キモ姉&キモウト小説を書こう!part32at EROPARO
キモ姉&キモウト小説を書こう!part32 - 暇つぶし2ch250:『きっと、壊れてる』第8話(3/8)
10/10/02 17:58:09 SZbvIUdd
9時半過ぎ、新千歳空港に着いた浩介達はまずレンタカーを借りる事にした。
北海道は広く、効率よく各所を回るためには車が必須の為だ。
シルバーのセダン車を選んだ。
ペーパードライバーの浩介はできれば運転は避けたかったが、
他に運転免許を持っている人間がいないため、我慢して運転席に乗り込んだ。

3人を乗せた車は、北海道の長い道を走る事になる。

とりあえず、3人無事に東京へ帰れる事が最優先。

気合を入れた浩介は、アクセルペダルを踏んだ。

・・・
・・


「えーっと・・初日何処行くんだっけ?」

旅行ガイドブックを片手に助手席に乗り込んだ楓が、運転席の浩介と、後部座席に座っている茜を交互に見た。
「初日は旭山動物園に行って、旭川のホテル」
浩介を運転に集中させたかったのか、茜がいち早く口を開いた。
旭山動物園は茜が希望した場所だ。動物好きな茜らしい、と浩介は思った。
「2日目は?」
「旭川から富良野に行ってラベンダー畑、夜には札幌よ。最終日は小樽に行って夕方には新千歳まで戻ってくるわ」
「さすがおねーちゃん!暗記してるの?」
「暗記っていうか、みんなで決めたじゃない」
「とりあえず、いくら丼は絶対食べたいな」
「昨日はジンギスカンって言ってなかった?」
「うん!ジンギスカンも絶対食べる」
「蟹は?」
「もちろん!!えへへ、楓はおいしい物食べられればそれでいいや」
「もう、滅多に来れないんだからちゃんと観光もするのよ?」
「はーい」
「はははっ楓は昔から食いしん坊だったもんなぁ」
二人の話を聞いていた浩介は、思わず笑った。
「失礼だなぁ。楓はよく食べるけど、スタイル最高に良いよ?ボン・キュッ・ボンってやつ?」
「へぇ・・・」
浩介は「見た目は細いのにそうなのか?」と言いかけたが、後部座席に座っている人の事を考え、軽く流す事にした。
茜は女性としては背も高く、スレンダーでスタイルは良いと言えるのだが、やはり比較的一つ目のボンの部分が小さいからだ。

「・・・懐かしい言葉ね。最近聞かないわ」
「・・・ははは、そうだな。でも函館も行きたかったなぁ」
やはり少し不機嫌そうな茜に気を使い、浩介は話題を変える事にした。
函館は日程的に回りきる事ができなさそうだったので、断念した場所だった。
「あっ楓、オルゴール館は行きたかったなぁ」
「あぁ確かに雰囲気良さそうだなあそこは」
「でしょ?オルゴールの奏でる音色がちょ~ロマンティック!!あっこの前友達がね・・・」
茜は今時の女子高生らしい言葉遣いで、オルゴールの音色の良さからいつの間にか友達の恋愛話を熱弁した。
茜と容姿がそっくりなため、とても違和感があるな、と浩介は思った。
そして、美佐と楓を会わせたらとてつもなく五月蠅くなりそうだ、と苦笑いした。

「あ~なんか話してたら本当に行きたくなってきちゃった。どうしても無理なんだっけ?函館」
「う~ん・・ちょっと無理だなぁ。削るとしたら今日のあさひや・・」

「動物園は駄目よ?」

「・・・また今度な」
「・・・うん」
茜の一言で、気持ちが盛り上がっていた浩介と楓は、一瞬で黙らざるを得なくなった。
本気で怒りそうな茜の気配を、しばらく離れていてもしっかりと覚えていた楓に感謝をしつつ、浩介は運転に集中した。

251:『きっと、壊れてる』第8話(4/8)
10/10/02 17:58:54 SZbvIUdd
旭山動物園は行動展示と言われる、動物の生活や習性を来園者に見せる展示方法をいち早く取り入れ、有名になった動物園だ。
近年では北海道の代表的な観光地として、海外からも数多くの観光客が訪れているらしい。
浩介達は受付で入園チケットを購入し、園内に入った。

近年、北海道といえど夏場は30度を超える日もめずらしくなく、この日は最高気温32度の予報だった。
ふと、浩介は楓の格好が目に入った。
いかにも夏らしいTシャツにホットパンツ姿の楓は、健康的な美を振り撒いていて、
可愛らしいとは思った浩介だったが、ここは楓の貞操観念の欠落を危惧して、
注意しておかなければいけないと思っていたところだった。

「しかし・・・楓、その格好もう少しなんとかならなかったのか?」
「え?変?」
「茜、足出し過ぎじゃないのか?これ」
浩介は茜に同意を求めようと話を振った。
「兄さん、今の若い子はこれが普通よ」
そう言った茜は、どこかのお嬢様のようなゆったりとした白いワンピースに、黒い日傘を差している。
茜は昔から、ゆったり目のロングワンピースのような服を好み、色も地味な物が多い。
茜と楓で比較すると、どうしても浩介には楓の格好が、露出し過ぎているように感じてしまっていた。
「そうだよ。お兄ちゃんオヤジくさい」
「オヤ・・・」
女性陣に反論され、浩介は何も言い返せなった。
もう自分の世代と考え方が違うのだ、そう割り切る事にした。

「ねぇ、どこから回るの?」
3人は、動物の絵が描かれている入口近くの園内地図の前まで来た。

「白熊よ」

茜は地図をチラッと見ると、スタスタと浩介と楓を置き去りにするかのような勢いで、歩き始めた。
どうやら、最初から回る順番は決めていて、場所を確認したかっただけらしい。
茜の歩くスピードに唖然とした浩介は、隣でヤレヤレといった表情で立っていた楓に向けて口を開いた。
「・・・なぁ、アイツはここまで動物好きだったのか?」
「えぇ!?やだお兄ちゃん、知らなかったの!? 昔なんて週末になると、しょっちゅう一人で動物園行ってたんだから」
「一人で!?」
博物館や美術館、それに映画館やカラオケは、一人で行く人間の存在を知っていたが、
動物園は聞いた事がないな、と浩介は思った。

「うん。あぁお兄ちゃん週末も部活でいつも遅かったから、知らなくても無理ないかも。お姉ちゃん夕飯までには帰ってくるし」
「そうだったのか」
「それでね、帰りにはブサイクな動物のぬいぐるみ買ってくるの、必ず」
「なるほど、その為にバイトしてたんだな」
楓の話を聞いた浩介は、茜が高校の頃コンビニで週に1度か2度アルバイトしていた事を思い出した。
そして、『いつもどこで買ってくるんだ』と思っていた茜の部屋に置いてある、
ぬいぐるみ達の出身地がようやく判明した事に、不思議な達成感を感じた。

「言われてみればそうかもね。お姉ちゃん、自分の物は極力自分で買ってたみたいだから」
「でも当時は焦ったよ、茜が接客業やるって言い出すから」
「確かに。でも高校生のバイトって接客業ぐらいしかないしねぇ。ちゃんとできてたのかな」
「一度心配で見に行った事があるんだけど、一応形にはなってたぞ。営業スマイルはなかったけど」
浩介はコンビニのレジを無表情でこなしている茜の姿を思い出し、楓に気付かれないように微笑んだ。

「・・・」
浩介は楓が何か思いつめた顔をしている事に気付いた。
「楓?」
「・・ん?あぁちょっと思い出しちゃって!昔の事」
楓はそう言うと、浩介の腕に突然手を絡ませてきた。
フワッと楓の香りが浩介の無防備な鼻に届く。
茜と同じ香り。
浩介はその懐かしい香りに、嫌気が差した。
もう自分の心は決まっているのに、この香りを嗅ぐと決意が弱まる気がしたからだった。

252:『きっと、壊れてる』第8話(5/8)
10/10/02 17:59:28 SZbvIUdd
「お、おい・・・どうした?」
「なんとなく・・もうこれからは素直に甘える事が出来なくなるかもしれないから」
「??・・・別に大人になろうが、一緒に住んでなかろうが楓は俺の妹だろ?」
「それはそうだけどね。女の子には色々あるのよ。おねーちゃんにもよく言われない?」
「そういえば、何回か言われた事があるな。・・・とりあえず恥ずかしいから離してくれよ」
「やだ~」
楓は腕を組んだまま、浩介を引きずるように歩きだした。
「おいっ楓」
浩介が楓を説得しようとすると、注意された反抗期の中学生のような顔をした楓が浩介に振り返った。

「いいじゃん、兄妹なんだし」
「兄妹だから恥ずかしいんだよ」

浩介の本心、それは『茜に見られたくない』だった。
もう普通の兄妹を築こうとしている最中なのに、「それはおかしい」と諭されるかもしれない。
それでも浩介は、美佐と腕を組んでいる姿すらも、できれば見せたくなかった。
まだ完全にフッきれていないのだな、と浩介はお腹の中がまだ消化し切れていないような気分になった。

「だめ~。白熊の所に着いたら解放してあげるから!」
しかし、浩介の意向は無視するかのように、楓は腕を離さなかった。
そこまで、浩介と腕を組みたいのだろうか、楓の顔は真剣だ。

不意にある想像が浩介の頭の中を走った。
急に二人の兄妹がいなくなり、これまでの数年間楓は寂しかったのかもしれない。
そう考えると、ここで断るのも不毛に終わりそうな気がしてくる。楓はおそらく甘えたいだけだ。

浩介は抵抗する力を弱めると、楓の頭を撫でた。
「えっ!?何?」
「・・・何でも。じゃあ熊の所までな」

浩介の急な心変わりに驚いたのか、楓は真面目な顔を崩さず、何かを考えている。
こうして真剣な顔をしていると、本当に茜とソックリだ、と浩介は思った。
浩介は楓を見ながら、後ろを振り向きもしないで、白熊の所へ急いで歩いている人物の事を考えた。
「・・うん!!じゃあ白熊までね!!」
楓は最後には嬉しそうな表情を見せ、浩介の腕に改めて抱きついた。
意外に力が強く、抱き枕にでもするかのように、きつく浩介の腕を抱いている。

車中で楓が言っていた事は本当かもしれないと浩介は思った。
浩介の腕に当たる女性特有の柔らかさは、茜や美佐よりも確実に勝っていた。

何くだらない事を考えているだ俺は。

浩介は雑念を振り払うかのように、歩きだした。
遠く前方を歩く茜を見る。様子は変わっていない。

周りを見渡す。やはり家族連れが多く、皆楽しそうに園内を歩いている。
自分達3人も、傍から見ればただの仲の良い家族に見えているだろうか、と浩介は思った。

そうでなくてはいけない。

浩介は密着して隣で楽しそうに歩く楓を見た。何も欲情は湧かない。
それは茜の異質さの再確認だった。

もう終わった事だ。考えるのはやめよう。

浩介は歩く速度を速めた。
茜に気付かれてしまったとしても、何も困る事などない、それが普通なんだ。

途中で楓に文句を言われるまで、浩介は、歩幅を大きくして歩いた。
結局、白熊のエリアに着くまで、茜がこちらを振り返る事はなかった。

253:『きっと、壊れてる』第8話(6/8)
10/10/02 17:59:57 SZbvIUdd
夕方になり、予約していた宿に到着した。
航空会社が経営している、市内でも比較的大きいホテルだ。
3人はフロントで受付を済ますと、エレベーターに乗り込んだ。
途中一緒に乗っていた中年の男性が降り、エレベーターの中が浩介達だけになると、
楓がガラス張りになっている後面に走った。
おそらく外が見渡せるようにガラス張りに設計されたのだろう。旭川の街並みが夕日と重なって美しく映っていた。

「すごいよ、おねーちゃん!見て!ちょ~綺麗!!」
「高い所は苦手」
楓が茜の手を引っ張ろうとすると、茜は逃げるように浩介の陰に隠れた。

「そうなのか?茜、高所恐怖症だったんだな」
浩介は意外そうに後ろを少し振り返り、茜の顔を見た。
割と真剣な顔をして、隠れている茜は本当に高い所が苦手なようだ。

「だって・・・落ちたらどうするのよ」
仕方ないじゃない、といった顔で口を尖らせる茜を見て、浩介は茜の数少ない弱点を発見した気がして微笑ましくなった。

「おねーちゃん、たまにボケるよねぇ」
「でも子供の頃は平気だったよな?」
これは間違いないだろうと浩介は思った。
遊園地で、高い所に上るアトラクションに乗っていたのを覚えていたからだ。

「そうね、鳥に憧れた時期もあったわ」

茜は旅行を満喫して気分が良いのか、めずらしく冗談を織り交ぜ、浩介の問いかけに答えた。

廊下を渡り自分達の部屋に入ると、値段の割に広々とした光景が目に入った。
シングルベッドが3つ並んでいる。
浩介の本音では、また茜を意識してしまうかもしれない自分が恐ろしく、できれば別々の部屋が良かった。
しかし楓がもし『何も知らなかった』場合、なぜ兄妹なのに別室にするのか、と不振に思いそうなので同室にしたのだ。

「楓は窓側~」
楓は入り口から一番遠いベッドまで小走りで駆け寄り、体を投げ出し大の字に寝転んだ。
「茜は?」
「私はどちらでもいいけど・・お金を出した人が真ん中に寝れば?」
そう言うと、茜は一番手前のベッドに腰掛け、荷物を整理し始めた。

茜の機嫌は特に悪くはなさそうだった。
昼間、楓と腕を組んで後ろを歩いていた時、いつ茜が振り向き、その視線が腕に向くのか、
浩介は実質脅えていたが、結局茜は白熊に夢中で気付かなかったようだ。

「ねぇお風呂行こうよ。汗かいちゃった」
いつの間にか起き上がっていた楓は入浴の支度をしていた。
旅行用のシャンプーやトリートメントが入っている小さなポーチを取り出し、同意を求めるかのように茜を見た。
「そうね、夕食までまだ少しあるし。兄さんはどうする?」
「俺はもう少ししたら行くよ。どうせ風呂は男の方が早いしな」
浩介は携帯電話を取り出すと、メールの作成画面を開いた。
美佐に連絡を取るためだった。

「そう、じゃあ楓、先に頂いてましょう」
「ねぇ、おねーちゃん。なんでお風呂も『頂く』って言うの?」
「ご馳走だからよ」
姉妹は他愛もない話をしながら、部屋を出ていった。
浩介はベッドに寝転がり、メールの文を考える。

う~ん、なんて書けばいいんだ。美佐はまだ仕事中だろうし・・。

浩介は普段あまり使わないメールの文章に悪戦苦闘したが、結局『お土産は何がいい?』という一文を送信する事にした。
3分と待たず帰ってきたメールの文章は『スイカ熊が欲しい』という、浩介には理解できない謎の文章だった。

254:『きっと、壊れてる』第8話(7/8)
10/10/02 18:00:46 SZbvIUdd
茜と楓が風呂に行ってから約1時間後、浩介は窓の外の旭川の街並みを眺めていた。
茜と楓が部屋を出てから10分後、浩介も大浴場に向かった。
部屋のキーの事もあり、あまり長湯はしているつもりはなかったが、
久しぶりに広い風呂に直面した浩介は、普段よりはゆっくり浸かったつもりだった。
それでも茜達よりかは出てくるのが早かったようで、安心していたところだ。

コンッコンッ

控えめなドアを叩く音に気付き、浩介がドアを開けると、そこには茜がいた。
まだ遠目から見ると楓との判別は付けにくかったが、この距離なら間違える事はない。

「遅かったな、あれ?茜だけか?」
少し身を乗り出して廊下を見ても、楓の姿はなかった。

「えぇ、ゲームをやってから戻るって」

茜は湯上り姿で、顔には赤みがさしており、濡れた髪からは普段よりも強く茜の香りがする。
スレンダーの身体に浴衣もよく映えていて、浩介は直視できずに目を背けた。
「ゲーム?」
「ほら、大浴場の近くに小さいゲームセンターみたいなのがあったじゃない」
「子供か・・あいつは」
楓は少し幼いような気がする。高校3年ならもう少し背伸びしようとしていてもいいのでは、と浩介は少し心配になった。

「フフッ体は成長したのにね」
茜はそう言いながら微笑むと、部屋の中に入り、自分のベッドに腰掛けた。
姉としては放っておいても大丈夫だと考えているのか、
確かにそこまで深刻な話でもないか、と浩介は深く考えない事にした。

「しかし・・良い所だな北海道は。食べ物もうまいし、なにより空気が綺麗だ」
浩介は窓の外を見ながら、ガラス越しに茜に語りかけた。
空は、そろそろ夜の帳が下りそうだった。

「えぇ、良い所。欲を言えば飛行機は避けたかったのだけど」
「??高所恐怖症は飛行機も怖いものなのか?」
素朴な疑問。
飛行機嫌いな人は聞いた事があったが、高所恐怖症とは結びつくものなのか、浩介にはよくわからなかった。
「えぇ、そうね。とても怖いわ」
「そっか、悪かったな。でも行く前に言ってくれれば良かったのに」
「ううん、気にしないで。今回は楓が主役だから」
「あぁ、そうだな」

・・・
・・

10分程度経っただろうか、茜と二人で静かな時間を過ごした。
最近は楓が居候しているので、久しぶりの静寂。
浩介にとって、長年変わらないこの茜と二人きりの静かな時間は、とても居心地が良かった。

ふと、浩介は文庫本を読んでいる茜に視線を移した。
透明なビンに入った白い液体を飲もうとしている。

「牛乳?」
「えぇ、さっき買ったのよ。お風呂出た所にあったでしょ?売店」
茜はそう言うと、コクコクと喉を鳴らし、ビンの約3分の1程の牛乳を飲み干した。
「なんでまた」
浩介は茜が牛乳を飲んでいる姿など見るのは、小学校の時以来だった。
嫌いなわけではないだろうが、買ってまで飲む物でもない。

「・・・もう少し、グラマラスになろうかと思って」
「?」

255:『きっと、壊れてる』第8話(8/8)
10/10/02 18:01:18 SZbvIUdd
「兄さんは、大きい方が好きみたいだから」

浩介は、自分の見通しの甘さに愕然とするしかなかった。
車中でこの話が出た時は、何も反応をしなかった自信があるし、実際に心の中でも何とも思っていなかった。
茜は、動物園で浩介が一瞬だけ見せた、隙ある心理状態の事を皮肉っていた。

気付いていた。
自分の後ろで楓と浩介が腕を組んで歩いていた事を。
しかし、それだけなら、歩く茜の前にガラスなどの反射する物があれば確認する事も不可能ではない。

浩介が一番驚いた事。それは茜の洞察力と注意力。
気付いていた。
浩介が、一瞬だけ楓と茜の身体を比較し、男性特有の感情を出した事を。

茜はベッドから立ちあがり、浩介の目の前まで来た。
浩介の頬に掌をそっと添えると、何かを確認するように浩介の目をじっと見つめた。

「フフッ冗談よ。そんなに脅えた顔しないで?」
そして、愛おしそうにゆっくりと頬を撫で、この世の物とは思えないほど美麗な微笑みを浮かべた。
浩介は何も言えず、ただ立ち竦んでいただけだった。

・・・
・・

茜はしばらく浩介の頬を撫でると、「牛乳だけで成果が上がるなら苦労しないわ」と呟き、寝る準備に戻っていった。
楓が部屋に戻ってきた後も、浩介は茫然としていた。
無理もないかもしれない。
浩介は考えてもみていなかった事だ。
しかし、茜の言動、なにより先程の目や仕草を加味すると、疑わざるを得なかった。

茜はまだ浩介を一人の男として認識している。

二人が兄妹に戻った日から、まだひと月経つか経たないかだ。
茜も割り切れていないだけだろうか。浩介はその可能性は低いと思った。
先程の目、茜の切れ長で作り物のように壮麗な目。
それは深く深く黒かった。
絶対的な自信。
それがあの目には宿っていた。

ベッドの中で浩介はふと、この間行った鎌倉での出来事を思い出した。

美佐もだった。
美佐もあの時、浩介の頬を愛おしそうに撫で、微笑みを浮かべていた。
茜も昔からやっている動作だ。

二人とも、同じ仕草で同じように微笑み、同じように浩介を愛でる。

根拠はない。
ただ、浩介は『宿命』と『運命』の存在を信じた。

第9話へ続く

256:『きっと、壊れてる』第8話
10/10/02 18:02:11 SZbvIUdd
以上です。ありがとうございました。

257:名無しさん@ピンキー
10/10/02 18:55:23 8gfOeqmR
GJ!
規制続きで全く書き込めなかったよ

258:名無しさん@ピンキー
10/10/02 19:05:29 DFBqiCt3
>>256
GJ
さて茜はどうでるか…

259:名無しさん@ピンキー
10/10/02 19:51:21 ZIfomV0q
GJ

260:名無しさん@ピンキー
10/10/02 23:29:06 Mt+EhlZy
>>256
GJです
ただ今のところ楓が普通なのがちょっと残念です。これからに期待というコトで次話が楽しみです

261:名無しさん@ピンキー
10/10/02 23:50:48 nl2z2TlL
>>256
GJ
おれには嵐の前の静けさにしか感じないぜ

262:名無しさん@ピンキー
10/10/02 23:59:43 x7MgKw5y
きっと壊れてるキター!
>>256GJ!
楓と茜が今後どうするのか楽しみ

263:名無しさん@ピンキー
10/10/03 08:15:06 XpN/OW5p


264:名無しさん@ピンキー
10/10/03 17:25:53 pjqdDjkh
いしてるよ、お兄ちゃん!

265:名無しさん@ピンキー
10/10/03 18:23:38 eW8LkS2O
ああ、あのブス?○したよ♪
いいことした後は気分がいいなあ
うん、待っててねお兄ちゃん
え?聞こえないよお兄ちゃん
お兄ちゃん、捕まえた♪くすくす

キモウト五十音表「あ」の段

266:名無しさん@ピンキー
10/10/03 20:26:37 hwSVEXEQ
>>265
続きに期待

267:名無しさん@ピンキー
10/10/04 03:42:17 HTTlQzTG
265じゃないけど

かまってほしいの、よその女より
きっと願いをかなえてみせる
くるしい胸の内は秘密なの
けっこんできなくても事実婚
こんなわたしでごめんねお兄ちゃん

268:名無しさん@ピンキー
10/10/04 03:57:33 Q6JO3z9y
>>267
IDが放課後ティータイムwww
そういや憂もキモウトの範疇にはいるのかな?

269:名無しさん@ピンキー
10/10/04 09:10:41 DTWv2LWS
IDが放課後ティータイムwww
そういや憂もキモウトの範疇にはいるのかな?

270:名無しさん@ピンキー
10/10/04 13:45:12 HTTlQzTG
およ本当だ
憂は、攻撃性を発揮することはないが、
毎晩おねえちゃんを想って幸せな気持ちになったりすごく悲しくなったり。
悶々として一睡もできないことがあっても、それを唯には一切悟らせない子だと思う。

271:名無しさん@ピンキー
10/10/04 21:50:33 +fbkAjxo
三番煎じ。長めの保守と思ってくれ。

さらってしまおう、あの牝豚から
しね! 兄さんは私のものだ!
すごい! 兄さんとするの、一人でするよりずっといい!
せっくすしよう。二人で濃い血の赤ちゃん、いっぱい作ろう。






そんな……。嘘、嘘でしょう? 目を開けて兄さん!

272:名無しさん@ピンキー
10/10/05 00:23:56 mAH4iBiS
たりないの、もう妹ってだけじゃ
ちは水よりも濃いのよ? だから私と引き合うのは当然よね。
つきあってる子がいる? いいえ、もういないわ。
てんごくよ、今頃はね。
ともだちもいっぱいいるからきっと寂しくないよ、あははははは

273:名無しさん@ピンキー
10/10/05 23:17:10 RgTq9g7x
兄「何してるんだ妹!やめろ!!」
妹「兄さんは私を嫁」
  ぬぷぷ……
兄「ね、姉さんっ!助けてくれ!!」
姉「NO。妹ちゃん、次は私の番ね」

274:名無しさん@ピンキー
10/10/06 00:57:28 TXC63d+Q
>妹「兄さんは私を嫁」

意味わからないが「言葉」でなく「心」で理解できたッ!

275:名無しさん@ピンキー
10/10/06 01:26:13 yvAF/CBj
投下いきます

276:キモガールズトーク
10/10/06 01:27:23 yvAF/CBj
「好きな人とかいないの?」
 暗闇の中、ドアの隙間から漏れる光を眺めていたら、突然、質問された。
 私が寝返りをうつと、ニヤニヤといやらしい笑みを浮かべた友人の顔が、私に迫る。
 仮に、彼女の名前をAさんとしておこう。
「ねえ、いないの?」
 Aさんは、ずりずりとこちらに体を寄せて、再度問う。
 その小さい体で、布団ごと移動してくるなんて、無駄なところで器用な娘だ。
「私も気になるな。匡子(きょうこ)のそういう話は、聞いたことがないから」
 今度は、足元から私の名前を呼ぶ声がする。
 仮に、Bさんと呼ぶことにしよう。
 Aさんと同じように、Bさんもにやけた顔で私に這いよる。
 ちょっと二人とも、なんか怖いんだけど。
 思わず後ずさる私の足を、Bさんの長い手が捕まえた。
 そのまま、四つの布団の真ん中まで引きずられる。
 ちょっと、やめて、と制止する私の声を無視して、ケラケラと笑うBさん。
「先生が来てしまいますよ」
 それを止めたのは、浴衣の乱れ一つなく寝ていたはずの、Cさんだった。
 どうやら、私達の声で目を覚ましてしまったらしい。
 ごめんね、と口々に謝る私達に、「お気になさらず」とあくまで上品に微笑むCさん。
「私も気になります。匡子さんの好きな方のこと」
 Cさんまでも、こんな事を言い出す始末だ。
 明日は、丸一日、自由行動で名所を巡るのだから、早く寝た方が良いんじゃないの、
と言っても、三人の友人は、一向に諦める気配を見せない。
「いいじゃん、なんなら協力するし」
「水臭いな、友達だろう?」
「ドキドキしますね」
 私だけが置いてけぼりだ。
 確かに、このテの話は、修学旅行の夜の定番である。
 しかし、困ったことに、現在、私には特に意中の人がいるわけでもなく、
もっと言えば、生まれてこの方、恋愛というものをしたことがない。
 正直に白状すると、三人は、信じられない、という顔をした。
「ちょっと気になる、でもいいんだよ? 何となく目で追ってる、とか」
 Aさんの問いにも、首を左右に振ることしかできない。
「まさか、女に興味がある、とか言わないよな?」
 勢いよく首を振って、Bさんの疑いを晴らす。
「匡子さん、どんなに頑張っても、二次元には行けないんですよ?」
 Cさんから、とんでもない言葉が飛び出した。

277:キモガールズトーク
10/10/06 01:29:44 yvAF/CBj
 改めて考えてみても、私の頭には「気になる男性」が、浮かばない。
 今度は、私が三人に質問してみることにした。
 あなた達は、今、好きな人はいないの。
 あはは、ふふん、うふふ、と三者三様の忍び笑いが返ってくる。
 まずは、Aさんが語りだした。
 それは、私にとって想像を絶するものであり、彼女のことをよく知らないうちに、
その話を聞いていたら、私は間違いなく友人にはならなかったであろう、
と思わせる内容だった。
 なんと、Aさんの好きな人は、彼女のお兄さんだという。
 全てを聞いていたら、夜が明けてしまう。
 Aさんの話を三十分ほど聞いて、そう判断した私は、特に印象に残っている
エピソードを聞かせてもらうことにした。

 Aさんのお兄さんは、つい先日、誕生日を迎え、世間一般で言うところの成人となった。
 Aさんとは四つ違いで、妹を非常に可愛がってくれる兄なのだそうだ。
 ご両親が苦笑気味に、あの子は、いわゆる「しすこん」ね、と言うくらいだから、
本当に溺愛しているのだろう。
 当然、Aさんもお兄さんが大好きで、彼女は、自分たちは、ずっとこのまま、
仲良しでいられると思っていた。
 しかし、その未来予想図は、唐突に切り刻まれた。
「会ってほしい人がいるんだ」
 ある晩、家族団らんの席で、お兄さんは言いだした。
 ご両親が驚いたのは勿論だが、何よりも、衝撃を受けたのは、Aさんだった。
 付き合っている女性がいる。
 その人との結婚を考えている。
 相手も同意してくれている。
 お兄さんが口を開くたびに飛び出してくる、信じられない、信じたくない言葉の数々。
 Aさんは、突然、猛烈な吐き気に襲われ、胃の中の夕食を全て床にぶちまけた後、
気を失ってしまった。
 過度のストレスが原因だった。
 それから、Aさんは部屋にこもり、たとえ、それが大好きなお兄さんであっても、
部屋にいれようとはしなかった。
 一週間後、Aさんは部屋から顔を出した。
 葛藤につぐ葛藤を乗り越え、久しぶりに目に入れた外界は何もかもが輝いて見えた、という。
 気持ちは、もう決まっていた。

「それで、私はお兄ちゃんをレイプしたの」
 耳がおかしくなったのか、頭がおかしくなったのか、どちらを疑うべきか迷った。

278:キモガールズトーク
10/10/06 01:31:52 yvAF/CBj
 もう一度、いい?
 私が聞くと、Aさんは顔を真っ赤にして、こう言った。
「だからね、お兄ちゃんの手足を縛り上げて、大好きだよ、って言いながら
おちんちんを口で綺麗にしてあげた後、もうびしょびしょだった私の」
 すいません、もう勘弁してください。
 誠心誠意、土下座して、話を打ち切らせてもらった。
 ただ、一つだけ気になった私は、最後にこう質問した。
 お兄さんは、その後、彼女とどうなったの、と。
 Aさんは、きょとんとして、首を傾げる。
 だから、お付き合いしていた女の人とは、結局別れたの?
 言葉を変えて、もう一度質問してみたが、Aさんは困り顔だ。
「彼女なんて、いなかったよ?」
 だから、訳が分からない。
「お兄ちゃんに彼女なんて、最初からいなかったんだよ」
 いつも快活なAさんから、表情という表情が消えた。
 これ以上追求すれば、私の存在もなかったことにされそうなので、話題を変えることにした。
 次に語りだしたのは、Bさんである。
 Bさんとの付き合いは、それなりに長い。
 だから、私も彼女に歳の離れた弟さんがいることは知っていた。
 でも、流石にこれは予想外だった。

 Bさんの弟は、小学生。
 顔立ちは実に可愛らしく、ひねくれたところのない、素直な少年だ。
 目上の人間には、敬意を忘れず、女性には優しい。
 ご両親の熱心な躾の賜物であろう。
 このようなルックスと性格を持ち合わせているのだから、人気者にならないはずがない。
 男女問わず、彼は人気者だ。
 そんな弟さんも、年相応に甘えん坊で、夜になると、姉であるBさんの布団に潜り込んでくる。
 姉としては、庇護欲を大いにそそられるのも仕方のないことだ。
 ソトでしっかりしている分、ウチでは甘やかしてあげよう、とBさんは考えていた。
 ところが、だ。
 ある日、Bさんは見てしまった。
 弟さんとしっかり手を繋いで歩く、上級生の女の子の姿を。
 嬉しそうに、腕にすがりつき、「お姉ちゃん」と甘える弟さんの顔を。
 Bさんは、逃げるようにその場を立ち去った。
 どうやってたどり着いたのかも分からない。
 気がつくとBさんは、自分の部屋の布団にくるまっていた。
 顔中がベタベタで、喉はちくちくと痛みを訴える。
 泣き疲れて眠ってしまったのだ。

279:キモガールズトーク
10/10/06 01:34:31 yvAF/CBj
 涙と共に、嫉妬や屈辱感は、すっかり抜け落ちてしまったようで、Bさんの心中は、
台風一過の青空のように、晴れ渡っていた。
 隣を見ると、いつものように弟さんの寝顔がある。
 もう真夜中で、家の中は静まり返っていた。

「それで、私は弟をレイプしたんだ」
 どうしてこうなった。
 頼むから、結果に至る理由をきちんと述べてほしい。
「だから、寝ている弟を起こして、唇を奪ったあと、全身を舐めてあげて、
耳元で、お前はもう、姉ちゃんのモノなんだからな、他の女を見ちゃいけないんだよ、
と囁きながら、皮を被ったままのあの子のぺニスを、私の」
 少しだけ我慢してみたけど、やっぱり無理です、勘弁してください。
 深々と土下座をする。
「大体、あの子の姉なんか私以外に務まるものか」
 当時を思いだしたのか、憤懣やる方ない、といった表情で、Bさんは口を開く。
「私が、拳骨を数発くれてやっただけで逃げだす女に、弟を守れるものか」
 帰り道にばったり会ったので、つい、やってしまった、とBさんは言った。
 完全に通り魔だ。
 この狭い部屋に暴行犯が二人もいる。
 しかも、片方は殺人犯の可能性もある。
 AさんはBさんと更に深い話を始めているし、Cさんはにこやかに相づちを打っている。
「さあ、次はCの番だぞ」
 Bさんの言葉に、Cさんは、笑顔を浮かべて、
「実は、私も匡子さんと同じで想い人はいないんです」
と答えた。
 良かった、やっぱりCさんは、まともだった。
 私は胸をなで下ろすと、じっくり探していきましょうよ、とCさんに語りかける。
 そうですね、とCさんは応え、「私には、手間のかかる家族がいますから。
そちらの世話だけで手一杯です」と、ふざけた調子で言った。
 おそらく、双子の弟さんのことであろう。
 彼もCさん同様、顔立ちから仕草まで何もかもが上品だ。
 もしかしたら、家では、そうではないのだろうか。
 Cさんが、いつもより、少しだけ姉の顔で、双子の弟を叱る姿を想像すると、
ついつい頬が緩んでしまう。
「あの子ときたら……いつも、いつも、いつもいつもいつもいつもいつもいつもいつも
いつもいつもいつもいつもいつもいつもいつもいつもいつもいつもいつもいつもいつも」
 頬が緩んだままの状態で固まった。

280:キモガールズトーク
10/10/06 01:35:54 yvAF/CBj
「他の女の子にばっかり優しくして。ねぇね、と呼んでもくれないし、部屋には
勝手に鍵をつけるし、最近は、専属のガードマンまで雇って、私を遠ざけるし、
挙げ句の果てに、私」
 Cさん、寝ましょう。
 明日は朝が早いですから。
 知らない。私は何も知らない。
 Cさんの目がくわっと見開いて、瞳孔が収縮仕切っているのも、その手が掴んだ枕が、
綿飴のようにブチブチちぎれていくのも。
 実は担任の村井先生が、Cさんの弟と恋仲という極秘情報も、私は知らない。
 知らないのだ。

 AさんとBさんのノロケ話とCさんの呪詛の声に包まれながら、私は、ただひたすらに
夜が明けるのを願う。
 もうおうちかえりたい。
 家に帰って、いつものように、兄さんに抱っこされてのんびりしたい。
 時刻は二時。
 夜明けは、まだ遠い。


 終

281:名無しさん@ピンキー
10/10/06 01:37:14 yvAF/CBj
投下終了
暇つぶしになれば幸いです

282:名無しさん@ピンキー
10/10/06 01:48:39 RdpxikxJ
乙乙。一瞬本物の良識派かと思ったが我々の期待を裏切らないオチで安心した。

283:名無しさん@ピンキー
10/10/06 11:29:49 pMf0itFV
GJっす
とりあえず…村井先生逃げてーーー!!!

284:名無しさん@ピンキー
10/10/07 00:21:13 RApIfUo/
そいえばここの住人はタクティクスオウガのリメイクは買うのだろうか
良いキモ姉がいるんだが

285:名無しさん@ピンキー
10/10/07 00:28:58 Ywifa0FI
>>284
姉には興味が無いからなぁ・・・

妹なら速買いなんだが

286:名無しさん@ピンキー
10/10/07 00:34:16 bFyom4XQ
巷では嫌われてるようだがどんな姉か覚えてない

287:名無しさん@ピンキー
10/10/07 03:03:09 qdVe4RFm
>>284
kwsk



久しぶりに使ったぞ。

288:名無しさん@ピンキー
10/10/07 11:52:07 7IzmRlT5
カチュアっていうと修羅場統合SSの山本くんとお姉さん思い出すな。

289:名無しさん@ピンキー
10/10/07 12:20:05 ZUK+Vk1k
>>287
少数民族の英雄と掲げられた弟を戦いから離れて欲しいとひたすら願う健気な姉さんだよ
弟と一緒にいたくてゲリラ活動に参加するし、独占欲のあまり弟を一刺ししようとする素敵な姉さんだよ
個人的にはブレンパワードの伊佐美姉弟を思い出す

>>284
僕は姉さんを愛している!
オリジナルスタッフ再集結で出来たタクティクスオウガが待ち遠しいよ

290:名無しさん@ピンキー
10/10/07 19:33:15 d0szGU6j


291:名無しさん@ピンキー
10/10/07 22:50:24 oAb7Ad2m
今後も更新きそうなのって、三つの鎖、転生恋生、幸せな2人の話、きっと、壊れてる
ぐらいかな。

292:名無しさん@ピンキー
10/10/07 23:43:29 BgsFFZx8
桔梗の剣ェ……

293:名無しさん@ピンキー
10/10/08 00:13:43 aJ7ypXwP
ちんまい姉に「姉さんはいい嫁になるんだろうなァ」と無責任なこと言ったらどうなるの

294:名無しさん@ピンキー
10/10/08 00:50:44 u0hnVJJC
当たり前じゃないの。
でもなるんじゃないわ、するのよ。あなたがね。

と、当然のようにさらりとお答えに


295:名無しさん@ピンキー
10/10/08 00:51:12 1DCHzDbr
>>289
ブレンパワードの姉さんって最初はちょっとブラコンな姉かと思ったけど弟がフラグを折ったばかりに…

296:幸せな2人の話 8
10/10/08 21:38:59 OGZSO7HA
今晩は。
表題について投下いたします。


297:幸せな2人の話 8
10/10/08 21:39:32 OGZSO7HA
みんみんと蝉がどこかで甲高く鳴いている。
太陽に蒸し返された草の匂いが充満する。
そんな原っぱしかない坂をだらだらとどこかへ延びる小道を二人の子供が歩いていた。
黒い髪の少年がはぁはぁ、と息を切らしながら歩く。
その少し後ろを白い少女が静かに後をついて歩く。
「はぁはぁ、シルフ~、疲れてないか~」
「うん、大丈夫」
少女が静かに答える。
少年は、俺も元気だぞ~、と息も絶え絶えに少女に言って足を高く挙げながら歩く。
一休みしたかったのだが、妹の手前で情けない所は見せられないと強がる。
そんな少年の様子を少女はいつもの様に無表情なまま見ていた。
でも、別につまらなかった訳じゃ無かった。
こうやって少年と一緒に居る事が少女にとっては何よりも嬉しい事だった。
少年はいつも、少女を楽しませてくれたし、ほっとする気持ちにさせてくれた。
でも、それでもいつも無表情だった、泣きも笑いもしない。
少女は知っていた、そうしている事が正解なんだと。
昔、笑えば何様のつもりなんだと怒られたから。
昔、泣けば邪魔なだけなのに煩い奴だと怒られたから。
黙ってても白くて陰気臭い子供だと影口を言われるけど、その方がましだった。


298:幸せな2人の話 8
10/10/08 21:39:55 OGZSO7HA
道が途切れていた。
その先には、白いドーム状の建物がある。
少女の腕を握って少年が元気良く駆け出した。
重厚な扉を小さな腕に力を入れて開く。
ドームの中は小さな劇場の跡地だった。
もう椅子はないけど、ドームの真ん中には丸い舞台。
舞台の周りには、小道具だっただろう物や布が規則正しく置かれている。
天井はもうなくなっていて、そこから舞台の上へ光が差し込む。
そこから上を見上げれば、青い空と入道雲が覗いている。
建物の中はまるで別世界のような不思議な場所に見えた。
「きれい……」
「だろ、夜になるとたくさん星だって見られるんだぞ。
 ここは、俺と雪風だけしか知らない秘密の場所なんだ」
少年が得意げに胸を張る。
「でも、私に教えちゃったよ?」
少女には分からなかった、どうして大事な事なら自分なんかに教えるのか。
自分みたいに要らない子供なんかに。
「良いんだよ、シルフは俺の妹なんだから。
 大事な人には大事な秘密を教えて良いんだ!!」
「大事……」
その言葉に少女の胸が温かくなった。
「だから、これからは俺と雪風と、シルフだけの三人だからな。
 絶対に誰にも言うなよ」
そう言って少年が人差し指を立てて、しー、というジェスチャーをする。
「うん、私と姉さんと、それからお兄ちゃんの三人だけの秘密」
少女も人差し指を立てて少年の真似をした、笑いながら。

299:幸せな2人の話 8
10/10/08 21:40:16 OGZSO7HA
************************************************

手を握ったまま私達は歩き続けた。
町を抜けて坂を上る、そして道路の横に伸びる小道を抜ける。
私にはお兄ちゃんが何処に行きたいのかもう分かっていた。
だって、その先にあるのはあそこしかないのだから。
そこは未だに人に知られていないのだろう、白い劇場はあの頃と何も変わっていなかった。
「ここに来るのも10年ぶりか。
 ここで遊んでいるのがばれて叱られてからずっと来ていなかったからな」
懐かしそうにお兄ちゃんが言い、扉に開き、私たちは中に入る。
「うん」
ここは私にとって複雑な場所だ。
お兄ちゃんと一緒に初めて笑えた場所。
お兄ちゃんにきっと捨てられると思って泣いた場所。
お兄ちゃんの側に居ても良いって泣いた場所。
「どうして、ここに来たの?」
でも、お兄ちゃんはその質問には答えてくれなかった。
手を握ったままお兄ちゃんが私のほうを振り向く。
「シルフは可愛いな」
「え! あ、あ、うあ、あの、か、可愛くなんかないよ、白くて暗くて気持ち悪くて、
 幽霊みたいだって、皆きっと思ってる、私、可愛くなんか、無い」
「そういうことを言うやつは見る目が無いか、妬んでるかだ。
 白い髪も肌もお前の名前通りまるで妖精みたいで、
 さっきの笑っているところなんかは「お兄ちゃん!!」
「どうしてなの、今日のお兄ちゃんはやっぱり変だよ!?」
その質問にもお兄ちゃんは答えてくれない。
その代わり私に質問をする。
「今日は、楽しかったか?」
さっきここに来る前にされた質問をお兄ちゃんがもう一度繰り返す。
私にはその理由が分からなかった。
「え、う、うん、凄く楽しかったよ」
「そうか……」
お兄ちゃんは何か難しそうな顔をしていた。

300:幸せな2人の話 8
10/10/08 21:40:48 OGZSO7HA
「……シルフは俺が変だって言ってただろ?
 ずっとお前の事を見てたんだ。
 ほら、いつものシルフってあんまり笑わないからさ。
 今日みたいに笑うのが凄く珍しかったんだ。
 いや違うな、懐かしかった、なのかな?」
「私、笑ってたの?」
「ああ、とても楽しそうに笑ってたよ、凄く綺麗だった。
 俺が最後に見たのがいつだったか思い出せないくらいにね」
その言葉が私に不安を呼び覚ます。
忘れてた、お兄ちゃんは明るい子の方が好きだったんだ。
「やっぱり、……いつも笑っている方が良いの?」
「そんな事はないよ、シルフはシルフのままで良い」
ぽんぽんと私の頭にお兄ちゃんの手が優しく触れる。
でもな、と言ってお兄ちゃんが乾いた声で笑う。
「お前もちゃんと今日みたいに笑ってくれるんだって思ったら、
 今まで俺は何をしていたのかなって考えちゃってさ」
気恥ずかしそうに視線を逸らした。
ぽつりと、お兄ちゃんが言葉をこぼすように尋ねる。
「シルフは、恋人として、男性として俺なんかの事が好きだっていう事で良いのか?」
心臓にずきりとした痛み。
それは一番お兄ちゃんに聞かれたくないとても怖い質問だった。
「うん」
それでも、勇気を振り絞って答える。
ここで言わないときっと取り返しがつかなくなるから。
お兄ちゃんは私の言葉を聞いて、真剣な面持ちになった。
「実は、俺はお前の気持ちにずっと前から気付いていたんだ。
 でも、お前がそういうことを俺に伝えないなら、今のままで良いんだろうって思っていた。
 それでシルフの事をちゃんと大事にしている事になるんだって、自分に言訳をしてな。
 だから、俺は今までずっとシルフのお兄ちゃんとしての距離を保ち続けていた」
「そうだったの……」
後悔した。
やっぱりお兄ちゃんに言わなくちゃいけなかったんだ、私の気持ちを。
姉さんの言う事は正しかったんだ。

301:幸せな2人の話 8
10/10/08 21:41:13 OGZSO7HA
「けど、この前雪風に言われたんだ。
 それは俺がただ自分に都合の良いように振舞っているだけだって。
 初めは否定したよ、でも考えていくうちに分からなくなってしまったよ。
 雪風と俺のどっちの考えが正しいのかをな。
 でも、今日のシルフを見てはっきりと分かったよ。
 間違っていたのは、俺だ」
「お兄ちゃん?」
「それに俺自身の事も良く分かった。
 俺はシルフのお兄ちゃんとして寂しそうなお前に接するよりも、
 幸せそうな顔や今日みたいな嬉しそうな顔を見ているほうがずっと心地良い。
 そうだな、俺も幸せな気持ちになれたよ。
 俺はきっとシルフが、、、」
そこから先を言おうとしたお兄ちゃんは慌てて口を閉じた。
その代わりに、どうして今更、と小さく呟いたんだと思う。
ははは、と乾いた声で寂しそうにまたお兄ちゃんが笑顔で笑う。
でも、それは私の好きなお兄ちゃんの笑顔なんかじゃない。
それから、その曖昧な笑みのままお兄ちゃんが溜息を漏らした。
「ったく、結局あんな変な気の回し方は俺もシルフも望む事じゃなかったんだな。
 こんなのが本当の幸せの訳がないって、そりゃそうだよ。
 そうだな、俺はずっと前から間違っていた、本当に雪風の言うとおりだったんだ」
「そんな事、ないよ」
そう、お兄ちゃんは間違ってなんていない、私に勇気が足りなかっただけ。
そんなのはお兄ちゃんが背負わなければいけないような事じゃない。
「シルフはいつも俺の言う事に賛成してくれるよな。
 でも、それはお前の本心じゃないだろ?」
「全部、私の本当の気持ちだよ」
「シルフ、本当の事を話すんだ」
お兄ちゃんの命令調の言葉に体が凍りつく、怖くて嘘がつけなくなる。
「……ごめんなさい、本当はお兄ちゃんと違う事を考えていた時もあると思う。
 でも怖かったから、嘘をついていたの。
 その、そういう訳じゃないけど、お兄ちゃんと違う事を言ったら、
 お兄ちゃんが、私の事を、要らなくなるかもって。
 そしたら、お兄ちゃんの側に居られなくなるかもって思っちゃって、
 私は、お兄ちゃんと居たかったから、だから」
声が震えて、その続きが出てこない。
続きを言おうと苦悶していると、お兄ちゃんが頭を優しく撫でてくれた。
とても悲しそうな顔をしていた。

302:幸せな2人の話 8
10/10/08 21:41:42 OGZSO7HA
「泣くくらいに辛かったんだよな?」
「……うん」
「ごめんな、シルフ。
 今までお前をずっと苦しめた、そして傷つけた。
 そういう風に怯えてるお前の事なんて振り返らなかったんだ。
 まあ呆れただろ。
 無神経で、いい加減で、自分勝手。
 お前の好きだったお兄ちゃんはそんなもんだ。
 だから、もうシルフは俺に付き合わなくていい」
「それは、どういう事?」
「ここに来たのはそういうことだよ。
 悪いが、俺じゃシルフの良いお兄ちゃんにも大事な恋人にもなれないって事さ。
 だからもう、あの時の優しいお兄ちゃんの背中なんて追いかけるのは止めよう。
 そんなのは何処にも居なかったんだ。
 それで、シルフが自由になってしまうのが一番良い。
 こんな恋人ごっこもこれでおしまいだ、俺にはシルフの恋人である資格なんて無いよ。
 ま、お兄ちゃんでいる資格も今更無いだろうけどな」
さ、帰ろう、とお兄ちゃんが私にだって分かるくらい無理に明るい作り笑いをしながら手を伸ばす。
その手を握って、お兄ちゃんと私はただの形だけの兄妹になってしまおう。
そういう意味の握手をお兄ちゃんはきっと私に今望んでいる。
でも、そこには私の望む居場所なんて無い、そんなのは嫌だ。
私はそんなお兄ちゃんのお願いなんて、絶対に聞かない。
だから、その手を取らずに叩いた。
叩かれたお兄ちゃんは驚いて固まっていた。
「……私はそんなの嫌だよ。
 お兄ちゃんはさっきまで何を聞いてたの?」
お兄ちゃんを叩くなんてこれが初めてだった、手じゃなくて胸がすごく痛い。
「だってさ、シルフも迷惑だろ、俺みたいなのがいたら?」
その言葉が頭に来た。
やっぱりお兄ちゃんは鈍い、信じられないくらいに鈍感だよ!!!

303:幸せな2人の話 8
10/10/08 21:43:49 OGZSO7HA
「勝手に私の気持ちを決め付けないでよ!!
 私はお兄ちゃんの側に居たいの!!
 お兄ちゃんが居ないのに、どうしたら笑えるの!?
 お兄ちゃんが、無神経、いい加減、自分勝手、そんなの全部知ってる!!
 私はあの日から、ずっとお兄ちゃんの妹だったんだよ!?
 それで良いの!!
 お兄ちゃんに完璧である事なんて私は全然望んでない!!
 私は、無神経で、自分勝手で、いい加減だけど、それでも優しい今のお兄ちゃんと居たい!!
 お兄ちゃんはお兄ちゃんで良い!!」
今までずっと言えなかった気持ちが胸から溢れ出してきて、それが苦しすぎて、私は叫んだ。 
「お兄ちゃんはお兄ちゃんのままでいい!!
 私がいるから、お兄ちゃんを否定する人なんて私が皆否定するから!!」
だからずっと私と居てよ、そう叫んだ。
「お兄ちゃんが居なくなっちゃうなんて、そんなの嫌だよ」
お兄ちゃんはただ茫然としていた。
それから、ふっと目が覚めたようにお兄ちゃんの目に色が戻ってきた。
「俺も、シルフの側に居て良いんだな?」
「だから良い悪いじゃない、私は兄さんに側に居て欲しいって言ってるの!!
 それに姉さんだっているんだよ、なのに、どうしてそうやって一人で悩もうとするの!?」
「そうだよな、シルフも、そして雪風も俺にいるんだ。
 俺は一人で悩む必要なんてないんだよな」
「うん!!」
「本当は、雪風に言われてからずっと怖かったんだ。
 俺は間違っているって、頭では分かっちまってたから。
 それでもシルフは許してくれるんだな?
 俺も、俺のままで本当に良いんだよな?
 ありがとう、それから今までごめんな、シルフ。
 ごめんなさい、あんなに事を酷い事をして、本当にごめんなさい」
お兄ちゃんが自分の手を顔に当てる、嗚咽が聞こえる。
私はお兄ちゃんの頭をそっと私の胸で抱きとめた。
私の中で泣くお兄ちゃんの体はいつもよりずっと小さく感じた。
お兄ちゃんが私の両手で抱きとめられるほど小さい、それがとても嬉しかった。

304:幸せな2人の話 8
10/10/08 21:44:30 OGZSO7HA
**********************************************

いつまでも、私はお兄ちゃんを抱き締め続けている。
このまま、ずっとこの時間だけが続けば良いのに。
丸い空を見上げるとたくさんの星が煌々と燃えていて、綺麗だった。
「もう大丈夫だよ」
お兄ちゃんが顔を上げる。
「ありがとう、シルフ、やっと楽になれたよ」
「ううん、お兄ちゃんの事が分かって、私も嬉しかった」
「それから、もう一つ、頼む」
「うん、何でも言って、お兄ちゃん」
「……俺にはお前の本当の気持ちで答えて欲しい事がもう一つある」
私から体を離して、お兄ちゃんが私に向き合う。
その顔には不安と緊張が入り乱れていた。
そんなお兄ちゃんなんて見た事が無かった。
「シルフ」
「は、はい」
お兄ちゃんがゆっくりと噛み砕くように言葉を発する。
「俺と結婚して下さい。
 馬鹿だけど、やっと俺は分かりました。
 シルフの事がずっと好きでした、これからもずっと愛し続けます。
 そして、ずっと一緒に居たい、俺にはシルフが必要なんです。
 だから、俺と結婚して下さい」

お兄ちゃんのあまりに真剣過ぎる姿に思わず笑ってしまいそうになった。
だって、余りにもその言葉のせいで私は幸せになりすぎたのだから。
だって、それは私がいつも願うだけしか出来なかった、都合の良い夢そのものだから。
だって、いままでも、これからも私の気持ちは一つだけなんだから。
だって、私はずっとお兄ちゃんの側に居るのだから。
だって、お兄ちゃんが例え望まなくてもずっとそうするのだから。

私は、私の本当の気持ちをお兄ちゃんに答えた。
答える私は笑っていた、きっと今まで笑えなかった分も一緒に。
でもおかしいよね、涙も一緒に流れているんだよ?
おもしろいよね?
私、泣きながら笑っているんだ!!
私は泣きながらお兄ちゃんと抱き合う。
お兄ちゃんも私を力強く抱き締めてくれる。
そして、何度も何度も私の名前を呼ぶ、愛してるって私に言ってくれる。
あれ、お兄ちゃんも泣きながら笑ってるの?
そうなんだ、私と一緒なんだね。
お兄ちゃんがこんなに泣き虫なんだって、知らなかったよ。

305:幸せな2人の話 8
10/10/08 21:45:02 OGZSO7HA
私は幸せだ。
本当は幸せなんかじゃない、そんな言葉では表せないもっと大きすぎる何かだ。
でも私にはそんなのを何て言えば良いのかなんて全然分からない!!
だから、私は幸せなんだ!!

306:幸せな2人の話 8
10/10/08 21:49:50 OGZSO7HA
以上です。
色々書き足しながらで不安でしたが、何とか中盤も終わりそうです。
これも読んでくれる方がいればこそです、ありがとうございます。
結構、コメント等がヒントになったりもしました。
区切りが良いので次回は、書きあがれば番外編を投下させて頂きたく思います。
次回もよろしくお願いいたします。

307:名無しさん@ピンキー
10/10/08 22:03:31 U1YTghiN
いいねぇ…これからの雪風の行動が楽しみだ

308:名無しさん@ピンキー
10/10/08 22:31:52 RkmUTtJG
GJ
おっしゃああああああ!!!!
キモウトは幸せになるべき存在だよね

309:名無しさん@ピンキー
10/10/09 01:01:51 qj9Ol6cb
雪風のこれからが楽しみすぎるぅうううううう!!!!!
GJ!!

310:名無しさん@ピンキー
10/10/09 08:08:33 pnxvHbRl
どうしてお前らは素直にシルフちゃんおめでとうって言えないんだよ!
職人さんGJ!!このままシルフちゃんEND一直線ですね!


あれ?雪風ちゃんなんで包丁持ってr

311:名無しさん@ピンキー
10/10/09 10:36:58 FFXs3M9s
雪風的にもこれで良いんじゃねーの

312:名無しさん@ピンキー
10/10/09 20:40:47 UIrXEl0z
戦闘妖精ェ…
メイヴが黙っていないぞ

313:名無しさん@ピンキー
10/10/10 00:43:50 qciwFyxr
雪風ってみるとトレインボットを思い出す。

314:名無しさん@ピンキー
10/10/10 00:56:23 CvWmuhyz
雪風はスーパーシルフから後にメイヴに乗り換えるからお姉ちゃん用済み。

315:名無しさん@ピンキー
10/10/12 20:32:47 DFRmnkMO
誰かいませんかー?

316:名無しさん@ピンキー
10/10/12 20:41:30 rgnmOsdV
>>315
兄(あの声は妹…!何でこの場所が分かったんだ!?)

317:名無しさん@ピンキー
10/10/12 20:49:09 pYMVQ0+g
丸2日以上何もないなんて…。まさかゴルゴムの…
妹「そんなわけないでしょ。私がやっつけたんだから」

そっかあ…。そりゃ安心……えっ?
リアルに職人さんが来ないのは寂しいものですね。

318:名無しさん@ピンキー
10/10/12 20:51:18 DFRmnkMO
生き残りはこれだけか・・・

319:名無しさん@ピンキー
10/10/12 21:29:28 vm5fIm+6
この時期忙しいからね

320:名無しさん@ピンキー
10/10/12 21:41:05 RLQKz7tg
この前、三つの鎖のHPが更新されているのをお手製RSSリーダーが教えてくれた
更新されたHPを見たら、過去ログだったorz

321:名無しさん@ピンキー
10/10/12 21:47:08 pWvUjNyu
おいおいぬか喜びさせんなよ

322:名無しさん@ピンキー
10/10/12 22:18:11 aUgkG4lo
疲れたのでキモウトに膝枕をお願いしたらどうなるの

323:名無しさん@ピンキー
10/10/12 22:48:32 xTA/n6tQ
キモ姉が乳枕で対抗します

324:名無しさん@ピンキー
10/10/12 22:49:02 wtEuvODX
膝枕で寝てしまったら、それが最後。
目覚めたらスカートの中に顔が潜り込んでいました。
鼻面に妹のおぱんつ、その布地の感触。
布一枚むこうは神秘の花園、しかし臭いはなく、石けんの香りがします。
兄にイタズラしてもらうときのエチケットですね。

「やっ……だめらよぉ、お兄ひゃん……!」

びっくりして顔を上げようにも、妹が全力で上から頭を押さえ込んでて動けません。
じたばたすればするほど、頭上で妹が変な声を出します。

「あっ、はげっし……うん……」

なんかおぱんつがだんだん湿り気を帯びてきました。
あああどうする、と思っていると背後でどさっと何かを落とした音が。

「な、何……してるの……」
「……あらこんばんは、お兄ちゃんのお友達さん。
 見ての通り、お兄ちゃんの恥ずかしい性癖を処理してるんです、けどっ…。
 その袋はお夕飯ですか? んっ、わざわざありがとう、ございます。
 でもお兄ちゃんはまだ満足してないので、少し待って……うんっ……」
「っ……変態……へんたいっ!」
「ええそうです。おわかりになったなら、どうぞお帰りください」
「うわあああん! みんなに言いふらしてやる、変態兄妹!」

こうなるんだ

325:名無しさん@ピンキー
10/10/13 04:21:27 EerMsU56
>>295
ブレンパワードの長台詞が姉さん風に改変されたのがあったのを思い出してこのスレ向けに改変してみた

姉 「馬鹿か!お前は!世間の目があるからって弟の事を我慢するほど、私は良く出来ちゃいないんだ!
親父達が何と言おうと私は弟の子を乗せる為のスペースを用意して生まれたんだ、それは何故だか分かるか、ええ?
私が自分の進化の歴史の中で学んだ事だよな。弟の肉体と精神と性感、それに生殖だけは弟のものを利用するつもりだからだ、他人の子供は面倒だもんな!
しかし、弟の体の自由は私のものにした。フッ、弟って奴はデレの使い方を知らない照れ屋な弟だからだろう?
だから私は、私に必要な精子だけを摂取して、私の育てた卵子と受精させて既成事実を作るつもりだ!それが私達だ!
けどそういう私達が何故か姉と弟という二つに分かれて生まれた。しかも雄と雌との関係で。もっと根源的に、磁石とか、SとかMとかぐらいはっきりと求め合う習性をもっている、何故か!?
一つで完全無欠に永遠であるものなどこの世の中にはない。だからこうやってぐちゃぐちゃにここを濡らして生まれてきたんなら、弟だってそうだろう!?
自分の股にあるモノで突いて探している穴があるんだろう!?オマ○コとかアナルとかさ!
オーガニックで官能的な愛は1つのものでしかないのに!弟、おまえは!あの程度の女に唆されて・・・うっ・・・馬鹿野郎!」

326:名無しさん@ピンキー
10/10/13 13:08:22 5FNlBCxx
妹「長文乙。今のうちに兄さんはもらってイきますね」

327:名無しさん@ピンキー
10/10/13 22:16:07 Sjb8gQAC
>>326
妹「他人の子供が面倒だからお兄ちゃんを選んだの? サイテー! さっすがに人生の一時期だけとはいえお兄ちゃんのお姉ちゃんじゃなかった人は言うことが違うわね!」

328:名無しさん@ピンキー
10/10/13 22:29:33 67MLGDea
なかなか投下来ないな
気長に待つか

329:名無しさん@ピンキー
10/10/13 23:12:14 phIev3rZ
今週末にはきっとくるさ

330:名無しさん@ピンキー
10/10/14 00:20:09 l2P3Njzj
20レス以上使う場合は避難場でいいですか?

331:名無しさん@ピンキー
10/10/14 00:22:26 9492J7Ct
大作ktkr

332:名無しさん@ピンキー
10/10/14 00:25:58 UavoP8AN
よっしゃー

333:名無しさん@ピンキー
10/10/14 01:23:24 La2VNUW9
こっちでもいいんじゃね?


334:名無しさん@ピンキー
10/10/14 03:21:54 Kuy5pp0N
キモ姉物書いたのでとりあえず投下します。
弟もキモイので嫌な人はスルーして下さい。
初めてなので読みにくいかもしれませんが、ご容赦を。
エロ有りです。


335:狂依存 1
10/10/14 03:23:21 Kuy5pp0N
「もう行くけど、何かあったらすぐ私達に連絡するのよ。」
「わかってるって。大丈夫。大輝の面倒はちゃんと私が見るから。」
「そう……じゃあ、お願いね。」
「うん、気をつけてね。」

「ふふふ……」
両親が海外赴任してこれで弟と二人きり。
もう誰にも邪魔されることもなく、自由に出来るわ。
待っててね、大輝。
お姉ちゃんがあなたを必ず幸せにしてみせるから……

「はぁ……今日から麻由お姉ちゃんと二人きりか……」
色々大変だろうけど、二人で協力してやってくしかないか。
まあ、麻由お姉ちゃんはしっかりしてるから、大丈夫だろう。多分。
「そう言えば、子供の頃も麻由お姉ちゃんと一日だけ二人きりで過ごした事あったけな。」
もう何年前の事だったけか。
あの時は確か……
-数年前-
某小学校体育館
ダン、ダン、ダン
「パス回せ!パス!」
ダン、ダン!
「!」
「よおし!ナイスカット!」
ダン、ダン!
「ふん!」
ピィっ!
「おおし、ナイッシュ!」
ピィィィ!!
「ふーん、ふふーん♪今日は絶好調。」
「……大輝先輩、今日は随分と機嫌が良いですね。何か良い事あったんですか?」
「え、わかる?ふふふ、ちょっとね♪」
これが喜ばずにいられるかってんだ!
何せ今日は……
お父さんとお母さんが泊りがけで親戚の結婚式に行っていない。
つまり、今夜は麻由お姉ちゃんと二人で甘い夜を……
「へ、へへへ、でへへへへ……」
「おいっ!三船!さっさとコートに戻らんかい!」
「はーい♪」
おっと今は試合に集中しないとな。
ちゃっちゃと終わらせて早く帰らなければ。
待っててね麻由お姉ちゃん。

同じ頃 某中学校のグランド
コーン。
「行ったよー。」
「ふんっ!」
シュっ!
「アウトー!」
「ナイスキャッチ、麻由」
「あ、うん。」
「はぁ……」
「どうしたの?さっきから浮かない顔してるけど?」
「あ、ううん!何でもないよ。ほら、声出して!」
今日は一日お父さんとお母さんが結婚式に行くとかで、いない。
つまり……
今夜はあの馬鹿と二人きり……
あああああ、想像しただけで胃が痛くなる。帰りたくねえ……
カキーン

336:狂依存 2
10/10/14 03:24:29 Kuy5pp0N
「お疲れ様でしたー。」
「はぁ、今日は快勝だったな。」
「ああ。三船、帰りにどっか……」
「ごめん!今日用事あるから!それじゃ!」
ピューーーー!
「あ、おい!」
「な、なんだあ?」
「またいつもの病気だろ……」

「ふふふーん、まだかな?まだかな?」
そろそろ愛するマイハニーが帰ってくる時間だ。
へへへ…麻由お姉ちゃんと二人きり……
きっとお母さん達が将来の予行演習の為に今日という日を用意してくれたんだね!
ありがとう!お父さん、お母さん!
ピンポーン
ガチャっ
おお!!帰ってきた!
ドタドタドタドタ!
「……(ニコニコ)」
「……ただいま。」
「おかえり!麻由!ちょっと遅かった……」
ドカっ!ベシっ!ドンっ!
「何、私の事呼び捨てしてんだよ、ああ?」
「だって、将来はそう呼び合う仲になるんだし……ぐぅええええ!!」
ギシギシ
「それ以上ふざけた事言うと、本気で頭踏み潰すわよ。」
「イタイイタイイタイ!もう…麻由お姉ちゃんったら、恥ずかしがる事な……ぎええええええええっっ!!!」
もう、麻由お姉ちゃんはツンデレさんだな。
「ったく……ちゃんと風呂掃除やったんだろうんな?」
「うん!ついでに洗濯もやっといたよ!」
「は?頼んでないんだけど。」
「麻由お姉ちゃんの下着もちゃんと洗っておいたからね。今僕の部屋のベランダの干してあるよ。」
ああ、麻由お姉ちゃんの下着は何度見ても可愛いよなあ。
愛する嫁の下着を洗うのは旦那として最高の幸せだよ、うん。
「……な、な、な………」
「何やってんだこの大馬鹿やろおおおおおおおおおおおっっっっっ!!!!!!!」
バキっ!ドスっ!グサっ!ボキっ!
「痛いよっ!ちょっ!死ぬ……」
「死ねっ!死ねえっっ!!お前なんか死んでしまえええええっっっ!!!!!」
もうウチの嫁は本当に照れ屋さんだな。
いずれお互いの全てを曝け出す関係になるんだから、下着くらいで恥ずかしがる事ないのに。
「ねえ、麻由お姉ちゃん。今日の夕飯は何にするの?」
「何か出前でも取うと思ってるけど。」
「ええええええ?麻由お姉ちゃんが作ってくれるんじゃないの?」
折角、妻の手作り料理を独り占めできると思ったのに……
「はあ?嫌よ面倒くさい。今日も部活で疲れてるんだし、明日だって朝練あって早いんだから。」
「えええ?でもでも、僕もミニバスの練習試合で疲れてるし、こういう時は奥さんの愛のこもった手料理で英気を養って……」
「ピザでいいわね。」
「ああん、待ってよ。何でもいいから麻由お姉ちゃんが作ってえ。」
く、簡単に諦める訳には……
せっかく掴んだチャンスなんだ!
麻由お姉ちゃんとラブラブな夜を過ごすという、掴んだチャンスを……
「ええと、何にしようかな……」
「麻由お姉ちゃん、そんな面倒くさがってちゃダメだよ。将来は僕のご飯を毎日作らなきゃいけないんだからね!」
「お前、私を将来あんたの家政婦にでもする気か?ええ?」
「う、うぎぎぎぎ……首絞めないで……、い、息が……」
愛する妻を家政婦なんてとんでもない!
でも、悪くないかも……
「ったく!ええと、これとコーラ二本でいいか。」
う、流石に今のは言い過ぎたか……

337:狂依存 3
10/10/14 03:25:06 Kuy5pp0N
「ごめんね、麻由お姉ちゃん。やっぱり家事はちゃんと分担……」
べしっ!!
「あ、もしもし……」

「………」
「ぷ、ははは……」
「うー……」
結局ピザにしちゃったし……
おかしいなあ。こんな筈ではなかったんだが……
(妄想)
「はい、大輝、あ~~ん。」
「あ~~ん。」
パク
「えへへ、美味しい?」
「うん!」
「えへへ、大輝の為に一生懸命作ったんだよ。あ、ほら、これも食べて。」
「うん。えへへ…麻由お姉ちゃんの作ったものなら、何でも美味しいよ。」
「もう、大輝たら。今日は二人きりなんだから、『麻由』って呼んでって言ってるのに。」
「え……じゃ、じゃあ麻由……」
う、何か恥ずかしいな……
「なあに?あ・な・た。あ、ご飯粒ついてるよ。」
ちゅっ

なーんて、展開になるんじゃなかったのか?ええ、おい?
それなのに、麻由お姉ちゃんったらさっきからテレビ観て黙々と食べてるだけだし……
そうだ……
「えへへ、麻由お姉ちゃん。はい、あーん。」
僕が麻由お姉ちゃんに食べさせてあげれば良いんだ。
チャンスは自分で作らないとね、うん。
「麻由お姉ちゃん!あーん。」
「ぷ、あははははっっ!」
むぅ、手強いな。
ここまでツン成分が強いとは、ちと予想外だったよ。
まだまだ嫁の理解が足りなかった様だね。
「ごちそうさまっと。ちゃんと残さず食べなさいよ。」
そうだ。
「麻由お姉ちゃん。」
あーん……
えへへ、麻由お姉ちゃんが食べさせてくれないと、食べきれないよ。
「………」
おお!ピザを手に取って、僕の口に入れようとしてる。
何だかんだ言って麻由お姉ちゃんも、こうやってラブラブな雰囲気で食事をしたかったんだね。
さあ、こい!
「あーん……ん!ふごおおおお!!」
ちょっ、押し込まないで……
「美味しい?そう、それは良かったわねっと。」
ゴンっ!
「ったく汚いわね。食べたらちゃんと片付けときなさいよ。」
「むきゅう……」

「なーんて、感じだったか……」
ああああ、子供の頃の話とは言え何という馬鹿な事を。
恥ずかしすぎる!
「何とか麻由お姉ちゃんに出来るだけ迷惑かけないようにしないとね。」
もうあんな馬鹿な事やろうとは思わんけど。

338:狂依存 4
10/10/14 03:25:57 Kuy5pp0N
ピンポーン
「おかえり、大輝。」
「ただいま。麻由お姉ちゃん。」
「今日は早かったんだね。」
「そりゃあね。もう部活も引退しちゃったし。」
最後の大会は、県大会一回戦負けでしたけどね……
「へへ、鞄持ってあげるね。」
何だか新婚さんみたいなやりとりだな。
「ありがとう。あの、何か手伝う事ないかな?」
「ありがと。でも別に何もないよ。家事とかは全部私に任せていいから、大輝はゆっくりしてて。」
「え?でも……」
それは流石に悪い気が……
「いいから、いいから。お母さんに大輝の面倒任されてんだし。さ、ご飯の支度しないと。今日は大輝の好きな物作ってあげるからね。」
「あ、ちょっと……」
やけに機嫌が良いな。どうしたんだろう?

「大輝。ご飯出来たよー。」
「あ、うん。」
って随分豪勢な食事だな。
本当に僕の好きな物ばっかだし……
「えへへ……大輝の為に張り切って作ったんだよ。」
「あ、ありがとう、麻由お姉ちゃん。」
何だろう……この複雑な感情は。
麻由お姉ちゃんが僕の為にこんなに頑張って豪華な食事を作ってくれたんだから、本当なら凄く嬉しい筈なのに、何故か素直に喜べない。
「じゃあ、いただきまーす。はぐ……」
「ど、どう?」
「うん!とっても美味しいよ!」
「そう?良かったああ。」
麻由お姉ちゃん、本当に嬉しそうだな。
つか、いつの間にこんなに料理上手くなったんだろう。
「へへ、あ、これも食べて。良く出来てると思うから。」
「どれどれ……うん!美味しいよ。」
「良かった!まだまだ、たくさんあるからどんどん食べてね。」
「うん。」
こんなに嬉しそうにして……
これは頑張って残さず食べないといかんな。
「……大輝。」
「ん?」
「あーん。」
「な、何?」
「私が食べさてあげる。ほら、あーんして。」
ええええええええええええ?何それ?
「で、でも、何か恥ずかしいし……」
「二人きりなんだから、恥ずかしがる事なんて何もないでしょ。はい、あーん。」
ど、どうする?
とりあえず一回だけ……
「あ、あーん……」
パク
「へへへ、どう?」
「う、うん。美味しいよ。」
「本当?じゃあもう一回。あーん。」
「あ、ありがとう!もう充分だから。ほら、早く食べちゃおう。」
「あん、もう……何回でもやってあげるのに……」
これ以上はちょっと恥ずかしくて無理っす。

339:狂依存 5
10/10/14 03:27:03 Kuy5pp0N
「ごちそうさま。とっても美味しかったよ。」
「ありがとう。あ、何か食べたいものがあったら遠慮なく言ってね。これから毎日大輝のご飯作ってあげるから。」
「え?毎日?流石に悪いよ。頑張って僕も何か作るようにするから。」
「もう、家事とかは全部私に任せて良いって言ってるでしょう。遠慮なんかしないでこき使って良いからね。」
「あ、あの、麻由お姉ちゃん。家事はやっぱりちゃんと分担してろう。麻由お姉ちゃんだって大学とか色々あるんだし……」
「ありがとう。大輝はやっぱり優しいね。でも大丈夫。私が何とか全部やっちゃうから。大学ももうあんまり授業ないし、バイトの数も減らして家事の時間取れるようにしてあるから。」
いや、それでもなあ。
何か気が引けるというか……
「それに、大輝は受験でしょ?家事なんかに時間取られて勉強の時間削るような事があったら絶対にダメだよ。」
「それはそうだけど……」
「だから、私が大輝の面倒全部見てあげるからね。」
「わかった。でも、何かあったらいつでも言ってね。手伝える事があれば何でもするから。」
「うん。ありがとう。」
何故だろう。
この麻由お姉ちゃんの笑顔が何故か少し怖く思えてきた。
こんなに僕の事を思って尽くそうとしてくれてるのに……

「ふぅ……もうこんな時間か。」
少し休憩するかな。
麻由お姉ちゃんが僕の為に、家事を全部やってくれるとまで言ってくれてるんだから、受験勉強も頑張らないと。
「でも、何でだろうなあ……」
あそこまでしようとする何て、やっぱり変だよなあ。
嬉しくない事はないんだけど……
「まあ、大変そうだったら、手伝えばいいか。」
いくらなんでも無理があるだろうから、すぐにそういう時が来るだろう、うん。
「ちょっと喉が渇いたな……」
麦茶でも飲んでくるか。
「あ、大輝。何処行くの?」
部屋を出たらすぐ麻由お姉ちゃんとバッタリ会った。
「ああ、ちょっと喉が渇いてから、麦茶でも飲もうかなって。」
「じゃあ、私が持ってくるよ。部屋で待ってて。」
「え?あ、ちょっと……」
行っちゃった……
別にそんな事までしてくれなくても良いのに。
「はい、どうぞ。」
「ありがとう。」
持ってきてくれた麦茶を一気に飲み干す。
「他に何かして欲しい事ないかな?お腹が空いたって言うなら、何か夜食でも作ってあげるし、欲しい物があるっていうなら、今からでもコンビニ行って買ってきてあげるから。」
「別に無いって。夕飯あれだけ食べたんだから、お腹も空いてないし。」
「そう……あ、何かわからない事とかあるかな?私が教えてあげるよ。」
「あ、うん。今の所大丈夫かな……」
麻由お姉ちゃんがやたらと体を近づけて、そう尋ねてきた。
何だか、凄く嫌な予感がする……
「遠慮なんかしないで……本当に何でもしてあげるから……」
「ちょっ…別に遠慮なんか……」
麻由お姉ちゃんは体を密着させ、さすってくる。
うっ…ちょっと色々ヤバイ状況な気が……
「ど、どうしたの?今日は何か変だよ?」
「別に変じゃないでしょ。大輝の面倒は全部私が見るって言ったじゃない。だから、大輝がして欲しい事は何でもしてあげるわ。」
ぎゅっ
う!後ろから抱きついて、胸を背中に押し当ててきた。
「ねえ……本当に何か私にして欲しい事はない?」
むにむに
「う……本当に無いから!だから、そんなにくっ付かないで……」
「そう……」
そう言うと一旦僕から離れる。
でも、また体を近づけてきた。
どうしよう?
何とか麻由お姉ちゃんを部屋から出さないと。

340:狂依存 6
10/10/14 03:33:41 Kuy5pp0N
「あ、あの今日はもう遅いから、寝ようと思うんだ。だから、もう良いよ。」
「………」
「あっ、これ片付けてくるね。じゃあ……」
ガシっ
「な、何……?」
「大輝……」
「え……?」
がばっ!
麻由お姉ちゃんはいきなり僕を押し倒してきた。
ちょっ……一体何を……
「大輝……好きよ。愛してるわ……」
「ええ?ちょっと、いきなりどうしたの!?」
あ、愛してるって……
まさか……
「どうしたも何も、言葉通りの意味よ。私は大輝の事が好きなの。弟してはもちろんだけど、それ以上に一人の男性として……」
ちゅっ、ちゅっ……
頬にキスして、そう告白してきた。
す、好きって……僕の事を?
麻由お姉ちゃんが?
信じられない……
「えと……本気?」
「もちろんよ。だから私と付き合って。そしたら死ぬまで大輝の傍にいて、あなたに尽くしてあげる。本当よ。何でも言う事聞いてあげるし、どんな事でもするわ。」
そ、そんな事急に言われても……
麻由「これでも、まだ信じられない……?」
そう言うと麻由お姉ちゃんは自ら胸元をはだけて、乳房を露にする。
「(これが、麻由お姉ちゃんのおっぱい……)」
大きくて、適度に張りがあって、乳首の大きさも丁度良くて、均整の取れた本当に美しい形をしている。
今までエッチな本や、DVDで見てきたこれ程の物は見たことがない。
「(って!そうじゃないだろ!)」
実の姉が弟にこんな事してくるなんて……
「大輝……昔はあなたにあんなに酷い事しちゃって本当にごめんね。だから、今更あなたの事が好きだって、言われてもすぐには信じてくれないかもしれない。でも今は本気なの。本当にあなたの事愛してるのよ。」
「麻由お姉ちゃん……」
あんなに酷い事って……
どう考えても、麻由お姉ちゃんは何も悪くない。
僕が無神経に麻由お姉ちゃんにベタベタくっ付いたり、変な事言って怒らせていたのだから、むしろ謝らなければいけないのはこっちの方だ。
第一、麻由お姉ちゃんに怒った事なんて一度もないし、実際に少しも恨んだ事もない。
麻由お姉ちゃんを嫌いになった事なんて一瞬だってないよ。
なのに、何で謝るの?
「あの……子供の頃の事だったら、謝らなければいけないのは僕の方だよ。本当にごめんね……許してくれなんて言わないけど本当に悪かったと思ってるから……」
「大輝……ありがとう。やっぱり優しいのね。」
「う、うん……だから……」
「だから、今度は大輝のして欲しい事何でもしてあげる。あの時のお返しにどんな事だってしてあげるよ。大輝は優しいからそう言ってくれるんだろうけど、私はその優しさに甘えたりしないから……」
えええええええ?何でそうなるの?
「大輝……愛してるわ……だから、私の事抱いて……あなたも私の事愛して……」
「麻由お姉ちゃん……」
どうしよう?
麻由お姉ちゃん本気みたいだぞ……
麻由お姉ちゃんの事は大好きだ。
それは生まれた時から今まですっと変らない。
子供の頃は好き過ぎて色々迷惑をかけてしまったぐらいだ。
だから、もう二度とあんな事して迷惑かけたりしないって固く誓った。
ちゃんと家族として姉弟として接していこうって……
でも形はどうあれ、麻由お姉ちゃんの事が好きな気持ちは昔と変らない。
でも、やっぱり実の姉弟で大切な家族でもあるし……
「(どうする……?)」


341:狂依存 7
10/10/14 03:37:39 Kuy5pp0N
そうだよな……
気持ちは本当に嬉しいけど、やっぱり姉弟で家族でそういう関係になるのはよくないよね。
だから……
「あ、あの……麻由お姉ちゃん……僕も麻由お姉ちゃんの事は大好きだよ……でもそれは、その、姉弟してというか家族としてというか……」
「………」
「だから、麻由お姉ちゃんの事、今では一人の女性としてとかそういう目では見れないんだ。だから……」
「ごめんなさい。」
「………」
言っちゃた……
やっぱり怒ってるかな……?
うう、これからちょっと気まずくなるかも……
「そう……」
麻由お姉ちゃん……
「姉弟だから、何なの?」
「え?」
何を言ってるんだ?
「私達は姉弟とか家族である前に、年頃の男と女よ。だから愛し合うことに何の問題もないはずよ。」
ええ!?
「いや、だから、それは……」
むにゅっ
「ほら、お姉ちゃんのおっぱいどう?柔らかくて気持ちいい?このおっぱい、大輝の好きにしていいのよ。ほらほら……」
むにむに
うっ!
麻由お姉ちゃんが僕の手を胸に押し付け、揉んでくる。
柔らかくて気持ちいい……
「ふふふ……もっと間近で見せてあげるね……」
「ちょっと、麻由お姉ちゃん……」
そう言うと体を倒して、僕の顔に胸をうずませる。
「う……」
麻由「どう?気持ちいい?ふふふ……しゃぶってもいいのよ……私のおっぱい好きなようにしていいから……」
うう……これは、ヤバイ……
このまま本当に、麻由お姉ちゃんと……
いやっ!駄目だ!
このまま、流されて関係を持ったら取り返しのつかない事になる気がする。
早く止めさせないと……
「麻由お姉ちゃん。もう、いいから。本当に止めて……」
「あら。本当は凄く気持ちいいんでしょ?だって……」
ずるっ……
「大輝のおちん○んはこんなに勃ってるじゃない……」
「そ、それは……!」
僕のズボンとパンツを下ろして、肉棒を露にする。
そりゃあ、あんな事されたら誰だって反応しちゃうよ……
「わかったでしょ?私達は男と女なの。姉のおっぱいでもこんなに興奮して欲情してるじゃない。姉弟だろうが何だろうが私達は愛し合えるのよ。」
「そ、それでも……」
はち切れそうな欲情を懸命に抑え、何とか耐える。
麻由お姉ちゃんの事は大好きだけど、今の麻由お姉ちゃんは何か変だ。
このまま流されたら大変な事になる……
「まだ素直になれないの?仕方ないわね……」
麻由お姉ちゃんは、スカートとショーツを脱ぎ、下半身を露にすると股間に肉棒を押し付けてきた。
「何を……」
「これで、気持ちよくしてあげるね。ん……」
「ちょっ……やめっ……!」
麻由お姉ちゃんは、肉棒を性器に押し付け、擦り始めた。
これって素股ってやつだよな……
「ん……んく……ふふ…どう?んっ……」
「どうって言われても……」
正直に言えば凄く気持ちいい。
肉棒が麻由お姉ちゃんの柔らかい肌と肉唇に擦れて、今までに経験したことの無い快楽に襲われる。

342:狂依存 8 
10/10/14 03:40:23 Kuy5pp0N
「こんなにおちん○んビクビクさせて……気持ちいいんでしょ?お姉ちゃんのおま○こに入れたいんでしょ?」
入れたい。
でも、ダメだ。
それをやったら引き返せなくなる。
「ん……んふ……さあ、入れて下さいって言いなさい。それとも自分で入れる?好きなのを選んでいいわよ……」
「ダメだよ……早くどいて…」
襲い来る快楽をぐっとこらえて、拒否する。
そうしてる間にも麻由お姉ちゃんは太腿に肉棒を擦りつけ、肉棒にさらに刺激を与える。
「そう……ならこのままイキなさい。」
「ふんっ!……ん!んく……んっ……!」
麻由お姉ちゃんは肉棒を擦り付けるスピードを一気に速め、僕をイカせようとする。
姉がもたらす魔の快楽に、肉棒は一気に爆発寸前に陥る。
「んっ!んふ……ん…気持ちいい?入れて欲しい?ん……だったら私を押し倒して自分で入れなさい。私の気持ちはもう決まってる。後はあなたが決めるのよ。」
あくまでも最後の一線を超えるかは、僕自身に決めさせるという事か。
「早く、どいてよ……僕達は姉弟なんだから……」
理性を振り絞って拒否する。
ここで折れる訳にはいかない……
「んっ……んく……うんっ……ふふ……私も気持ちよくなってきたわ……ん…」
僕の言う事をまるで聞こえていないかのように無視し、あくまで素股を続けてくる。
どうしてそこまでして……
「ん……んふっ……んっ…さあ、出して……大輝の精液、お姉ちゃんにいっぱいかけてえ……」
もう肉棒は爆発寸前だ。
このままだとイっちゃう……
「んっ……うんっ……さあ、早く出しなさい……んっ……」
麻由お姉ちゃんはますます擦り付けるスピードを上げてイカせようとする。
クリトリスに肉棒が擦れ合う時の感触がとても気持ち良い……
「……ん、んく……ん、ほら……ほらっ!ん……ふふふ……」
「(う……出る……)」
どぴゅっっっ!どぴゅるるるっっっ!!!
遂に絶頂に達し、麻由お姉ちゃんの体に精液が思いっきりかけられる。
ああ……麻由お姉ちゃんを汚しちゃった……
「ん……ふふふ……これが大輝の精液なのね……ふふ……ん、んちゅっ……」
麻由お姉ちゃんは嬉しそうに体に付着した精液を眺め、指で拭い舐める。
こんな事して、そんなに嬉しいの?
「あの……ゴメンね…その、汚しちゃって……」
「ふふふ……本当に嬉しいわ……私で気持ちよくなってくれて。出来れば私のおま○この中で気持ちよくなてなって欲しかったけど……」
また、僕の言ったことを無視して……
どうして聞こえない振りをするの?
「もう、いいよね?早くどいてくれよ!」
そういうと、ようやく麻由お姉ちゃんは僕から離れた。
「大輝……どうして私があなたのおち○ちんを私の中に入れなかったのかわかる?」
「あの態勢なら入れようと思えばすぐ入れられたわ。でも大輝の意思を無視して入れたら只の強姦と変らない。だから、最後はあなたに決めて欲しかったのよ。」
「麻由お姉ちゃん……」
あくまで僕の意思を尊重するという事だろうか?
「それに……私の処女とファーストキスは大輝の意思で奪って欲しいの。キスは頬にはしたけど口にはしてないでしょ。」
そういえばそうだったな……
「だから、私の初めてのキスと処女を欲しかったら、いつでも奪いに来て。寝こみを襲ってくれても構わないわ。生理中でも遠慮なんかしなくていい。欲望の赴くままに私を犯して。楽しみに待っているから……」
麻由お姉ちゃん……
「それじゃあお休みなさい。ふふふ……」
バタン

……


343:名無しさん@ピンキー
10/10/14 03:41:37 Kuy5pp0N
とりあえず以上です。
続きは、いつになるかわかりませんが

344:名無しさん@ピンキー
10/10/14 09:01:40 S86ALPwT
>>343
GJじゃないか・・・
初めての投下らしいけどしっかり堪能させていただきました

345:名無しさん@ピンキー
10/10/14 16:52:52 lI1MJ+JP


346:名無しさん@ピンキー
10/10/14 16:56:56 zceh2rLp
これはいいキモ姉GJ!

しかしお姉ちゃんの数年間にナニがあったのか…

347:名無しさん@ピンキー
10/10/14 19:46:06 rtkhrODs
GJ
しかしなんという劇的ビフォーアフター
弟を軽く上回るとは

348:名無しさん@ピンキー
10/10/15 00:42:11 py/jgT3f
お姉ちゃん別人じゃねーか
くそっ、家の姉とは大違いだぜ

349:名無しさん@ピンキー
10/10/15 11:04:48 0zEdSTQn
GJ
弟の成長?がこれから姉のキモさを際立ててる

350:名無しさん@ピンキー
10/10/15 18:52:34 W1oVMg0S


351:名無しさん@ピンキー
10/10/15 22:39:22 W1oVMg0S


352:三つの鎖 28 後編 ◆tgTIsAaCTij7
10/10/15 23:49:56 mebDjS4t
三つの鎖 28 後編です
※以下注意
流血あり
エロ無し

投下します

353:三つの鎖 28 後編 ◆tgTIsAaCTij7
10/10/15 23:50:55 mebDjS4t
 膝をつき苦しそうに私を見上げるお兄さん。わき腹を押さえる手から手が流れ床にこぼれる。
 「何でですか。何で私を捨てるのですか」
 私の声は震えていた。
 「私を捨てるのでしたら、何で私と付き合ったのですか」
 視界がにじむ。
 お兄さんと過ごした日々が脳裏に浮かぶ。
 学校でお昼ご飯を食べた。私はお料理が下手で作れるのがカレーしかないけど、お兄さんは私のカレーのお弁当を食べてくれた。おいしいって言ってくれた。
 放課後、二人で帰った。恥ずかしそうに私の手を握るお兄さんが可愛かった。嬉しかった。
 帰り道、よく寄り道した。ソフトクリームを買って、公園で他愛もない事を話した。
 二人でスーパーで買い物した。いつも一人で食材を買っていたから、楽しかった。
 私の部屋で抱いてくれた。優しく、時に激しく抱いてくれた。
 家でお兄さんがお料理してくれた。いつもカレーばかりの私を心配して、栄養のあるご飯を作ってくれた。洗濯してくれた。お掃除してくれた。
 お兄さんは時々意地悪だった。困る私を楽しそうに見つめた。でも、それも嬉しかった。
 幸せだった。お父さんもお母さんも滅多に帰って来ない家でも、お兄さんがいてくれるだけで温かかった。
 お兄さんが帰っても、寂しくなかった。例え傍にいなくても、お兄さんは私の事を想ってくれていると知っていたから。
 そんな日々は、もう帰って来ない。
 「私、お兄さんの事を好きです。愛しています。お兄さんが望むなら何でもします。お兄さんの好みの女の子になります。それなのに、私を捨てるんですね」
 お兄さんはきっと髪の長い女の子が好きだから、伸ばした。まだ肩に届くぐらいだけど、お兄さんがほめてくれるのが嬉しかった。
 分かっていた。お兄さん好みの女の子になるのは無理だって。
 ハル先輩や、梓みたいな女の子になるのは無理だって。
 涙がとめどなく溢れ頬を伝い足元に落ちる。
 荒い息をつきながらお兄さんは立ち上がった。
 こんな状況なのに、信じられないぐらい落ち着いた眼差しで私を見つめる。
 その眼差しに、胸が痛くなる。
 やっぱり、私はお兄さんに恋している。
 だからこそ我慢できない。
 私とお兄さんが、他人になるのが。
 お兄さんの傍に、私以外の女の人がいるのが。
 「お兄さん。好きです。愛しています」
 私は包丁を持ったままお兄さんに向って走った。
 包丁がお兄さんに突き刺さる寸前、お兄さんの右手が包丁の刃を握り締める。その手は血まみれだった。
 お兄さんは傷口を押さえていた手で包丁を押さえていた。
 「夏美ちゃん」
 お兄さんの声はこんな状況でも落ち着いていた。さっきみたいに苦しそうな息遣いはもう聞こえてこない。
 私はお兄さんの手を振りほどこうとしたけど、万力のようにお兄さんの手は動かない。包丁の刃を掴むお兄さんの手から、血が滴り落ちる。
 「これを受け取って欲しい」
 お兄さんはあいている手をポケットに入れ、何かを取り出し私に差し出した。
 小さな白い箱。お兄さんは器用に片手で箱を開けた。
 蓋が開き、箱の中が露わになる。
 そこには二つの指輪が入っていた。
 シンプルな銀の指輪。小さいサイズと大きいサイズが一つずつ。
 私は呆然とお兄さんを見上げた。
 お兄さんは真剣な表情で私を見下ろした。
 「夏美ちゃん。僕と結婚してほしい」
 お兄さんの言っていることが分からなかった。
 言葉は聞こえるのに、意味が理解できない。
 「僕なりに考えた。夏美ちゃんがどうすれば僕を信じてくれるか。僕は馬鹿だから、これ以外の方法を思いつかなかった」
 お兄さんは淡々と言葉を紡ぐ。
 でも、その裏で必死になっているのが分かる。
 「残りの僕の人生を、全て夏美ちゃんに捧げる。一生傍にいる」
 私の目の前に箱が差し出される。
 白い箱の中で、銀色の指輪が鈍い光を放っている。
 包丁から血が床に落ちる。お兄さんは包丁の刃を握っているから手が切れているはずなのに、その痛みを感じさせない真剣な表情で私を見つめる。
 「好きだ。愛している。誰よりも夏美ちゃんを愛している。今は頼りない僕だけど、必ず夏美ちゃんを幸せにできる男になる」
 お兄さんは息を吸い込んで口を開いた。
 「だから、僕の傍にいて」
 私、馬鹿だ。
 本当に馬鹿だ。
 何でだろう。何でお兄さんを疑ったりしたのだろう。
 お兄さんはそんな人じゃないのに。

354:三つの鎖 28 後編 ◆tgTIsAaCTij7
10/10/15 23:51:50 mebDjS4t
 誠実で、優しい人なのに。
 包丁を握り締める手が震える。
 「受け取って欲しい」
 包丁を柄を握り締める両手を離して、指輪の入った白い箱を受け取ろうとした。
 手が箱に触れる直前で私は固まった。
 私の手は、血で真っ赤だった。
 お兄さんの血でべとべとだった。
 白い箱を私に差し出すお兄さんの手に血はついていないのに。
 お兄さんの手から包丁が落ちる。血だまりの中に落ちて、乾いた音を立てる。
 「あ、ああ、わ、わたし」
 私、なんて事を。
 涙でにじむ視界でもはっきり分かる。
 両手が、お兄さんの血で真っ赤なのが。
 この手じゃ、指輪を受け取れない。
 「左手を出して」
 お兄さんはそう言って箱を私の机の上に置いた。
 そのまま箱を持っていた手で小さいサイズの指輪を取り出す。
 私は言われるままに震える左手を差し出した。
 お兄さんは、私の左手の薬指に指輪をはめた。
 血に濡れた私の手で、銀の指輪が鈍い光を放つ。
 「これで夏美ちゃんは僕のものだ」
 お兄さんはもう一つの指輪を取り出し、私の手に握らせた。
 「僕に指輪をはめて欲しい」
 私は震える手でお兄さんの左手の薬指に指輪をはめる。
 血についていなかったお兄さんの左手が、指輪とともに血で濡れる。
 それでも、指輪は鈍い光を放っていた。
 「これで僕は夏美ちゃんのものだ」
 そう言って、お兄さんは私の両手を握りしめた。
 私の手はお兄さんの血で濡れているのに、握ってくれた。
 血まみれの私の手を握るお兄さん。
 「愛している」
 真剣な表情。綺麗な瞳が私を見つめる。
 その眼差しに、醜い感情が全て融けていく。
 私はお兄さんに抱きついた。
 「ごめんなさい。私、どうかしていました」
 「よかった」
 お兄さんは安心したように微笑んだ。真っ青な顔色。
 今、この瞬間も血が流れて床に落ちる。
 「お、お兄さん、その、救急車を」
 「慌てなくても大丈夫。出血はひどいけど、たいした怪我じゃない」
 お兄さんがそう言った時、外で何かを叩く音が聞こえた。
 『幸一君!!いるのか!?』
 聞き覚えのある男の人の声。
 続いてドアが開く音と共に複数の足音が近づいてくる。
 部屋の扉が開きスーツの男女が入ってきた。
 見覚えのある二人。学校でお世話になった刑事さん。
 二人は部屋を見て表情を変える。淀みない動きで素早く銃を抜き、私につきつける。
 「幸一くんから離れろ」
 抑揚のない声で男の人が告げる。
 お兄さんは立ち上がり、拳銃から庇うように私の前に立った。
 「やめてください。夏美ちゃんは関係ありません」
 視線を交わす刑事さん。素早く拳銃を懐にしまう。
 「すまない。幸一君。怪我は大丈夫かい」
 男の人がお兄さんの傷口を確認する。
 「出血は派手ですが、たいした事ありません」
 男の人はお兄さんの言葉には答えずに部屋を見回した。次に私の手を見つめる。血に濡れた私の手を。
 女の人も私を見つめる。犯人を見つめる刑事の目。
 「西原。中村さんを署にお連れしろ。私は幸一君を病院に連れていく」
 「分かりました。中村さん。申し訳ないけど、署まで来てくれる。何があったか聞かせてちょうだい」
 お兄さんは西原さんに向き合った。

355:三つの鎖 28 後編 ◆tgTIsAaCTij7
10/10/15 23:52:50 mebDjS4t
 「岡田さん。夏美ちゃんを署に連れていく必要はありません」
 お兄さんが私に視線を向ける。その瞳が伝える。何も言わないでと。
 男の人、岡田さんは無表情にお兄さんを見つめた。
 「詳しい話は治療の後に聞く」
 「僕が誤って怪我をしただけです。彼女は関係ありません」
 女の人、西原さんがお兄さんの手を掴んだ。
 「幸一君。何があったかを聞くだけよ。任意同行じゃないし、尋問するわけでもないわ」
 お兄さんは首を横に振った。
 岡田さんは無表情にお兄さんを睨んだ。
 「幸一君。もしやましい点が無いなら、中村さんからお話を伺うのに不都合は無いはずだ。それなのにそこまで拒否するのは、何かあったのかと勘繰ってしまう。不幸な勘違いをなくすためにも、中村さんを落ち着ける場所にお連れして話を伺うのは必要だ」
 お兄さんは落ち着いた態度で岡田さんの方を振り向いた。
 「夏美ちゃんは僕の不注意で怪我をした僕を必死に応急処置してくれただけです」
 「幸一君」
 西原さんが困ったようにお兄さんに声をかける。
 「僕は今日、夏美ちゃんに求婚しました」
 思わず顔を合わせる刑事さん二人。
 「夏美ちゃんは承諾してくれました。僕の婚約者は、誤って包丁で怪我した僕を応急処置してくれた。それだけです。ですから夏美ちゃんを署に連れていく必要はありません」
 「あー、幸一君」
 岡田さんが困ったようにお兄さんを見る。
 「出血が多すぎるようだ。早く病院に行こう」
 「…別に幻覚を見た訳じゃないです」
 西原さんは私を見つめた。
 「村田さん。幸一くんの話した事は本当なの」
 私が答える前にお兄さんが口を開いた。
 「本当です。証拠に、僕も夏美ちゃんも婚約指輪をつけました」
 刑事さん二人の視線が私とお兄さんの左手に集まる。
 「僕の怪我は、僕の不注意です。夏美ちゃんは関係ありません」
 傷口を押さえ、額に汗を浮かべても、お兄さんの声は微塵も震えていなかった。
 刑事さん二人は顔を合わせ、やあって岡田さんは口を開いた。
 「…分かった。怪我をしたなら婚約者の付き添いがあった方が安心するだろう。中村さん。幸一君に付き添ってもらえますか」
 「は、はい」
 ふらつくお兄さんを私は支えた。

 病院の待合室で、私はお兄さんの治療が終わるのを待っていた。
 私は、なんて事をしてしまったのだろう。
 お兄さんを、刺した。
 この手で、刺した。
 私の手に、お兄さんを刺した時の感触が今でも残っている。
 「中村さん」
 顔をあげると、岡田さんと西原さんがいた。
 「幸一君の怪我は大した事ないです。数針縫う程度だから安心してください」
 私はほっとした。
 「いくつかおたずねしたい事があります。あ、いえ、包丁が刺さった状況じゃないです。あれは幸一君の言うとおり、幸一君の不注意が原因です。伺いたいのは、幸一君がプロポーズしたのは本当かどうかです」
 「本当です」
 私は正直に答えた。
 「では中村さんが承諾したのも本当ですか」
 今更になって何があったかを理解した。
 お兄さんは、私にプロポーズしてくれたんだ。
 結婚してって言ってくれたんだ。
 私は、それを受けたんだ。
 嬉しさと恥ずかしさに頬が熱くなる。
 「…はい。受け入れました」
 顔を合わせる刑事さん二人。
 困ったような表情を浮かべる岡田さんに、西原さんは軽く咳払いした。そして西原さんはにっこりと笑った。
 「婚約、おめでとうございます」
 「…ありがとうございます」
 何だか不思議な感覚。他の人からの祝福が、何だかくすぐったい。
 複雑そうな表情をしている岡田さん。西原さんが岡田さんのわき腹を肘でつつくと、慌てたように口を開いた。
 「あ、いえ、婚約おめでとうございます」
 「ありがとうございます」

356:三つの鎖 28 後編 ◆tgTIsAaCTij7
10/10/15 23:53:33 mebDjS4t
 そんな事を話していると、見覚えのある男の人が近づいてきた。
 お兄さんのお父さん。片手に紙袋を持っている。
 「岡田君。息子はどうだ?」
 あくまでも冷静な声で尋ねるおじさん。
 「大した事ありません。数針縫う程度です」
 「そうか。息子が迷惑をかけた」
 そう言って頭を下げるおじさん。
 「中村さんも、息子が迷惑をおかけしました」
 「え、あ、その」
 何て言えばいいのだろう。その、私が刺したわけだし。
 「お父さん。夏美ちゃんが困っているよ」
 聞き覚えのある声。
 「お兄さん!!」
 兄さんがゆっくりとした足取りで近づいてきた。
 私はお兄さんにそっと抱きついた。
 「その、大丈夫ですか」
 「大丈夫」
 そう言ってお兄さんは微笑んだ。力強い笑顔。
 「幸一。怪我はどうだ」
 「大丈夫」
 会話する親子。
 「迷惑をかけた人にちゃんと挨拶をしなさい」
 お兄さんは岡田さんと西原さんにも頭を下げた。
 「ご迷惑をおかけしてすいませんでした」
 顔を見合わせる二人。やあって西原さんは口を開いた。
 「幸一君。それよりもお父上にご報告することがあるんじゃないかしら」
 微かに眉をひそめるおじさん。
 「お父さん。紹介するよ」
 「中村さんとは既に知り合いだ」
 「改めて紹介するよ。僕の婚約者の中村夏美さん」
 沈黙するおじさん。黙ってお兄さんを睨みつけるように見ている。
 お兄さんはその視線を平然と受け止めている。
 「え、えっと、その、ご紹介にあずかりました中村夏美です」
 「今日、結婚を申し込んだ。事後報告でごめん」
 お兄さんの言葉におじさんは天井を仰いだ。
 「幸一。本気か」
 「本気だ」
 「まだ高校生というのを理解しているか」
 「正式な結婚は就職してからにする」
 おじさんはお兄さんの顔をまっすぐに見た。
 「事件の被害者だから、同情で結婚するのか」
 慌てたように顔を合わせる岡田さんと西原さん。
 「もしそうなら、婚約を許すわけにはいけない」
 「違う」
 お兄さんは否定した。力強い言葉。
 「夏美ちゃんとずっと一緒にいたいと思ったから、プロポーズした。同情とかは一切無い」
 にらみ合う親子。
 しばらくして、おじさんは私の方を向いた。
 「中村さん」
 「は、はい」
 私はすごく緊張していた。
 おじさんの表情は無表情だけど、痛いぐらいに真剣な気持ちが伝わってくる。
 「ご存知の通り、息子は単純で世間知らずで考えの浅い男です。この年で結婚を申し込む時点でそれを証明しています。こんな馬鹿息子ですが、よろしくお願いします」
 「いえ。それは違います」
 自然と言葉が出た。
 「幸一さんは優しくて思慮深い人です。結婚を申し込んでくれたのも、私の事を考えての事です」
 私を無表情に見下ろすおじさん。
 「私は、幸一さんがプロポーズしてくれたのを嬉しく、誇りに思います」
 おじさんは微かにほほ笑んだ。お兄さんの面影が、確かにあった。
 「息子をよろしくお願いします」

357:三つの鎖 28 後編 ◆tgTIsAaCTij7
10/10/15 23:54:50 mebDjS4t
 おじさんはそう言ってお兄さんの方を向いた。
 「幸一にはもったいない女性だ」
 お兄さんは頬を染めてそっぽを向いた。そして視線だけを私に向ける。
 「夏美ちゃん」
 「はい」
 「もう一回言って欲しい」
 「えっと、何をですか」
 恥ずかしそうにうつむくお兄さん。その姿が、何だか妙に可愛い。
 「その、もう一回、名前を呼んで欲しい」
 「名前、ですか?」
 「初めてだ」
 「?」
 「初めて、夏美ちゃんが僕の名前を言ってくれた」
 そう言えば、お兄さんの下の名前を口にしたのは初めてかもしれない。
 顔が熱くなる。
 「い、言いますね」
 「うん」
 「こ、ここ、幸一、さん」
 「うん」
 嬉しそうに頷くお兄さん。
 うわっ。すごく恥ずかしい。ただ単に名前を口にしただけなのに。
 「こ、幸一さん」
 「うん」
 「幸一さん」
 「うん」
 西原さんは咳払いした。
 「とりあえず出ませんか。中村さんも着替えないといけませんし」
 そう言えば、私の上着は血が結構ついている。
 お兄さんの上着も血がついている。
 西原さんが落ち着いた様子で口を開いた。
 「加原さん。とりあえず、中村さんを家に送ってから幸一君を家に送ります。二人ともこの格好だと表を歩けませんし」
 おじさんは手にある紙袋をお兄さんに渡した。
 「着替えが入っている。中村さんの家の掃除を手伝ってから帰る様に。西原。手間をかけてすまないが、二人を中村さんのお住まいまで頼む」
 「分かりました」
 「岡田君はどうする?私は今から署に戻るが」
 「僕も加原さんと一緒に帰ります」
 挨拶もそこそこに岡田さんとおじさんは去っていった。
 「行くわよ」
 歩く西原さんに私とお兄さんはついて行った。

 西原さんは車でマンションまで送ってくれた。
 「ありがとうございます」
 「どういたしまして」
 お礼を言う私とお兄さんに、西原さんは微笑んだ。
 「夏美ちゃん。しっかりと旦那の手綱を握っていないと駄目よ。男って単純だからね。すぐに落ち込むし、弱気になるから」
 そう言って西原さんは左手を掲げた。その薬指には指輪が鈍い光を放っている。
 「お互い頑張ろうね」
 西原さんは笑いながら去っていった。
 二人きり。何だか気恥ずかしい。
 「行こう」
 そう言ってお兄さんは私の手を握ってくれた。
 大きくて温かい手。二人で並んでマンションの階段を上る。
 私の部屋は凄惨な状況だった。
 床に赤黒い汚れ。お兄さんの血。
 私が、お兄さんを刺したから。
 心臓の動悸が激しくなる。寒くないのに体が震える。
 私、なんて事を。
 「夏美ちゃん」
 お兄さんは私の手をしっかりと握ってくれた。
 「気にしないで。夏美ちゃんは悪くない」

358:三つの鎖 28 後編 ◆tgTIsAaCTij7
10/10/15 23:55:21 mebDjS4t
 「で、でも」
 お兄さんは私を抱きしめた。
 温かくて逞しいお兄さんの腕の中。お兄さんの心臓の鼓動を微かに感じる。
 「夏美ちゃんは疲れていただけだ。悪い夢を見ていただけ」
 お兄さんの落ち着いた声が、私の心にしみこむ。
 「リビングに行こう」
 そう言ってお兄さんは私の手を引いて部屋を出た。

 ふと眼を覚ますと、私はリビングのソファーで寝ていた。
 電気の消えたリビング。体を起こすと、タオルケットをかけられていることに気がついた。
 病院から帰ってきて、リビングでお兄さんにもたれかかっていて。
 そこから記憶が無い。いつの間にか寝てしまったようだ。お兄さんはどこにいったのだろう。
 外はもう暗い。何時だろう。
 リビングの電気をつける。既に遅い時間。
 「夏美ちゃん?起きた?」
 お兄さんがリビングに入ってきた。
 「ごめんなさい。寝てしまったみたいで」
 「気にしないで。夏美ちゃんの寝顔、可愛かった」
 そう言ってほほ笑むお兄さん。
 お兄さんに寝顔を見られたんだ。恥ずかしさに頬が熱くなる。
 「ご飯作ったけど、お腹すいてる?」
 正直、あまりすいていない。お兄さんを刺した後で、食事をとる気にはなれなかった。
 「気が向いたら食べて」
 私の表情から察したのか、お兄さんはそう言ってくれた。
 「いえ、いただきます」
 「いいの?」
 「少しでも食べないと、体が持たないです」
 考えたら、今日は何も食べていない。
 「分かった。ちょっと待ってね」
 そう言ってお兄さんはキッチンに消えた。
 私は顔を洗おうとお風呂場に入った。鏡を見ると、服に血がついていない。気がつけばお兄さんを刺した時とは別の服になっている。
 お兄さん、着替えさせてくれたんだ。
 私は顔を洗って自分の部屋の前に立った。深呼吸して部屋に入り明かりをつける。
 明るくなった部屋に、赤黒い染みは無かった。
 私は呆然と立ち尽くした。どうなっているのだろう。
 寝ている間にお兄さんがお掃除してくれたのだろうか。
 リビングに戻ると、おいしそうなカレーの匂いが漂ってくる。
 「夏美ちゃん。できたよ」
 「ありがとうございます。あの、もしかして私を着替えさせてくれましたか?」
 お兄さんは申し訳なさそうな顔をした。
 「うん。勝手に着替えさせてごめん」
 「いえ、ありがとうございます。あと、私の部屋をお掃除してくれましたか?」
 お兄さんは黙って頷いた。
 恥ずかしさと申し訳なさにお兄さんを直視できない。
 怪我をしているお兄さんにお掃除までさせて。私、何をしているのだろう。
 「その、本当にすいません」
 頭に温かい感触。
 お兄さんが私の頭をそっとなでる。
 「気にしないで」
 そう言ってお兄さんは微笑んだ。
 「さ。冷める前にどうぞ」
 おいしそうなカレー。お兄さんがカレーを作ってくれたのは、お父さんのお葬式以来だ。
 私は椅子に座り手を合わせた。
 「いただきます」
 私はスプーンを手に一口食べた。おいしい。
 「どう?」
 「おいしいです」
 私の一言に嬉しそうに微笑むお兄さん。その笑顔に頬が熱くなる。
 誤魔化すようにカレーをもう一口食べようとして、背筋が寒くなった。
 スプーンを通して伝わる感触。多分、牛肉の角切り。

359:三つの鎖 28 後編 ◆tgTIsAaCTij7
10/10/15 23:56:26 mebDjS4t
 その感触が、お兄さんを刺した時の感触と同じだった。
 かちかちと音がする。握ったスプーンが震え、お皿とぶつかっている。
 「夏美ちゃん?」
 心配そうに私を見るお兄さん。
 私、お兄さんを。
 この手で、刺して。
 たくさん血が流れて。
 鋭い頭痛。歪む視界。込み上げる吐き気。
 「夏美ちゃん!!」
 お兄さんの声が、遠い。
 気がつけば私は椅子から転げ落ちて床にうずくまっていた。
 耐えがたい頭痛と吐き気。食べたばかりのカレーと胃液が込み上げてくる。耐えきれずに私はもどした。
 せっかくお兄さんが作ってくれたのに。
 乱れる思考の中で、明確な言葉になったのはそれだけ。
 気がつけば私はお兄さんに抱きかかえられていた。
 「夏美ちゃん!?しっかりして!!」
 吐しゃ物に汚れるのにも関わらず、お兄さんは私を抱きかかえてくれた。
 「あ、だめ、です」
 私はお兄さんの両肩を押そうとした。手に力が入らない。
 「だめ、です。よごれ、ます」
 悪いのは私なのに、お兄さんが汚れるなんて耐えられない。
 それなのにお兄さんは私を抱きしめる。
 お兄さんの温かい腕に抱かれ、徐々に意識がはっきりしてくる。それと共に、微かに嗚咽が聞こえてくる。
 「おにい、さん?」
 お兄さんの顔が見えないからよく分からないけど、お兄さんは泣いていた。
 「…ごめん」
 何でお兄さんが謝るのか、分からない。
 悪いのは私なのに。
 お兄さんを刺したのは、私なのに。
 私はお兄さんの背中に腕をまわして抱きしめた。お兄さんはびくりと震えた。
 「お兄さんは、悪くないです」
 私の言葉に、お兄さんは何も答えない。
 ただ、静かに泣きながら私を抱きしめるだけ。


投下終わりです。
読んでくださった方に感謝いたします。
ありがとうございました。
HPで登場人物の人気投票を行っていますので、よろしければご協力お願いいたします。
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360:名無しさん@ピンキー
10/10/16 00:24:01 LX0Ts3XF
( *`ω´)

361:名無しさん@ピンキー
10/10/16 00:32:51 QXdvwR3w
GJ!
幸一に死亡フラグが立ちました

362:名無しさん@ピンキー
10/10/16 00:40:29 y4ck0maH
GJ
幸一死にますね、これは

363:名無しさん@ピンキー
10/10/16 01:42:35 hURGnWym
乙…幸一 good luck………

364:名無しさん@ピンキー
10/10/16 02:31:21 zNcPoRYb
乙~
なんか一気に追悼ムードでわろた


365:名無しさん@ピンキー
10/10/16 03:50:12 IAyZqOPt


366:名無しさん@ピンキー
10/10/16 04:00:30 HTFUNDEC
もう幸一死なないと事態は沈静化しないような気がする

367:名無しさん@ピンキー
10/10/16 07:38:10 UyfqDr8k
なんであのタイミングで警察が介入したのか気づかないくらい
二人がいまだに冷静になってないのね

GJ

368:名無しさん@ピンキー
10/10/16 09:24:57 avL1uu+U
これからまた嵐がくるぞ~

GJ!

369: ◆wBXWEIFqSA
10/10/16 15:06:46 w73DEH/4
>>342の続き投下します。
一応トリップ付けときます。
前回より短いですが、今回もエロ有りです。



370:狂依存 9
10/10/16 15:07:45 w73DEH/4
「はあぁ~……」
まだ現実感が無い……
麻由お姉ちゃんがあんな事するなんて……
どうしてこんな事になったんだろう?
昔はあんなんじゃなかったのに。
これから、あの麻由お姉ちゃんと二人でずっと一緒に過ごさなきゃいけないなんて……
「本当にどうしよう……」
お父さん達は数年は海外に滞在する予定だ。
もちろんお盆や正月には一時的に帰ってくると言ってるが、いても一週間ぐらいだという。
「何とか説得して諦めさせるしかないか。」
麻由お姉ちゃんならきっとわかってくれるだろう。
それに初めては僕に奪ってくれという事は、僕の方が自重すれば一線を超えることはないという事か。
なら、僕が我慢すればいずれ諦めてくれるよね。
「大丈夫、大丈夫だよな……」
必死にそう言い聞かせながら、眠りについた。

「大輝、起きなさい!大輝!」
「う……ん…」
「起きろっつてんだろ!」
ドスっ!
うおっ!
鞄か何かで思いっきり叩かれて、目を覚ます。
「うーん……なーに?」
時間は……ってまだ6時半じゃん…
「うー、こんな早くにどうしたの……」
「どうしたの?じゃないわよ。今日はお母さん達いないのよ。」
だからって何でこんな早くに。
「私はこれから朝練に行かないといけないからもう出るけど、あんたも時間になったら朝御飯用意してあるから、それ食ってちゃんと玄関の鍵閉めて出るのよ。」
「うん……」
「お母さん達は夕方頃には帰ってくるって言うから、学校から帰ったらそれまでちゃんと留守番してること。いいわね?」
「じゃあ、もう行くから。鍵ちゃんと閉めときなさいよ。」
「う、うん……」
もう麻由お姉ちゃんったら、相変わらず乱暴なんだから……
これも照れ隠しか愛の裏返しなんだろうけど、夫を起こすときはやっぱりお早うのキスぐらいはして欲しいよね。
「もう一眠りっと……ん?」
そういえば麻由お姉ちゃん、朝御飯用意してあるって言ってたな。
「私はこれから朝練に行かないといけないから、もう出るけどあんたも時間になったら朝御飯用意してあるから、それ食ってちゃんと玄関の鍵閉めて出るのよ。」
うん、確かに言った。
朝御飯用意してあるから。朝御飯用意してあるから……
「こうしちゃおれん!!」
ああ……麻由お姉ちゃんったら、朝練があるっていうのに、僕の為にこんなに朝早くから起きて朝御飯作って用意してくれたんだね!
僕の為に、ここまでしてくれるなんて……
昨日は作るの面倒くさいとか何とか言ってたけど、やっぱり僕達は愛し合ってるんだね。
「さっさと着替えて食べなければ!」
何作ってくれたのかな~。
麻由お姉ちゃんの手作りなら何だって美味しく頂いちゃうよ。
「ではいただきまーす!」

……
………
えーと……朝御飯って……
「………」
コーンフレークと牛乳。


371:狂依存 10
10/10/16 15:08:46 w73DEH/4
「大輝、起きて。大輝。」
「う……」
「大輝……」
ちゅ……
「!?」
な、何だ?今の?
「ふふふ……起きた?おはよう、大輝。」
「ま、麻由お姉ちゃん。今何を?」
ほっぺに何か柔らかい感触が……
まさか?
「決まってるじゃない。おはようのキスよ。愛する人を起こすにはこれが一番の目覚ましでしょ。」
いや、目覚ましって言われても……
「もしかして、嫌だった?」
「え!い、いや、そんな事はないけど……」
嫌って事はないんだけど、何か違うというか……
「あの……起こしてくれたのはありがたいんだけど、まだちょっと早いというか……」
まだいつも起きる時間より20分ぐらい早い。
もうちょっと寝ていたかったんだけど……
「あっ。もしかして、何か手伝って欲しい事か何かあった?だったら……」
「あ、ううん、違うの。ちょっとやりたい事があって。ごめんね、大輝はまだ寝てていいから。」
??何を言ってるんだ?
「やりたい事って?」
「大輝のおち○ちんを大人しくしてあげようと思って……ね。」
「へ?」

ずるっ
「ちょっ!何を?」
「ふふふ……朝からこんなに勃起しちゃって……昨日の事を思い出して勃起しちゃったのかしら。待っててね。お姉ちゃんが今、気持ちよくして、落ち着かせてあげるから……」
「えええ?ちょっと止めて……」
麻由お姉ちゃんはズボンを引き摺り下ろして、僕の肉棒を露にすると、指で擦り始めた。
「大丈夫よ……大輝は何もしなくていいわ……お姉ちゃんに全部任せて。」
「麻由お姉ちゃん、あの、これは……」
これは単なる生理現象なんだけど……
いや、知っててやってるのか。
「じゃあ、いくわよ……」
「う……」
麻由お姉ちゃんは胸元をはだけて、おっぱいを露出すると肉棒に挟みこんだ。
「うん……ん、ん……どう?気持ちいい?」
麻由お姉ちゃんの豊満な乳房に挟まれた肉棒が優しく擦れ合い、未知の快楽を引き起こす。
本当に気持ちいい……
「麻由お姉ちゃん、お願いだから止めて……」
「そう、気持ち良いのね。じゃあもっとやってあげる。んっ、うん……」
ちょっ、無視しないで。ん……
「ふふ……こんなにビクビクさせて感じちゃって……本当に可愛い……」
麻由お姉ちゃんはうっとりした表情をしながら、おっぱいに挟まった肉棒を優しく乳肉に優しく押し付け、擦れさす。
その姿が妙に色っぽくて、ますます興奮してしまう。



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