいぐるみもダメとなると……
「うーん、難しいな……」
とりあえず、今日の所はこのくらいにして明日は……ミニバスの練習があるから、明後日出直すか。
誕生日は3日後だからまだ少し時間はあるしね。

「はあ~、今日の練習はきつかったな……」
やたらと走り込みやらされて、足が痛い。
さっさと帰って、部屋でゴロゴロしようっと……ん?
あれは……
麻由お姉ちゃんではないか。
むむ?何やら知らない男と歩いてるぞ。
くっ、いくら麻由お姉ちゃんが世界一可愛いからって人の嫁に手を出そうとするとはけしからん!
こんな悪い虫は排除してやらねば。
「という訳で後をつけます。」
「へえ、あいつがねえ。」
「そうなんだよ。マジで受けるだろ。」
むむ……何やら悪い雰囲気ではなさそうだぞ。
万が一に備えて最低でも奴の顔を覚えておかねば……
くそ!暗くてよく見えねえな!
「じゃあ、私こっちだから。」
「あ、あのさ……」


627:狂依存 22
10/11/06 03:14:26 xuKm5et9
「ん?何?」
「その……えと……これ、読んでくれるかな……」
「……」
「じゃ、じゃあ!返事はいつでもいいからな!」

……
あの手紙は……いや、言うまでもないか。
麻由お姉ちゃんやっぱりモテるんだなあ、当たり前だけど。
「って、関心してる場合じゃねえ。」
今僕の前を駆けていったが、ちらっと見た限りでは背も高くて、中々のイケメンだった気がする。
くっそお、あれはウチの嫁なんだぞ!
まだ素直になっていないとは言え、僕と将来を約束した仲なんだ。
※そんな約束していません。
何とか断ってくれれば良いんだが……

「ただいまー。」
麻由お姉ちゃんより、少し遅れて家につく。
むう、誕生日プレゼントの前に課題が出来てしまったな。
何とかしないと。
「あ、麻由お姉ちゃん……」
ちょうど部屋の前でばったり、会った。
「何?」
「えっと……その…」
「用がないなら、もう行くわよ。これから塾に行かないといけないんだから。」
「あ、ちょっと……」
行っちゃった。
見た限りいつも通りみたいだが……
やっぱり、ああいうのには慣れているんだろうなあ。
流石は僕の嫁だ。
っと感心してる場合ではないな。これはチャンスだ。
麻由お姉ちゃんの部屋にこっそり入って、あの手紙をどうしてるか確かめねば。
「おじゃましまーす。」
ええと、あの手紙は……机の上にはないな。
確か鞄の中に入れたと思ったから、鞄に入ってるのかな。
学校指定の通学鞄だから、別に覗いても大丈夫だよね。
「うんと……」
ないな……
となると引き出しかな。
流石に気が引けるな……
「うーん、もしかしたら制服のポケットの中にでも……おわ!」
何か足で蹴飛ばしちまった……ってゴミ箱か。
すぐに元に……ん?
何か紙をビリビリに破って丸めたような、ゴミが一つ……むむ?
「(これは……?)」
すぐに丸めたゴミを、開くと……
「これは、封筒みたいだな……」
って、まさか?
あの時もらった手紙か?
こんなすぐにビリビリにしなくてもいい気がするが……
まさかイタズラか何かだったとか?
いや、これ封も切ってないみたいだし……
「麻由お姉ちゃん……」
麻由お姉ちゃんの浮気は断じて許さんが、流石に読みもしないで破るのはどうかと……
まさか、いつもこんな事してるのか?
「……」
破いて丸めてあった手紙を広げて、中身を確認する。
………
やっぱり、ラブレターみたいだな。
さっきまで憎くて仕方なかったが、流石に少し可哀想だ。
何か複雑な感情を抱きながら、手紙をゴミ箱に戻し部屋を後にした。

628:狂依存 23
10/11/06 03:15:21 xuKm5et9
「麻由お姉ちゃん……」
あの後しばらく考え込んでいた。
一応あいつだって精一杯勇気を出して、あの手紙を渡したんだろうから一通り目を通すぐらいはしてやれば良いのに。
それなのに、あんなにしちゃって……
「……まさか、僕があげた誕生日プレゼントなんかも……?」
去年あげたストラップも一昨年あげたブローチも全然使ってないし、その前の年にあげたぬいぐるみも部屋にはないし……
「ただいまー。」
「あ、おかえり。」
おっ、帰ってきたか。
「はあ、今日は宿題やたらと出ちまったな……」
「ねえ、麻由お姉ちゃん。」
「ん?」
ちょっと言っといた方がいいかもしれないな。
「あの……えと…今日ミニバスの練習の帰りに偶然見たんだけど、男と一緒にいたよね?あれって……」
「ああ……去年同じクラスだった奴よ。それが何か?」
「えっと……その時、その人に何か手紙の様なものを渡されたのを見た気がするんだけど、あれってまさか……?」
「………」
「ほ、ほら!僕は麻由お姉ちゃんの夫となるんだから、変な虫が付かないか見守る義務があるもんね!うん!」
とりあえずこれでごまかせるか……?
「それが、あんたに何の関係があるのよ?」
「あるよ!大有りだよ!自分の嫁がラブレターなんか貰ったりなんかしたら心中穏やかではないよ!うん!」
「いや、もしかしたら何かのイタズラかもしれないし、変なものが仕込んであるかもしれないから、ちゃんと中身を確認したほうが良いよ!うん。」
く、苦しいかな……?
「あんたに何でそんな事指図されないといけないのよ。バッカじゃないの。」
一応心配してるんだけどなあ。
「だから…その、手紙を貰ったらすぐ捨てたりしないでちゃんと読んで、どんなものか確認しておいた方が良いと思ったり、何だったりすると思うんだ……」
って、やばっ……!
いや、いいか。勝手に入ったのは悪いけどはっきり言っとこう。
「そういう事か……人の部屋を勝手に!」
ガシっ!
「ご、ごめんなさい!遂……」
胸倉を掴んで、僕を睨み付けてる目が本当に怖い……
これは本気で
麻由「あんたが、私の部屋にしょっちゅう勝手に入ってるのは知ってるわ。でも今まで、部屋が荒らされたり、私の物を勝手に持ち出したりしなかったから、見逃しといてやった。一々追求するのも面倒くさいからね。」
「………」
「だけどなあ、人の部屋勝手に荒らしてプライバシー侵害した挙句、私が貰った物の事で何でアンタに説教されなきゃいけねえんだよ?ああ!?ごらぁ!!」
バシっ!ドカっ!ドンっ!
「ごめん!その事は本当に謝るし、もう二度としないから!イタっ!」
バチっ!ドスっ!ドンっ!
「てめえの謝罪なんか、今更信じるわけねえだろ!あんたのせいで私がどれだけ恥じかいたと思ってんの!もう我慢の限界だ!」
怒鳴りながら、容赦なく殴打や蹴りを加えてくる。
こんなに怒った麻由お姉ちゃん久しぶりかも……
ドカッ!ゴンっ!
「う……ごめんなさい!ぐえっ……」
「はぁ……はぁ……ふんっ!」
ドスっ!
度重なる殴打で虫の息になって倒れていた僕を思いっきり蹴り上げ、ようやく終わる。
「しばらく、あんたなんか顔も見たくないわ。さっさと出てって。」
「あ、あのね、麻由お姉ちゃん。麻由お姉ちゃんはあの人の事どう思ってるのかな?もしかして何か嫌な事されたりしたの?」
「私があいつの事をどう思おうが、何の関係もねえだろ。ああ!!?」
ドスっ!
またおもいっきり蹴りを加える。
うう……ちょっと骨折れちゃうかも……
「別にあいつの事なんか、何とも思っちゃいないし、付き合う気もないわよ。ったく、お前に限らず、男ってのはちょいと良い顔すりゃ、調子に乗りやがって。」



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