キモ姉&キモウト小説を書こう!part32at EROPARO
キモ姉&キモウト小説を書こう!part32 - 暇つぶし2ch500:名無しさん@ピンキー
10/10/29 00:22:34 /44qEKDU
GJ
る意味当然だけど、幸一の春子の信用してなさにはワロタ

501: ◆wBXWEIFqSA
10/10/29 03:20:11 c2Sj2Nz/
>>373の続きを投下します。
今回もエロ有りです。


502:狂依存 13
10/10/29 03:20:53 c2Sj2Nz/
「はぁ……」
本当にどうしよう。
どうしてこんな事になったんだろう?
どうすれば諦めてくれるんだろう?
考えても思いつかない。
家を出るか?
いや、行く当てなんかある訳ない。
友達の家に泊まりこむと言ったって、何日もお世話になる訳にはいかないし、それでは何の解決にもならない。
誰かに相談すると言ってもこんな事誰にも相談出来ない。
第一実の姉に迫られて困ってます、なんて誰に相談すれば解決するんだ?
両親にも友達にも相談出来るような事じゃないしなあ。
彼女を作れば諦めて……いや、あの様子では難しいだろうな。
そもそもウチは男子校だから、異性との出会いなんて皆無だし、元々特に親しい女子もいない。
「(つか、そんな理由で彼女作るなんて、相手にも失礼だよな……)」
やっぱり、自分で説得するしかないか……
「では、この例文の訳を……三船。」
「はい。」
そうだ、今は授業に集中しよう。大事な時期なんだしな。

キーンコーンカーンコーン
「はぁ……もう終わりか。」
授業が終わるのがこんなに憂鬱なのは初めてかもしれない。
「よう、大輝。一緒に帰ろうぜ。」
「あ、ああ……」
いつも一緒に帰ってる友人達と下校する。
何とか話を合わせていつもの様に振舞ったが、その間もずっと麻由お姉ちゃんの事が離れなかった。
もしかしたら、こんな日常ももうすぐ終わってしまうかもしれない。
そんな予感さえしてきてしまった。

「大輝。お風呂沸いたから、先に入っちゃっていいわよ。」
「あ、うん。」
夕飯も食べ終わり、部屋でテレビを見てくつろいでいた所、麻由お姉ちゃんがそう告げてきた。
昨日あんな事言っていたけど、今の所何もしてこないな……
朝も普通に起こしてきたし。
まあ、今日は気分が乗らない日なのかな。
こういう平凡な日々がずっと続くと良いんだけど……

「はあ……」
頭を洗い終わり、思わず溜め息をつく。
これからの事を考えると溜め息しかでない。
毎日あんな事されたら、本当に何をしてしまうかわからない。
麻由お姉ちゃんはどうしてあんな風になっちゃたんだろう?
ずっと考えているが、検討がつかない。
「どうしてなんだ……?」
何か些細な事が原因かもしれない。
必死に記憶を辿ってみる。



503:狂依存 14
10/10/29 03:21:35 c2Sj2Nz/
「ねえ、お母さん。もうお風呂入っても良い?」
「ん?ああ、今お姉ちゃんが入っているから、もうちょっと待ってて。」
「わかった。じゃあ、すぐ入っちゃうね。」
「うん。」
「………え?」
ふふふ、麻由お姉ちゃんと一緒にお風呂っと。
僕達は夫婦になるんだから、一緒にお風呂に入って裸同士の付き合いをするのは当然だよね。
うん、一分の隙もない正論だ。
「ここ何年か一緒に入ってなかったからなあ。」
最後に入ったのいつだったっけ?
最近は恥ずかしがって一緒に入ってくれないけど、そろそろ一緒にお風呂に入ることぐらいには慣れてもらわないとね。
後何年かしたら、もっとエッチな事する関係になるんだから……
ガラっ
「麻由お姉ちゃん、僕がお背中流してあげるよ!」
「………!」
おっ丁度体を洗っている所だったか。
麻由お姉ちゃん、中学生になってから本当にスタイル良くなったよなあ。
テレビや雑誌で見るどのモデルよりも、麻由お姉ちゃんが一番可愛いよ。
「えへへ、僕も体洗うの手伝ってあげるよ。ええと……」
「………いい加減にしろおおおおっっっっ!!!!」
スコーン
うおっ!洗面器が顔面にモロに……
「ああん、何するの、麻由お姉ちゃん。」
「それはこっちの台詞だ!一体何度言えばわかるのよ!!入ってくるんじゃないって言ってるでしょうがっ!!」
もう、素直じゃないんだから……
「麻由お姉ちゃん、僕たち大人になったらもっと凄い事するんだからこのぐらいで恥ずかしがってちゃ……ぐはっ……」
「いいから出てけっっ!!」
バンっっ!!
「大輝っ!あんた、また何やってるのよっ!」
「ええ?何で姉弟でお風呂に入っちゃいけないの?それに僕達は将来夫婦になるんだし……」
「いつまでも、馬鹿な事言ってるんじゃないの!あんたももうお姉ちゃんと一緒に風呂に入る年じゃないって言っているでしょうが!」
「お母さん!私が出るまでその変質者縛っといて!!もう我慢の限界よ!!」
うーん、相変わらず麻由お姉ちゃんはガードが固いな。
僕は精通まだだから、間違いが起こる事はないのに……
いや早いとこ精通済まして、間違いを起こしたいんだけどね。
「大輝!こっちに来なさい!」
「ちょっ!パンツぐらい履かせて……」
今日の所はこれで退散しとくけど、近い内に一緒にお風呂でエッチな事しようね、麻由お姉ちゃん。

「……あれ?何だこの記憶は?」
おかしいな?こんな事あったけ?
きっと宇宙人とかに植え付けられた、偽の記憶か何かだよな、うん。
「はははは、そうだよな。こんな馬鹿な弟いる訳………」

……


504:狂依存 15
10/10/29 03:23:11 c2Sj2Nz/
ヒイイイィィィィィっっっ!!似たような記憶が、まだまだたくさん溢れ出てくるっ!
あの後しばらく麻由お姉ちゃんが風呂に入ってる間、手錠かけられてたんだっけか!
「ごめんなさいっ!ごめんなさいっ!ごめんなさいっ……」
もうそれしか言葉が出ないです。
ひでえ!酷いなんてもんじゃねえ!
いくら麻由お姉ちゃんの事が好きで好きでしょうがなかったからって、何故あんな事を……
つか、嫁とか夫婦とか何を根拠にそんな事言ってたんだ?
別に結婚の約束もした覚えもないし……
正直、子供の頃の事は変な熱に浮かされていたとしか説明のしようがない。
ああ、麻由お姉ちゃんは何年も僕が今味わっていた様な苦しみを味わっていたんだね……
だったら、今の麻由お姉ちゃんを怒る資格は僕には無いのかもしれない。
「もしかして、あの時の仕返しをされてるのかも……」
いや、だったら男女の関係をあそこまで必死になって迫ってくるのは変だよな。
あんな事されたら、冗談でも好意なんか持つ訳ないし……
うーん、わからない。
とにかく、今この状況をどうするか考えないと
ただでさえ麻由お姉ちゃんは弟の目から見ても美人でスタイルも良いのに、これ以上迫られたら……
何とか説得して止めさせないと。
大丈夫。話せばきっとわかってくれるよ……

ガラっ
「っ!?」
「大輝♪一緒に入ろう。お姉ちゃんが体洗ってあげる。」
「ええ!?ちょっと駄目だよ!」
バスタオルも巻かないで、堂々と入ってくるなんて……
でも麻由お姉ちゃんの裸……
本当に綺麗だな……
「ふふ……何じろじろ見てるのよ。お姉ちゃんの裸そんなに見たい?いいわよ、好きなだけじっくり見て……」
「い、いいから早く出てよ!出ないなら僕が出るから!」
「そんな事言って……本当はお姉ちゃんとエッチな事したいんでしょ。」
ふに
うっ!
後ろから抱き着いて、背中に胸を押し付けてくる。
ああ……おっぱいが直に背中に当たって気持ちいい……
ふにふに
「ふふふ……ほら、もう大輝のち○ぽこんなに大きくなって……やっぱり私に欲情してるんじゃない。実のお姉ちゃんなのに……」
だからこんな事されたら、誰だって反応するの!
「その元気なおち○ちん、私のおま○こに入れてほしいなあ……」
「うっ……!」
麻由お姉ちゃんは手でち○ぽをコキながら、耳元で甘く囁いてくる。
これは悪魔の囁きそのものだ。
「ほら……ちゅっ、ちゅっ……早くぅ……ちゅっ……」
「麻由お姉ちゃん、もう止めよう。お願いだから……ね? 」
「……ちゅっ、ちゅっ……うん?何か言った?……ん、んちゅっ……」
僕の言ってる事を完全に無視して胸を押し当てながら耳元や頬にキスし、手で肉棒をさすってくる。
「ちょっと、いい加減に……」
「こんなに勃起させちゃって……口じゃ拒否しても体は嘘を付けないみたいね。」
そんな、悪役みたいな台詞言わないでよ。
「ふふふ……さあ私がお背中流してあげるね。」
そう言うとボディソープを自分の体中にかけ、泡立たせていく。
やっぱり、そう来るか……
「さあ、行くわよ……ん、んっ……」
麻由お姉ちゃんは僕の背中にたっぷりと泡立たせたおっぱいを押し付け、優しく擦ってくる。
擦れ合う感触が本当に気持ち良い……
柔らかい乳房と乳首を使い背中を丁寧に万遍なく洗い、手を使って僕の胸の辺りをゆっくりとさする。
「(う……乳首を指で……)」


505:狂依存 16
10/10/29 03:23:57 c2Sj2Nz/
「どう?気持ち良い?ふふふ……こんなにおち○ちん勃起させて……変な我慢したら体に良くないわよ……」
肉棒を指でくりくりと弄り、耳元で囁く。
本当に何が何でも僕に襲って欲しいのか……
「ん……んっ……ほらっ…んっ……早くぅ……お姉ちゃんを犯してえ……んっ……」
もう無理にでも突き飛ばして……いや、麻由お姉ちゃんに怪我させちゃ悪いし……
でも、止めてって言っても聞かないし……とにかく今は耐えるしかないか……
「んっ……ん……もう、背中はこのぐらいでいいわね。大輝、こっち向いて。」
「え?」
麻由お姉ちゃんの方を向くと、またボディーソープを体にかけ泡立たせる。そして……
「んしょっと。ふふ……」
「ちょっとっ!何……」
今度は真正面に向かい合ったまま、乳房を僕の胸に押し付けてきた。
うう……この態勢はやばすぎるだろ……
「はあ……んっ……大輝の胸もこんなに逞しくなって…んっ……んっ…」
「お姉ちゃん、この胸で思いっきり抱かれたいな……んっ……んちゅっ……」
僕の胸をおっぱいで擦りながら、顔にキスしてくる。
その快楽は豊満な乳房がもたらす快楽と連動して凄まじい物であった。
「ん、んく……ちゅっ…大輝……愛してるわっ…ちゅっ……お姉ちゃんはあなただけがいればいい……ん……ちゅっ…」
「麻由お姉ちゃん……僕だけがいればいいなんて悲しい事言わないでよ……」
もし本気で言ってるのだとしたら寒気がしてくる。
どうしてだ。何でそこまで……
「あん……大輝のおち○ちん、少し萎えちゃったね……また勃たせないと……」
「ん……んっ……お姉ちゃんの手でまた元気にしてあげる。……んっ……」

う、また手でコキ始めてきた……
泡でヌルヌルと滑りやすなった柔らかくてしなやかな指が、陰茎を優しくさすり、肉棒を徐々に膨張させる。
「うふふ……また大きくなった……ねえ?これ、お姉ちゃんのおま○こに入れて欲しい?」
僕のち○ぽを軽く握りながら尋ねてきた。
「…(ぶんぶん)」
目を瞑り爆発しそうな欲情を必死に抑えながら、首を振る。
もう、早くイカせて……
「『僕のおち○ぽを麻由お姉ちゃんのおま○この中に入れて下さい』ってちゃんと言ったら入れてあげる。言わなきゃ入れてあげない。入れたかったら、自分で入れるのね。」
うう……この言葉責めは本当にきつい……
耳元で囁かれる麻由お姉ちゃんの言葉一つ一つが、理性をどんどん破壊していく様な感じだ。
むにゅっ。
「ほら……この逞しい肉棒で……んっ…エッチなお姉ちゃんのおま○こを早く犯してえ……ん、ほら……」
太股でち○ぽを軽く弄りながら、おっぱいを僕の胸に押し付けて擦り、耳元で挑発していく。
麻由お姉ちゃんは言葉責めと軽い愛撫で焦らしながら、僕の理性を徐々に破壊して襲わせるつもりみたいだ。
どうやらこのままイカせるつもりは無いようだな。
「はやくぅ……んっ、お姉ちゃんの処女膜ぶち破ってえ……あっ、うん……」
「(このままじゃ埒があかないな……)」

「あん……ん、んちゅっ……ちゅ、お姉ちゃんのおま○こ……ちゅっ…いつでも大輝のおち○ちん……ん、ちゅっ…受け入れる用意出来てるわよ……ちゅっ、ちろ……」
「麻由お姉ちゃん、ごめん!」
「きゃっ!」
僕は麻由お姉ちゃんを抱きしめると、そのまま肉棒を麻由お姉ちゃんの体に押し付け、強引に肉棒を擦る。
このまま、一線を超えるよりはまだマシな筈……
「あんっ!ちょっと……やんっ!あっ……」
流石に驚いたのか、ちょっと悲鳴を上げ、苦しそうな表情をしている。
「(ごめんね、ごめんね……)」
心の中で何度もそう呟きながら、姉の体を押し付け無理矢理絶頂させようとする。
麻由お姉ちゃんの体をこんな風に使うなんて……
もしかしたら嫌われちゃうかもしれない。
そんな恐怖感を覚えながらも無我夢中で行為に没頭する。
「あんっ!ちょっ、あん……やっ……あっ、あんっ!」
先ほどの余裕に満ちた表情から一転して苦しそうな顔をして、喘いでいる。


506:狂依存 17
10/10/29 03:24:58 c2Sj2Nz/
本当にごめん……
麻由お姉ちゃんのお腹のあたりでバンバン押し付けられた肉棒は、柔肌の心地よい感触の刺激によって徐々に爆発寸前になっていく。
「(うう……出る…)」
「あんっ!はっ!やんっ、あん、は……」
どぴゅっっ!!どぴゅるるるっっっ!!
そのまま、絶頂に達し射精する。
焦らされていたせいか、かなりの量だ。
「(一滴も残らず出し切れよ……)」
どぴゅっっ!!びゅくるるるっっっっ!!!びゅくるる……
ようやく収まり、少し安堵する。
吐き出された精液は主に麻由お姉ちゃんの胸の辺りにかかったようだ。
他にも方法はあったかもしれないけど、何とかこの場は凌いだかな……
とにかく麻由お姉ちゃんの思い通りにはならなかった。
「はぁ…はぁ…ごめん……」
「はぁっ、はぁ……もう……どうせなら、私のおま○こに入れちゃえば良かったのに……」
流石に呆れた表情をしているな。
「さ、早く洗い流して出よう。」
シャワーを出して、二人の体をざっと洗い流す。
流し終わったら、湯船にもつからず、ずっと不満そうな顔した麻由お姉ちゃんを残してすぐにお風呂から出た。
「(あんな顔させちゃって……)」
本当に悪い事をしちゃったな……
例えあんな風になっても、大好きな姉にあんな顔させてしまったのはやはり後味が悪い。
嫌われてなければいいけど……
そう思いながら自室へと篭った。

うう……さっきのは傍から見たら凄くかっこ悪かったかもしれん……
でも、あの場ではあれしか思いつかなかった。
強引に突き飛ばして、麻由お姉ちゃんに怪我させる訳にはいかないし。
そうだよ、あんなに綺麗な体に傷を付ける様な事あってはいけない。
大好きな麻由お姉ちゃんの体に……
でも麻由お姉ちゃん、本当に綺麗だったな……
あの綺麗な体を本当に僕の物にしていいのかな……
麻由お姉ちゃんの体……
欲しい。
嫌、駄目だ。
でも欲しい。それにあの体を他の男に渡したくない。
駄目だ、駄目だ!実の姉なんだぞ!
でも生まれた時からずっと大好きだった。
それに本人だって好きにして良いって言ってるじゃないか。
でも……
いや一回だけなら
一回だけでもあの体を思いっきり犯してみるのも……
お姉ちゃんと麻由お姉ちゃんとセックス……
きっと凄く気持ち良いんだろうな……
いつ襲っても良いって言ってたな。
なら、今からでも……
大輝「って!何考えてんだよ!」
駄目だ、駄目だ!
今の麻由お姉ちゃんとは絶対に一線を超えちゃいけない。
超えたら、取り返しがつかないことになる。そんな気がしてならない。
「落ち着け……落ち着け……」
何とか気を静めないと……
そうだ、学校の課題が結構出てるんだった!
それをやらないと。
そう言い聞かせて机に向かった。


507:狂依存 18
10/10/29 03:25:58 c2Sj2Nz/
ふぅ……もうすぐ終わるな。
気を紛らわせる為、ひたすら課題に集中した所、思ったより早く終わりそうになった。
大気「(課題が終わったら、次は何をしよう……)」
とにかく何でもいいから、何かに没頭して麻由お姉ちゃんの事をしばらく忘れたい。
ゲームでもやるかな……

コンコン
「!!はい。」
「大輝、飲み物持って来たよ。」
「あ、ありがとう。」
良かった……嫌われてはいないみたいだな。
「ふふふ……頑張ってるみたいね。」
「あの……さっきは、本当にごめんね。痛くなかった?」
「別に謝らなくてもいいわ。言ったでしょ?大輝のして欲しい事は何でもしてあげるって。むしろ初めて大輝から私で気持ち良くなってくれて嬉しいぐらいよ。」
いや、気持ち良くなる為とかそんなじゃなかったんだけどな。
「ふふふ、でもあんなにおち○ぽを私のお腹でぎゅうぎゅうして……ちょっとお腹が痛いかなあ……」
うっ……やっぱり。
「ご、ごめん!本当にごめんね!大丈夫?まだ痛むかな?痣とか出来てない?だったら、何か湿布でも……」
「もう、謝らないで良いって言ってるでしょ。大丈夫よ。それに私、大輝が喜んでくれるならどんなに苦しい事や痛い事だって、喜んで受け入れてあげる。」
でも、痛い思いをさせちゃったのは悪いし……
「本当にごめんね。もう二度とあんな事はしないから……」
今度やられたら、また別の方法を考えないと。
「もう、そんな顔しないで……我慢できなくなったらいつでも私の体自由に使ってくれて良いのよ。私をあなた専用の性欲処理の肉便器にしてくれて良いんだから。」
「肉便器だなんて、冗談でもそういう事は言わないでくれよ……」
大好きな姉がそんな卑猥な言葉を平気で使うのは、良い気分がしない。
「冗談なんかじゃないわ。むしろ私をそうやって使ってくれて喜んでくれるなら私も本当に嬉しいんだから。だから、ね……」
ちゅっ。
「いつでも私を犯しに来てね……待ってるから……」
頬にキスした後、僕を抱きしめ耳元でそう囁く。
この囁きは本当に色々とヤバイ。
「じゃあ、勉強の邪魔したら悪いからもう行くね……お休みなさい。」
バタン

「………」
今日の所はこれで終わりか……
でも、本当に何であんな風になってしまったのだろう。
原因を何とか突き止めないと。
でないと近い内に本当に麻由お姉ちゃんと……
そう考えながら再び机に向かった。


508:狂依存 19
10/10/29 03:26:40 c2Sj2Nz/
バタン
「ふ……ふふふふ……上手くいったわ。」
これでもう、あの子は少なくとも今日みたいに私を犯す前に私の体の一部を使って強引にイクような真似はしない。
だって、大輝は私の痛がるような事は絶対にしない優しい子だもん。
ちょっと痛がっただけで、あんなにオロオロして謝って……本当に私の事を大事に思ってくれているのね。
「あの子の優しさを利用するようで悪いけど……」
でもこれは私たちが結ばれて愛し合う為に必要な事。
二人の幸せの為に必要な事なのよ。
それに……
「もう少し、もう少しね……」
お姉ちゃんにはわかるわ。
あの子が本気で私とセックスしたいと思い始めてるって……
さっきあの子を抱いた時、直感的に確信したもの。
「お姉ちゃんはあなたの事何でもわかっちゃうのよ……」
あの子はもうすぐ私を愛してくれる。
もうすぐあの子と結ばれる……
フフフ……今日にでも襲われて処女を奪われちゃうかしら。

「あん、想像しただけで……ふふ、もう……」
あそこに手を伸ばし、軽く自慰を始める。
「あんっ……んふ…楽しみだわ……ん……」
大輝は本当に優しい子。
今も昔も私の事を一番愛して、一番大事にしてくれるのはあの子だった。
今日だって、私に怪我させない為に突き飛ばしたりして強引に追い出そうとしなかったし、さっきもちょっと痛がっただけであんなに済まなそうな顔をして謝って……
「あんっ……んっ……それに引きかえ、昔の私は……んっ、あんっ……」
昔の私は、あの子がちょっとでも私に触れようとしただけですぐ暴力振るったり、暴言を吐いたりして傷つけたり、本気で見下して馬鹿にしていた。
姉を名乗る資格すらない、本当に酷いお姉ちゃんだった。
弟の事なんか少しも考えず、自分の事しか考えてなかった生きてる価値もない醜いゴミクズ以下の女だったわ……
本当にごめんね。でも……
「でも、今の私は違うのよ……」
今はあの子の事を一番に愛して、あの子の幸せを一番に願うお姉ちゃんに……女になったから……
あの子の為に身も心も何もかも全てを捧げる事のできる麻由お姉ちゃんになったから。
「あんっ……はん、あふ、だから……あっ、んふっ……ふんっ……」
だから、もう安心して。
あなたを傷つける麻由お姉ちゃんはもういないわ。
二人で結ばれて永遠に幸せになりましょう。
「だから……あん、はふっ、早くぅ……あんっ!私を犯しにきてえ……はんっ!」
今すぐにでも私の部屋のドアを蹴破って、私を獣みたいに犯して貪り尽くして!
「ふっ、ふふふ……あはははっ……あっははははははっっ!あっはっはははは……」



509: ◆wBXWEIFqSA
10/10/29 03:27:48 c2Sj2Nz/
今回は以上です。


510:名無しさん@ピンキー
10/10/29 11:53:16 vDO6rKGv
>>509
GJ!

好きだって言いまくって、相手が落ちた時には本人は正気に返ってるなんて、
ここではあまり見ないパターンですね
頑張って下さい

511:名無しさん@ピンキー
10/10/29 19:24:53 sPvDg0dx
GJ
待ちわびてたぞ

512:名無しさん@ピンキー
10/10/29 20:41:33 CjWsRCKS
ぉぉ、キモ姉分が満たされていくGJ…!

513:名無しさん@ピンキー
10/10/29 22:14:04 +MiY5pwD
ホント、お姉ちゃんに何があったんだろう・・・

514:名無しさん@ピンキー
10/10/29 23:17:29 fVfzp7PD


515:名無しさん@ピンキー
10/10/30 00:01:46 hyh+LeOh
                         イ´ : : : : : : : `丶、
                     /: : : : :}: : : : : : : : : : : : :\
                    /: : :/ : /| {: : : : : :\ : ヽ : : ヽ
                      /: : :/ : /  |: | \ : : : :/>:ハ: : : :!
                   i: : : |i / 、八{  \:</: :./| : : i|
                   | i: : |/ 斗=ミ-ヘ 、_ 斗=ミく/| : : i|
                   | i: : |i〃_ノ.:ハ   \  _ノ:.:ハ ||| : : i|
                   |八: |}' 弋/(ソ     弋/(ソ / : ;イ:|
                    (,小 "::::::    '    "::::::厶イ人|
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                  /:r',ニフ| 保 |:|∠  ー// : //  `ヽ
                 /: :〈'´/)|  ||:レー、/ / : /´     }
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                 / : :/ /{ハ. |::|   |:|_,∠__/ : /      /:│
             : : / : :/ ヽrh|::l . .|:匸} / : /| /     /):│
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          i : :/ : : : / ´  \ー__,,ノi:i:i人:〔_      ̄\i: :│
          | :/{: : : /     /  〈 (i_i:」シ  \/ ̄ ̄ ̄∧ 〕.:│
          ∨人_ハ|     /   \       丶、  / ̄リ: :

516:幸せな2人の話 9
10/10/30 00:33:00 c6XKT+pu
こんばんは。
表題について、投下いたします。

517:幸せな2人の話 9
10/10/30 00:33:21 c6XKT+pu
お兄ちゃんと私は、母さんに私達の思いを伝えるって約束をした。
だからといって何かが変わったわけではないと思う。
お兄ちゃんのご飯を作って、居間の掃除や洗濯物を干す。
夜になると私はお兄ちゃんに抱っこされながらテレビを見ている。
最近はライオン(ぬいぐるみ)のトラも一緒だ。
そんな私達を姉さんがにこにこと見守る。
その、偶に姉さんに隠れてこっそりキスとかもするけど……。
ほとんど変わっていない、でも私の心は今までとは別。
今まで私は家事や食事を作るのはお兄ちゃんに必要とされたいからという思いがあった。
だから、お兄ちゃんに見放されるような事をしないようにしないと、という恐さと焦りがあった。
でも今は違う、お兄ちゃんはそんな事を望んでいないんだって信じられる。
そして、私は大好きなお兄ちゃんを喜ばせられる事をしようって考えられるようになった。
今こうやって夕飯を作っている時だってそうだ。
もう私は昔みたいにお兄ちゃんが突然帰ってこなかったらなんて不安に思ってはいない。
お兄ちゃんが早く帰ってきてくれて、私のご飯を褒めてくれないかなって思っている。
好きな人のために何かを出来る、それが私にはたまらなく嬉しい。

518:幸せな2人の話 9
10/10/30 00:33:44 c6XKT+pu
ただ、一つだけ気になるとすれば姉さんにまだ私たちの約束を教えていない事。
その事を言ったら、じっと考え込んだ後にお兄ちゃんから話すのでまだ黙っていて欲しいと私に告げた。
いつものお兄ちゃんと姉さんの事を考えるとちょっと変な気がする。
でも、お兄ちゃんがそう言うのだから、きっと理由があるのだと思う。
そういえば、姉さんは今の私達の関係をどう思っているのだろう?
姉さんは、私がお兄ちゃんの事をどう思っているのかな。
私がお兄ちゃんを取っちゃって怒ったりしてないよね?
怒って私からお兄ちゃんを取り上げたりなんて、昔みたいに……。
馬鹿馬鹿しい、姉さんがそんな事する訳がないじゃない。
だって家族なんだもの。
何考えているんだろう、私?
優しい姉さんがいて、大好きな兄さんと一緒。
これよりも私の望む事なんて無いはずなのに。
こうやって一人で居ると、ちょっとだけ不安になった。
うん、お兄ちゃんが帰ってきたらいっぱい抱き締めて貰おう。
そうすれば、きっとこんな気持ち直ぐに忘れられるから。

519:幸せな2人の話 9
10/10/30 00:34:10 c6XKT+pu
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「はい、じゃあ最後にこれね」
雪風が楽しそうに手提げの紙袋を渡す。
「おい、もうそろそろ限界なんだが」
「あはは、兄さんならあと4袋ぐらいはいけるよ~?」
楽しそうに雪風が答える。
毎年夏の終わり頃になると母さんから妹手当てという謎のお小遣いがシルフと雪風には振り込まれる。
何でも、女の子は良い物を着て何ぼなんだから、しっかり着飾りなさいという趣旨だそうだ。
で、これを使って秋冬物を調達するのが御空路姉妹の伝統行事だ。
過保護すぎる気もしないではないけど、まあ不在中の家のあれそれを全部やらせてる負い目もあるのかもな。
(……ところで、毎年この季節になると「サービス料(妹)*2」という名目で俺の貯金が引き落とされているのは何故だ?)
ただシルフは雪風に色々と服を試着させられるのを嫌がっていつも来ない。
代わりに雪風がシルフの分も選んでおいてくれる、その服がちゃんとシルフに似合うのだから目利きは大したものだ。
けど、シルフの服を選びながらサイズ表記を見て悔しそうに歯軋りするのは家族として止めて欲しいとも思っている、うん、怖くて言えないけど。
まあそんな訳で、この時はいつも雪風と荷物持ちの俺の二人きりになっている。

520:幸せな2人の話 9
10/10/30 00:34:31 c6XKT+pu
買い物を終えて、二人並んで道を歩いていると雪風が俺に尋ねた。
「ねえ兄さん、周りから見ると私達は何に見えるかしら?」
なんともベタな質問をしてくれるな、と内心呆れ返りながら答える。
「デート帰りの恋人」
その答えが気に入らなかったらしく雪風が拗ねた様子で抗議する。
「むぅ、兄さんは女心を分かってるけど、全然分かってないよ。
 そこはわざと鈍感を気取って兄妹じゃないかな~って言うところだよ?」
「それじゃ、そのまんまだろうが!!」
「だから、そこで私がただの兄妹はこんな事出来ないよって言いながら、
 兄さんにキスをするんじゃない、分かってないな~」
「いや、分かってないのはお前のTPOだからな!?
 ここは公道だからな、市区町村道だからな、パブリック・ストリート・イン・ジャパンだからな!?」
本当に大事な事なので3回言った。
「話は変わるけど、その櫛は止めておいた方が良いわ」
俺の絡み辛いボケを無視し、雪風がごちゃごちゃとした手提げ袋の中から小さな紙袋をすっと取り出す。
「ん、見られてたのか?」
紙袋の中身はさっきの買い物の時、便所(大)と元気よく言い残して抜けた後に全力疾走で買ってきた和櫛だ。
因みに食事中だったので、その後、笑顔の雪風からデート時のマナーについて2時間近いお説教を頂戴した。

521:幸せな2人の話 9
10/10/30 00:34:54 c6XKT+pu
いいえ、でも大体分かるわ。
 普段の兄さんが私におおっぴらにお手洗いへ、なんて言わないでしょ?
 そういう所の気配りは忘れない人だわ。
 なのに、そんな事を言うのは絶対に私について来て欲しくないって事。
 じゃあ、兄さんが見られたくないものって言えば、秘密のプレゼント位だよね。
 そしてプレゼントの中身は買い物中に自分が使わないのにやけに見ていた櫛に違いないわ」 
「大当たりだよ、大した名推理だ」 
「ふふ、ありがとう。
 でも残念だけどその櫛をシルフちゃんにあげても困らせるだけだよ。
 あの子は髪を梳いたりしないもの、自分の姿を鏡で見るのが嫌いだから。
 それで、いつも手櫛で誤魔化してるの」
「へぇ、そうだったのか。
 その割にはいつも整ってないか、あいつの髪?」
「ええ、あの子のってすごくしなやかだからね。
 同じ女の子としては羨ましいわ」
「雪風の髪だって、全くシルフに見劣りなんてしてないぞ。
 凄く綺麗だ、見慣れてる俺だって、思わずこうやって見ていると見惚れちまう」
そう褒めると雪風は顔を俺から逸らして、嬉しそうに髪を摘んだ。
「ふふ、それでも私にはブラシッシングが少なくとも必要ね」
「知ってるよ、ついでに今使ってるブラシだと毛が引っ掛かるし、纏りがいまいちだっていつもぼやいてるのもな。
 つげの和櫛ってのは良いもんだ、ブラシなんかよりも遥かに目が細かい。
 だから、ちょっと試してみてくれないか?」
「あれ?」
俺は雪風の前に櫛を差し出す。
一方の雪風は間が抜けた顔をする。
「え~と、じゃあこれは私への?」
暫らくの間きょとんとしていた雪風が、はっと思いついたように言った。
「そうだよ、ま、粗品みたいなもんだと思ってくれ」
「あらあら、豪華な粗品だね……」
雪風が髪を優しく持って、櫛をニ三度梳く。
それから満足そうに頷いた。
「うん、良い感じだよ。
 綺麗に梳けるし、髪も引っかからない。
 ふふ、うれしいわ、兄さんは私の欲しいものをちゃんと分かってくれるんだね」
「でも一番大切なものはくれないのに、か?」
「くす、この前の事をまだ根に持っているのかしら?
 ふふ、兄さんは怖いな~」
「別に根に持ってたりなんていないよ。
 俺が間違ってたのが分かったから。
 その、この前はごめん、俺が間違っていたよ。
 なのにあんなに酷い事を雪風に言っちゃって、それを謝りたいと思っていたんだ」
雪風は俺の謝罪を聞いて、手元に視線を落とした。
そして、くるくると指で櫛を玩ぶ。

522:幸せな2人の話 9
10/10/30 00:35:19 c6XKT+pu
「じゃあ、これはお詫びの粗品かしら?
 だったら私は要らないよ、こんなの。
 こんな物じゃ誤魔化されてあげないわ」
さっきまでの上機嫌が嘘のように表情の無い顔をして、ぽいっと俺に向かって櫛を紙くずのように放り投げる。
俺はそれを慌ててキャッチする。
「やめてくれ、落ちたら割れるところだったじゃないか。
 結構高かったんだぞ、これ。
 安心しろって、これはそんな下心のある品じゃないよ」
「だったら、それは何なのかな?」
雪風が警戒心を露にしながら聞き返す。
「プレゼントだよ、別に特別な意味なんて無い。
 大切な人には贈り物をするっていうのが相場だろ? 
 まあ、いらないって言うなら」
そう言って手提げに戻そうとする俺の手を雪風がさっと掴む。
そして、俺の手元から櫛を奪い取ると大切そうに両手で持った。
「だ~め。
 兄さんからのプレゼントだって言うならちゃ~んと頂くわ。
 ありがとう、兄さん、嬉しいよ。
 くす、誰からの入れ知恵かしら、圭さんかな?」
「……それは内緒だ」
昼に学食のテレビで見た倦怠期の中年夫婦特集とは流石に言えない。
ありがとう、み○さん。
「ねぇ、それならこの前のお詫びには何をしてくれるのかな?
 この櫛よりももっと良いものだよね、ひょっとして兄さんを貰えるのかしら?」
雪風がこの前のような物欲しそうな目で俺を見つめる。
「え?」 
「あはは、冗談だよ。
 本当に、兄さんって本当に一緒に居ると心地良いわ。
 だめだよ~、も~、そういう顔をされると余計に兄さんが欲しくなっちゃうじゃない」
「"欲しい"か?」
「そう"欲しい"だよ」
雪風は当たり前のように言った。


523:幸せな2人の話 9
10/10/30 00:35:41 c6XKT+pu
俺にはその雪風の言う欲しいっていう感覚が良く分からない。
今の俺にはシルフが居るし、あいつの事を考えるとそれだけでも幸せになれる気がする。
けれど、その感覚は雪風の言う、欲しいという思いとは何かズレがあるように感じる。
「欲しいって言うのは、愛してるっていう事とどう違うんだ?
「くす、それを私が教えると思うの?
 そんな事をしたら、唯でさえ不利なのにもっと不利になっちゃうわ」
「……そうだった、俺達は賭けをしているんだったな。
 じゃあ答えないままで別に良いんだ、悪かった」
「ああもう、兄さんったら素直なんだから、少しは食い下がってくれないと面白くないじゃない。
 ふふふ、でも良いよ、プレゼントのお返しに特別に教えてあげるわ。
 そうねぇ、どういう風に言えば良いのかな~?」
人差し指を顎に当てて、意地悪っぽく俺を見つめながら雪風が悩む。
「そうね、例えば兄さん。
 シルフちゃんに兄さん以外に好きな人が出来たら、兄さんならどうする?」
おい、いきなり何を言いやがりますか、この妹は。
「いきなり最高に嫌な事を言ってくれるな?」
「あはは、そんな予想通りの嫌そうな顔をしないでよ。
 だから例えばの話だよ、例えばの。
 そういう時、兄さんならどうするの?」
「そうだな、もしもそいつがシルフで遊ぶ積りだったら、×す。
 何処で誰と何をしてようと引きずり出して、バラバラにしてやる」
俺の答えを聞いて雪風の笑顔がぎこちなくなっていた。
というよりも若干引き気味だった。
「兄さん、真顔でそんな事を言われると流石に物騒すぎるよ……。
 はぁ、兄さんってば本気なんだから、頭が痛いわ」
「大丈夫だ、むしろシルフは喜ぶ」
「ええ、良く分かってるわ。
 兄さんがそういう事を言えば、絶対シルフちゃんは嬉しそうに顔を真っ赤にするわ。
 ええ、ええ、お似合いね、……このバカップル。
 そうね、じゃあ、本当にその人がシルフちゃんを大切に思う人だったら?」
「そうだな……、まあ、またシルフのお兄ちゃんに戻るって所かな?
 多分、3回くらいはそいつを全力で殴らせて頂くが」
因みにその3回は……
「顔面に一つ、みぞおちに一つ、最後に股間に蹴りを一つ、だね?」
雪風がびしっ、と人差し指を上にあげながら言い当てる。

524:幸せな2人の話 9
10/10/30 00:36:09 c6XKT+pu
「だから何で言わなくても分かるんだよ」
「ふふ、秘密だよ~。
 じゃあ、それはどうしてかな?
 兄さんの言うとおりにしたら大好きなシルフちゃんと別れちゃうんだよ?」
「シルフの悲しい顔なんて見たくないからだよ。
 例えそれが俺に向けられていなくても、シルフには笑っていて欲しいんだ」
「ふふ、正解、模範的な解答ね」
「悪かったな、俺は優等生なんだよ、通信簿見りゃ分かるだろ。
 で、この不愉快な問題がさっきの違いとどう関係あるんだ?」
「それが愛しているって事じゃないかな?
 今兄さんが言ったみたいにその人の事が大好きで、
 自分の幸せよりもその人の幸せを優先したいって本気で思える事、私はそう思うよ」
「じゃあ、お前の欲しいって言うのは何なんだ?」
「愛してる、の逆かな? 多分。
 好きな人を不幸にしてでも、自分の物にしたいって事だよ。
 兄さんがどんなにシルフちゃんのことが好きでも、何かしたい事があっても、
 それでも、私から離れるのならそんなのは許さないっていう気持ちが私には有るの」
「許さないか、まるで物か動物扱いだな」
「ふふ、本当に兄さんったら酷い扱われ方だよね。
 でも仕方ないかな、本当にそう思っているんだもの。
 兄さんが私の手元に残ればそれで良いわ。
 大事な事は最後にどんな形でも兄さんが私の物になっている事、
 その時に兄さんが私を憎んでいても構わない。
 私以外の何かや誰かを愛していても気にしない。
 例え、私の隣で兄さんが絶望していても泣いていても、私は兄さんが居る事だけで満たされる」
人差し指の先を唇に軽く触れさせながら、雪風は蠱惑的な笑みを浮かべる。
「ふふ、むしろ私はそういう兄さんを力ずくで捻じ伏せたいのかも。
 捻じ伏せて抜け殻になった兄さんなら私から離れたりなんて絶対に出来ないんだもの」
「それは、好きな人に想いが二度と届かなくなるって事だぞ。
 そんな事をしたら雪風が一番辛くなるんじゃないのか?」
「うん、兄さんみたいな優しい人にはそうだよ。
 私はそうじゃないっていうだけの事、多分だけどね」
多分、ともう一度雪風が繰り返す、優しい顔だった。
それから少し困ったような顔をして暫らくの間、俺を見つめた。
「……でも、私は兄さんが好きでもあるから、
 兄さんが自分から私の物になってくれるのが最高なんだけどな~」
雪風が甘え声を出して、右腕に体ごと抱きつく。
そして、俺の顔を見上げる。

525:幸せな2人の話 9
10/10/30 00:36:35 c6XKT+pu
「だからねぇ、兄さん。
 雪風の物になってよ~?
 そしたら、私は兄さんの為に何でもしてあげられるよ。
 兄さんの事だってシルフちゃんよりも私の方が分かるし、気持ち良いよ。
 初めは物足りないかもしれないけどすぐに私以外何も要らないって分かるようになるわ。
 だから、ね、雪風の物になろ?」
そう言って楽しそうに誘う雪風は期待に溢れていた。
「ごめんな、雪風。
 それはできないよ」
「そう、残念だわ」
「本当にごめんな、こんな中途半端な言い方しか出来なくて」
ぱっ、と俺の腕から体を離して笑う。
「ふふ、良いの、私だって分かってたけど言ってみただけだよ。
 けど残念ね、雰囲気に流されてくれないかな~、ってちょっとだけ期待してたんだけど。
 ふふ、欲しいな~♪、兄さんが欲しいな~♪、兄さんと失楽園したいな~♪、な~な~な~♪」
雪風があさっての空を見上げながら色々と危ない事を歌う。
ブロック塀の上で寝ていた猫が釣られて、な~♪、と鳴く。
ご近所に聞かれたら明日から外に出られないのは必至だ。
「止めんか、ご近所の噂になっちまったらどうする気だ?」
「ふふ、そうしたら二人だけで愛の逃避行だね」
雪風が悪びれずに答える。
「ったく、何だか今日はやけに機嫌が良いんだな」
「くすくす、そうだね。
 今の私は複雑な気分かな、今日も兄さんに振られちゃったもの。
 でも、大好きな人から贈り物を貰うと誰だって不機嫌にはなれなくなるわ。
 特にそれが自分にぴったりの物だったりするとね」
「そういうものなのか?」
「そういうものなの!!
 女心は複雑なんだよ~」
「だろうな、俺みたいな単純馬鹿には難しすぎるよ」
それを聞いて、雪風が笑った。

526:幸せな2人の話 9
10/10/30 00:36:59 c6XKT+pu
ふふ、そうそう、ところで兄さん?
 さっき私が言ったみたいにシルフちゃんが兄さん以外を選ぶなんて有り得ないから心配しないでね?」
「別に本気で信じちゃいないさ」
「くす、あの子は兄さんしか見てないから。
 あの子は兄さんの中に居て、兄さんを通してでしか外の世界を受け入れられないわ。
 だから、兄さんの居ない世界も兄さん以外が居る世界も初めからあの子には有り得ないの」
「もしそうだとしたら、随分と不健康な世界だな。
 でも、あいつはお前の事も間違いなく信頼しているよ」
「それは兄さんが信頼している本当の妹だからだよ。
 もし、私がそうじゃなかったらあの子は私の事なんて相手にもしないわ」
「そんな事は無いよ。
 雪風はシルフの大切な姉さんだ」
「ふふ、兄さんが言うなら少しだけ信じてみようかな。
 それから分かってると思うけど、今日言った事は全部シルフちゃんに言わないで。
 特に、二人で失楽園だなんて絶対に言っちゃ駄目だからね。
 本気で切れたあの子って容赦が無いのはよく知ってるでしょ?」
雪風が真剣な顔で念を押す。
「バラバラなんて甘いものじゃなくて、
 ぐっちゃぐちゃに潰されて中身をずるずる引き出されちゃうわ」
俺はその物騒な言い方に呆れてしまった。
「あのな、お前の中のシルフってエイリアンか何かかよ?」
「くす、内緒だよ~」
「……ま、何にせよ言うべきじゃないのは確かだな。
 うん、こんなきな臭い話は俺達、二人だけの秘密だ」
「うん、私達だけの秘密だね」
二人だけの秘密、という言葉に雪風が嬉しそうな反応を見せる。

527:幸せな2人の話 9
10/10/30 00:38:07 c6XKT+pu
「さあ帰りましょう。
 今頃はシルフちゃんが玄関でうろうろしながら待ってるわよ?
 いきなり飛び掛られて頭を打ったりするかもね」
「っぷ、おいおい、何だよそれ?
 それじゃあ、ご主人様を待ってる飼い犬みたいじゃないか。
 ったく、シルフに怒られるぞ、くっくっく」
そう言いって俺は笑う、雪風もつられてあははは、と楽しそうに笑う。
あの日、シルフに告白をしてから全てが楽しい。
何でだろう、義妹で婚約者のシルフの閉じ切った心や血の繋がった雪風との歪んだ関係、物騒で重い話をこんなに引きずっているじゃないか。
なのに、俺はシルフの事が大好きで、雪風とは何も変わらずにこうやって笑い合えている。
「なあ、雪風。
 俺達はこれからもこうやって、いつまでも笑っていられるんじゃないか?」
「あははは、兄さんはやっぱり楽天家だね。
 兄さんは、色んな事を甘く見過ぎだよ?
 でも、そんな兄さんと居るのが私には楽しいわ」
「ははは、ありがとよ」
「くす、愛しているわ、兄さん」
雪風が手にした櫛を胸元でぎゅっと握りながら言った。
それはとても自然で何気ない一言だった。
「えっ」
何気無い一言の筈なのに、どきりとした。


528:幸せな2人の話 9
10/10/30 00:39:18 c6XKT+pu
「くす、言い直してあげたりなんてしないわ。
 さ、早く帰ろう」
雪風がまた俺の腕を掴んで体を寄せる。
暖かくて柔らかい感触が俺へ伝う、何だか心がそわそわとする。
その時、捨てられた子犬のような悲しい目で俺を見つめるシルフの顔が浮かんだ。
いや、違うぞ、シルフ。
別にこれは浮気とかじゃなくてだな、そう、ただの家族のスキンシップだ。
決して、いやらしい気持ちなんて微塵も無いからな。
いや、そもそも雪風とは兄妹だか。、
って、シルフともただのスキンシップなの、だと?
だから、そういう意味じゃ無くって、何ていうかだな。
頭の中で苦しい言訳を繰り返している俺を見つめながら雪風がくすくす笑い、人差し指を口元に持ってくる。
これもナイショだよ、というジェスチャーの積りなんだろう。
そうだよ、完全にお前の想像どおりだよ、ああ、くそ、と心の中で毒づく。

家に帰ってみるとシルフが落ち着き無くうろうろしいた。
そして、扉を開けた途端に嬉しそうに俺へ抱き付く。
その拍子に俺は後ろに盛大にこけて、雪風の予想と寸分違わず頭を打つ。
シルフがおろおろしながら、俺の頭を撫でる。
雪風があははは、と笑いながらそんな俺達を母親のような目で眺めていた。


529:幸せな2人の話 9
10/10/30 00:40:33 c6XKT+pu
以上です。
ありがとうございました。
実の所、大筋は出来ているのですが、
細かい展開についてどうしようか少し悩んでいます。

また次回もよろしくお願いいたします。


530:名無しさん@ピンキー
10/10/30 01:05:58 CiZ/SmrD
GJ
雪風さん邪魔しないであげて・・・

531:名無しさん@ピンキー
10/10/30 01:15:48 luQyGp1k
雪風の今後が楽しみでしかたない

532:名無しさん@ピンキー
10/10/30 15:43:56 lDqgt1s8
>>529
GJです。雪風カワイイ
しかし、幸せな2人の話の作者さんは速筆ですなぁ。尊敬します

533:名無しさん@ピンキー
10/10/30 19:51:23 alwjGZ09


534:名無しさん@ピンキー
10/10/30 20:55:26 plszCoCK
13kmや

535:名無しさん@ピンキー
10/10/31 06:55:03 koqGq7bd
13キモ?

シルフちゃんかわいいよう

536: ◆F2m7zMMHISUy
10/10/31 16:28:37 CCsla9Lu
ハロウィンらしいので短いのを一つ投下します
細かいことは気にしないでください

537:ハロウィンもの  ◆F2m7zMMHISUy
10/10/31 16:30:49 CCsla9Lu
ピンポーン…
チャイムを押してしばらく経つと私の目の前の扉が開いた。
そして玄関から女の人の顔が見えた瞬間私達は叫んだ。

「「トリックオアトリート!」」

そう、今日はハロウィンの日である。だから私たち兄妹はこうして近所にある女子大生が住むアパートまで来ているのだ。
一瞬驚いたような顔をした女はすぐに状況を把握したようで、ちょっと待っててねと言うと部屋の奥へと戻っていった。
「はーい!おかしだよー」
戻ってきた女が私にコンビニで売られているようなチョコのお菓子を一個手渡し、すぐにお兄ちゃんの方を向くとこんなことを言い出した、
「ごめんね、お菓子これだけしかなくってー」
すると、なんということか!さっきまでどんなお菓子がもらえるのかとわくわくしていたお兄ちゃんの顔はみるみる曇っていった。
このクソ女はお兄ちゃんをこんなに悲しませやがって!メラ食らわして一生人に見せられないような顔にするぞ
私がそう思っていると女はさっきの申し訳なさそうな声音から一転、猫なで声でこうものたまった、
「だ、か、ら、お姉さんの体中に好きなだけいたずらして~」
そうして上着に手をかけた女は―
「アギダイン」
火だるまになっていた。
突然焼き豚になった女を見てオロオロするお兄ちゃん、かわいい。
「お姉さんが火に…それに、杖から…なんか…火の粉みたいのが今…」
やっぱり見られてたか、こういうところだけは鋭いお兄ちゃん。
「凄い手品でしょ!今日の私は魔女だからちょっと凝ってみたんだー」
そういってにっこりとお兄ちゃんに微笑む私。
「じゃあ次はお隣さんだね!」
お兄ちゃんはまだ焼き豚が気になっていたようだが、誰よりも信頼する妹の言葉を信じないはずもなく、
「そうだね!次に行こうか!」
今度こそは貰えるだろうと、期待に胸を膨らませた満面の笑みで返してくれた。

538:ハロウィンもの  ◆F2m7zMMHISUy
10/10/31 16:31:24 CCsla9Lu
そうして魔法使いの格好をした私たち二人は隣の部屋の前まで移動し、チャイムを鳴らした。

結果から言うとここでもまったく同じことをされた。だからお隣さんも炎の魔法で焼き豚さんにしてあげた。
お兄ちゃんを悲しませた上に色目を使ってくるんだ、当然の報いだよね!

さらに付け加えると、アパートの一階に住む女全員が同じ手を使ってきた。
そいつらもあらゆる炎の魔法を使って処分した。

私たちはアパートから少し離れると、私は今にも泣き出しそうなお兄ちゃんに言った、
「今日はもうおうちに帰ろ…」
首だけで返事をするお兄ちゃん。
まだ2階が残っているが部屋を回っていく元気はお兄ちゃんからは完全になくなってしまっていた。


昨日の夜、「今年は近くに女子大生のアパートが出来たからたくさんもらえるぞ」
「女の人は甘いものが好きだからきっといつもは食べられないようなおいしいお菓子を持ってるはずだよ!」
「それにあそこのお姉さんたちいつもぼくたちにやさしくしてくれるし」
と、楽しそうにしていたお兄ちゃんは見る影もない。


お兄ちゃんが踵を返して家に帰る道を向いたのを見計らって、
「メラゾーマ」
アパートごと燃やした。
お兄ちゃんを悲しませ、誑かそうとする女はまとめて処分しなきゃ…



539:ハロウィンもの  ◆F2m7zMMHISUy
10/10/31 16:32:25 CCsla9Lu
「お兄ちゃん、これあげる」
帰り道、そういってお兄ちゃんにさっき貰ったお菓子を手渡した。
間接的にもあの女達からもらったようなものをお兄ちゃんの口には入れたくはなかったけど、
私はお兄ちゃんの良きパートナーだ、今度ばかりは大目に見よう。
「え、でも…」
そういって遠慮しようとする優しいお兄ちゃん。
でも、こんな悲しそうな顔をするお兄ちゃんを放ってはおけない私は一つ提案した。
「じゃあこうしよ!お兄ちゃんが私にトリックオアトリートって言うの!」
すると、すぐさまぱあっ!っと私の大好きな笑顔がお兄ちゃんの顔に広がると、今日一番の元気な声でお兄ちゃんは言った、

「トリックオアトリート!!」

っっっっ~!!はうっ!だめだっ!これはまずい…!
今の私はなんと醜いのだろう!よりにもよってあの女達と同じことをしようという考えが頭の中に浮かんだ。
だめよ、私はお兄ちゃんの良きパートナー、あんなやつらとは違うのよ!
私はいつもの、いえ、いつも以上の笑顔をお兄ちゃんに向けて言ってお菓子を半分手渡した。

540: ◆F2m7zMMHISUy
10/10/31 16:33:02 CCsla9Lu
投下終了

541:名無しさん@ピンキー
10/10/31 19:53:28 soQqIs8i


542:名無しさん@ピンキー
10/10/31 20:45:51 y8+EpF3s
>>540
ほのぼのしていていいじゃないか・・・
やっぱりハロウィンは「悪戯」ってフレーズが最高だと思うの

543:名無しさん@ピンキー
10/10/31 22:04:56 soQqIs8i


544:名無しさん@ピンキー
10/10/31 23:45:06 gA3yrxTL
>>543
逆・解

545:名無しさん@ピンキー
10/11/01 03:23:05 /3DP2MjW
>>544
もし卍解に次が在ったら、出てきそうだな……

546:名無しさん@ピンキー
10/11/01 22:25:10 sEb+NdnJ


547:『きっと、壊れてる』第10話
10/11/01 23:01:45 l/rCM2FK
こんばんは
『きっと、壊れてる』第10話投下します

548:『きっと、壊れてる』第10話(1/8)
10/11/01 23:02:21 l/rCM2FK
もう何度目だ。
昔の夢。
俺や茜、楓がまだ仲の良い普通の兄妹だった頃の夢。

啓示などとは思いたくもない。
今の状況になった理由を、俺の精神が昔に求めているのか。

楓はいつからだ。
いつから術策を弄していた。
いつから俺の事を男として見ていた。
わからない。

茜はどうだ。
わからない。

俺は何も知らなかった。
ただ一丁前に兄貴面をしていただけで、
彼女達の奥底に眠る、葛藤や欲望など知ろうともしなかった。

いや、それが正常だ。
まさか実の妹が自分に異性を感じているなどとは夢にも思わないのが普通だ。
ここは実世界に見えて、実は隔離された違う世界なのか。
血の繋がった人間同士、ごく当たり前に求愛する世の中なのか。
もしそうならば、どちらでも良い。
壊れてくれないか。
もう俺は疲れてきた。

「あ~、暑いな~」
時刻は昼頃か、高校も夏休みに入り部活の練習も休みだった土曜日。
浩介はリブングのソファで、扇風機に当たりながら、だらけていた。
クーラーが夏場だというのに故障してしまい、昨夜は茜以外の家族全員、
全力疾走した後のように疲労した表情を浮かべていた。
家には浩介と茜の二人。
茜はキッチンで料理本を見ながら、お菓子か何かを作っている。
料理については単純に趣味だったのか、いずれ浩介との二人だけの生活が訪れる、と確信した上での予行練習だったのかはわからない。

「もう、兄さんだらしがないよ。夏休みの宿題は終わったの?」
キッチンのカウンターから、呆れた顔で注意してきた茜は黒髪を後ろに一つで束ねていた。
高校1年生とは思えぬ、凛として大人びた美貌。
『大和撫子』という言葉がピッタリのその容姿は、一学年上の浩介のクラスでも話題に上がっていた。
しかし、浩介は茜の浮いた話などは聞いた事がなかった。
おそらく、あの一見冷たそうな無表情と、流行り物等には興味がなく、
友達とは学校内でしか関わらないという一匹狼な性格が災いしているのだろう、と浩介は考えていた。

「まだ8月中旬だから大丈夫だよ。後、『宿題』って言うと小学生みたいだな」
「『もう』8月中旬です。兄さんは来年受験でしょ? そろそろ、そっちの勉強もした方が良いよ」
母親のような小言を洩らした茜は、冷蔵庫を開け何かを詰めている。
おそらくクッキーだろう。
昨夜、作るような事を言っていた事を浩介は思い出した。

「腹が減っててやる気が出ないなぁ」
浩介は甘えるような声を出した。
この頃、既に茜は夕飯の支度を母親と分業するほど、料理の腕を上げていた。
休日など、朝食から夕食まですべて茜が作る事も珍しい事ではなかった。
茜の作る料理の方が、細やかな味付けがされているのが特徴だった。

「じゃあお腹が一杯になれば、宿題するのね?」
「うん」
「フフッ、本当かしら。冷やし中華で良い?」
仕方がない子、とでも言いたげなその微笑みに、浩介は頷きで返事をして再びソファーに寝転がった。

549:『きっと、壊れてる』第10話(2/8)
10/11/01 23:02:49 l/rCM2FK
茜が作った冷やし中華を食べ、お茶を飲みながら他愛もない話をしていた。
点けたままのテレビは、芸能人のどうでもいい恋愛話を熱心に解説している。

「そういえば、楓は? 父さん母さんも見てないなぁ。あれ? 今日って日曜だよな?」
長い休みで怠惰な生活をしていた浩介は、曜日の感覚がずれているのではないかと不安になった。
そして、2週間後にはまた朝早く起き学校に行く事を思うと少しだけ憂鬱になった。

「3人でデパートだって。日本橋だから、そう遅くはならないと思うけど」
黒猫の絵が描いてあるマグカップでお茶を啜ると、茜は浩介と目を合わせて返事をした。
「この暑い中、元気だなぁ。茜は付いて行かなかったのか? うまい物食わせてもらえたかもよ?」
「……私も暑いの苦手だから。それに、どこかの寝ぼすけさんが起きた時、食べる物がないと困るでしょう?」
どうやら茜は浩介の朝食を作る為に残ったようだ。
「別に適当に食うからいいのに」と言おうとした浩介だったが、
その言葉は茜の好意を踏みにじる事に気付き、思い止まった。

「悪いな。……じゃあさ! 俺らもどこか行かないか? 茜、最近外に出てないだろう?」
「どうしたの? 急に。宿題は?」
瞳が少しだけ揺れているのを浩介は確認した。
表情は変わらなかったが、茜は驚いているようだ。

「課題は帰ったらやるからさ。久しぶりに家族と出掛けたくなったんだ。どこか行きたい所ないのか? 」
前回茜と出掛けたのは、いつだったか。
思い出せないと言う事は、それほど間が空いているのだろうと浩介は思った。
村上家に『妹と定期的に出掛けなければならない』という、約束や決まりなど当然ない。
ただ、浩介はインドア派の茜に外の世界も存分に楽しんでほしいと思っていた。
それだけだった。

「……うん、本をね、買いたいの。裁縫の本。神保町まで行けば大きな本屋があるから。そこまで付き合ってくれる?」
「裁縫? 所帯染みてるなぁ」
「あら? 何時、どういう生活環境になるかはわからないのだから、学んでおいて損はないでしょう?」
「まぁな、じゃあ支度してくる」
「うん」
普通高校1年にもなればファッション誌等に興味を持ちそうなものだが、と浩介は思ったが、
茜が変わっているのは今に始まった事ではないので、それ以上追及する事はなかった。

部屋に戻り、着て行く服を選んでいると、浩介はある事に気付いた。
妹と、茜と出掛けるという事だけで、こんなにも心が躍るのはなぜか。

興奮する様なテーマパークに行くわけでもない。
何か、報酬があるわけでもない。
むしろ世間では、この年で兄妹と出掛ける事は、恥ずかしい事に分類されるらしい。

熟考しても答えは出なかった。
選んだ服が、浩介が持っている服の中で、一番高価でお気に入りの物だった事が唯一の真実だった。

15分後、二人は家を出て、照りつける太陽などお構いなしに、明るい道を歩いた。
道中、人混みではぐれてしまいそうだから、と茜は恥ずかしがる素振りも見せず、浩介の腕を取った。
その手は人混みを抜けてもしばらく離される事はなく、二人が兄妹だという事を見抜けた人間もおそらくいない。

浩介と茜が腕を組んで歩いたのは、この日が初めてだった。

550:『きっと、壊れてる』第10話(3/8)
10/11/01 23:03:14 l/rCM2FK
「お兄ちゃん達、どこかに出掛けたの?」

夕食時、楓が発した言葉だ。
なぜ気付いたのか。

両親と楓が両手一杯の荷物を抱え、玄関のドアを開けるまでに、浩介達は帰宅していた。
靴も出掛ける前と同じように揃え、出掛ける際に着た服も洗濯カゴには出していない。
茜は家に居る時でも余所行きのような格好をしているので、着替える必要性はなかった。

楓は不服そうな顔をしていた。
好物であるはずのエビフライをかじり、ご飯を口に入れる。
その一連の動作にも不機嫌さが滲み出ていた。

「あ……あぁ、参考書を買おうと思ったんだけど、俺には全部一緒に見えちゃってな。
茜に見立ててもらう為に一緒に本屋に行ったんだよ。楓とも一緒に出掛けたかったんだけど、居なかったから……」
以前、自分と茜が二人で将棋を指していた時の事を思い出した浩介は、楓を刺激しないように慎重に回答した。
少しだけ嘘を混ぜて。
茜を連れていったのは仕方なかった、楓が在宅していれば当然連れて行ったという意味合いを乗せる為だった。

「ふーん……楓がついて行っても、お兄ちゃんの勉強の事なんてわからないよ」
楓はそう言って興味が薄れたようにそっぽを向くと、再びテレビの方を向いた。

少し言い訳が苦しかったか。
浩介は自分の言い訳の採点を求めるように、向かいの左方を見る。
茜は我関せずと言った表情で食事を続けていた。

あの将棋の事件以来、浩介なりに気を配り、楓が癇癪を起さないように努めてきたつもりだった。
茜だけ居れば済む用事も、楓の前で茜に話しかけ、楓にも意見を求めるかのように振舞ってきた。
今回は自分のご飯の支度の為に、出掛けず居残ってくれた茜へのお礼。
客観的に見ても浩介に非はなかったが、楓の機嫌を損ね、場の雰囲気を崩す事は避けたかった。

Tシャツの背中に滲む汗が心地悪いが、ひとまず難を逃れた事に浩介は安堵した。

「浩介も来年受験だな。もう進路は決めているのか?」
ビールを飲み、少し顔に赤みが差している父親が口を開いた。
めずらしく家族と夕食を取れてたためか、機嫌が良さそうだ。
「うん、大体は。学費も安いし、文系の学部に行こうと思う」
「文系? 就職は大丈夫か?」
「多分……としか言い様がないけど」
理系だと年間の授業料は100万をゆうに超える。
3人兄妹全員を大学まで通わせる事を想定すると、浩介は理系学部を受験する事にどうしても気が引けてしまっていた。

「まぁ私達は元気に巣立って行ってくれれば文句ないわよ。ねぇ? お父さん」
まだ自分は食事中であるにも関わらず、茶飲みに急須でお茶を入れ、
旦那に差し出した母親は、慈愛が溢れんばかりの笑顔を見せた。

「大学4年になったら公務員試験も試しに受けてみたらどうだ? 安定しているし、
ボーナスと退職金はすごいぞ。警察や消防は親としては複雑だがな」
「あぁ、考えておく」
まだ先の話を、楽しそうに話す父親を見た浩介は、息子として愛されている事を実感した。

特別お金を持っているわけでもない。
特別優秀な人間がいるわけでもない。

家庭の為に必死で働く父。
家族を一番に考え、家事を仕切る母。
おとなし過ぎるのが欠点だが、頭も良く、母の手伝いどころか家事の一端を担っている茜。
わがままだが、その太陽のような笑顔で家族全員を幸せな気分にしてくれる楓。

浩介はこの家族が好きだった。世界中で自分が一番幸せだと信じて疑わなかった。

551:『きっと、壊れてる』第10話(4/8)
10/11/01 23:03:52 l/rCM2FK
時計の針を見ると、22時を指していた。
机で夏休みの課題をこなしていた浩介は、自分の隣の部屋、茜と桜の部屋から聞こえる微かな声に気付いた。

「楓、それは駄目よ」
「いーじゃん! これがいい!!」
何か揉めているようなその声は、一旦気にしてしまうと耳から離れる事はなく、浩介の耳はその音を嗅ぎ続けた。
「他にも一杯あるじゃない。それは駄目」
「なんで? 楓はこれがいいのに!」
楓はともかく、茜がこちらまで聞こえる声を出すのは珍しい。
普段、姉妹喧嘩などまったくしない二人がなぜ揉めているのか気になった浩介は、
机のスタンドライトの灯りを消し、部屋を出た。

「どうしたんだ?」
ノックをしてから姉妹部屋のドアを開けると、何かを両手でしっかりと抱きしめるパジャマ姿の楓と、
両手を膝の上に置き、椅子に座った茜が向かい合っていた。

「兄さん」
「ケンカか? 珍しいな。茜はともかく、楓の声は響くから少しボリューム抑えろよ。後、窓も閉めろ」
浩介は、カーテンすら開いたままの窓に視線をやった。
「えぇ……でも困っちゃって……」
「だって、これがいーんだもん!!」
楓の抱きかかえている物をよく見ると、ぬいぐるみだった。
締まりのない顔をした犬のぬいぐるみが、力強く抱きしめる楓の腕の中で少しだけ変形していた。

「ぬいぐるみの取り合いか?」
「取り合い……なのかな。貸してほしいと言うから、仕舞っていたのを出したのだけど」
そう言った茜の横には、大きい透明のカラーボックスが置いてあり、
その中には所狭しと動物のぬいぐるみ達が詰め込まれていた。

「その中から選んだぬいぐるみじゃないのか?」
「えぇ、一番大事だから机の上に飾ってあった子なの」
そういえば茜の机の上には、今楓が抱きしめているぬいぐるみが飾ってあった気がする。
要するにまた楓のワガママか、と浩介は小さく溜息をついた。

「楓、茜がそれは嫌だって言ってるんだから返してあげろよ」
「やだやだ!」
首を振って、自分の気持ちを表現する楓はいつも以上に頑固そうだった。
もう10歳になるというのに、楓は同年代に比べて精神的に幼い気がする。
ただ、一番歳が近い茜でも6歳の違い。
我が家の家族構成では、末っ子の楓を甘やかしてしまうのは、
ある程度仕方ないのかもしれない、と浩介は2度目の溜息をついた。

「楓、それ以外ならどれでもいいから。気にいったのがあったら、あげるし」
「これがいーの!」
「楓はもう10歳のお姉さんだろ? あんまりワガママ言わないでくれよ」
浩介は完全に茜の味方だった。
普段自己主張というものをしない茜がここまで拒否するという事は、余程大事な物なのだろう。
その対象がたとえ玩具だとしても、茜の価値観を否定する事はしたくなかった。

「お願い楓、それは大事な物なの。今度お揃いのやつ買ってきてあげるから」
「やだー!」
「楓! いい加減にしろよ!」

─楓の体が硬直した。
浩介は自分でも驚くほどの大声で、怒鳴ってしまった。
それは、普段楓の面倒をよく見ている茜がこれだけ懇願しているにも拘わらず、
我儘を言い続ける楓の我儘が、悪念に感じたからだった。

それにこのような傍若無人な気質では、この先周りが成長するにつれて、
楓だけ浮いてしまうのではないか、という兄としての心配も込められていた。

552:『きっと、壊れてる』第10話(5/8)
10/11/01 23:04:21 l/rCM2FK
目を真っ赤にした楓が、浩介を睨んだ。
その表情は小学生とは思えない、一人の女の嫉妬心が溢れているように映った。

「……ヒック……ヒック……お兄ちゃんは……」
しゃっくりを挟んで、ゆっくりと確実に言葉を紡ぐ。

「いつも……ヒック……おねーちゃんの……ヒック……味方なんだ……」
「泣いても駄目なものは駄目だ楓。それを茜に返して、もう遅いからさっさと寝ろ」
「いつも楓だけ仲間外れにするし! もういいよ!」
楓は抱いていたぬいぐるみを茜の方へと投げた。

そして─この時は運が悪かったとしか言いようがない。
窓が開いていた。
比較的、大きい窓が。
茜の後方へと放物線を描いたぬいぐるみは、開けっ放しにしていた窓をすり抜け、闇の中へ消えた。

「なっ……」
慌てて窓から顔を出し、落ちた場所を確かめる。
道路の中心に投げ出されたように転がる犬のぬいぐるみは、捨てられたとでも思ったのか、虚ろな目をしている気がした。

浩介は、呆然とする茜と楓には目もくれず、すぐさま家を飛び出し、廊下を駆けてエレベーターのボタンを押した。
村上家はマンションの6階にあり、おそらく階段を使うよりもエレベーターを待った方が早いはずだ。
無傷でいてくれ。
浩介は、名も知れぬぬいぐるみのために祈った。
このマンションは車の通りが激しい大通りに面している。
茜達の部屋の窓は、その大通りに繋がる細道に面していた。
細道といえど、近道をしようとするトラックやタクシーがひっきりなしに通る道路のため、
急がなければ轢かれてしまうのが目に見えていた。
乗り込んだエレベーターの降下する速度が、いつもより遅い気がする。
メーカーの名前を睨み、行き場のない苛立ちをぶつけた。
『1』という階ランプが点灯し、扉が開いた。
サンダルをペタペタと鳴らして速やかにぬいぐるみが落ちた細道に出ると、
さっきまで中央に転がっていたはずのぬいぐるみが、向かって右側のガードレールの下でうずくまっているのが見えた。

駆け寄って拾い上げる。
トラックにでも轢かれたのか、首が取れかけていて中から白い綿が少し飛び出していた。
タイヤに押し潰されたのだろう、鼻も少し変形している。
その変わり果てた姿は、ぬいぐるみといえど目を背けたくなるものだった。

「兄さん」
背中の方から聞こえるその声は、雑踏の中で消え入る様な声。
浩介の後を追って来たのか、背後に茜が立っていた。

振り向きたくない。
まだ俺の体が壁になり、このボロボロのぬいぐるみは茜には見えていない。
なんとかならないか。

頭をどれだけ回転させても、状況を打破できる策などなかった。
「こっちを向いて」
横から覗きこめば、すぐにぬいぐるみを視界に捉える事ができる距離だった。
おそらく、茜はぬいぐるみが無事ではない事に気付いていた。
浩介はゆっくりと振り向き、手の中のぬいぐるみを茜の胸の前へと差し出した。
受け取ったぬいぐるみを両手で抱え、顔の高さまで持ち上げた茜は、無表情のままだ。
胸を締め付けられるような気分になった浩介は、茜から視線を逸らした。

「壊さないで」
茜は無表情のまま、一言そう発した。
それが、誰に言った言葉なのか、浩介にはわからない。

ボロボロになったぬいぐるみに視線を戻すと、浩介はそれが昔遊園地で自分が買ってあげた物だと今更気付いた─。

553:『きっと、壊れてる』第10話(6/8)
10/11/01 23:04:44 l/rCM2FK
「兄さん、そろそろ起きないと。チェックアウトの時間を過ぎてしまうわ」
体を揺すられ、頭が徐々に覚醒していく。
目を開けると、夢の中とさほど変わりない茜の顔が間近にあった。
「ん……」
「ほら起きて? もう、旅行に来ても変わらないんだから」
「起きるよ。ちょっと準備してただけだ」
上半身を一気に持ち上げ、目を凝らす。
部屋の中は何の変哲もないホテルの一室だ。
茜や楓のベッドの上には、綺麗に畳まれた浴衣が中央に置いてある。
「何の準備かしら? とりあえず、おはよう」
茜の黒い瞳がカーテンの隙間から差す光に反射して、キラキラと輝いているように浩介には映った。
「おはよう……楓は?」
「先に朝ご飯食べてお土産屋で買い物してるって。私達は寄ってるヒマないけど……」
「あぁそれは構わないよ。……何か楓に変わったところあったか?」
昨夜の事を思い出した浩介は、聞かずにはいられなかった。
なぜ、楓はあんな変貌を遂げたのか。自分の中の天真爛漫な楓は偽りの姿なのか。
考えれば考えるほど、浩介の脳裏には気が重くなる事柄だけが積もった。

「変わったところ? 別にないわ。お肉ばっか食べてやるって張り切ってたぐらい」
楓はあくまで、茜の前では純真無垢な妹を演じるつもりなのだろうか。
逆に、昨夜自分に見せた姿が虚偽の姿なのか。
浩介には判断がつかなかった。

「そっか、じゃあいいんだ。……なぁ、茜」
「何?」
「昔の夢を見ていたんだ。ほら……ぬいぐるみが窓から落ちたやつ」
「ぬいぐるみ……あぁ、あれね」
茜は一瞬で思い出したようだ。それほど印象深い出来事だったのだろう。

「あれって、どうなったんだっけ?」
「どうもこうも……楓が父さん母さんにみっちりお説教受けて終わりよ?」
「ぬいぐるみは?」
「自分で直した。丁度あの日の昼間、裁縫の本を買っていたじゃない」
「そういえばそうだったな。楓とはあの後しばらく冷戦だったのか?」
「ううん、次の日だったかな。泣いて謝って来たわよ? あの子に悪気がなかったのは
わかってたし、冷戦なんてするはずないわ。……というか兄さんも次の日の夕飯、一緒に食べていたじゃない」
「言われてみれば、そうかも」
茜に言われ、次の日の夕飯時に茜と楓が何事もなかったかのように会話していた事を浩介は思い出した。

「でも……優しいお姉ちゃんだな、茜は」
普通、自分の大事にしていた物を壊されたら、相手が謝って来たとしても中々許せるものではない。
おそらく自分が茜の立場だったら、1週間は口を利かないだろう。
茜の慈愛に浩介は感心した。
「……そうでもないけどね。さぁ、私達も朝ご飯に行きましょう。バイキング式らしいから」

ふとした違和感。
話を打ち切った茜は気のせいだろうか、どこか悲しげな顔をしていた。

554:『きっと、壊れてる』第10話(7/8)
10/11/01 23:05:08 l/rCM2FK
夜の空は、誰もここには存在しないように静まりかえっていた。
まだ20時なのに子供はおろか、大人まで座席で寝息を立てている。
前方のCAは、まるで幼稚園の教諭のように優しい笑みで乗客たちを見渡していた。

先程、雲の中を通った時は墜落するのではないかというほど、機体が揺れた。
落ちても構わない。
浩介は心からそう思った。

往路と同じく、浩介が窓側、楓がその隣、茜が通路側に座っていた。
最初は文庫を読んでいたがさすがに疲れていたのか、茜は他の乗客と同じように眠っている。
浩介は誰にも気付かれていない事を確認すると、自分の股間を弄っている手を掴んだ。

「いい加減にしろよ」
「あら、手じゃ満足できない? 流石に口でするのは……ここでは恥ずかしいわ」
悪びれる事もなく、楓は爬虫類のように感情のない瞳で浩介を見上げた。

茜が寝息を立てた後の事だった。
CAに毛布を借りると、楓はそれを広げ、浩介と自分の下半身にかけた。
肌触りの良い毛布が温かい。
楓は単純に眠気が襲ってきただけ、クッション代わりに浩介の肩を借りるつもりだけだと、思っていた。
公共の場所で昨夜のような行動など起こすはずがない、という固定観念が浩介を油断させた。

楓は妖しい笑みを浮かべ、浩介のズボンのファスナーを開けた。

10分程の間。楓は浩介を玩具にしていた。
「だからっ……やめろ! 茜が起きたらどうするんだ」
注意しても手の動きを止めない楓に、浩介は自分が出来る一番鋭い目で楓を睨みつけた。
大声を出せば、周りが気付く。
おそらく楓はその事も計算していた。
「フフッ、可愛い。姉さんが起きてなかったら続けてていいって事?」
「違う。いいからその手を離せ。俺が大人しく注意している間にやめるんだ」
「別にいいのよ? 大声で叱っても。私は兄さんとそういう関係なんだ、ってアピールできるもの。隣で寝ている人にもね」
楓は浩介の耳元でそう囁くと、チラリと隣で寝息を立てている茜を一瞥した。

「……楓、どうしてだ? 何がお前を変えた?」
「変えた? それは違うわ兄さん。私は何も変わっていない。昔からね」
男性器を掴む力が僅かに強まる。
先走った透明な液体が、男性器の先端から僅かに出ている気がした。
「でも、兄さんに私を叱る権利なんてないわよね? 自分だって姉さんと散々イイ事したんでしょ?
私が寂しく実家に取り残されて、父さんと母さんの前で『明るくて素直な楓』を演じている時も」
「やめてくれ……頼む」
「それは、今の行動の事を指しているの? それとも過去をほじくりかえす事?」
「両方だ」

目を瞑って、楓の手を覆う様に自分の手を被せる。
これ以上動かさないように。
そうすると、楓は指先だけで、亀頭の周りをペットボトルの蓋を開けるかのように弄り始めた。
「観念した方がいいわ、兄さん。私も興奮してきてしまったもの。
あっでもね、私はまだ処女よ? 嬉しいでしょ? ねぇ、姉さんのを奪った時ってどんな気分だったの?」
吐息が浩介の耳をくすぐる。
浩介は何も答えず、ジッと耐えた。
力任せに楓を抑えつける事は可能だが、拒絶すると楓は何をするかわからない雰囲気を醸し出しているからだった。

「やだぁ、ビクビクしてきた。気持ち良いの? イく時はイくって大きな声で言ってね?」
「ふ……ざけるな」
「そういえば、私の体も触っていいのよ? 胸は姉さんよりも2カップ上だから、揉み応えがあると思うわ」
「だからっ! ふ……ざける……なよ」

姿勢を正し、自分の体を浩介の方へ寄せた楓は不敵に微笑む。
その姿は、浩介の中の楓の面影など微塵も感じさせなかった。

555:『きっと、壊れてる』第10話(8/8)
10/11/01 23:05:32 l/rCM2FK
「……触らないの? そうね、胸を触っていたら、さすがに他の人にバレてしまうものね」
「何か……俺に恨みでもあるのか?」
「心外ね。私は兄さんが喜ぶと思ってしてあげてるのに。じゃあ足はどう?
ほら、動物園でなんだかんだ文句言ってたけど、兄さんも生足好きでしょ? 触っていいんだよ?」

毛布を少しだけ捲り、楓の細く白い生足が浩介の視界に飛び込んできた。
肌色の足に、粉雪を振りかけたようなその白く輝く足は、薄暗い機内にいる事でより一層の色香を出していた。
浩介は、楓が初日と同じホットパンツを今日も穿いていた理由を、今理解した。
「頼む。やめてくれ。もう十分だろ? ……本当に……やめてくれ……」
破裂しそうな浩介の男性器は、もう限界が近かった。
「イくの? 兄さん? 私の手に出したい? いいよ。出して」

耳に息を吹きかけられ、限界まで粘った浩介がついに果ててしまうと思ったその時。
楓の手の動きが止まった。
「……楓?」
横を見ると、浩介の肩にもたれかかり目を瞑っている。
何かと思い顔を上げ、通路側に目をやると、CAが不思議そうな顔をして立っていた。
「お客様、もしよろしければもう1枚毛布をご用意しましょうか?」

浩介と楓が二人で1枚の毛布を使っている事に気がついたらしい。
楓は狸寝入りを決め込んでいた。
「いえ、もう時間もそんなにないし、大丈夫です」
お手本のようなお辞儀をすると、CAは疑う様子もなく前方へと消えて行った。

「フフッ。ドキドキしちゃった。ごめんね? 寸止めして」
すぐに目を開けた楓が胸を浩介の腕に押し付けた。
手は股間を掴んだままだ。
「もういいから。離してくれ。じきに羽田に着く」

腕時計を見ると、22時20分。
到着予定が22時30分のため、そろそろ乗客も起きだし、降りる支度を始める頃だ。
さすがに楓ももう満足しただろう、そう思っていた。

「駄目よ、出しなさい。出したら兄さんの精液、トイレで舐めてきてあげるね」

浩介は、言葉にならなかった。
自分の中の楓が偽りだった事。
あの絵に描いたような家族団欒、3人兄妹の仲すら壊れていた事。
茜だけではなく、楓すら自分が汚してしまった事。
美佐を裏切ってしまった事。
そして……茜を裏切ってしまった事。

目からは涙が溢れそうだった。
横目で茜を見る。
昨夜と同じように、茜は眠っている。
その横顔は女神が舞い降りたかのように、美しい造形だった。

もう自分の周りの人間は、すべて壊れてしまっていた事に絶望する。
どうすれば、普通の幸せを手に入れ、穏やかに暮らす事が出来たのか。
この状況を茜が知ったなら、どんな言葉で自分を導いてくれるのか。
考えても、行動しても、空回りばかりだった。

女神を汚してしまう事に耐えきれず、浩介は視線を逸らす。
そして、楓の手の中に白く濁った自身を受け止めさせた。

第11話に続く

556:『きっと、壊れてる』第10話
10/11/01 23:06:18 l/rCM2FK
以上です。いつも読んでくださってありがとうございます。では。

557:名無しさん@ピンキー
10/11/01 23:16:04 1QnTGaZo
GJ!
楓の性格が茜と似てきている様な・・・w
続きも早く読みたいです

558:名無しさん@ピンキー
10/11/01 23:31:20 UsEdtZIi
GJ!
リアルタイムで遭遇できた
ほったらかしにされてたらこういうことしちゃうよね・・・

559:名無しさん@ピンキー
10/11/02 00:10:48 vHzrNMUp
GJ
ちょっと興奮してしまったよ…

560:名無しさん@ピンキー
10/11/02 00:39:33 r9SW9v9b
投下乙

浩介どうするんだ…

次回も期待

561:名無しさん@ピンキー
10/11/02 01:37:56 VbXV8Skx
GJ

浩介にとってはこの状況はつらいね。でも不思議なことにどのキャラクターも応援したくなっちゃうんだよね


562:名無しさん@ピンキー
10/11/02 02:50:58 1J7n2BMl
家帰ってからどうなるか楽しみ

563:名無しさん@ピンキー
10/11/02 04:17:59 2sZUa0ik


すっげー続きが気になる……

なんだろ、茜が素直なほど茜に頑張って欲しいと思うわー

564:名無しさん@ピンキー
10/11/02 16:56:07 MAc+rQhA


565:名無しさん@ピンキー
10/11/02 19:35:58 BMDe3kwg
GJ!
楓が可愛い過ぎて生きるのが辛い
これから楓のストーリーも掘り下げそうな感じだし
楽しみです

566:名無しさん@ピンキー
10/11/02 21:10:00 MAc+rQhA


567:名無しさん@ピンキー
10/11/02 22:23:32 LmoCdC9X
携帯からですいません
某海外ドラマ見てたら思いついたキモウトがあるんだが、投下してもいいかな

568:名無しさん@ピンキー
10/11/02 22:50:55 sZy57UgY
そういうスレなのでは

569:名無しさん@ピンキー
10/11/02 23:12:32 LmoCdC9X
まったくだ

内容的にはグロ有り、エロ無し、パロディやや有りです
ちと長めかもしれません。
では投下させていただきます


570:テグスダー
10/11/02 23:17:55 LmoCdC9X
第一話 

 私は萌花。手楠田 萌花(てぐすだ もえか)。
15歳の高校一年生。周囲の評価は『文武両道』『才色兼備彼女(サイカノ)』『俺orアタシの為に毎朝味噌汁を作って欲しい!』
 などなど、かなりの高評価を頂いてい…

…エプロンをつけて、と。

 あ、すみません。ええと、そんな非の打ち所のない美JKと太鼓判を押されている私ではあるが、人である以上、当然他者には言えない秘密が…

あぁ、ここもシートを敷いた方がいいかな。

 …秘密がある。まずひとつ目は……私は、兄を愛しているということだ。それも家族としてではなく、異性として。
 人前では兄さんに迷惑や心労をかけない様、『仲の良い兄妹だね』と言われる程度に自身を抑えているが、実際のところは、そんなものではない。

 例えば、兄さんの事を考えていただけで大会が終わっていた事もある。
 私は幼い頃、兄さんと共に空手を習っていた。
ただ単に兄さんと一緒にいたいが為に始めただけなのだが、どうも私は才覚があったらしく、幾度も大会で優勝し、神童ともてはやされた。
 因みに、兄さんは人並みの…いや違う!兄さんは私など軽々と凌駕する天才だ。
ただ、優しすぎるのだ。
 だからわざと負けて、抱えきれないほどの華束を相手に持たせていただけなのだ。華キューピットなのだ。
 そして、凡人共がその圧倒的な才能の前にひれ伏し、空手への情熱を失う事を危惧し、自ら空手を捨てたのだ。

 あぁ、本当に、なんてお優しい兄さん…兄さんの優しさの前では、マザーテ●サもテロリスト同然です…
 あ、勿論私も兄さんと共に空手を辞めた。周囲も鬱陶しかったし。

 と、そんな過去もあって、つい先月、空手部の助っ人として大会に無理やり出場させられたのだが、前のり遠征のため大会前日に家を出て、気付いたら家に居た。
トロフィー片手に。
 あの時どこでどう戦ったのかは、未だに何一つ思い出せない。
ただひたすらに、私の帰りを待っていてくださる兄さんの事を考えていた気がする。
 後日、大会の事を空手部員に尋ねると

「え?萌花も何だかんだで結構楽しんでたじゃん。ね、もういっそ空手部入ろうよ!」
「…萌花なら、熊爪装備のファイティングコンピューターも片手だね。…いや~、にしてもほんと萌花のブラジリアンキックは軽く光速を(以下略)」



571:テグスダー
10/11/02 23:25:41 LmoCdC9X

 と言われたが、実際はブラジリアンキックどころか、指先一つ動かした記憶も無い。そもそも私の中では外出していない。
 そんな状態でもぼろを出さずにすんだのは、おかしな兄妹だと噂を立てられ兄さんに迷惑をかけない様、普段からきつく戒めている私だからこその芸当だろう。
 自分で自分をほめちぎりたい。

 そしてもうひとつの秘密なのだが、これは……本来なら兄さんに隠し事など唾棄すべき事なのだが、たとえ兄さんといえども
(兄さんへの愛はいつか必ず告げるから隠し事には入らない)打ち明けることが出来ない。


 実は私は、世間一般で言うところの、シリアルキラーだ。つまり殺人鬼だ。

…インパクトのセーフティを解除。

 そうカテゴライズされるのは甚だ不本意なのだが…
何故なら、何の罪もない善良な人々を無作為に殺す!
 なんて罪深い真似は、私には恐ろしくてとても出来ないからだ。
 そして私には亡き父と約束した、殺しの掟(ルール)があるからだ。

 選別のルール。私が手をかける人間は、《兄さんを貶めようとする愚者》と《兄さんに近づこうとした泥棒猫》この2種類のみ、ということ。
ようは殺されて然るべき咎人だけだ。
 さしずめ私は《兄さんを守護する戦乙女》という訳だ。

 …まあ、世間の常識という名の戯言の前では、戦乙女から快楽殺人鬼へと超大幅ランクダウンされてしまうのだろうが。全く腹立たしい。
 獲物を始末する際に快楽を感じてしまうのも、正義執行の悦びと、兄さんを護れたことへの達成感という訳だから、仕方がない事なのにな。

ええっと、ナイフナイフ~……あった。良し、準備完了。

「…これで良し、っと。お待たせしました、先輩」
 儀式の準備を終え、作業台に横たわる様にして縛り付けられた少女を見下ろす。

 これが今回の獲物、藤樟 杏奈(どうくす あんな)。
 兄さんのクラスメイトにして、生徒会書記。
穏やかな性格と、小柄で控えめな体躯、高校生にしてはあどけなさが残る、可愛らしい顔立ちが男子に人気の2年生だ。
 まあ、今は全身縛られているうえに、その整った顔は涙と鼻水でデコレートされている為、見る影もないのだが。

「お、お願い…や、止めて…」
「大丈夫ですよ。優しくしますから。…大人しくしていてくれれば、ね…?」
 そう優しく告げると、彼女の白磁のような頬を手にしたナイフで薄く横に切りつける。頬に走った線から赤い液体が零れ落ちた。

572:テグスダー
10/11/02 23:37:27 LmoCdC9X

「い、痛いっ!!痛いよおっ!!いやぁ!!!!」
 彼女は悪霊にとりつかれたかの如く頭を振り乱し、声が涸れることも構わず叫び声を上げる。

 なるほどなー。これは男子に人気な訳だ。彼女の魅力はその被虐性。
声音、仕草、容姿、彼女の全てが動物の持つ嗜虐心を刺激する。
これはなかなかにそそる獲物だ。
「お、お願いします…もう、お家に帰、してぇ…」
 幼子のように、ポロポロと涙を零し懇願する獲物の頭を優しく撫で、目元から零れ落ちる涙を舌で嘗めとる。
「ひゃん!い、いや、いやっ!!やめてぇ!!もう嫌ぁ!!!!」
「ほら、あんまり暴れないで下さい先輩。…痛くしちゃいますよ?」
「うっ、ひっ!…い、いやだぁ!!もう嫌だよおぉ!!!」
 まるで小動物そのものだ。軽く脅しをかけるだけで、期待通りのリアクションをくれる。
たまらないな。早く殺したい。

「いくら叫んでも無駄ですよ、先輩。ここには誰も来ませんから」
 そう、今私達がいるのは、その機能をより交通の便の良い土地へと移転したためにゴーストタウンと化した、元鉄工団地の最奥にある、港に隣接した一棟の廃工場。
 昔は港から、製品を各地に大量に輸送していたらしいが、今や夢の跡地と化している。
 加えてこの場に至るまでの道筋は複雑で、廃墟にたむろしたがる珍走団の類ですら、最奥まで訪れる事は無い。
 本当に都合が良い。裏手が廃港というのも、さらに都合が良い。もう殺そうか?

「ね、お願、い…もう、やめて…誰に、も、言わな、いから…」
「誰にも言わないだなんて…嘘はよくありませんよ」
 辺りを見回すと、廃油の溜まったドラム缶の縁に、黒ずんだ雑巾が掛けられていた。
手にとってみると、すえた臭いが鼻をついて思わず顔をしかめる。
 …手袋ごしでも気持ちが悪い。
「これでいいよね」

 雑巾を手に獲物のもとへと、恐怖を煽り、かみしめる様にゆっくりと歩み寄る。
傷つき動けぬ獲物を追い詰める獅子も、この高揚感を感じるのだろうか。

 よし、殺ろう。もう《アレ》を済ませて、殺ろう。

「ヒッ!いぁ、オエェ、モゴォ!!」
 首を振り逃れようとする獲物の頭を押さえつけ、薄い唇に縁取られた愛らしい口に、雑巾をねじ込んでいく。
「気持ち悪いかもしれませんが、嘔吐しないほうが身のためですよ。吐瀉物を再度飲み込みたくは無いでしょう?」



573:テグスダー
10/11/02 23:43:42 LmoCdC9X
 やんわりと忠告しつつ、ジャージのポケットから未使用のタンポンを取り出すと、獲物の頬を流れる赤蜜を丁寧にそれに染み込ませていく。
 すると忽ち、無垢な純白が赤黒く穢されていく。恍惚の一瞬。
「家に着いたら、他のお友達(コレクション)に会わせてあげますからね。仲良くするんですよ?」
 たっぷりと獲物の蜜の染み込んだタンポンを手に独りごちる。
 これは兄さんを護ったという証。私の誇り。
戦利品をピルケースに入れ、ポケットにしまい込む。
 ああ…早く防腐処理を施して宝石箱に並べたい。

「さて、と」

 儀式もいよいよクライマックス。蝋燭の灯りが大きく揺らめき、私の影を醜く歪める。…体が熱い。
 意識が朦朧とするような、それでいて、1km先の針の落下音が聞こえそうなほどに全神経が研ぎ澄まされるような。
不思議な感覚が私を包む。

「ムー、ムグー!!」
「名残惜しいのですが、早く帰って兄さんの為に朝食を用意しなければならないので、そろそろ逝ってもらいますね?
ああ、冥土のギフトに先輩の今後について簡単に御説明しますね。
いいですか、まずあなたを細かく解体して、三つの袋に小分けします。
それから、廃港に隠匿してあるモーターボートで沖へと出て、殺害の証拠一式と共に海中へ投棄。
勿論、袋が浮上しないよう細工を施しますから、あなたの恥ずかしい姿は誰の目にも永劫―
晒されることはありませんのでどうか御安心を…」
「ムグ!!フグゥー、フゴー!!!」
 最後通告を言い渡された獲物は、その命を燃やし尽くすかの様な抵抗を見せる。
しかしいくら暴れようとも、動かせるのはその小さな頭とチョークの様なか細い指先のみ。
 悲哀を誘うなぁあ、ぁあ~堪らないぃ。

「あははっ、ごめんなさい。何をおっしゃりたいのか、あいにくとブタ語はわかりません。…では、籐楠先輩…」
「ンゴッ!!!フゴオォォォ!!!!!」
「兄さんに近づいた己を呪いながら、地獄に落ちて下さいね」


 ―そして、獲物の首筋にゆっくりとインパクトを―


「―おやすみなさい―」



574:テグスダー
10/11/02 23:50:58 LmoCdC9X

 ※※※※※※※※※※

「おはようございます」
「おはよう。朝から頑張るねえ、お嬢ちゃん」

 明け方の住宅街をジャージで駆ける私の姿は、中年の新聞配達員の目には、早朝マラソンに勤しむ運動部系美少女と映った様だ。
 この男に限らず、今の私の姿を見て、人一人を解体してきた帰り道だとは誰が思うだろうか。
 普段と異なる行動を怪しまれない様、日頃から朝に晩にマラソンを欠かすこともなければ、それは尚更だろう。
 徹夜の疲れはまるで無い。獲物を仕留めた充足感と、兄さんをこの手で護ったという誇らしさが、私に活力を与えてくれる。

「もうすぐ帰りますからね、兄さん」

 兄さんへと続くカーブを曲がりながら私は、今日の朝食は兄さんの好きなポークサンドにしよう、と決めたのだった。



575:名無しさん@ピンキー
10/11/02 23:58:29 LmoCdC9X
以上で投下終了です

読み専門でしたが、血迷って投下しました。なにぶん初心者なものでお見苦しいと思います

駄文失礼しました

576:名無しさん@ピンキー
10/11/03 02:55:42 gcGXonMZ
GJ!
だが、ポークサンドというのがなんとも・・・・・・、雌豚サンドなんて想像してしまった。

577:名無しさん@ピンキー
10/11/03 08:36:12 MD0t1Nk1


578:名無しさん@ピンキー
10/11/03 13:34:37 qmuQKRsg
ポークサンドかあ……。
うちのお兄ちゃんは肉なら鶏肉が好きだからなあ。
そうだ! あのお兄ちゃんの幼なじみとかいう糞女、
三歩あるけば今日の授業内容を全部忘れちゃうところとか、
チャンスが何度あっても告白できないところとか(そのおかげで未だ幼なじみなんだけどねw)
チキンそのものじゃない!
うふふ、待っててねお兄ちゃん。今日はお兄ちゃんの大好きな唐揚げだよ!
あんな雌鳥に負ける気しないんだから!

579:名無しさん@ピンキー
10/11/03 16:30:27 OyCbRJoj
aa

580:名無しさん@ピンキー
10/11/03 23:19:03 MD0t1Nk1


581:名無しさん@ピンキー
10/11/04 00:27:54 FqSXreVL
>>580
もうやめてくれ…
逆・解

582:名無しさん@ピンキー
10/11/04 01:45:54 iztzdisF
何これ?コント?

583:名無しさん@ピンキー
10/11/04 01:47:31 9Qm65bE3
オイ!Yスレが荒らしに襲われて潰滅寸前だ!次はこのスレって荒らし共が言ってるから今の内スルースキルを身につけとけョ

584:名無しさん@ピンキー
10/11/04 02:21:56 S90ApEDw


585:名無しさん@ピンキー
10/11/04 02:39:55 iztzdisF


586:名無しさん@ピンキー
10/11/04 03:08:46 zImfdN12


587:名無しさん@ピンキー
10/11/04 03:27:28 KIGnk66W


588:名無しさん@ピンキー
10/11/04 03:52:35 zJ14lats
キモハウス

589:名無しさん@ピンキー
10/11/04 10:10:11 KVUzHTsh
発情豚がお兄ちゃんの血となり肉となるなんてキモウト的には許せない筈と思ったり

「……おい! また味噌汁にお前の長い髪が入ってたぞ!」
「ごめーん、お兄ちゃん。謝るから許して、てへっ♪」
(髪の毛自体はお兄ちゃんの口に入らなくても、ダシはちゃんと飲んでもらえてるものね♪)

590:名無しさん@ピンキー
10/11/04 11:03:01 SeN7KHFz
>>588
不思議のダンジョンで「キモハウスだ!」となる訳か
部屋いっぱいのキモ姉妹達…


・キモウト(幼)
お兄ちゃん(主人公)が大好きなので攻撃してこない。
女性がいると嫉妬して優先的に狙うがポカポカと攻撃する姿が可愛らしい。

・キモウト(小)
道具を使う事を覚えたがお兄さんを愛しているので攻撃してこない。
女性がいると嫉妬して倍速移動、二回攻撃で優先的に狙われる。

・キモウト(大)
飛び道具を使う事を覚えたが兄と添いとげたいので攻撃してこない。
女性がいると嫉妬して三倍移動、三回攻撃で優先的に狙われる。

・キモウト(病)
兄が自分の物にならないと悟ったキモウト。
兄を殺して一生自分の物にしてやろうと兄にも攻撃してくる。
飛び道具、三倍移動、三回攻撃で攻撃してくる。

591:名無しさん@ピンキー
10/11/04 15:49:45 0XZyXWXm
歩いたらトラバサミにかかって身代わりの杖振ったのに効果無い助けて

592:名無しさん@ピンキー
10/11/04 18:49:26 /Ej/5yoN
>>509

593:名無しさん@ピンキー
10/11/04 21:19:11 FaCVHcTP
>>591
ドロボー猫ー! 状態だからあらゆる特殊効果がキャンセルされるのさー多分。
対処方法は殺られる前に犯ることです多分。

594:名無しさん@ピンキー
10/11/04 23:27:46 PIQ/RgSG
このスレって過去ログって保管してる?

595: ◆m10.xSWAbY
10/11/05 02:11:20 MZnzDzOC
三つの鎖の個人サイトにあるぜよ!(b^ー°)

596:名無しさん@ピンキー
10/11/05 03:04:43 qtteI2tx
>>595

597:名無しさん@ピンキー
10/11/05 03:05:05 qtteI2tx
>>595
トンクス

598:名無しさん@ピンキー
10/11/05 05:18:16 j4pcydiq
こちらを転載します

165 :キモウトとひきこもり兄Ⅴ [] :2010/11/03(水) 11:54:03 ID:hRsAW5Cw (1/7)
なぜか本スレに載せれないのでこちらのほうで続きを載せていきたいと思います。


599:キモウトとひきこもり兄Ⅴ
10/11/05 05:19:15 j4pcydiq
陽の光も消え、辺りは家々の光が輝いている。
昼の暑さが感じられないほど肌寒くなり秋の訪れを現しているようだ。
耳を澄ませば虫たちの声もどこからか聞こえている。
しかし彼にとってはその声は聞こえるはずもなく、声は相手を探し、むなしく響くだけであった。

(一人side)

「とすると俺と伊吹s」
「瀬里朱と呼んでくれ一人。」
「は、はい。じゃあ瀬里s」
「一人!!『はい』なんて言うな…頼む……他人みたいに言わないでくれ…悲しくなってくるじゃないか……。」
彼女が再び泣きそうになる。
拒絶されているように感じているのだろうか。俺も悪いことをした気持ちになってきた。

「ごめん…瀬里朱。」
「いいんだ一人。昔のことだ…憶えてないのも無理はない…。」

「すみません伊吹さん、兄さんとは許嫁といいましたけど本当に母さんたちが決めていたんですか?」
桜が俺の代わりに話を進めてくれた。桜も桜なりに俺の許嫁が出てきたなんてことになったから気になるんだろうか。

「そうだ、私と一人が離れ離れになる前からだからな。」
「でもそれって昔のことですから冗談だったんじゃないですか?」
「それはない。」
「……。」
桜が不機嫌そうな顔になる。ここまで表情をだしているのは珍しいことだ。
普段なら人形に喜怒哀楽の少しを足したくらいしかだしていないから見分けは付きにくいはずだが
ここまでわかりやすいと桜がどれだけ俺を心配しているのかわかったような気がした。

「いくら伊吹さんが兄さんのことを好きだったとしても兄さんにだって拒否権あるはずです。」
「そうだな、確かにそうだ。だが一人は必ず私のことを好きなってくれる。」
「そうですか…。」


600:キモウトとひきこもり兄Ⅴ
10/11/05 05:19:44 j4pcydiq
(桜side)

兄さん、あの女殺していいですか?
私もう耐えられないです。私と兄さんの世界を壊そうとする奴は殺せばいいんです。

えっ?兄さんは私がそんなことをしたら私のこと嫌いになるんですか…?

イヤです。兄さんに嫌われてしまうのなら殺さなくていいです。あの女は生かしておきます。
いい子だなんて……恥ずかしいです兄さん。嬉しい…兄さんにほめられた。大好きです兄さん。
そうでした、兄さんは暴力は嫌いでしたね。兄さんのことを分かっていなくてすみません。今は反省しないといけません。
兄さんのことを誰よりも知っていて、誰よりも愛しているんです。なのに私が熱くなってはいけません。
あんなのに構っているより兄さんとお話をすることのほうがとっても大事です。

「桜~。お~い桜~。聞いてるのか~?」
「……はっはい!?兄さん呼びましたか!?」
「話している途中なんだからボーっとしちゃだめだぞ桜。」
「すみません…兄さん。」
またやってしまいました…。兄さんごめんなさい。許してください。兄さんが折角私に声をかけてくれたのに……。
なんて愚かなんでしょうか私は…許されるなら今この場で兄さんに千の言葉をもって謝りたいです。
ですがそんなことをしてしまったら兄さんは戸惑に違いありません。兄さんを困らせてしまっては意味がありません。

「瀬里朱、話を続けてくれないか。」
兄さんは話を聞きたがっているのでしょうか?
あんなやつの話なんか気にしなくていいのに。

「わかった。私の両親と一人達の両親が仲が良かったというのはさっき話したな? それから何度も連絡を取り合っているうちに
結婚の話ができてきたんだ。実際私と一人は仲が良かったからな。そして今に至るわけなんだ。こっちも連絡がとれなくなって不安になっていたが
まさかご両親が亡くなっているとは思わなかったんだ。分かってくれたか一人?」 

「なんとなくわかったよ。でもはっきり言うよ、今は瀬里朱のことを何も知らないし、好きでもないんだ。だから結婚の話のことは今は答えられない。」
嬉しい…兄さんは私がいるからあんなやつはいらないと言ってくれました。
兄さん、好きです。好きです。好きです。
ずっと一緒です。ずっとずっとです。

「そうか…そうだな。だが今は答えられなくともいずれ君の口から『好きだ』と言わせてみせよう。一人、今日はありがとう、私は帰ることにするぞ。」
「桜、すまないけど玄関まで送ってくれないか? 俺はやることがあるからさ。瀬里朱、見送れなくてごめんな。」
兄さんはそう言うと共同の部屋に入って荷物を片付けた後、作業部屋に行ってしまいました。
それにしてもあの女も諦めが悪いです。兄さんは私を選んだというのに。

「伊吹さん、玄関までですけど送りますね。」

「ありがとう桜ちゃん。桜ちゃんからお兄さんを奪うようなことを言ってしまってこちらも反省している。」
「別にいいです伊吹さん。それではさようなら、夜道気をつけてください。」
「気にしなくとも大丈夫だ。それではさようなら。」
ガチャ!バタンッ


601:キモウトとひきこもり兄Ⅴ
10/11/05 05:20:07 j4pcydiq
やっと邪魔者が消えました兄さん。これで二人だけの世界に戻ります。兄さん、愛しい兄さん。やっと二人きりです。
今日はどこに行っていたのか聞かないと。それに兄さんにちゃんと携帯電話を持たせるように言っておかないといけません。
私は兄さんのペットです。ご主人様を心配になるのは当たり前です。
兄さんがいないと私は餌をもらえない犬そのものです。ひたすらご主人様を待って鳴いているしかないのです。

それなのに今日は兄さんの嫌いな汚いことをしていたなんて反省しないといけません。
ましてや兄さんのベッドでしていただなんて……。
兄さんはそういうのが嫌いで二次元とかいうものにいってしまったのですから私がしっかりしないといけないんです。
兄さんは人間の汚い部分が大嫌いです。昔からずっと、ずっとです。
だからあんなに人と付き合うのが苦手なんです。弱みを見せたらいつか自分に火が来ると思っているんです。
兄さんの思っていることはあっています。
兄さんは私という汚い妹のせいで人生を滅茶苦茶にされ、人を信じるのが怖くなってしまったのですから。

兄さんの嫌いなことをしているのはダメなことです。兄さんの喜ぶことをしないといけないんです。
兄さんの幸せが私の幸せなんです。
他のやつは兄さんを幸せになんかできません。
兄さんのことが誰よりも好きな私にしかできないんです。
だから今のうちに精々楽しんでおくといいのです。


「桜~ちょっとこっち来てくれないか~?」
兄さんの声が遠くから聞こえました。多分作業部屋で身動きがとれなくなったのかもしれません。
こういうときは私が助けにいかないといけないので兄さんの身体に触れるチャンスです。
「はい兄さん今すぐ行きます。」

スタタッと小走りで作業部屋に行くと兄さんが何かを作っているようでした。
兄さんは昔からプラモデルや模型が上手なのでときどきこの作業部屋で作っていることがあるのです。

「兄さん何か用ですか?」
「あぁ桜そこの工具とってくれないか?今手が離せないんだ」
「はいわかりました兄さん。」

私は兄さんの視線の先にあった工具をとって手渡しました。

はぁ…兄さんの顔が近いです。兄さん…好きです。
兄さん兄さん兄さん兄さん兄さん兄さん兄さん兄さん兄さん兄さん兄さん兄さん
私を見てください。私だけを見てください。私を奪ってください。私を殺してください。
私を犯してください。私を愛してください。私を殴ってください。私を…


602:キモウトとひきこもり兄Ⅴ
10/11/05 05:20:30 j4pcydiq
「よし!一段落ついたな。桜ちょっとそこどいてくれないか?桜~?
 桜~。お~い。またボケっとしてるのか~?ここだと危ないぞ~。」

気がついたら兄さんが私の肩に手をのせていました。
兄さんの目からは私にたいする慈愛のようなものが見えました。
私は何時まで経っても兄さんの重荷でしかないのでしょうか……。
そんなはずないです。私は兄さんの役に立っています。絶対に。

「あぁすみません兄さん。ちょっと考え事で……。」
今日二度目です…。私としたことが情けないです…。でも兄さんが大好きだからなんです。

「すみません兄さん…。」
「いいよ桜、でもここだと危ないからな。それに疲れているんじゃないのか?」

兄さんは肩にかけてた手を伸ばして私のおでこに触れました。
兄さんに触れられた喜びが身体を駆け巡る。

「ありゃ…熱出ているんじゃないか?」
兄さんはそう言うとすぐに部屋を出て体温計を持ってくると私に差し出しました。
「桜、測ってみて。それとベットで休んでたほうがいいぞ。」
「はい、わかりました。」
私は兄さんに言われたとおり部屋に戻り、ベットに入って体温を測ることにしました。


しばらくすると兄さんが飲み物と薬を持ってきてくれました。

「桜、何度かわかるか?」
「37.4度です…。」
「まだ低いほうだけどゆっくりしておかないとな…明日はじっくり休んでおこうな?」
「で、ですけど兄さん、明日はお買い物の約束が……。」
「桜のほうがずっと大事だよ。大切で大好きな、唯一の家族なんだから心配させられる側の気持ちにもなってくれ。」
「はい…。」

兄さんに大好きと言われました…涙が出そうです…。

「桜、苦しかったらすぐ言うんだぞ。今日はそばにいてやるからな。」
「はい兄さん。あ、あのできれば一緒に…寝てもいいですか…?」
「桜はいつもは無口なのに風邪をひくと随分甘えん坊になるんだなぁ~。可愛いこと言ってくれるじゃないか。」
「一緒に寝てもいいんですか…?」
「明日買い物に行けないぶん、治るまで一緒にいるよ。」

思考が速くなる。兄さんのことでいっぱいになる。
嬉しい。嬉しい。嬉しすぎます。
兄さんは私のことが好きなんです。そうに決まっています。
だから兄さんは私と結ばれるべきなんです。
そうです、そうに違いないです。
邪魔な奴はもういない。
兄さんは私がいれば十分です。
私も兄さんがいなきゃおかしくなりそうですから兄さんと私が結ばれるのは当たり前のことです。

「兄さん迷惑かけてごめんなさい…。」
「大丈夫だよ桜。迷惑なんかじゃないからね。桜、早いかもしれないけどもう寝ようね。」
「はいわかりました兄さん。」

そう言って私は瞳を閉じました。
でも寝れそうにないです。兄さんが頭を撫でてくれます。
それだけでも興奮して眠れません。
ですが兄さんに心配をかけてしまうのは良くないです。だから寝なきゃいけません。


603:キモウトとひきこもり兄Ⅴ
10/11/05 05:20:54 j4pcydiq
数時間後

やはり起きてしまいました…。身体を起こしてあたりを見回しますが真っ暗で何も見えないです。
それでも兄さんの温かさは感じれます。

はぁ…兄さんの寝顔がこんなに近いなんて……。

あぁそうでした、兄さんに携帯のことを言っていませんでした。
でも大丈夫かもしれません。兄さんは私のことが大好きですから他の女とくっつくことなんてありえないです。

兄さんに近づいて兄さんの温かさを感じます。
兄さんはどこか窮屈そうな表情でしたが今日は兄さんに甘えたいです。
明日はもっと兄さんといつもはできないことをするんです。

兄さんの唇を指でなぞると兄さんはもぞもぞとしました。可愛い、食べてしまいたい。
キスは今はできないですが、抱きつくことならできます。

私は兄さんにもっと近づいて抱きつくような状態で寝ることにしました。

あぁ…兄さん大好きです。
だからこそ兄さんに、私を選んでくれた兄さんに尽くしたい。
兄さんにされることなら何でも嬉しいです。

「兄さん、おやすみなさい。」


(瀬里朱side)

日本に戻ってくるのは何年ぶりだろうか……。
君と別れてからも少しは日本にいたが君との思い出のないことはどうでもいい。

君にまたあえて良かった。今日は心からそう思った。
君との思い出は私にとってとても大事なものだ。それはこれからも変わらないだろう。

アルバムをめくる。そこには小さい頃の私と君がいる。
昔の君はこんなに笑っていたのに、どうして今の君は笑っていなかったんだ。
君に何かあったのか心配だ。私が君を守れなかったせいなのか?
でも大丈夫だ。ここにいる限り私が君を守る。君の敵は私が殺す。

君はいつも私を引っ張ってくれていたな。
奇異な目で見られ、虐められていた私を守ってくれた。
その頃からずっと君を想い続けているよ。今度は私が君を守る番だ。

「一人……。」

愛しい君の名前。君が好きだ。
私にはお金も権力も知恵もある。君が好きなものは何だって買ってあげられる。
もちろん私も君に相応しい人になれるように頑張ったんだ。
だから君は私と生涯を共にするんだ。そうだろう一人?

私しかいないこの家は君との家にしてもいい。
嫌なら世界中どこにでも作っていい。どんな豪邸でも君のためなら惜しまない。
君さえいれば私はいい。
だが私以外の女を作ったら君でも許さない。君を殺してでも一緒にいよう。

「おやすみ一人。愛しているよ。」

アルバムを閉じ、ベットの明かりを消した。


604:名無しさん@ピンキー
10/11/05 05:21:44 j4pcydiq
転載終わり

171 :キモウトとひきこもり兄Ⅴ [] :2010/11/03(水) 12:03:22 ID:hRsAW5Cw (7/7)
これで今回は終わりです
書くのが良くて月一ペースと遅いので何かと迷惑かもしれませんが
最後まで書いていきたいのでよろしくお願いします


605:名無しさん@ピンキー
10/11/05 18:32:21 lQlT458+
転載乙!

投稿GJ!
次回にも期待!

606:名無しさん@ピンキー
10/11/05 19:28:22 qkbO1Oew
よし来た
これからの展開に期待できるな

607:名無しさん@ピンキー
10/11/05 20:55:20 k3GH3Yv5
天才ありがとう!

608:幸せな2人の話 10
10/11/05 21:57:29 d75ZZSrY
今晩は。
表題について投下いたします。

609:名無しさん@ピンキー
10/11/05 21:58:03 d75ZZSrY

お兄ちゃんと約束をしてから2週間が経った。
そして、来月の終わりに私とお兄ちゃんは二人で、私達の約束を母さんに伝える。


今日も3人で夕飯を食べて、後片付けをして、いつもの様にお茶を3人分淹れてから居間に入る。
お兄ちゃんはまだ居ないみたいで、姉さんが鼻歌を歌いながら上機嫌で髪を梳いていた。
その度にさらさらと姉さんのビロードのような黒髪が揺れる。
「あら、どうしたの~?」
姉さんがのほほんとした様子で私に問いかける。
「気にしないで、姉さんの髪ってきれいだなって思っただけ」
私はお茶を姉さんの前に差し出す。
「くす、ありがとう」
姉さんの手元を何気なく覗くと、見たことのない小さな櫛が握られていた。
「あれ、いつものブラシじゃないの?」
「ふっふっふ~、良い所に気付いたね~」
姉さんはひらひらと私の目の前で櫛を揺らす。
「兄さんが私にちょっと前にプレゼントしてくれたんだよ。
 いつもありがとうって、良いでしょ~?」
私はその細かな細工のされた、綺麗な櫛を見つめていた。
手で削り出されたのが良く分かる丁寧な造りの歯で、まるで姉さんの髪の為に作られたみたいだった。
「も~、ダメだよ。
 そんなに羨ましそうな目をしてもあげないんだから」
姉さんが櫛を両手で握って、冗談っぽく笑う。

610:幸せな2人の話 10
10/11/05 21:58:24 d75ZZSrY
「ううん、いらないわ」
別に櫛が羨ましかった訳じゃない、私には姉さんみたいな髪は無いもの。
ただ、一つだけ気になった事があった。
「それは、お兄ちゃんが選んでくれたの?」
「そうだよ。
 いきなり渡されたから、初めは何なのか分からなくて困っちゃったわ。
 でも、こうして使ってみると本当に私に必要だった物そのものね。
 くすくす、兄さんは本当に雪風の事を良く分かってくれるんだよ」
姉さんがとても嬉しそうに言う。
お兄ちゃんを一番知っているのは姉さん。
姉さんの事を誰よりも分かっているのはお兄ちゃん。
それは私達が恋人になってからも変わらない。
お兄ちゃんと姉さんは昔から何をするのも、好きなものも、嫌いなものも、全部一緒だった。
別に二人で示し合わせている訳じゃないのに。
お兄ちゃんが何かを選べば、姉さんも当然それを選んでいる。
それが二人にとっての当たり前。
私はずっとそんな二人を見ていた。
「くす、シルフちゃんだって兄さんから素敵なプレゼントを貰っているじゃない。
 いいな~、私にも分けてくれないかな~?」
姉さんが物欲しげにトラ達を目で物色する。
「駄目、あげない」
私は部屋の隅に寝かせておいたトラ、タロ、ジロを姉さんから遠ざける。
みんなお兄ちゃんから貰った大切な子達だ。
「うふふ、いいな~。
 ふわふわのトラちゃんかな~?
 それとも、もこもこのタロちゃんかな~?
 やっぱり、もふもふのジロちゃんかな~?
 みんな枕みたいにふかふかだな~」
……話は変わるけど、最近トラ達が明らかに平たくなっきている。
あと、姉さんぐらいの長い髪の毛が付いていたり。

611:幸せな2人の話 10
10/11/05 21:58:48 d75ZZSrY
「別に姉さんが羨ましがる事じゃないわ。
 みんなお兄ちゃんじゃなくて、お兄ちゃん言われて私が選んだの。
 姉さんみたいに、お兄ちゃんが選んでくれたものじゃないから」
「ふふ、だから最近兄さんがシルフちゃんの事を私に聞いてくるんだ」
「私の事を?」
「そうだよ、すごく真剣な顔でお姉ちゃんに相談するの。
 シルフちゃんの好きな事とか、不安に思っている事とか。
 もちろん、シルフちゃんが喜ぶプレゼントの事もね」
くすくす、と姉さんが楽しそうに思い出し笑いをした。
「可笑しいよね、もう兄さんの方がシルフちゃんの事を良く知ってるのに。
 でも、兄さんってそういう所は昔から純真なままだから、何だか安心するわ。
 くす、それにしても、そんなに兄さんに想われるなんて、お姉ちゃんちょっと妬いちゃうかも?」
「別に姉さんが羨ましがる事なんかじゃないよ
 だって、姉さんもお兄ちゃんもお互いの事で悩む必要なんて無いじゃない」
姉さんは何も言わなくてもお兄ちゃんのことなら何でも知っている、きっとお兄ちゃん以上に。
お兄ちゃんはそんな姉さんの事を理解して、信頼している。
「姉さんとお兄ちゃんは、そんな事しなくても何でも分かりあってる」
私もお兄ちゃんと一緒に居ればそうなれるって思っていた。
でも、結局私にはお兄ちゃんが何を考えているかなんていつまでも経っても分からなかった。
今も、分からない。
あの時、どうしてお兄ちゃんは泣いていたのかも、好きと言ってくれた時のお兄ちゃんの気持ちだって。
姉さんなら当たり前の様に分かるんだろうなって思う。


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