キモ姉&キモウト小説を書こう!part32at EROPARO
キモ姉&キモウト小説を書こう!part32 - 暇つぶし2ch550:『きっと、壊れてる』第10話(3/8)
10/11/01 23:03:14 l/rCM2FK
「お兄ちゃん達、どこかに出掛けたの?」

夕食時、楓が発した言葉だ。
なぜ気付いたのか。

両親と楓が両手一杯の荷物を抱え、玄関のドアを開けるまでに、浩介達は帰宅していた。
靴も出掛ける前と同じように揃え、出掛ける際に着た服も洗濯カゴには出していない。
茜は家に居る時でも余所行きのような格好をしているので、着替える必要性はなかった。

楓は不服そうな顔をしていた。
好物であるはずのエビフライをかじり、ご飯を口に入れる。
その一連の動作にも不機嫌さが滲み出ていた。

「あ……あぁ、参考書を買おうと思ったんだけど、俺には全部一緒に見えちゃってな。
茜に見立ててもらう為に一緒に本屋に行ったんだよ。楓とも一緒に出掛けたかったんだけど、居なかったから……」
以前、自分と茜が二人で将棋を指していた時の事を思い出した浩介は、楓を刺激しないように慎重に回答した。
少しだけ嘘を混ぜて。
茜を連れていったのは仕方なかった、楓が在宅していれば当然連れて行ったという意味合いを乗せる為だった。

「ふーん……楓がついて行っても、お兄ちゃんの勉強の事なんてわからないよ」
楓はそう言って興味が薄れたようにそっぽを向くと、再びテレビの方を向いた。

少し言い訳が苦しかったか。
浩介は自分の言い訳の採点を求めるように、向かいの左方を見る。
茜は我関せずと言った表情で食事を続けていた。

あの将棋の事件以来、浩介なりに気を配り、楓が癇癪を起さないように努めてきたつもりだった。
茜だけ居れば済む用事も、楓の前で茜に話しかけ、楓にも意見を求めるかのように振舞ってきた。
今回は自分のご飯の支度の為に、出掛けず居残ってくれた茜へのお礼。
客観的に見ても浩介に非はなかったが、楓の機嫌を損ね、場の雰囲気を崩す事は避けたかった。

Tシャツの背中に滲む汗が心地悪いが、ひとまず難を逃れた事に浩介は安堵した。

「浩介も来年受験だな。もう進路は決めているのか?」
ビールを飲み、少し顔に赤みが差している父親が口を開いた。
めずらしく家族と夕食を取れてたためか、機嫌が良さそうだ。
「うん、大体は。学費も安いし、文系の学部に行こうと思う」
「文系? 就職は大丈夫か?」
「多分……としか言い様がないけど」
理系だと年間の授業料は100万をゆうに超える。
3人兄妹全員を大学まで通わせる事を想定すると、浩介は理系学部を受験する事にどうしても気が引けてしまっていた。

「まぁ私達は元気に巣立って行ってくれれば文句ないわよ。ねぇ? お父さん」
まだ自分は食事中であるにも関わらず、茶飲みに急須でお茶を入れ、
旦那に差し出した母親は、慈愛が溢れんばかりの笑顔を見せた。

「大学4年になったら公務員試験も試しに受けてみたらどうだ? 安定しているし、
ボーナスと退職金はすごいぞ。警察や消防は親としては複雑だがな」
「あぁ、考えておく」
まだ先の話を、楽しそうに話す父親を見た浩介は、息子として愛されている事を実感した。

特別お金を持っているわけでもない。
特別優秀な人間がいるわけでもない。

家庭の為に必死で働く父。
家族を一番に考え、家事を仕切る母。
おとなし過ぎるのが欠点だが、頭も良く、母の手伝いどころか家事の一端を担っている茜。
わがままだが、その太陽のような笑顔で家族全員を幸せな気分にしてくれる楓。

浩介はこの家族が好きだった。世界中で自分が一番幸せだと信じて疑わなかった。

551:『きっと、壊れてる』第10話(4/8)
10/11/01 23:03:52 l/rCM2FK
時計の針を見ると、22時を指していた。
机で夏休みの課題をこなしていた浩介は、自分の隣の部屋、茜と桜の部屋から聞こえる微かな声に気付いた。

「楓、それは駄目よ」
「いーじゃん! これがいい!!」
何か揉めているようなその声は、一旦気にしてしまうと耳から離れる事はなく、浩介の耳はその音を嗅ぎ続けた。
「他にも一杯あるじゃない。それは駄目」
「なんで? 楓はこれがいいのに!」
楓はともかく、茜がこちらまで聞こえる声を出すのは珍しい。
普段、姉妹喧嘩などまったくしない二人がなぜ揉めているのか気になった浩介は、
机のスタンドライトの灯りを消し、部屋を出た。

「どうしたんだ?」
ノックをしてから姉妹部屋のドアを開けると、何かを両手でしっかりと抱きしめるパジャマ姿の楓と、
両手を膝の上に置き、椅子に座った茜が向かい合っていた。

「兄さん」
「ケンカか? 珍しいな。茜はともかく、楓の声は響くから少しボリューム抑えろよ。後、窓も閉めろ」
浩介は、カーテンすら開いたままの窓に視線をやった。
「えぇ……でも困っちゃって……」
「だって、これがいーんだもん!!」
楓の抱きかかえている物をよく見ると、ぬいぐるみだった。
締まりのない顔をした犬のぬいぐるみが、力強く抱きしめる楓の腕の中で少しだけ変形していた。

「ぬいぐるみの取り合いか?」
「取り合い……なのかな。貸してほしいと言うから、仕舞っていたのを出したのだけど」
そう言った茜の横には、大きい透明のカラーボックスが置いてあり、
その中には所狭しと動物のぬいぐるみ達が詰め込まれていた。

「その中から選んだぬいぐるみじゃないのか?」
「えぇ、一番大事だから机の上に飾ってあった子なの」
そういえば茜の机の上には、今楓が抱きしめているぬいぐるみが飾ってあった気がする。
要するにまた楓のワガママか、と浩介は小さく溜息をついた。

「楓、茜がそれは嫌だって言ってるんだから返してあげろよ」
「やだやだ!」
首を振って、自分の気持ちを表現する楓はいつも以上に頑固そうだった。
もう10歳になるというのに、楓は同年代に比べて精神的に幼い気がする。
ただ、一番歳が近い茜でも6歳の違い。
我が家の家族構成では、末っ子の楓を甘やかしてしまうのは、
ある程度仕方ないのかもしれない、と浩介は2度目の溜息をついた。

「楓、それ以外ならどれでもいいから。気にいったのがあったら、あげるし」
「これがいーの!」
「楓はもう10歳のお姉さんだろ? あんまりワガママ言わないでくれよ」
浩介は完全に茜の味方だった。
普段自己主張というものをしない茜がここまで拒否するという事は、余程大事な物なのだろう。
その対象がたとえ玩具だとしても、茜の価値観を否定する事はしたくなかった。

「お願い楓、それは大事な物なの。今度お揃いのやつ買ってきてあげるから」
「やだー!」
「楓! いい加減にしろよ!」

─楓の体が硬直した。
浩介は自分でも驚くほどの大声で、怒鳴ってしまった。
それは、普段楓の面倒をよく見ている茜がこれだけ懇願しているにも拘わらず、
我儘を言い続ける楓の我儘が、悪念に感じたからだった。

それにこのような傍若無人な気質では、この先周りが成長するにつれて、
楓だけ浮いてしまうのではないか、という兄としての心配も込められていた。

552:『きっと、壊れてる』第10話(5/8)
10/11/01 23:04:21 l/rCM2FK
目を真っ赤にした楓が、浩介を睨んだ。
その表情は小学生とは思えない、一人の女の嫉妬心が溢れているように映った。

「……ヒック……ヒック……お兄ちゃんは……」
しゃっくりを挟んで、ゆっくりと確実に言葉を紡ぐ。

「いつも……ヒック……おねーちゃんの……ヒック……味方なんだ……」
「泣いても駄目なものは駄目だ楓。それを茜に返して、もう遅いからさっさと寝ろ」
「いつも楓だけ仲間外れにするし! もういいよ!」
楓は抱いていたぬいぐるみを茜の方へと投げた。

そして─この時は運が悪かったとしか言いようがない。
窓が開いていた。
比較的、大きい窓が。
茜の後方へと放物線を描いたぬいぐるみは、開けっ放しにしていた窓をすり抜け、闇の中へ消えた。

「なっ……」
慌てて窓から顔を出し、落ちた場所を確かめる。
道路の中心に投げ出されたように転がる犬のぬいぐるみは、捨てられたとでも思ったのか、虚ろな目をしている気がした。

浩介は、呆然とする茜と楓には目もくれず、すぐさま家を飛び出し、廊下を駆けてエレベーターのボタンを押した。
村上家はマンションの6階にあり、おそらく階段を使うよりもエレベーターを待った方が早いはずだ。
無傷でいてくれ。
浩介は、名も知れぬぬいぐるみのために祈った。
このマンションは車の通りが激しい大通りに面している。
茜達の部屋の窓は、その大通りに繋がる細道に面していた。
細道といえど、近道をしようとするトラックやタクシーがひっきりなしに通る道路のため、
急がなければ轢かれてしまうのが目に見えていた。
乗り込んだエレベーターの降下する速度が、いつもより遅い気がする。
メーカーの名前を睨み、行き場のない苛立ちをぶつけた。
『1』という階ランプが点灯し、扉が開いた。
サンダルをペタペタと鳴らして速やかにぬいぐるみが落ちた細道に出ると、
さっきまで中央に転がっていたはずのぬいぐるみが、向かって右側のガードレールの下でうずくまっているのが見えた。

駆け寄って拾い上げる。
トラックにでも轢かれたのか、首が取れかけていて中から白い綿が少し飛び出していた。
タイヤに押し潰されたのだろう、鼻も少し変形している。
その変わり果てた姿は、ぬいぐるみといえど目を背けたくなるものだった。

「兄さん」
背中の方から聞こえるその声は、雑踏の中で消え入る様な声。
浩介の後を追って来たのか、背後に茜が立っていた。

振り向きたくない。
まだ俺の体が壁になり、このボロボロのぬいぐるみは茜には見えていない。
なんとかならないか。

頭をどれだけ回転させても、状況を打破できる策などなかった。
「こっちを向いて」
横から覗きこめば、すぐにぬいぐるみを視界に捉える事ができる距離だった。
おそらく、茜はぬいぐるみが無事ではない事に気付いていた。
浩介はゆっくりと振り向き、手の中のぬいぐるみを茜の胸の前へと差し出した。
受け取ったぬいぐるみを両手で抱え、顔の高さまで持ち上げた茜は、無表情のままだ。
胸を締め付けられるような気分になった浩介は、茜から視線を逸らした。

「壊さないで」
茜は無表情のまま、一言そう発した。
それが、誰に言った言葉なのか、浩介にはわからない。

ボロボロになったぬいぐるみに視線を戻すと、浩介はそれが昔遊園地で自分が買ってあげた物だと今更気付いた─。

553:『きっと、壊れてる』第10話(6/8)
10/11/01 23:04:44 l/rCM2FK
「兄さん、そろそろ起きないと。チェックアウトの時間を過ぎてしまうわ」
体を揺すられ、頭が徐々に覚醒していく。
目を開けると、夢の中とさほど変わりない茜の顔が間近にあった。
「ん……」
「ほら起きて? もう、旅行に来ても変わらないんだから」
「起きるよ。ちょっと準備してただけだ」
上半身を一気に持ち上げ、目を凝らす。
部屋の中は何の変哲もないホテルの一室だ。
茜や楓のベッドの上には、綺麗に畳まれた浴衣が中央に置いてある。
「何の準備かしら? とりあえず、おはよう」
茜の黒い瞳がカーテンの隙間から差す光に反射して、キラキラと輝いているように浩介には映った。
「おはよう……楓は?」
「先に朝ご飯食べてお土産屋で買い物してるって。私達は寄ってるヒマないけど……」
「あぁそれは構わないよ。……何か楓に変わったところあったか?」
昨夜の事を思い出した浩介は、聞かずにはいられなかった。
なぜ、楓はあんな変貌を遂げたのか。自分の中の天真爛漫な楓は偽りの姿なのか。
考えれば考えるほど、浩介の脳裏には気が重くなる事柄だけが積もった。

「変わったところ? 別にないわ。お肉ばっか食べてやるって張り切ってたぐらい」
楓はあくまで、茜の前では純真無垢な妹を演じるつもりなのだろうか。
逆に、昨夜自分に見せた姿が虚偽の姿なのか。
浩介には判断がつかなかった。

「そっか、じゃあいいんだ。……なぁ、茜」
「何?」
「昔の夢を見ていたんだ。ほら……ぬいぐるみが窓から落ちたやつ」
「ぬいぐるみ……あぁ、あれね」
茜は一瞬で思い出したようだ。それほど印象深い出来事だったのだろう。

「あれって、どうなったんだっけ?」
「どうもこうも……楓が父さん母さんにみっちりお説教受けて終わりよ?」
「ぬいぐるみは?」
「自分で直した。丁度あの日の昼間、裁縫の本を買っていたじゃない」
「そういえばそうだったな。楓とはあの後しばらく冷戦だったのか?」
「ううん、次の日だったかな。泣いて謝って来たわよ? あの子に悪気がなかったのは
わかってたし、冷戦なんてするはずないわ。……というか兄さんも次の日の夕飯、一緒に食べていたじゃない」
「言われてみれば、そうかも」
茜に言われ、次の日の夕飯時に茜と楓が何事もなかったかのように会話していた事を浩介は思い出した。

「でも……優しいお姉ちゃんだな、茜は」
普通、自分の大事にしていた物を壊されたら、相手が謝って来たとしても中々許せるものではない。
おそらく自分が茜の立場だったら、1週間は口を利かないだろう。
茜の慈愛に浩介は感心した。
「……そうでもないけどね。さぁ、私達も朝ご飯に行きましょう。バイキング式らしいから」

ふとした違和感。
話を打ち切った茜は気のせいだろうか、どこか悲しげな顔をしていた。

554:『きっと、壊れてる』第10話(7/8)
10/11/01 23:05:08 l/rCM2FK
夜の空は、誰もここには存在しないように静まりかえっていた。
まだ20時なのに子供はおろか、大人まで座席で寝息を立てている。
前方のCAは、まるで幼稚園の教諭のように優しい笑みで乗客たちを見渡していた。

先程、雲の中を通った時は墜落するのではないかというほど、機体が揺れた。
落ちても構わない。
浩介は心からそう思った。

往路と同じく、浩介が窓側、楓がその隣、茜が通路側に座っていた。
最初は文庫を読んでいたがさすがに疲れていたのか、茜は他の乗客と同じように眠っている。
浩介は誰にも気付かれていない事を確認すると、自分の股間を弄っている手を掴んだ。

「いい加減にしろよ」
「あら、手じゃ満足できない? 流石に口でするのは……ここでは恥ずかしいわ」
悪びれる事もなく、楓は爬虫類のように感情のない瞳で浩介を見上げた。

茜が寝息を立てた後の事だった。
CAに毛布を借りると、楓はそれを広げ、浩介と自分の下半身にかけた。
肌触りの良い毛布が温かい。
楓は単純に眠気が襲ってきただけ、クッション代わりに浩介の肩を借りるつもりだけだと、思っていた。
公共の場所で昨夜のような行動など起こすはずがない、という固定観念が浩介を油断させた。

楓は妖しい笑みを浮かべ、浩介のズボンのファスナーを開けた。

10分程の間。楓は浩介を玩具にしていた。
「だからっ……やめろ! 茜が起きたらどうするんだ」
注意しても手の動きを止めない楓に、浩介は自分が出来る一番鋭い目で楓を睨みつけた。
大声を出せば、周りが気付く。
おそらく楓はその事も計算していた。
「フフッ、可愛い。姉さんが起きてなかったら続けてていいって事?」
「違う。いいからその手を離せ。俺が大人しく注意している間にやめるんだ」
「別にいいのよ? 大声で叱っても。私は兄さんとそういう関係なんだ、ってアピールできるもの。隣で寝ている人にもね」
楓は浩介の耳元でそう囁くと、チラリと隣で寝息を立てている茜を一瞥した。

「……楓、どうしてだ? 何がお前を変えた?」
「変えた? それは違うわ兄さん。私は何も変わっていない。昔からね」
男性器を掴む力が僅かに強まる。
先走った透明な液体が、男性器の先端から僅かに出ている気がした。
「でも、兄さんに私を叱る権利なんてないわよね? 自分だって姉さんと散々イイ事したんでしょ?
私が寂しく実家に取り残されて、父さんと母さんの前で『明るくて素直な楓』を演じている時も」
「やめてくれ……頼む」
「それは、今の行動の事を指しているの? それとも過去をほじくりかえす事?」
「両方だ」

目を瞑って、楓の手を覆う様に自分の手を被せる。
これ以上動かさないように。
そうすると、楓は指先だけで、亀頭の周りをペットボトルの蓋を開けるかのように弄り始めた。
「観念した方がいいわ、兄さん。私も興奮してきてしまったもの。
あっでもね、私はまだ処女よ? 嬉しいでしょ? ねぇ、姉さんのを奪った時ってどんな気分だったの?」
吐息が浩介の耳をくすぐる。
浩介は何も答えず、ジッと耐えた。
力任せに楓を抑えつける事は可能だが、拒絶すると楓は何をするかわからない雰囲気を醸し出しているからだった。

「やだぁ、ビクビクしてきた。気持ち良いの? イく時はイくって大きな声で言ってね?」
「ふ……ざけるな」
「そういえば、私の体も触っていいのよ? 胸は姉さんよりも2カップ上だから、揉み応えがあると思うわ」
「だからっ! ふ……ざける……なよ」

姿勢を正し、自分の体を浩介の方へ寄せた楓は不敵に微笑む。
その姿は、浩介の中の楓の面影など微塵も感じさせなかった。

555:『きっと、壊れてる』第10話(8/8)
10/11/01 23:05:32 l/rCM2FK
「……触らないの? そうね、胸を触っていたら、さすがに他の人にバレてしまうものね」
「何か……俺に恨みでもあるのか?」
「心外ね。私は兄さんが喜ぶと思ってしてあげてるのに。じゃあ足はどう?
ほら、動物園でなんだかんだ文句言ってたけど、兄さんも生足好きでしょ? 触っていいんだよ?」

毛布を少しだけ捲り、楓の細く白い生足が浩介の視界に飛び込んできた。
肌色の足に、粉雪を振りかけたようなその白く輝く足は、薄暗い機内にいる事でより一層の色香を出していた。
浩介は、楓が初日と同じホットパンツを今日も穿いていた理由を、今理解した。
「頼む。やめてくれ。もう十分だろ? ……本当に……やめてくれ……」
破裂しそうな浩介の男性器は、もう限界が近かった。
「イくの? 兄さん? 私の手に出したい? いいよ。出して」

耳に息を吹きかけられ、限界まで粘った浩介がついに果ててしまうと思ったその時。
楓の手の動きが止まった。
「……楓?」
横を見ると、浩介の肩にもたれかかり目を瞑っている。
何かと思い顔を上げ、通路側に目をやると、CAが不思議そうな顔をして立っていた。
「お客様、もしよろしければもう1枚毛布をご用意しましょうか?」

浩介と楓が二人で1枚の毛布を使っている事に気がついたらしい。
楓は狸寝入りを決め込んでいた。
「いえ、もう時間もそんなにないし、大丈夫です」
お手本のようなお辞儀をすると、CAは疑う様子もなく前方へと消えて行った。

「フフッ。ドキドキしちゃった。ごめんね? 寸止めして」
すぐに目を開けた楓が胸を浩介の腕に押し付けた。
手は股間を掴んだままだ。
「もういいから。離してくれ。じきに羽田に着く」

腕時計を見ると、22時20分。
到着予定が22時30分のため、そろそろ乗客も起きだし、降りる支度を始める頃だ。
さすがに楓ももう満足しただろう、そう思っていた。

「駄目よ、出しなさい。出したら兄さんの精液、トイレで舐めてきてあげるね」

浩介は、言葉にならなかった。
自分の中の楓が偽りだった事。
あの絵に描いたような家族団欒、3人兄妹の仲すら壊れていた事。
茜だけではなく、楓すら自分が汚してしまった事。
美佐を裏切ってしまった事。
そして……茜を裏切ってしまった事。

目からは涙が溢れそうだった。
横目で茜を見る。
昨夜と同じように、茜は眠っている。
その横顔は女神が舞い降りたかのように、美しい造形だった。

もう自分の周りの人間は、すべて壊れてしまっていた事に絶望する。
どうすれば、普通の幸せを手に入れ、穏やかに暮らす事が出来たのか。
この状況を茜が知ったなら、どんな言葉で自分を導いてくれるのか。
考えても、行動しても、空回りばかりだった。

女神を汚してしまう事に耐えきれず、浩介は視線を逸らす。
そして、楓の手の中に白く濁った自身を受け止めさせた。

第11話に続く

556:『きっと、壊れてる』第10話
10/11/01 23:06:18 l/rCM2FK
以上です。いつも読んでくださってありがとうございます。では。

557:名無しさん@ピンキー
10/11/01 23:16:04 1QnTGaZo
GJ!
楓の性格が茜と似てきている様な・・・w
続きも早く読みたいです

558:名無しさん@ピンキー
10/11/01 23:31:20 UsEdtZIi
GJ!
リアルタイムで遭遇できた
ほったらかしにされてたらこういうことしちゃうよね・・・

559:名無しさん@ピンキー
10/11/02 00:10:48 vHzrNMUp
GJ
ちょっと興奮してしまったよ…

560:名無しさん@ピンキー
10/11/02 00:39:33 r9SW9v9b
投下乙

浩介どうするんだ…

次回も期待

561:名無しさん@ピンキー
10/11/02 01:37:56 VbXV8Skx
GJ

浩介にとってはこの状況はつらいね。でも不思議なことにどのキャラクターも応援したくなっちゃうんだよね


562:名無しさん@ピンキー
10/11/02 02:50:58 1J7n2BMl
家帰ってからどうなるか楽しみ

563:名無しさん@ピンキー
10/11/02 04:17:59 2sZUa0ik


すっげー続きが気になる……

なんだろ、茜が素直なほど茜に頑張って欲しいと思うわー

564:名無しさん@ピンキー
10/11/02 16:56:07 MAc+rQhA


565:名無しさん@ピンキー
10/11/02 19:35:58 BMDe3kwg
GJ!
楓が可愛い過ぎて生きるのが辛い
これから楓のストーリーも掘り下げそうな感じだし
楽しみです

566:名無しさん@ピンキー
10/11/02 21:10:00 MAc+rQhA


567:名無しさん@ピンキー
10/11/02 22:23:32 LmoCdC9X
携帯からですいません
某海外ドラマ見てたら思いついたキモウトがあるんだが、投下してもいいかな

568:名無しさん@ピンキー
10/11/02 22:50:55 sZy57UgY
そういうスレなのでは

569:名無しさん@ピンキー
10/11/02 23:12:32 LmoCdC9X
まったくだ

内容的にはグロ有り、エロ無し、パロディやや有りです
ちと長めかもしれません。
では投下させていただきます


570:テグスダー
10/11/02 23:17:55 LmoCdC9X
第一話 

 私は萌花。手楠田 萌花(てぐすだ もえか)。
15歳の高校一年生。周囲の評価は『文武両道』『才色兼備彼女(サイカノ)』『俺orアタシの為に毎朝味噌汁を作って欲しい!』
 などなど、かなりの高評価を頂いてい…

…エプロンをつけて、と。

 あ、すみません。ええと、そんな非の打ち所のない美JKと太鼓判を押されている私ではあるが、人である以上、当然他者には言えない秘密が…

あぁ、ここもシートを敷いた方がいいかな。

 …秘密がある。まずひとつ目は……私は、兄を愛しているということだ。それも家族としてではなく、異性として。
 人前では兄さんに迷惑や心労をかけない様、『仲の良い兄妹だね』と言われる程度に自身を抑えているが、実際のところは、そんなものではない。

 例えば、兄さんの事を考えていただけで大会が終わっていた事もある。
 私は幼い頃、兄さんと共に空手を習っていた。
ただ単に兄さんと一緒にいたいが為に始めただけなのだが、どうも私は才覚があったらしく、幾度も大会で優勝し、神童ともてはやされた。
 因みに、兄さんは人並みの…いや違う!兄さんは私など軽々と凌駕する天才だ。
ただ、優しすぎるのだ。
 だからわざと負けて、抱えきれないほどの華束を相手に持たせていただけなのだ。華キューピットなのだ。
 そして、凡人共がその圧倒的な才能の前にひれ伏し、空手への情熱を失う事を危惧し、自ら空手を捨てたのだ。

 あぁ、本当に、なんてお優しい兄さん…兄さんの優しさの前では、マザーテ●サもテロリスト同然です…
 あ、勿論私も兄さんと共に空手を辞めた。周囲も鬱陶しかったし。

 と、そんな過去もあって、つい先月、空手部の助っ人として大会に無理やり出場させられたのだが、前のり遠征のため大会前日に家を出て、気付いたら家に居た。
トロフィー片手に。
 あの時どこでどう戦ったのかは、未だに何一つ思い出せない。
ただひたすらに、私の帰りを待っていてくださる兄さんの事を考えていた気がする。
 後日、大会の事を空手部員に尋ねると

「え?萌花も何だかんだで結構楽しんでたじゃん。ね、もういっそ空手部入ろうよ!」
「…萌花なら、熊爪装備のファイティングコンピューターも片手だね。…いや~、にしてもほんと萌花のブラジリアンキックは軽く光速を(以下略)」



571:テグスダー
10/11/02 23:25:41 LmoCdC9X

 と言われたが、実際はブラジリアンキックどころか、指先一つ動かした記憶も無い。そもそも私の中では外出していない。
 そんな状態でもぼろを出さずにすんだのは、おかしな兄妹だと噂を立てられ兄さんに迷惑をかけない様、普段からきつく戒めている私だからこその芸当だろう。
 自分で自分をほめちぎりたい。

 そしてもうひとつの秘密なのだが、これは……本来なら兄さんに隠し事など唾棄すべき事なのだが、たとえ兄さんといえども
(兄さんへの愛はいつか必ず告げるから隠し事には入らない)打ち明けることが出来ない。


 実は私は、世間一般で言うところの、シリアルキラーだ。つまり殺人鬼だ。

…インパクトのセーフティを解除。

 そうカテゴライズされるのは甚だ不本意なのだが…
何故なら、何の罪もない善良な人々を無作為に殺す!
 なんて罪深い真似は、私には恐ろしくてとても出来ないからだ。
 そして私には亡き父と約束した、殺しの掟(ルール)があるからだ。

 選別のルール。私が手をかける人間は、《兄さんを貶めようとする愚者》と《兄さんに近づこうとした泥棒猫》この2種類のみ、ということ。
ようは殺されて然るべき咎人だけだ。
 さしずめ私は《兄さんを守護する戦乙女》という訳だ。

 …まあ、世間の常識という名の戯言の前では、戦乙女から快楽殺人鬼へと超大幅ランクダウンされてしまうのだろうが。全く腹立たしい。
 獲物を始末する際に快楽を感じてしまうのも、正義執行の悦びと、兄さんを護れたことへの達成感という訳だから、仕方がない事なのにな。

ええっと、ナイフナイフ~……あった。良し、準備完了。

「…これで良し、っと。お待たせしました、先輩」
 儀式の準備を終え、作業台に横たわる様にして縛り付けられた少女を見下ろす。

 これが今回の獲物、藤樟 杏奈(どうくす あんな)。
 兄さんのクラスメイトにして、生徒会書記。
穏やかな性格と、小柄で控えめな体躯、高校生にしてはあどけなさが残る、可愛らしい顔立ちが男子に人気の2年生だ。
 まあ、今は全身縛られているうえに、その整った顔は涙と鼻水でデコレートされている為、見る影もないのだが。

「お、お願い…や、止めて…」
「大丈夫ですよ。優しくしますから。…大人しくしていてくれれば、ね…?」
 そう優しく告げると、彼女の白磁のような頬を手にしたナイフで薄く横に切りつける。頬に走った線から赤い液体が零れ落ちた。

572:テグスダー
10/11/02 23:37:27 LmoCdC9X

「い、痛いっ!!痛いよおっ!!いやぁ!!!!」
 彼女は悪霊にとりつかれたかの如く頭を振り乱し、声が涸れることも構わず叫び声を上げる。

 なるほどなー。これは男子に人気な訳だ。彼女の魅力はその被虐性。
声音、仕草、容姿、彼女の全てが動物の持つ嗜虐心を刺激する。
これはなかなかにそそる獲物だ。
「お、お願いします…もう、お家に帰、してぇ…」
 幼子のように、ポロポロと涙を零し懇願する獲物の頭を優しく撫で、目元から零れ落ちる涙を舌で嘗めとる。
「ひゃん!い、いや、いやっ!!やめてぇ!!もう嫌ぁ!!!!」
「ほら、あんまり暴れないで下さい先輩。…痛くしちゃいますよ?」
「うっ、ひっ!…い、いやだぁ!!もう嫌だよおぉ!!!」
 まるで小動物そのものだ。軽く脅しをかけるだけで、期待通りのリアクションをくれる。
たまらないな。早く殺したい。

「いくら叫んでも無駄ですよ、先輩。ここには誰も来ませんから」
 そう、今私達がいるのは、その機能をより交通の便の良い土地へと移転したためにゴーストタウンと化した、元鉄工団地の最奥にある、港に隣接した一棟の廃工場。
 昔は港から、製品を各地に大量に輸送していたらしいが、今や夢の跡地と化している。
 加えてこの場に至るまでの道筋は複雑で、廃墟にたむろしたがる珍走団の類ですら、最奥まで訪れる事は無い。
 本当に都合が良い。裏手が廃港というのも、さらに都合が良い。もう殺そうか?

「ね、お願、い…もう、やめて…誰に、も、言わな、いから…」
「誰にも言わないだなんて…嘘はよくありませんよ」
 辺りを見回すと、廃油の溜まったドラム缶の縁に、黒ずんだ雑巾が掛けられていた。
手にとってみると、すえた臭いが鼻をついて思わず顔をしかめる。
 …手袋ごしでも気持ちが悪い。
「これでいいよね」

 雑巾を手に獲物のもとへと、恐怖を煽り、かみしめる様にゆっくりと歩み寄る。
傷つき動けぬ獲物を追い詰める獅子も、この高揚感を感じるのだろうか。

 よし、殺ろう。もう《アレ》を済ませて、殺ろう。

「ヒッ!いぁ、オエェ、モゴォ!!」
 首を振り逃れようとする獲物の頭を押さえつけ、薄い唇に縁取られた愛らしい口に、雑巾をねじ込んでいく。
「気持ち悪いかもしれませんが、嘔吐しないほうが身のためですよ。吐瀉物を再度飲み込みたくは無いでしょう?」



573:テグスダー
10/11/02 23:43:42 LmoCdC9X
 やんわりと忠告しつつ、ジャージのポケットから未使用のタンポンを取り出すと、獲物の頬を流れる赤蜜を丁寧にそれに染み込ませていく。
 すると忽ち、無垢な純白が赤黒く穢されていく。恍惚の一瞬。
「家に着いたら、他のお友達(コレクション)に会わせてあげますからね。仲良くするんですよ?」
 たっぷりと獲物の蜜の染み込んだタンポンを手に独りごちる。
 これは兄さんを護ったという証。私の誇り。
戦利品をピルケースに入れ、ポケットにしまい込む。
 ああ…早く防腐処理を施して宝石箱に並べたい。

「さて、と」

 儀式もいよいよクライマックス。蝋燭の灯りが大きく揺らめき、私の影を醜く歪める。…体が熱い。
 意識が朦朧とするような、それでいて、1km先の針の落下音が聞こえそうなほどに全神経が研ぎ澄まされるような。
不思議な感覚が私を包む。

「ムー、ムグー!!」
「名残惜しいのですが、早く帰って兄さんの為に朝食を用意しなければならないので、そろそろ逝ってもらいますね?
ああ、冥土のギフトに先輩の今後について簡単に御説明しますね。
いいですか、まずあなたを細かく解体して、三つの袋に小分けします。
それから、廃港に隠匿してあるモーターボートで沖へと出て、殺害の証拠一式と共に海中へ投棄。
勿論、袋が浮上しないよう細工を施しますから、あなたの恥ずかしい姿は誰の目にも永劫―
晒されることはありませんのでどうか御安心を…」
「ムグ!!フグゥー、フゴー!!!」
 最後通告を言い渡された獲物は、その命を燃やし尽くすかの様な抵抗を見せる。
しかしいくら暴れようとも、動かせるのはその小さな頭とチョークの様なか細い指先のみ。
 悲哀を誘うなぁあ、ぁあ~堪らないぃ。

「あははっ、ごめんなさい。何をおっしゃりたいのか、あいにくとブタ語はわかりません。…では、籐楠先輩…」
「ンゴッ!!!フゴオォォォ!!!!!」
「兄さんに近づいた己を呪いながら、地獄に落ちて下さいね」


 ―そして、獲物の首筋にゆっくりとインパクトを―


「―おやすみなさい―」



574:テグスダー
10/11/02 23:50:58 LmoCdC9X

 ※※※※※※※※※※

「おはようございます」
「おはよう。朝から頑張るねえ、お嬢ちゃん」

 明け方の住宅街をジャージで駆ける私の姿は、中年の新聞配達員の目には、早朝マラソンに勤しむ運動部系美少女と映った様だ。
 この男に限らず、今の私の姿を見て、人一人を解体してきた帰り道だとは誰が思うだろうか。
 普段と異なる行動を怪しまれない様、日頃から朝に晩にマラソンを欠かすこともなければ、それは尚更だろう。
 徹夜の疲れはまるで無い。獲物を仕留めた充足感と、兄さんをこの手で護ったという誇らしさが、私に活力を与えてくれる。

「もうすぐ帰りますからね、兄さん」

 兄さんへと続くカーブを曲がりながら私は、今日の朝食は兄さんの好きなポークサンドにしよう、と決めたのだった。



575:名無しさん@ピンキー
10/11/02 23:58:29 LmoCdC9X
以上で投下終了です

読み専門でしたが、血迷って投下しました。なにぶん初心者なものでお見苦しいと思います

駄文失礼しました

576:名無しさん@ピンキー
10/11/03 02:55:42 gcGXonMZ
GJ!
だが、ポークサンドというのがなんとも・・・・・・、雌豚サンドなんて想像してしまった。

577:名無しさん@ピンキー
10/11/03 08:36:12 MD0t1Nk1


578:名無しさん@ピンキー
10/11/03 13:34:37 qmuQKRsg
ポークサンドかあ……。
うちのお兄ちゃんは肉なら鶏肉が好きだからなあ。
そうだ! あのお兄ちゃんの幼なじみとかいう糞女、
三歩あるけば今日の授業内容を全部忘れちゃうところとか、
チャンスが何度あっても告白できないところとか(そのおかげで未だ幼なじみなんだけどねw)
チキンそのものじゃない!
うふふ、待っててねお兄ちゃん。今日はお兄ちゃんの大好きな唐揚げだよ!
あんな雌鳥に負ける気しないんだから!

579:名無しさん@ピンキー
10/11/03 16:30:27 OyCbRJoj
aa

580:名無しさん@ピンキー
10/11/03 23:19:03 MD0t1Nk1


581:名無しさん@ピンキー
10/11/04 00:27:54 FqSXreVL
>>580
もうやめてくれ…
逆・解

582:名無しさん@ピンキー
10/11/04 01:45:54 iztzdisF
何これ?コント?

583:名無しさん@ピンキー
10/11/04 01:47:31 9Qm65bE3
オイ!Yスレが荒らしに襲われて潰滅寸前だ!次はこのスレって荒らし共が言ってるから今の内スルースキルを身につけとけョ

584:名無しさん@ピンキー
10/11/04 02:21:56 S90ApEDw


585:名無しさん@ピンキー
10/11/04 02:39:55 iztzdisF


586:名無しさん@ピンキー
10/11/04 03:08:46 zImfdN12


587:名無しさん@ピンキー
10/11/04 03:27:28 KIGnk66W


588:名無しさん@ピンキー
10/11/04 03:52:35 zJ14lats
キモハウス

589:名無しさん@ピンキー
10/11/04 10:10:11 KVUzHTsh
発情豚がお兄ちゃんの血となり肉となるなんてキモウト的には許せない筈と思ったり

「……おい! また味噌汁にお前の長い髪が入ってたぞ!」
「ごめーん、お兄ちゃん。謝るから許して、てへっ♪」
(髪の毛自体はお兄ちゃんの口に入らなくても、ダシはちゃんと飲んでもらえてるものね♪)

590:名無しさん@ピンキー
10/11/04 11:03:01 SeN7KHFz
>>588
不思議のダンジョンで「キモハウスだ!」となる訳か
部屋いっぱいのキモ姉妹達…


・キモウト(幼)
お兄ちゃん(主人公)が大好きなので攻撃してこない。
女性がいると嫉妬して優先的に狙うがポカポカと攻撃する姿が可愛らしい。

・キモウト(小)
道具を使う事を覚えたがお兄さんを愛しているので攻撃してこない。
女性がいると嫉妬して倍速移動、二回攻撃で優先的に狙われる。

・キモウト(大)
飛び道具を使う事を覚えたが兄と添いとげたいので攻撃してこない。
女性がいると嫉妬して三倍移動、三回攻撃で優先的に狙われる。

・キモウト(病)
兄が自分の物にならないと悟ったキモウト。
兄を殺して一生自分の物にしてやろうと兄にも攻撃してくる。
飛び道具、三倍移動、三回攻撃で攻撃してくる。

591:名無しさん@ピンキー
10/11/04 15:49:45 0XZyXWXm
歩いたらトラバサミにかかって身代わりの杖振ったのに効果無い助けて

592:名無しさん@ピンキー
10/11/04 18:49:26 /Ej/5yoN
>>509

593:名無しさん@ピンキー
10/11/04 21:19:11 FaCVHcTP
>>591
ドロボー猫ー! 状態だからあらゆる特殊効果がキャンセルされるのさー多分。
対処方法は殺られる前に犯ることです多分。

594:名無しさん@ピンキー
10/11/04 23:27:46 PIQ/RgSG
このスレって過去ログって保管してる?

595: ◆m10.xSWAbY
10/11/05 02:11:20 MZnzDzOC
三つの鎖の個人サイトにあるぜよ!(b^ー°)

596:名無しさん@ピンキー
10/11/05 03:04:43 qtteI2tx
>>595

597:名無しさん@ピンキー
10/11/05 03:05:05 qtteI2tx
>>595
トンクス

598:名無しさん@ピンキー
10/11/05 05:18:16 j4pcydiq
こちらを転載します

165 :キモウトとひきこもり兄Ⅴ [] :2010/11/03(水) 11:54:03 ID:hRsAW5Cw (1/7)
なぜか本スレに載せれないのでこちらのほうで続きを載せていきたいと思います。


599:キモウトとひきこもり兄Ⅴ
10/11/05 05:19:15 j4pcydiq
陽の光も消え、辺りは家々の光が輝いている。
昼の暑さが感じられないほど肌寒くなり秋の訪れを現しているようだ。
耳を澄ませば虫たちの声もどこからか聞こえている。
しかし彼にとってはその声は聞こえるはずもなく、声は相手を探し、むなしく響くだけであった。

(一人side)

「とすると俺と伊吹s」
「瀬里朱と呼んでくれ一人。」
「は、はい。じゃあ瀬里s」
「一人!!『はい』なんて言うな…頼む……他人みたいに言わないでくれ…悲しくなってくるじゃないか……。」
彼女が再び泣きそうになる。
拒絶されているように感じているのだろうか。俺も悪いことをした気持ちになってきた。

「ごめん…瀬里朱。」
「いいんだ一人。昔のことだ…憶えてないのも無理はない…。」

「すみません伊吹さん、兄さんとは許嫁といいましたけど本当に母さんたちが決めていたんですか?」
桜が俺の代わりに話を進めてくれた。桜も桜なりに俺の許嫁が出てきたなんてことになったから気になるんだろうか。

「そうだ、私と一人が離れ離れになる前からだからな。」
「でもそれって昔のことですから冗談だったんじゃないですか?」
「それはない。」
「……。」
桜が不機嫌そうな顔になる。ここまで表情をだしているのは珍しいことだ。
普段なら人形に喜怒哀楽の少しを足したくらいしかだしていないから見分けは付きにくいはずだが
ここまでわかりやすいと桜がどれだけ俺を心配しているのかわかったような気がした。

「いくら伊吹さんが兄さんのことを好きだったとしても兄さんにだって拒否権あるはずです。」
「そうだな、確かにそうだ。だが一人は必ず私のことを好きなってくれる。」
「そうですか…。」


600:キモウトとひきこもり兄Ⅴ
10/11/05 05:19:44 j4pcydiq
(桜side)

兄さん、あの女殺していいですか?
私もう耐えられないです。私と兄さんの世界を壊そうとする奴は殺せばいいんです。

えっ?兄さんは私がそんなことをしたら私のこと嫌いになるんですか…?

イヤです。兄さんに嫌われてしまうのなら殺さなくていいです。あの女は生かしておきます。
いい子だなんて……恥ずかしいです兄さん。嬉しい…兄さんにほめられた。大好きです兄さん。
そうでした、兄さんは暴力は嫌いでしたね。兄さんのことを分かっていなくてすみません。今は反省しないといけません。
兄さんのことを誰よりも知っていて、誰よりも愛しているんです。なのに私が熱くなってはいけません。
あんなのに構っているより兄さんとお話をすることのほうがとっても大事です。

「桜~。お~い桜~。聞いてるのか~?」
「……はっはい!?兄さん呼びましたか!?」
「話している途中なんだからボーっとしちゃだめだぞ桜。」
「すみません…兄さん。」
またやってしまいました…。兄さんごめんなさい。許してください。兄さんが折角私に声をかけてくれたのに……。
なんて愚かなんでしょうか私は…許されるなら今この場で兄さんに千の言葉をもって謝りたいです。
ですがそんなことをしてしまったら兄さんは戸惑に違いありません。兄さんを困らせてしまっては意味がありません。

「瀬里朱、話を続けてくれないか。」
兄さんは話を聞きたがっているのでしょうか?
あんなやつの話なんか気にしなくていいのに。

「わかった。私の両親と一人達の両親が仲が良かったというのはさっき話したな? それから何度も連絡を取り合っているうちに
結婚の話ができてきたんだ。実際私と一人は仲が良かったからな。そして今に至るわけなんだ。こっちも連絡がとれなくなって不安になっていたが
まさかご両親が亡くなっているとは思わなかったんだ。分かってくれたか一人?」 

「なんとなくわかったよ。でもはっきり言うよ、今は瀬里朱のことを何も知らないし、好きでもないんだ。だから結婚の話のことは今は答えられない。」
嬉しい…兄さんは私がいるからあんなやつはいらないと言ってくれました。
兄さん、好きです。好きです。好きです。
ずっと一緒です。ずっとずっとです。

「そうか…そうだな。だが今は答えられなくともいずれ君の口から『好きだ』と言わせてみせよう。一人、今日はありがとう、私は帰ることにするぞ。」
「桜、すまないけど玄関まで送ってくれないか? 俺はやることがあるからさ。瀬里朱、見送れなくてごめんな。」
兄さんはそう言うと共同の部屋に入って荷物を片付けた後、作業部屋に行ってしまいました。
それにしてもあの女も諦めが悪いです。兄さんは私を選んだというのに。

「伊吹さん、玄関までですけど送りますね。」

「ありがとう桜ちゃん。桜ちゃんからお兄さんを奪うようなことを言ってしまってこちらも反省している。」
「別にいいです伊吹さん。それではさようなら、夜道気をつけてください。」
「気にしなくとも大丈夫だ。それではさようなら。」
ガチャ!バタンッ


601:キモウトとひきこもり兄Ⅴ
10/11/05 05:20:07 j4pcydiq
やっと邪魔者が消えました兄さん。これで二人だけの世界に戻ります。兄さん、愛しい兄さん。やっと二人きりです。
今日はどこに行っていたのか聞かないと。それに兄さんにちゃんと携帯電話を持たせるように言っておかないといけません。
私は兄さんのペットです。ご主人様を心配になるのは当たり前です。
兄さんがいないと私は餌をもらえない犬そのものです。ひたすらご主人様を待って鳴いているしかないのです。

それなのに今日は兄さんの嫌いな汚いことをしていたなんて反省しないといけません。
ましてや兄さんのベッドでしていただなんて……。
兄さんはそういうのが嫌いで二次元とかいうものにいってしまったのですから私がしっかりしないといけないんです。
兄さんは人間の汚い部分が大嫌いです。昔からずっと、ずっとです。
だからあんなに人と付き合うのが苦手なんです。弱みを見せたらいつか自分に火が来ると思っているんです。
兄さんの思っていることはあっています。
兄さんは私という汚い妹のせいで人生を滅茶苦茶にされ、人を信じるのが怖くなってしまったのですから。

兄さんの嫌いなことをしているのはダメなことです。兄さんの喜ぶことをしないといけないんです。
兄さんの幸せが私の幸せなんです。
他のやつは兄さんを幸せになんかできません。
兄さんのことが誰よりも好きな私にしかできないんです。
だから今のうちに精々楽しんでおくといいのです。


「桜~ちょっとこっち来てくれないか~?」
兄さんの声が遠くから聞こえました。多分作業部屋で身動きがとれなくなったのかもしれません。
こういうときは私が助けにいかないといけないので兄さんの身体に触れるチャンスです。
「はい兄さん今すぐ行きます。」

スタタッと小走りで作業部屋に行くと兄さんが何かを作っているようでした。
兄さんは昔からプラモデルや模型が上手なのでときどきこの作業部屋で作っていることがあるのです。

「兄さん何か用ですか?」
「あぁ桜そこの工具とってくれないか?今手が離せないんだ」
「はいわかりました兄さん。」

私は兄さんの視線の先にあった工具をとって手渡しました。

はぁ…兄さんの顔が近いです。兄さん…好きです。
兄さん兄さん兄さん兄さん兄さん兄さん兄さん兄さん兄さん兄さん兄さん兄さん
私を見てください。私だけを見てください。私を奪ってください。私を殺してください。
私を犯してください。私を愛してください。私を殴ってください。私を…


602:キモウトとひきこもり兄Ⅴ
10/11/05 05:20:30 j4pcydiq
「よし!一段落ついたな。桜ちょっとそこどいてくれないか?桜~?
 桜~。お~い。またボケっとしてるのか~?ここだと危ないぞ~。」

気がついたら兄さんが私の肩に手をのせていました。
兄さんの目からは私にたいする慈愛のようなものが見えました。
私は何時まで経っても兄さんの重荷でしかないのでしょうか……。
そんなはずないです。私は兄さんの役に立っています。絶対に。

「あぁすみません兄さん。ちょっと考え事で……。」
今日二度目です…。私としたことが情けないです…。でも兄さんが大好きだからなんです。

「すみません兄さん…。」
「いいよ桜、でもここだと危ないからな。それに疲れているんじゃないのか?」

兄さんは肩にかけてた手を伸ばして私のおでこに触れました。
兄さんに触れられた喜びが身体を駆け巡る。

「ありゃ…熱出ているんじゃないか?」
兄さんはそう言うとすぐに部屋を出て体温計を持ってくると私に差し出しました。
「桜、測ってみて。それとベットで休んでたほうがいいぞ。」
「はい、わかりました。」
私は兄さんに言われたとおり部屋に戻り、ベットに入って体温を測ることにしました。


しばらくすると兄さんが飲み物と薬を持ってきてくれました。

「桜、何度かわかるか?」
「37.4度です…。」
「まだ低いほうだけどゆっくりしておかないとな…明日はじっくり休んでおこうな?」
「で、ですけど兄さん、明日はお買い物の約束が……。」
「桜のほうがずっと大事だよ。大切で大好きな、唯一の家族なんだから心配させられる側の気持ちにもなってくれ。」
「はい…。」

兄さんに大好きと言われました…涙が出そうです…。

「桜、苦しかったらすぐ言うんだぞ。今日はそばにいてやるからな。」
「はい兄さん。あ、あのできれば一緒に…寝てもいいですか…?」
「桜はいつもは無口なのに風邪をひくと随分甘えん坊になるんだなぁ~。可愛いこと言ってくれるじゃないか。」
「一緒に寝てもいいんですか…?」
「明日買い物に行けないぶん、治るまで一緒にいるよ。」

思考が速くなる。兄さんのことでいっぱいになる。
嬉しい。嬉しい。嬉しすぎます。
兄さんは私のことが好きなんです。そうに決まっています。
だから兄さんは私と結ばれるべきなんです。
そうです、そうに違いないです。
邪魔な奴はもういない。
兄さんは私がいれば十分です。
私も兄さんがいなきゃおかしくなりそうですから兄さんと私が結ばれるのは当たり前のことです。

「兄さん迷惑かけてごめんなさい…。」
「大丈夫だよ桜。迷惑なんかじゃないからね。桜、早いかもしれないけどもう寝ようね。」
「はいわかりました兄さん。」

そう言って私は瞳を閉じました。
でも寝れそうにないです。兄さんが頭を撫でてくれます。
それだけでも興奮して眠れません。
ですが兄さんに心配をかけてしまうのは良くないです。だから寝なきゃいけません。


603:キモウトとひきこもり兄Ⅴ
10/11/05 05:20:54 j4pcydiq
数時間後

やはり起きてしまいました…。身体を起こしてあたりを見回しますが真っ暗で何も見えないです。
それでも兄さんの温かさは感じれます。

はぁ…兄さんの寝顔がこんなに近いなんて……。

あぁそうでした、兄さんに携帯のことを言っていませんでした。
でも大丈夫かもしれません。兄さんは私のことが大好きですから他の女とくっつくことなんてありえないです。

兄さんに近づいて兄さんの温かさを感じます。
兄さんはどこか窮屈そうな表情でしたが今日は兄さんに甘えたいです。
明日はもっと兄さんといつもはできないことをするんです。

兄さんの唇を指でなぞると兄さんはもぞもぞとしました。可愛い、食べてしまいたい。
キスは今はできないですが、抱きつくことならできます。

私は兄さんにもっと近づいて抱きつくような状態で寝ることにしました。

あぁ…兄さん大好きです。
だからこそ兄さんに、私を選んでくれた兄さんに尽くしたい。
兄さんにされることなら何でも嬉しいです。

「兄さん、おやすみなさい。」


(瀬里朱side)

日本に戻ってくるのは何年ぶりだろうか……。
君と別れてからも少しは日本にいたが君との思い出のないことはどうでもいい。

君にまたあえて良かった。今日は心からそう思った。
君との思い出は私にとってとても大事なものだ。それはこれからも変わらないだろう。

アルバムをめくる。そこには小さい頃の私と君がいる。
昔の君はこんなに笑っていたのに、どうして今の君は笑っていなかったんだ。
君に何かあったのか心配だ。私が君を守れなかったせいなのか?
でも大丈夫だ。ここにいる限り私が君を守る。君の敵は私が殺す。

君はいつも私を引っ張ってくれていたな。
奇異な目で見られ、虐められていた私を守ってくれた。
その頃からずっと君を想い続けているよ。今度は私が君を守る番だ。

「一人……。」

愛しい君の名前。君が好きだ。
私にはお金も権力も知恵もある。君が好きなものは何だって買ってあげられる。
もちろん私も君に相応しい人になれるように頑張ったんだ。
だから君は私と生涯を共にするんだ。そうだろう一人?

私しかいないこの家は君との家にしてもいい。
嫌なら世界中どこにでも作っていい。どんな豪邸でも君のためなら惜しまない。
君さえいれば私はいい。
だが私以外の女を作ったら君でも許さない。君を殺してでも一緒にいよう。

「おやすみ一人。愛しているよ。」

アルバムを閉じ、ベットの明かりを消した。


604:名無しさん@ピンキー
10/11/05 05:21:44 j4pcydiq
転載終わり

171 :キモウトとひきこもり兄Ⅴ [] :2010/11/03(水) 12:03:22 ID:hRsAW5Cw (7/7)
これで今回は終わりです
書くのが良くて月一ペースと遅いので何かと迷惑かもしれませんが
最後まで書いていきたいのでよろしくお願いします


605:名無しさん@ピンキー
10/11/05 18:32:21 lQlT458+
転載乙!

投稿GJ!
次回にも期待!

606:名無しさん@ピンキー
10/11/05 19:28:22 qkbO1Oew
よし来た
これからの展開に期待できるな

607:名無しさん@ピンキー
10/11/05 20:55:20 k3GH3Yv5
天才ありがとう!

608:幸せな2人の話 10
10/11/05 21:57:29 d75ZZSrY
今晩は。
表題について投下いたします。

609:名無しさん@ピンキー
10/11/05 21:58:03 d75ZZSrY

お兄ちゃんと約束をしてから2週間が経った。
そして、来月の終わりに私とお兄ちゃんは二人で、私達の約束を母さんに伝える。


今日も3人で夕飯を食べて、後片付けをして、いつもの様にお茶を3人分淹れてから居間に入る。
お兄ちゃんはまだ居ないみたいで、姉さんが鼻歌を歌いながら上機嫌で髪を梳いていた。
その度にさらさらと姉さんのビロードのような黒髪が揺れる。
「あら、どうしたの~?」
姉さんがのほほんとした様子で私に問いかける。
「気にしないで、姉さんの髪ってきれいだなって思っただけ」
私はお茶を姉さんの前に差し出す。
「くす、ありがとう」
姉さんの手元を何気なく覗くと、見たことのない小さな櫛が握られていた。
「あれ、いつものブラシじゃないの?」
「ふっふっふ~、良い所に気付いたね~」
姉さんはひらひらと私の目の前で櫛を揺らす。
「兄さんが私にちょっと前にプレゼントしてくれたんだよ。
 いつもありがとうって、良いでしょ~?」
私はその細かな細工のされた、綺麗な櫛を見つめていた。
手で削り出されたのが良く分かる丁寧な造りの歯で、まるで姉さんの髪の為に作られたみたいだった。
「も~、ダメだよ。
 そんなに羨ましそうな目をしてもあげないんだから」
姉さんが櫛を両手で握って、冗談っぽく笑う。

610:幸せな2人の話 10
10/11/05 21:58:24 d75ZZSrY
「ううん、いらないわ」
別に櫛が羨ましかった訳じゃない、私には姉さんみたいな髪は無いもの。
ただ、一つだけ気になった事があった。
「それは、お兄ちゃんが選んでくれたの?」
「そうだよ。
 いきなり渡されたから、初めは何なのか分からなくて困っちゃったわ。
 でも、こうして使ってみると本当に私に必要だった物そのものね。
 くすくす、兄さんは本当に雪風の事を良く分かってくれるんだよ」
姉さんがとても嬉しそうに言う。
お兄ちゃんを一番知っているのは姉さん。
姉さんの事を誰よりも分かっているのはお兄ちゃん。
それは私達が恋人になってからも変わらない。
お兄ちゃんと姉さんは昔から何をするのも、好きなものも、嫌いなものも、全部一緒だった。
別に二人で示し合わせている訳じゃないのに。
お兄ちゃんが何かを選べば、姉さんも当然それを選んでいる。
それが二人にとっての当たり前。
私はずっとそんな二人を見ていた。
「くす、シルフちゃんだって兄さんから素敵なプレゼントを貰っているじゃない。
 いいな~、私にも分けてくれないかな~?」
姉さんが物欲しげにトラ達を目で物色する。
「駄目、あげない」
私は部屋の隅に寝かせておいたトラ、タロ、ジロを姉さんから遠ざける。
みんなお兄ちゃんから貰った大切な子達だ。
「うふふ、いいな~。
 ふわふわのトラちゃんかな~?
 それとも、もこもこのタロちゃんかな~?
 やっぱり、もふもふのジロちゃんかな~?
 みんな枕みたいにふかふかだな~」
……話は変わるけど、最近トラ達が明らかに平たくなっきている。
あと、姉さんぐらいの長い髪の毛が付いていたり。

611:幸せな2人の話 10
10/11/05 21:58:48 d75ZZSrY
「別に姉さんが羨ましがる事じゃないわ。
 みんなお兄ちゃんじゃなくて、お兄ちゃん言われて私が選んだの。
 姉さんみたいに、お兄ちゃんが選んでくれたものじゃないから」
「ふふ、だから最近兄さんがシルフちゃんの事を私に聞いてくるんだ」
「私の事を?」
「そうだよ、すごく真剣な顔でお姉ちゃんに相談するの。
 シルフちゃんの好きな事とか、不安に思っている事とか。
 もちろん、シルフちゃんが喜ぶプレゼントの事もね」
くすくす、と姉さんが楽しそうに思い出し笑いをした。
「可笑しいよね、もう兄さんの方がシルフちゃんの事を良く知ってるのに。
 でも、兄さんってそういう所は昔から純真なままだから、何だか安心するわ。
 くす、それにしても、そんなに兄さんに想われるなんて、お姉ちゃんちょっと妬いちゃうかも?」
「別に姉さんが羨ましがる事なんかじゃないよ
 だって、姉さんもお兄ちゃんもお互いの事で悩む必要なんて無いじゃない」
姉さんは何も言わなくてもお兄ちゃんのことなら何でも知っている、きっとお兄ちゃん以上に。
お兄ちゃんはそんな姉さんの事を理解して、信頼している。
「姉さんとお兄ちゃんは、そんな事しなくても何でも分かりあってる」
私もお兄ちゃんと一緒に居ればそうなれるって思っていた。
でも、結局私にはお兄ちゃんが何を考えているかなんていつまでも経っても分からなかった。
今も、分からない。
あの時、どうしてお兄ちゃんは泣いていたのかも、好きと言ってくれた時のお兄ちゃんの気持ちだって。
姉さんなら当たり前の様に分かるんだろうなって思う。

612:幸せな2人の話 10
10/11/05 21:59:27 d75ZZSrY
「う~ん、逆に分かり合い過ぎちゃうのも難しいんだよね。
 お互いの事が気になって、悩んだりする楽しみが無いわ。
 それは便利だけど、残念でもある事かな?
 だから、シルフちゃんと兄さんみたいな初々しさが新鮮なんだって思うの」
「……姉さん達ってまるで夫婦みたいだものね」
そう思うのは私だけじゃない。
二人は学生結婚をしているから苗字が同じなんだ、って噂を本気で信じている人だって結構居る。
それぐらいに姉さんたちの距離は自然で、何者よりも親密。
「くす、シルフちゃんはやっぱり心配性だね。
 大丈夫、兄さんの恋人はシルフちゃん、それは絶対だよ。
 お姉ちゃんはシルフちゃんの次、だから安心して大丈夫」
そう言って、姉さんが朗らかに笑った。
「大丈夫だよ、兄さんは一途な人だのも」
「この前は、お兄ちゃんは薄情だって言ってなかった?」
「くすくす、言ったじゃない、冗談だよって」
……ずるいと思う。
自分だけはお兄ちゃんから見放されないって知っているのだから。
だから、あんな意地悪な冗談が言える。
「姉さんの意地悪」
「ふふ、そうだよ~。
 雪風お姉ちゃんはと~ってもいじわるなんだよ~」
にやにやと姉さんがわざとらしい表情を作る。

613:幸せな2人の話 10
10/11/05 21:59:58 d75ZZSrY
でも、姉さんの事が嫌いじゃない。
姉さんはとっても優しくて私の事も家族だって思ってくれる大切な人。
それでも、やっぱりずるいって、少しだけ思ってしまう。
だって、姉さんはお兄ちゃんはずっと一緒に居られるから。
私みたいに、いつかお兄ちゃんとただの他人になってしまうなんて事に怯えた事なんて無いのだから。
それは血が繋がっているからじゃない、心が繋がっているからだと私は知っている。
だから、姉さんには私の気持ちが分かって貰えないって思う時がある。
「やっぱり、姉さんは意地悪」
姉さんは答えないで、ただ柔らかい笑顔を浮かべるだけ。
「くす、じゃあそろそろ邪魔者は退散しましょうか~」
そう言って姉さんがぱたぱたと部屋から出る、そして入れ替わりにお兄ちゃんが入ってきた。
私はそっと立ち上がって、お兄ちゃんに向かう。
お兄ちゃんは何も言わないで、優しく私を抱き締めてくれる。
これが、いつの間にか私たちの習慣になっていた。
「私は、お兄ちゃんの恋人だよね?」
「ああ、恋人だよ」
こっそりとお兄ちゃんの向こうに視線を向ける。
ちょっとだけ姉さんに意地悪仕返してみた。
姉さんがお兄ちゃんの背後の扉からそっと私達を覗き込んでいたのが見えたから。
でも、私の視線に気づいた姉さんは、ぐっじょぶ!!、と言うように親指を立ててた。
私みたいな見苦しい嫉妬の気持ちなんて欠片も見せない。
やっぱり、姉さんには勝てないって思う。


……ところで姉さん?
なんで左手にジロを持ってるの?
あれ? 
タロも居ないんだけど……。

614:幸せな2人の話 10
10/11/05 22:00:24 d75ZZSrY
*************************************

ぺたぺたと絵の具を塗りつける。
うん、もうちょっとやっても大丈夫かな?
ちらりと横目で隣の椅子を見る。
雪風は絵を描かずに、俺の隣で一人チェス板を弄くっている。
まだ、俺はシルフとの約束の事を伝えていない。
あの日の雪風の事を考えるとそれを言う事に不安が有った。
いや、いつまでも黙っているわけには行かないか。
「なあ、雪風。
 俺、シルフとの結婚を本気で考えているんだ」
覚悟を決めて雪風に打ち明ける。
「うん、兄さんはちゃんとシルフちゃんに向き合えたんだね」
雪風は俺のほうを振り返り、嬉しそうな笑顔を見せる。
「おめでとう」
「……怒ったり、反対したりしないのか?」
「あら、シルフちゃんの長年の想いが兄さんに伝わって、
 兄さんはシルフちゃんへの想いにちゃんと応えられたじゃない。
 きっと二人にとって一番幸せになれる答えだよ。
 なのに、どうして私が反対すると思うの?」
雪風は不思議そうに答えた。
いつも通りの雪風に思わずほっとした。
ひょっとしたら沙紀の様に虚ろな目でナイフを握って詰め寄ってくるのではないかと恐れていたのが恥ずかしい。
その時に、ふとあのゲームの話を思い出した。
誰も傷つけず、なのに俺を閉じ込めるという今思えば禅問答の様な奇妙なゲームだ。
「じゃあ、お前の最後のゲームっていうのは、もう終わりでいいっていう事だよな?」
俺は一人しかいないから、その俺とシルフが結ばれるという事は雪風にとっては負けを意味するはずだ。
すると、雪風はおかしそうに口元を手で押さえた。
「くすくす、ううん、私のゲームはちゃんとまだ続いているから安心して。
 何て言えば兄さんに分かるかな? 
 私が今しているのはチェスじゃなくてポーカーなの。
 それも配られるカードを拾うだけ、交換もドロップも無い。
 そうね、ベットだけはいくらでも出来るわ、引き返せなくなるまでね」
「続いているか……、それで役は揃ったのか?」
「う~ん、例えるなら4枚カードを開いてワンペアも無いって所かしら」
ちょっと困ったように雪風が返事を返す。



615:幸せな2人の話 10
10/11/05 22:00:43 d75ZZSrY
4枚まで開いて役がない、ならそれは5枚目に何が来ても結果は同じだ。
それは雪風にとっての敗北宣言なんじゃないのか?
「別に、例えゲームに負けても何も変わらないからな。
 もし雪風さえ望んでくれるなら、俺はお前にもずっと側に居て欲しい」
「ふふ、兄さんは優しいね。
 でも、やっぱり私の事を分かっていないんじゃないかな?
 何回も言ったと思うよ? 
 私の望んでいる事はそんな事じゃないって。
 私が望んでいるのは……」
そうだね、と言って雪風が椅子から立ち上がって俺を見下ろす。
「ねえ、兄さん。
 シルフちゃんがしてた事、私もするよ?」
「え、お、おい!?」
雪風が俺に抱きつく。
咄嗟に下を向いて胸元の雪風を見ようとした時、唇と唇が触れ合った。
ほんの数秒だったと思う、なのにそれがとても長く感じた。
「ふふ、シルフちゃんったら、お姉ちゃんが気付いてないとでも思ったのかな?
 ね、兄さん?
 雪風が兄さんの側に居るっていうのは例えばこういうことだよ」
雪風が笑いながら距離を開けた。
頬が高潮している、その朱色が白い肌に映えて綺麗だった。
「くすくす、シルフちゃんがさっきの私達をみたら何て思うかな~?
 あの子が私に色んなコンプレックスを持っている事、恋人なら勿論知っているよね。
 じゃあこの事をシルフちゃんに知られたい? 知られたくない?
 くすくす、なら黙っててあげるから雪風のお願いを一つだけ、聞いて?」
「雪風、お前は!?」
「ふふ、冗談よ、兄さん。
 私はこういう風に兄さんを扱いたい、それが私の幸せだから。
 私が生まれてから、そしてこれからも、ずっと抱き続ける唯一つの願い」
くすり、と笑って確かめるように俺の顔を見つめる。

616:幸せな2人の話 10
10/11/05 22:03:36 d75ZZSrY
「兄さんはそれでも私を側に置いてくれる?
 本当に私を捨てないの?
 それに、私の願いを叶えることが兄さんにできる?」
「俺には、お前の願いをそのまま叶えることはできないよ。
 でも、それでも俺は雪風に側に居て欲しい。
 そして、俺は雪風もシルフも幸せになれる答えを出して見せるよ」
「いつも自信満々で、自分勝手、兄さんらしいね。
 ふふ、期待しないで待っているわ。
 でも急いだ方がいいよ、くす。
 早くしないと兄さんは雪風のモノだよ~?」
言っている事の剣呑さとは裏腹に、雪風は楽しそうだった。
そして、その笑顔には温かみが篭っていた。
はぁ、ったく、清純な顔して物騒な事を毎度毎度言いやがって。
ま、それでも雪風は雪風だな。
「雪風、ありがとう」
だから、ちゃんと言っておかないといけない事がある。
「え、ありがとう?」
雪風は虚を突かれたように俺を見つめる。 
「あ、ええ、どういたしまして。
 あのさ、兄さん、それはどういう意味のありがとうなの?」
「色々な意味が混じってて、自分でも良く分からないんだ。
 ただ、やっぱり俺には雪風が居てくれて本当に良かったって思う。
 何て言うのかな?
 今まで、ずっと俺の為に頑張ってくれて、今も俺の事を一番に考えてくれて。
 それなのに俺は一度もちゃんとお礼を言った事がなかったのを思い出したんだ」
「あら、別にそんなの構わないわ。
 私はお礼なんて要求した事ないもの」
「ははは、そう言えばそうだったな。
 でも、俺が自分に対して疑問を持つことができたのも、
 こうやってシルフとの関係を変える切欠を作れたのも、
 今ここで描きたい物ができた時に絵を描く事ができるのも、みんな雪風が居てくれたからだ。
 きっと、雪風は俺自身以上に俺の事を分かってくれている。
 それだけじゃない、シルフにとっても最高の姉でいてくれる」
そう、どんな思いを秘めていても、雪風は俺にとって大切な存在だ。
今の俺ならば確信をもってそう言い切れる。
「だから、ありがとう」
もう一度、雪風に言った。


617:幸せな2人の話 10
10/11/05 22:04:26 d75ZZSrY
「ああそう、どういたしまして」
如何にも体裁だけ繕ったように、儀礼的な返事が帰ってくる。
雪風はもう笑っていなかった。
いや、多分怒っているといった方が正しい。
何が雪風の気に障ったのだろう?
俺にはそれが分からなかった。
雪風は喋らず、黙って扉に向かう。
「雪風?」
「じゃあ私、先に帰るね。
 ……兄さんは今、幸せなの?」
「あ、ああ、幸せだ。
 でも、それはシルフと居るからだけじゃない。
 お前もここに居てくれるからだよ」
「そう、じゃあその幸せをたくさん楽しんで。
 それは私も望む事だから」
ドアを出る時に雪風が思い出したように言った。
「そうそう、さっき言ったとおり私のカードはまだ役なしだよ。
 但し手札はスペードの10、J、K、Aだけど。
 くすくす、兄さんは運に左右されるゲームが嫌いだから、カードはやらないんだよね?
 私は大好きなんだ、私でも兄さんに勝てる可能性が有るから。
 あのね、10、J、Q、K、Aが同じマークで揃うと」
雪風が振り向いて、指を一本ずつ曲げる。
最後に小指だけが残った。
「絶対に勝てる最高の役が出来るんだよ。
 私が狙っているのはね、初めからそれだけ。
 だから、カードを全部開けないと勝敗は私にも分からない。
 勝負は最後の一枚で全部が決まる、そういうお話なの。
 最後の一枚にQは有るかな、きっと無いよね、無いに決まっている。
 そんなに都合のいい奇跡なんて在る訳が無いに決まっているよね?」

618:幸せな2人の話 10
10/11/05 22:04:47 d75ZZSrY
「それは……」
48枚の内からたった1枚を引かなければいけない賭け。
そんな賭けは俺から見れば負けの先延ばしに見える。
雪風が最後の一本をゆっくりと折り曲げる。
「それでも、勝ってみせるわ。
 絶対に勝って私は兄さんを手に入れる。
 やっぱり、兄さんは私のモノじゃないと、許せない」
けれど、雪風にはそれは勝ちに近づく過程に過ぎないというのだろうか?
雪風の表情には暗い決意が宿っていた。
「なあ、さっきも言ったが俺は雪風の願いに応えることはできない。
 だが、それは雪風の想いを否定する訳じゃない。
 俺は雪風も幸せになれる道を探している、それがどんな形でも構わない。
 例え周りから見れば道を外すような形であっても」
「ふうん、そうなんだ。
 でも、兄さんに私の幸せが理解できるのかな? 本当に」

619:幸せな2人の話 10
10/11/05 22:05:10 d75ZZSrY
雪風は出て行った。
そして、入れ替わりに先生が入ってきた。
「ん、珍しいね。今日は雪風君と一緒に帰らないのかい?」
「え、ええ、そうなんです。
 もうちょっと描いていたい気分なんです」
「ほう、なるほど確かに一段と良く描けているよ」
その後で、軽く首を捻った。
「うん?
 ところで、これは誰の模写かな、私も初めて見る絵だね?」
「いや、これは俺のオリジナルです。
 ちょっとこの前、書きたいなって思うものができて。」
先生は何も答えなかった。
じっと俺の絵を見ている。
何かこの絵にまずい事でもあったのだろうか?
「……そうだね。 
 その手前の女の子はそんなに背景との明暗をはっきりさせない方がいいと思うよ」
そう言って先生が隣の席に着いた。

620:幸せな2人の話 10
10/11/05 22:06:27 d75ZZSrY
以上です。
ありがとうございました。
また次回もよろしくお願いいたします。

621:名無しさん@ピンキー
10/11/05 23:13:06 g+y8LFEG
いつもご苦労様です
次回期待してます

622:名無しさん@ピンキー
10/11/05 23:17:00 j4pcydiq
GJ
雪風がほんと分からん

623:名無しさん@ピンキー
10/11/05 23:46:21 pL6FDD2p
GJ!続き楽しみにしてます。

最後の女の子の絵の件が不気味ですね…


624: ◆wBXWEIFqSA
10/11/06 03:10:06 xuKm5et9
>>508の続きを投下します
今回は少し長いですがエロ無しです。
流血はありませんが、暴行シーンなど不快に思われる展開はあるので嫌な人はスルーして下さい。

625:狂依存 20
10/11/06 03:10:47 xuKm5et9
翌日
「ただいま……」
と言っても誰もいないんだけどね。
麻由お姉ちゃんは今日は帰りが遅くなるとか言ってた。
「夕飯はっと……」
作ってあったか。
意地でも僕には家事をやらせないつもりなのだろうか。
何が麻由お姉ちゃんをそこまでさせるのだろう。
「ちょうどいい機会か……」
自室に篭り、ベッドで横になって色々考える。
何故麻由お姉ちゃんがあんな風になってしまったのか。
生まれた時からずっと大好きだった。
物心つく前から、お父さんやお母さんの言う事は聞かなくても、麻由お姉ちゃんの言う事だけはちゃんと聞いていたと、両親は言っていた。
生まれながらのお姉ちゃんっ子だったそうだ。
本当に小さい頃、幼稚園ぐらいの時はとても仲が良かった。
何処へ行くのもいつも一緒で、本当に良く面倒を見てくれた。
そんなお姉ちゃんが大好きで、いつしか本気で結婚したいと思い始めて、麻由お姉ちゃんは僕のお嫁さんになるとか言い出し始めた。
でも、僕が小学生になる前後から段々構ってくれなくなって、僕に対する態度も冷たくなった。
人目も憚らずベタベタくっついて来た僕に嫌気がさして来たのだろう。
今考えれば当然の事だ。
だけど、それでも全然嫌いになれなくて、麻由お姉ちゃんにベタベタするのを止める気にはなれなかった。
むしろ、邪険にされればされるほど、どんどん過激になって来た気もする。
いつからだったろう?
麻由お姉ちゃんに変な事しなくなったのは……

フフフ……
もうすぐ、麻由お姉ちゃんの15歳の誕生日。
今年もちゃんと麻由お姉ちゃんのプレゼント買ってあげるからね。
「夫が妻の誕生日を祝うのは当然だよね。」
これを機に一気に嫁との距離を縮めておかないと。
今年は何買ってあげようかな。
「去年は確かストラップをあげたんだっけ。」

「麻由お姉ちゃん、お誕生日おめでとう!ハイ、これプレゼント。」
「……ありがとう……」
ムスっとした表情でお礼を言い、プレゼントを受け取る。
もう、素直じゃないんだから。
「えへへ、受け取ってくれて嬉しいよ。」
もっと喜んでくれて欲しかったけど、今はこれでいいや。
「用はそれだけ?」
「え?あ、うん……」
うーん、もっと甘々な展開を期待してたんだが……
「そう。なら、とっとと出てって。私やる事あるから。」
「麻由お姉ちゃん、良かったら今夜は夫婦二人で一緒に甘い夜を……」
「いいから、出てけつってんだろうが!」
バンっ!
「もう、照れる事ないのに……」
まだまだ、素直になれないんだね。
まあ、まだ慌てる様な時期じゃないか。
じっくり行こう。うん。


626:狂依存 21
10/11/06 03:11:33 xuKm5et9
って感じだったか。
あれから、夫婦仲は一向に進展してない気もするから、今年は何とかしないとね。
「麻由お姉ちゃん……」
「あっはははは!うっそ、それマジ?超受けるじゃん。」
リビングで友達と携帯電話で話をしているみたいだな。
「それで、どうなったの?うん……」
むう、麻由お姉ちゃん僕が去年あげたストラップ全然使ってくれてないなあ。
その前の年にあげた、ブローチも使ってくれてる様子がないし……
うーん、麻由お姉ちゃんのお気に召さなかった様だな。
嫁が喜ぶものをちゃんと理解出来ない様では、僕もまだまだ修行が足りないみたいだ。
今年はちゃんと、麻由お姉ちゃんが喜ぶものをちゃんとあげないとね。
「あ、そう。うん、じゃあね。」
ようやく通話を終え、リビングから出てくる。
「麻由お姉ちゃん、もうすぐ誕生日だよね。何か欲しい物ないかな?」
「ああ、別にないわよ。」
うーん、去年も同じ事言ってたな。
「でもでも、今年はちゃんと麻由お姉ちゃんが欲しい物あげたいし。あっ去年あげたストラップどうしたのかな?やっぱり気にいらなかった?」
「さあ、どうだったかしらね……」
この表情見る限り、気に入らなかったみたいだな……
今年はどうしよう?
「ねえ、麻由お姉ちゃん。今年は二人で楽しく過ごせると良いね。」
出来れば、姉弟の一線を超えて夫婦の契りを……
「ふん。」
ドンっ!
「あん!もう……」
僕の肩にわざとぶつかって、部屋に行ってしまった。
相変わらずのツンデレさんだなあ。
でもこれは、麻由お姉ちゃんの頑なな心を開かす事の出来ない僕がいけないんだよね。
うん、頑張らなければ。

「麻由お姉ちゃんが喜びそうなものはっと……」
翌日、近所のデパートの小物売り場に出向き、プレゼントを探す。
あれなんか……いや、高すぎるな。
お小遣いに限りがあるから、あんまり高い物は買えないしなあ。
本人に聞いてもわからない以上、自分で考えるしかない。
ストラップはダメ、ブローチもダメ、その前の年にあげたぬいぐるみもダメとなると……
「うーん、難しいな……」
とりあえず、今日の所はこのくらいにして明日は……ミニバスの練習があるから、明後日出直すか。
誕生日は3日後だからまだ少し時間はあるしね。

「はあ~、今日の練習はきつかったな……」
やたらと走り込みやらされて、足が痛い。
さっさと帰って、部屋でゴロゴロしようっと……ん?
あれは……
麻由お姉ちゃんではないか。
むむ?何やら知らない男と歩いてるぞ。
くっ、いくら麻由お姉ちゃんが世界一可愛いからって人の嫁に手を出そうとするとはけしからん!
こんな悪い虫は排除してやらねば。
「という訳で後をつけます。」
「へえ、あいつがねえ。」
「そうなんだよ。マジで受けるだろ。」
むむ……何やら悪い雰囲気ではなさそうだぞ。
万が一に備えて最低でも奴の顔を覚えておかねば……
くそ!暗くてよく見えねえな!
「じゃあ、私こっちだから。」
「あ、あのさ……」


627:狂依存 22
10/11/06 03:14:26 xuKm5et9
「ん?何?」
「その……えと……これ、読んでくれるかな……」
「……」
「じゃ、じゃあ!返事はいつでもいいからな!」

……
あの手紙は……いや、言うまでもないか。
麻由お姉ちゃんやっぱりモテるんだなあ、当たり前だけど。
「って、関心してる場合じゃねえ。」
今僕の前を駆けていったが、ちらっと見た限りでは背も高くて、中々のイケメンだった気がする。
くっそお、あれはウチの嫁なんだぞ!
まだ素直になっていないとは言え、僕と将来を約束した仲なんだ。
※そんな約束していません。
何とか断ってくれれば良いんだが……

「ただいまー。」
麻由お姉ちゃんより、少し遅れて家につく。
むう、誕生日プレゼントの前に課題が出来てしまったな。
何とかしないと。
「あ、麻由お姉ちゃん……」
ちょうど部屋の前でばったり、会った。
「何?」
「えっと……その…」
「用がないなら、もう行くわよ。これから塾に行かないといけないんだから。」
「あ、ちょっと……」
行っちゃった。
見た限りいつも通りみたいだが……
やっぱり、ああいうのには慣れているんだろうなあ。
流石は僕の嫁だ。
っと感心してる場合ではないな。これはチャンスだ。
麻由お姉ちゃんの部屋にこっそり入って、あの手紙をどうしてるか確かめねば。
「おじゃましまーす。」
ええと、あの手紙は……机の上にはないな。
確か鞄の中に入れたと思ったから、鞄に入ってるのかな。
学校指定の通学鞄だから、別に覗いても大丈夫だよね。
「うんと……」
ないな……
となると引き出しかな。
流石に気が引けるな……
「うーん、もしかしたら制服のポケットの中にでも……おわ!」
何か足で蹴飛ばしちまった……ってゴミ箱か。
すぐに元に……ん?
何か紙をビリビリに破って丸めたような、ゴミが一つ……むむ?
「(これは……?)」
すぐに丸めたゴミを、開くと……
「これは、封筒みたいだな……」
って、まさか?
あの時もらった手紙か?
こんなすぐにビリビリにしなくてもいい気がするが……
まさかイタズラか何かだったとか?
いや、これ封も切ってないみたいだし……
「麻由お姉ちゃん……」
麻由お姉ちゃんの浮気は断じて許さんが、流石に読みもしないで破るのはどうかと……
まさか、いつもこんな事してるのか?
「……」
破いて丸めてあった手紙を広げて、中身を確認する。
………
やっぱり、ラブレターみたいだな。
さっきまで憎くて仕方なかったが、流石に少し可哀想だ。
何か複雑な感情を抱きながら、手紙をゴミ箱に戻し部屋を後にした。

628:狂依存 23
10/11/06 03:15:21 xuKm5et9
「麻由お姉ちゃん……」
あの後しばらく考え込んでいた。
一応あいつだって精一杯勇気を出して、あの手紙を渡したんだろうから一通り目を通すぐらいはしてやれば良いのに。
それなのに、あんなにしちゃって……
「……まさか、僕があげた誕生日プレゼントなんかも……?」
去年あげたストラップも一昨年あげたブローチも全然使ってないし、その前の年にあげたぬいぐるみも部屋にはないし……
「ただいまー。」
「あ、おかえり。」
おっ、帰ってきたか。
「はあ、今日は宿題やたらと出ちまったな……」
「ねえ、麻由お姉ちゃん。」
「ん?」
ちょっと言っといた方がいいかもしれないな。
「あの……えと…今日ミニバスの練習の帰りに偶然見たんだけど、男と一緒にいたよね?あれって……」
「ああ……去年同じクラスだった奴よ。それが何か?」
「えっと……その時、その人に何か手紙の様なものを渡されたのを見た気がするんだけど、あれってまさか……?」
「………」
「ほ、ほら!僕は麻由お姉ちゃんの夫となるんだから、変な虫が付かないか見守る義務があるもんね!うん!」
とりあえずこれでごまかせるか……?
「それが、あんたに何の関係があるのよ?」
「あるよ!大有りだよ!自分の嫁がラブレターなんか貰ったりなんかしたら心中穏やかではないよ!うん!」
「いや、もしかしたら何かのイタズラかもしれないし、変なものが仕込んであるかもしれないから、ちゃんと中身を確認したほうが良いよ!うん。」
く、苦しいかな……?
「あんたに何でそんな事指図されないといけないのよ。バッカじゃないの。」
一応心配してるんだけどなあ。
「だから…その、手紙を貰ったらすぐ捨てたりしないでちゃんと読んで、どんなものか確認しておいた方が良いと思ったり、何だったりすると思うんだ……」
って、やばっ……!
いや、いいか。勝手に入ったのは悪いけどはっきり言っとこう。
「そういう事か……人の部屋を勝手に!」
ガシっ!
「ご、ごめんなさい!遂……」
胸倉を掴んで、僕を睨み付けてる目が本当に怖い……
これは本気で
麻由「あんたが、私の部屋にしょっちゅう勝手に入ってるのは知ってるわ。でも今まで、部屋が荒らされたり、私の物を勝手に持ち出したりしなかったから、見逃しといてやった。一々追求するのも面倒くさいからね。」
「………」
「だけどなあ、人の部屋勝手に荒らしてプライバシー侵害した挙句、私が貰った物の事で何でアンタに説教されなきゃいけねえんだよ?ああ!?ごらぁ!!」
バシっ!ドカっ!ドンっ!
「ごめん!その事は本当に謝るし、もう二度としないから!イタっ!」
バチっ!ドスっ!ドンっ!
「てめえの謝罪なんか、今更信じるわけねえだろ!あんたのせいで私がどれだけ恥じかいたと思ってんの!もう我慢の限界だ!」
怒鳴りながら、容赦なく殴打や蹴りを加えてくる。
こんなに怒った麻由お姉ちゃん久しぶりかも……
ドカッ!ゴンっ!
「う……ごめんなさい!ぐえっ……」
「はぁ……はぁ……ふんっ!」
ドスっ!
度重なる殴打で虫の息になって倒れていた僕を思いっきり蹴り上げ、ようやく終わる。
「しばらく、あんたなんか顔も見たくないわ。さっさと出てって。」
「あ、あのね、麻由お姉ちゃん。麻由お姉ちゃんはあの人の事どう思ってるのかな?もしかして何か嫌な事されたりしたの?」
「私があいつの事をどう思おうが、何の関係もねえだろ。ああ!!?」
ドスっ!
またおもいっきり蹴りを加える。
うう……ちょっと骨折れちゃうかも……
「別にあいつの事なんか、何とも思っちゃいないし、付き合う気もないわよ。ったく、お前に限らず、男ってのはちょいと良い顔すりゃ、調子に乗りやがって。」



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