キモ姉&キモウト小説を書こう!part32at EROPARO
キモ姉&キモウト小説を書こう!part32 - 暇つぶし2ch200:名無しさん@ピンキー
10/09/27 02:06:38 WGLueRao
GJ
みんないい子で幸せになってくる

201:名無しさん@ピンキー
10/09/27 02:18:10 eeIoHldD
GJ~
照れるキモウトっていいよね!

202:名無しさん@ピンキー
10/09/27 02:21:15 3bXMEPAE
戦闘妖精がきたか

203:名無しさん@ピンキー
10/09/27 06:17:19 rHYUsS6c
誰かwiki更新頼む

204:名無しさん@ピンキー
10/09/27 20:11:14 DIV8YqB7
>>203
言いだしっぺの法則って知って居るか

205:名無しさん@ピンキー
10/09/28 00:04:42 xYTgj7jn
うむ、久しぶりにきたが連載中の作品も良作揃いじゃないか。

206:名無しさん@ピンキー
10/09/28 13:23:42 mYTTybvW
キモ姉妹が法律を作ったら

新訂刑法一条 不当交際罪


人の兄または弟を不当な手段で略取した者は死刑または終身刑に処す

未遂は罰する


兄または弟が犯した場合は重洗脳刑または廃人刑に処す

未遂は罰する

とか作りそうで怖い…

207:名無しさん@ピンキー
10/09/28 18:59:30 /pgci4UK
つまり『おとなになったらおよめさんにしてあげる』とか
幼少期の約束が映像なんかに残ってれば正当な交際と認めてもらえるわけですね?

208:名無しさん@ピンキー
10/09/28 19:54:45 RcQSNpna
私には夢がある。
いつの日か、泥棒猫の死体が積み上がる小高い丘で、
かつての兄達と、かねてより兄に所有されたかった妹達が、
兄妹愛を超えた性愛というベッドで夜を共にできる日がくるという夢が。

みたいなスピーチしてノーベル妹賞を受賞するマーチンルーサーキモウト

209:名無しさん@ピンキー
10/09/29 00:14:35 4NGS3+W2
いや、さすがにそれはノーベルさんにあやまr
おっと誰だこんな時間に

210:名無しさん@ピンキー
10/09/29 05:44:00 0Zlge5YA
>>208

なぜか固有結界の使い手で再生されたせ

I am the bone of my brother

体は兄で出来ている……

211:名無しさん@ピンキー
10/09/29 11:47:47 uRA9kCp7
>>210
その英文を「私は兄の骨です」と読んだら、アダムが肋骨の内の一本からイブを作ったという神話を連想してしまった。そういやあれも兄妹だったっけ?

212:名無しさん@ピンキー
10/09/29 12:02:21 BJ4Sw44Y
ならばリリスは泥棒猫か

213:名無しさん@ピンキー
10/09/29 12:24:34 AbL71jGG
>>206
わかっているさ 愛する者を

自分を捨てても 守るんだ~

214:名無しさん@ピンキー
10/09/29 14:49:18 4NGS3+W2
Q:愛ってなんだ?
A:ためらわないことさ……

215:名無しさん@ピンキー
10/09/29 17:24:19 F78/5k4S
刑の内容が気になるな

重洗脳刑になったら姉妹のことしか考えられなくなるとかか

重があるなら軽もあるのかとか

216:名無しさん@ピンキー
10/09/29 20:34:17 dwShjjyD
>>212
旧約聖書にはリリスという存在は明確に記述されてなかったらしい。
リリスというアダム最初の妻が定義されたのは中世の話だとか。



「つまり! 泥棒猫なんて存在そのものが後付けの二次創作!
お兄ちゃんは同じ血と肉で構成された妹と結ばれるのが神話の時代からの真理なのよ!」
「お前は何を言ってるんだ」

217:名無しさん@ピンキー
10/09/29 20:46:47 reoLcGwb
>>216
それは逆だ。旧約聖書が編纂された際に抹殺されたリリスの存在が
中世の研究者によって再発見されたんだ。
……つまり、聖書の編纂にはイブの圧力が…

218:名無しさん@ピンキー
10/09/29 20:53:54 quvjyTx4
神話で近親相姦なんて普通ですよねー

でも自分の兄弟しか愛さなかった女神っているんだろうか

219:名無しさん@ピンキー
10/09/29 20:57:24 reoLcGwb
>>218
ギリシャ神話の女神ヘラなんてどう?

220:名無しさん@ピンキー
10/09/30 11:40:51 UnphnPEo
「お兄ちゃん! 突然ですが問題です!」
「は?」
「口に毛の生えた棒を出し入れして、最後に白い液体を吐き出すのってなーんだ?」
「ちょ、おま、それって」
「ヒント! 私は今朝お兄ちゃんが寝ている間にシちゃいました!」
「おいいいいいい!?」
「さあ、答えは!」
「お前……まさかとは思うけど……フェ、フェラt」
「ぶっぶー時間切れ! 答えは『歯磨き』でしたー!」
「……え? あ、ああ~そうか……」
「ん~? ちなみにお兄ちゃんはなんて答えようとしてたのかな? かな?」
「な、何でもないっ! ちょ、トイレ行くからっ!」
「こらー! 逃げるなお兄ちゃ~ん!」


inトイレ
「俺のチ○コから歯磨き粉の匂い……だと……」

221:名無しさん@ピンキー
10/09/30 15:02:22 5C0g+yRF
つまり兄のチンコに歯磨き粉を塗って歯磨きしたと。変な病気になりそうw

222:名無しさん@ピンキー
10/09/30 16:53:42 s/4TP2MB
その質問、妹だとかわいらしいけど姉だとうざいことこの上ないなあ

ウザ姉ってキモ姉と同カテゴリーでいいんだろうか

223:名無しさん@ピンキー
10/09/30 16:59:21 e0JWRkeV
妨害3分で終わり吹いた

224:名無しさん@ピンキー
10/09/30 17:00:01 e0JWRkeV
誤爆です。失礼・・・

225:名無しさん@ピンキー
10/09/30 18:09:35 H+EUadpJ
○月×日
彼女が俺の家に遊びに来た。殺気立った妹が邪魔をしようと襲いかかってきたが3分で鎮圧完了
折角の時間を無駄に使わせないでいただきたい

226:名無しさん@ピンキー
10/09/30 18:46:16 RPrtM//t
兄は妹を制圧できる。
妹は泥棒猫を××できる。
泥棒猫は何もできない。

素晴らしい3すくみじゃないか!

227:名無しさん@ピンキー
10/09/30 23:10:53 yW0hrxAx
三竦みになってないw

228:名無しさん@ピンキー
10/10/01 04:13:09 /wrVMC5R
泥棒猫は兄を言いなりにできるからやっぱり三すくみなんじゃない?

229:名無しさん@ピンキー
10/10/01 07:59:26 Onp1DbwS
妹がいる以上、それは不可能だな

230:名無しさん@ピンキー
10/10/01 12:50:43 0Hmen/Su
しかしある種の妹はそれができない場合もあるんじゃないか

231:名無しさん@ピンキー
10/10/01 16:56:21 kA5rtCcz
>>229を見てなんとなく、
妹「兄さんがいる限り、私は何度で蘇る!トウァ!」
という電波を受信した。

232:名無しさん@ピンキー
10/10/01 17:17:16 5gzBHfg8
泥棒猫は兄を誘惑できる、かな

233:名無しさん@ピンキー
10/10/01 19:11:37 OpRrpLeu
毎回泥棒猫に撃退されるキモウト

234:名無しさん@ピンキー
10/10/01 19:41:16 g4WZ9uhO
次やったらこのことをお兄さんにばらすわよと脅されるキモウト

235:名無しさん@ピンキー
10/10/01 20:38:18 Onp1DbwS
泥棒猫に弱みを握られ脅されている、ということを兄にチクる妹

236:幸せな2人の話 7
10/10/01 21:13:56 TrkRZWJm
今晩は。
表題について投下いたします。

237:幸せな2人の話 7
10/10/01 21:16:11 TrkRZWJm
あの日、家に帰ってきたお兄ちゃんに、ぎゅうって抱きしめられた。
私は混乱した。
訳が分からなくて、暖かくて、お兄ちゃんの匂いがして、嬉し過ぎて。
あの時、私には何を考えて、思えば良いのか分からなかった。
今になると全部夢だったんのじゃないかとも思う、でもあの時のお兄ちゃんは間違いなく本物。
あの日からお兄ちゃんは変わった。
お兄ちゃんはいつも私の側に居てくれた。
けれど、お兄ちゃんはどこか一定のところまでしか私の側に来てくれない。
私はお兄ちゃんにもっと近くに居て欲しいのに、そんな事を思う瞬間があった。
多分それがお兄ちゃんの家族に対する間合いだったのだと思う。
私はその距離を縮めたいといつも思っていたのに、踏み出す勇気が無くていつもお兄ちゃんに近づけなかった。
だから、お兄ちゃんが近いのに遠かった。
でもあの日からのお兄ちゃんと私の距離はとても近い。
それは比喩だけではなく、実際の意味でもそう。
この前、ちょっとだけ私は勇気を出した。
勇気を出して、座っていたお兄ちゃんの横に座って擦り付けるようにお兄ちゃんにくっついた。
それから、お兄ちゃんにこうして居たいってお願いした。
そうしたらお兄ちゃんは笑いながら私にそっと寄り添うようにして体を預けててくれた。
その時のお兄ちゃんの重さが心地よかった。
そうやって、少しずつ勇気を出してお兄ちゃんに私は触れるようになった。
その度にお兄ちゃんが近付いていく気がして、嬉しくなる。

238:幸せな2人の話 7
10/10/01 21:17:54 TrkRZWJm
私とお兄ちゃんは一緒にテレビを見ている。
私はお兄ちゃんの前に座っていてお兄ちゃんの手が私の前に回されている。
お兄ちゃんと体がくっついている背中が少し暑い。
でも、それが暖かくてとても気持ちいい。
テレビに写る雄のライオンがごろごろと喉を鳴らして寝転がっていた、かわいい。
私はちょっとだけライオンに対抗してお兄ちゃんの胸に頭を擦り付けてみる、ごろごろ。
お兄ちゃんは笑いながら私の頭を撫でてくれた。
「姉さん、どうしてさっきから私の事を見ているの?」
「べぇっつにぃ~。
 シルフちゃんはいつもお姉ちゃんが抱きついても嫌がるのに、
 兄さんだと嬉しそうに頭をすりすりするんだな~って思っただけだよ~?」
向かいに座っている姉さんはそっぽを向いたまま、拗ねた様子で私に言った。
「す、すりすりなんてしてないよ」
思わず声が裏返る。
「ふ~ん、それに最近のシルフちゃんって何だかお兄ちゃんにべたべただよね~?」
今度はジト目で睨みつけられる。
「こ、恋人だから、変じゃないの」
「はいはい、そこまでそこまで。
 ったく、シルフをからかうんじゃないぞ」
「あ~、兄さんまで敵に回るんだ。
 いいよ、いいよ、私はベットの上で一人寂しく慰めるもん。
 シルフちゃ~ん、シルフちゃ~んって切なく喘ぎながら」
それだけは本当に止めて欲しい。
「やめんか、年頃の娘さんが喘ぐとか言うな」
「くすくす、勿論冗談だよ。
 私はシルフちゃんじゃなくていつも……」
姉さんがくすり、と笑って私の方に顔を向ける、でもその視線は私ではなくもっと上に向けられている。
私を抱いているお兄ちゃんの腕の力が強まった気がした。
「ふふ、それもただの冗談、だよ。
 さ、邪魔者はお風呂にでも入りますか~。
 い~い? 二人もいつまでもそうしてないでちゃんとお風呂に入らなきゃダメなんだからね?」
そう注意してから、姉さんは部屋から出て行った。
その後で、お兄ちゃんがほっと溜息を吐いた。
「ったく、雪風の奴。
 シルフも偶には雪風にやり返してやっても良いんだぞ?」
「うん、頑張る」
そう答えながら、私はまたお兄ちゃんに体を預けた。
こうやっているととても安心できる。
「なあ、シルフ」
「何、お兄ちゃん?」
私は体をずらしてお兄ちゃんの方を向いた。
お兄ちゃんはなんだか考え事をしているような様子だった。
「明日は暇か?」
「え、うん」
「それだったら、明日デートしないか?」

239:幸せな2人の話 7
10/10/01 21:18:44 TrkRZWJm
お兄ちゃんの言っている言葉の意味が分かるのに分からなかった。
デート、ってあの恋人同士がするお出かけの事だと思う。
でも私はお兄ちゃんに片思いしてるだけで、ずっと恋人になれなくて。
あれ、でも今は期間限定で恋人だから、ええっと……。
「嫌だったら別に良いんだ。
 なんていうかな、俺達も一応、恋人同士って事なんだしな。
 偶にはそれらしい事とかしてみないかな、と思うんだが」
今までお兄ちゃんが自分から恋人なんて言ってくれることは無かった。
じゃあ、お兄ちゃんも今は私の事を恋人って思ってくれている事なのかな。
お兄ちゃんの恋人、そう考えるだけで心臓が鳴って、息が乱れる。
「嫌じゃない!!
 する、私もお兄ちゃんとデート、したい」
胸の高鳴りを抑えて、必死に言葉を返した。
「なら、例えば行きたい所とかあるか?」
「ライオン、私、ライオンが見たい」
とっさに画面を見て答える。
ライオンがわふっ、って大きなあくびをしていた。
何だか馬鹿にされた気分。
「ライオンかぁ。
 くす、お前は本当に動物が好きだな」
兄さんがわしゃわしゃと私の頭を撫でる、顔が火照る。
「じゃあ、しっかりと探さないとな、ライオンのたくさん居る動物園」
「うん、楽しみにしてる」
立ち上がる前に、お兄ちゃんがぎゅっと力を込めて私を抱いてくれた。
それは、きっと家族にする物とは違う抱擁。
体中が暖かくて、ふわふわとした。

ぼんやりとした頭で考える。
やっぱりお兄ちゃんは変わったと思う。
私はお兄ちゃんの妹になってから今日まで幸せだった。
けれど、今日の幸せが明日も続いてくれるだろうかといつも不安だった。
でも、きっと明日の私は今日の私よりももっと幸せになれる、そう信じられる。
そんな嬉しい事があるなんて、私は思っていなかった。

240:幸せな2人の話 7
10/10/01 21:19:35 TrkRZWJm
**************************************

私は一人で廃墟に居た、壁が丸い建物でドーム上の天井には骨組みしか残っていない。
天井がかつてあった所からたくさんの星が覗いている。
ここは今日の朝お兄ちゃんが秘密の場所だよと言って連れてきてくれた所だ。
その時に元々は小さな劇場だったと教えてもらった。
そこを教えてもらったのがとても嬉しかった。
嬉しかったから姉さんに言った、すると姉さんはとても怒って私にとても嫌な事を言った。
その嫌な事を言うのを何回お願いしても止めてくれなかった。
だから私は姉さんを叩いた、それをお兄ちゃんに見られた。
きっと今までと一緒だと思った、誰かを叩くと追い出される、いつもの事だ。
でも、今は嫌だった。
折角お兄ちゃんに出会えたのに。
お兄ちゃんは何処にも居なくならないって約束してくれたのに。
だから逃げた。
けれど逃げたところで行く当てもなく、結局ここに居る。
誰かの足音がする、お兄ちゃんがいた。
私はまた逃げようとして薄いガラス張りのドアを開けようとした。
でも、古びた金具が壊れてそれが私の方へ倒れてくる。
きっとガラスが砕けて私はずたずたになる、もう、それでもいいやと思って目を閉じた。
じゃりじゃりとガラスの降る音、でも私は痛くなかった。
代わりに、お兄ちゃんの呻き声が聞こえた。
私はお兄ちゃんに押しのけられていて、お兄ちゃんの背中がずたずたになっていた。
訳が分からなかった、どうして私なんか守ったのって聞いた。
お兄ちゃんは呻きながら笑った。
だってシルフは家族だから一緒にいないと駄目だろうって笑った。
私は泣いた、泣きながらお兄ちゃんを抱きしめた。
私はやっと居場所を見つけ直せた。
私はここに居て良いんだ。

夢を見た、決して楽しい夢ではないけど私にとって大切な夢。
「私は、ここに居て良い。
 だって、お兄ちゃんが言ってくれたんだもの」
そう呟いた。

241:幸せな2人の話 7
10/10/01 21:20:45 TrkRZWJm
**************************************

今日は朝からずっと騒がしかった。
姉さんがお兄ちゃん好みの服装を選ぶといって私を着せ替え人形にして。
その後はずっと姉さんにお化粧を手伝ってもらって。
鞄に入れてた凍った麦茶を取り上げられて。
それから麦茶と入れ替わりに昨日コンビニで買ってきたというものをこっそり入れようとした姉さんを追い出して。
……あれ? 姉さんのほうが張り切っているような気がするのだけど。

そんなごたごたが一段落してからやっと私達は出発できた。
今、私とお兄ちゃんは動物園のライオンのスペースに来ている。
立派なたてがみのライオンが大きなあくびをする。
暑さのせいなのか、とてもやる気がなさそうにずっとごろごろしている、やっぱりかわいい。
「お兄ちゃん!! ほら、あくびしてる!!」
「あ、ああ。そうだな、オスのライオンって基本的に暇そうだよな……」
「? お兄ちゃん、どうしたの?」
今日のお兄ちゃんはなんとなくぼおっとしているような気がする。
「いや、本当にシルフはライオンが好きなんだなって思ってな。
 好きか、ライオン?」
「うん、大好き!!
 ふわふわしてて、大きくて、ごろごろしててかわいいから。
 あの子なんか家で飼いたいなって思う」
そう言って、私は隅っこの日陰でごろごろしている少し毛の白い子を指差した。
居間であの子がやっぱりごろごろしながらあくびをする所を想像する、すごく良い。
「ああ、そうだな、そりゃ無理だな……、
 ありゃアンゴラライオンといって輸入こそ禁止されていないがワシントン条約で取引が規制されているな。
 さらに、輸入した後に特定動物飼育の許可を都道府県知事から取らなくちゃならない。
 許可を取るためには施設規模、施設管理、動物管理の要件を満たす必要があって、基本的には動物園クラスの施設でなければ無理だ。
 ついでにあのライオンが一日に6kgの生肉を食べるとして、月のえさ代が大体60万円だな。
 何より一番の問題は、居間でごろごろされると掃除の邪魔になって雪風がライオンさんにブチ切れる可能性が……、」
お兄ちゃんがライオンをぼんやりと見ながら、教科書を読み上げるようにぼんやりと喋る。
「お兄ちゃん……、姉さんが許してくれない事ぐらい私にだって分かるよ。
 でも私、お兄ちゃんって夢が無いと思う」
「え、あ、そうだよな、分かって言ってるんだよな。
 ごめんなシルフ、夢を台無しにするようなこと言っちまって」
私の言葉にはっとしたようにこちらを向いて、お兄ちゃんが謝った。
今日のお兄ちゃんはちょっと変だと思う。

242:幸せな2人の話 7
10/10/01 21:21:07 TrkRZWJm
「えっと、ううん、私こそごめんね、お兄ちゃん。 
 私、ずっとライオンを見てたから退屈だったでしょ?」
「いや、動物ってのは何をするか分からないから俺も見てて結構楽しいぞ。
 それに、今日はデートなんだからシルフが楽しんでくれて何よりだよ」
そう言ってお兄ちゃんが笑う。
その笑顔とデートって言葉に顔が熱くなる。
「そうだな、ライオンは飼えないとしてもあれはどうだ?」
兄さんは近くにあった露店に向かって歩く、私も付いていく。
そして一番大きいライオンのぬいぐるみをひょこっと持ち上げる。
たてがみがふわふわしてて、顔が寛いだ顔をしてて、すごくかわいい。
「まあ、シルフぐらいの歳でぬいぐるみってのは無いかな?」
「そんな事無い、欲しい」
「そうか、なら」
そう言ってお兄ちゃんが店員さんにお金を手渡してぬいぐるみを受け取る。
そして、ライオンの入った大きな袋を私に手渡してくれた。
「ほれ、大切にしてくれよ?」
「うん!! 大事にする、ベッドに置いて一緒に寝る!! 
 ねえ、お兄ちゃん……」
「ん、なんだ?」
「ありがとう!!」
とても嬉しかったのでつい大きな声で言ってしまった。
お兄ちゃんはそんな私をびっくりした様子で見ていた。
「……?
 どうしたの?」
「いや、どうもしてないぞ?
 それよりも喜んでくれて嬉しいよ、本当に」
そしてお兄ちゃんが何かを誤魔化す様に笑った。
うん、やっぱり今日のお兄ちゃんは変だ。


243:幸せな2人の話 7
10/10/01 21:21:32 TrkRZWJm
*************************************************

動物園を出た後に私達は雑貨店を巡って、映画を見て、食事をした。
もちろん、ライオンさんも一緒。
私にとって間違いなく人生最高の一日だった。
いや、ひょっとしたら生涯最高の一日なのかもしれない。
きっと、お兄ちゃんとのたった三ヶ月の関係はそのまま終わってしまうのだから。
こんなにお兄ちゃんに近づけたのにまた私達は仲の良い兄妹に戻らないといけないのかな?
そんな事を思ってしまうと、こんなに楽しいのに気持ちが沈んでくる。
嫌だな、そんなの。
「シルフは今日のデート、楽しかったか?」
帰りの列車の中でお兄ちゃんが私に尋ねた。
夕日に染まる車内はガラガラで私達しか居ない。
「うん、凄く楽しかった」
「じゃあ、どうしてそんなに寂しそうな顔をしてるんだ?」
「うん、あと少ししたらもうお兄ちゃんの恋人じゃなくなっちゃうのかな、って思って……」
「それが寂しかったのか?」
「うん」
それから私達は黙って椅子に座っていた。
列車は私達が出会った時に住んでいた街の手前まで差し掛かる。
次は×××駅と懐かしい駅名が告げられる、その車内放送が流れた時にお兄ちゃんが言った。
「ここで一緒に降りてくれないか?
 どうしてもシルフと行きたい所があるんだ」
本当は、そこに行かないで終わりにするつもりだったんだけど、と付け足して。
いつもからは想像もつかないくらいにお兄ちゃんの顔は固かった。
「うん、私はお兄ちゃんとならどこにでも行くよ」
ぎゅっ、とお兄ちゃんが無言で私の手を握る。
そして私達は手を繋いだまま駅のホームへ降りた。
お兄ちゃんの手は柔らくて暖かかった。

244:幸せな2人の話 7
10/10/01 21:23:17 TrkRZWJm
以上です。
分量的には一応もう終盤に入っているのかなと思います。
最後まで読んでいただければ嬉しく感じます。
次回もよろしくお願い致します。


245:名無しさん@ピンキー
10/10/02 02:08:11 Q8olzIQe
>>244
乙! もう終盤…だと!?
もう少しだけほんわかとした話を読みたかっただけに惜しいな
雪風の企みにwktkしつつ次回も楽しみにしております

246:名無しさん@ピンキー
10/10/02 04:26:29 ZIfomV0q
GJ
シルフには幸せになってほしい、本当に

247:『きっと、壊れてる』第8話
10/10/02 17:55:51 SZbvIUdd
こんばんは。日が落ちるのが早くなってきましたね。
『きっと、壊れてる』第8話投下します。
注意:エロなし

248:『きっと、壊れてる』第8話(1/8)
10/10/02 17:56:58 SZbvIUdd
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独白。
そういう言い方をすれば、まだ聞こえは良い。
実際に私は心の中で一人で喋っているし、今の所この胸中を誰かに打ち明ける気はない。
兄さんの所有権をめぐり、侃侃諤諤の議論ができれば、どんなに楽になれることだろうか。

玉置美佐。
兄さんの恋人。
4,5年前だったか、前にも一度兄さんにちょっかいを出してきた事があった。
その時は怪文書1枚でおとなしく引き下がった。
しかし、どういう因果か、兄さんと再会し再び付き合う様になった女。

あの人はどう思っているのかは知る由もないけど、私はある程度玉置美佐を認めている。
普通の女だったら、妹と如何わしい関係を持っている可能性がある男など、
二度と関わりたくない、と思うのが正常な思考回路だろう。

それにも関わらず、玉置美佐は今一度兄さんとの関係を築き、共に人生を歩んで行こうとしているらしい。
賞賛に値すると私は考えている。

玉置美佐は、兄さんの優しさや愛らしさ、儚さをしっかりと理解しているのだ。

いわば私達は同志。
もし、私に息子ができたら、ああいう物事の奥を見通せる女性にこそ、お嫁に来てほしいと思う。

しかし残念な事に、私はこのまま兄さんを渡すつもりは更々ない。
やっとここまで来たのだ。
鏡花水月な兄さんの存在が欲しくて。
我慢して、我慢して、やっとここまで辿り着いたのだ。

あのヘラヘラした男の報告で、玉置美佐も今度は本気である事がわかった。
悲しいかな、私は玉置美佐に正式に兄さんとの別れを打診しなければならないようだ。
道端で拾ったあの男を使って。
なるべく証拠が残る様な事はしたくなかったのだが、仕方ない。

が、今はまだその時ではないと私は判断した。
私にはもう少し時間が必要だからだ。

機が熟した時、私と玉置美佐の聖戦を始めよう。

・・・あの人はもう枯れた。
きっと、動かない。
邪魔は入らない、玉置美佐と十分に雌雄を決する事にしよう。

・・・世の中には、残念ながら不必要な物があるのだ。

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249:『きっと、壊れてる』第8話(2/8)
10/10/02 17:57:34 SZbvIUdd
「お茶を頂けますか?・・・どうも」
茜はCAから温かいお茶を受け取り一口読むと、各座席に付与されているイヤホンを耳に着け、
持参した文庫本に目を通し始めた。
日本史上、最大の熊害(ゆうがい)である三毛別羆事件を題材とした『熊嵐』というドキュメンタリー小説だった。
横目でそれを見た浩介は、なんでこのタイミングで、と思ったが、
茜に話しかけると、浩介の肩にもたれ掛かって眠っている楓を起こしてしまいそうなので、見なかった事にした。

「・・すぴぃ」
楓は気持ち良さそうに眠っている。
昨夜も遅くまで勉強していたのだろうか、夜型なのは相変わらずのようだ。
浩介は楓に掛かっている毛布を掛け直すと、自分の座席のすぐ右側にある窓の外へ目を移した。
綿飴のような白く大きい雲が眼下に広がっている。
そのフワフワとしていそうな形状は、大人になった今でも「あそこで寝てみたい」と思わせるには十分だった。

朝の8時。
茜と楓、そして浩介は飛行機に搭乗し、空の旅を楽しんでいた。

「兄妹3人、再会を祝してどこかへ出掛けよう」

楓が1週間と少し前の夕食時に提案した事だった。
8月も中旬に入り、浩介は来週から土,日を合わせて9日間のお盆休みを取る事になっていた。
茜も急ぎの仕事はないらしく、楓も予備校の夏期講習の休みが4日間あるらしい。

急な話だった。
浩介は迷ったので、「予約が取れたら連れていくよ」と言った。
まずホテルの予約がこんなに急に取れないだろうと思っていたからだ。
しかし、最近の不景気で旅行者が少ないのか、ホテルと飛行機の搭乗券のパックが余っていたらしく、
あっさりと予約が取れてしまったのだ。
夏のボーナスが削られるのは痛かったが、約束した事を撤回するわけにもいかず、
茜と楓を引き連れて、2泊3日の北海道旅行へ出掛ける事になった。

先日浩介が美佐に、旅行に行く事と、『楓』というもう一人の妹がいて、現在家に居候している旨を伝えると、
「そんな設定聞いてない」と、美佐はもう一人の妹の存在に目を丸くして驚いた。
そして、「私も一緒に付いて行く!」と言い出し、同僚に休みを入れ替えてもらえるように連絡していたが、
代わりは見つからなかったようだ。
「1日2回、朝と夜に必ず定時連絡をするように!」
そう捨てゼリフを吐き、悔しそうな表情を見せた美佐を思い出た浩介は、誰にも気付かれないように苦笑いをした。

飛行機の中というのは、快適なようで、する事があまりない。
眠気がない浩介は、茜のように本を持ってくれば良かった、と後悔した。

浩介は楓を挟んで通路側の座席に座っている茜を見た。
本を読んでいる茜の長いまつ毛がピクリピクリと早いリズムで動いている。
浩介は笑いを堪えた。
滅多に見せる事はないが、昔から変わらない。
何かを楽しみにしている時に見せる、浩介だけが知っている茜のクセだった。

茜と二人で暮らしていた時は、旅行など行かなかった事を、浩介は思い出した。
学生の頃は慣れない生活に加え、勉学や生活費を捻出する為のアルバイトがあった。
社会人になってからも、日々情報技術のスキルアップを求め、休日も自宅で勉強する事が多かった浩介は、
こうして家事を仕切ってくれている茜に還元する事など無かったのだ。

茜への慰安旅行としても行く事にして良かった。
浩介は再度、窓の外に目をやった。

そして、近いうちに今度は両親も含め、家族全員を旅行に連れて行こう。

どこまで続いているのかわからない青い空を眺め、浩介はそう心に決めた。

250:『きっと、壊れてる』第8話(3/8)
10/10/02 17:58:09 SZbvIUdd
9時半過ぎ、新千歳空港に着いた浩介達はまずレンタカーを借りる事にした。
北海道は広く、効率よく各所を回るためには車が必須の為だ。
シルバーのセダン車を選んだ。
ペーパードライバーの浩介はできれば運転は避けたかったが、
他に運転免許を持っている人間がいないため、我慢して運転席に乗り込んだ。

3人を乗せた車は、北海道の長い道を走る事になる。

とりあえず、3人無事に東京へ帰れる事が最優先。

気合を入れた浩介は、アクセルペダルを踏んだ。

・・・
・・


「えーっと・・初日何処行くんだっけ?」

旅行ガイドブックを片手に助手席に乗り込んだ楓が、運転席の浩介と、後部座席に座っている茜を交互に見た。
「初日は旭山動物園に行って、旭川のホテル」
浩介を運転に集中させたかったのか、茜がいち早く口を開いた。
旭山動物園は茜が希望した場所だ。動物好きな茜らしい、と浩介は思った。
「2日目は?」
「旭川から富良野に行ってラベンダー畑、夜には札幌よ。最終日は小樽に行って夕方には新千歳まで戻ってくるわ」
「さすがおねーちゃん!暗記してるの?」
「暗記っていうか、みんなで決めたじゃない」
「とりあえず、いくら丼は絶対食べたいな」
「昨日はジンギスカンって言ってなかった?」
「うん!ジンギスカンも絶対食べる」
「蟹は?」
「もちろん!!えへへ、楓はおいしい物食べられればそれでいいや」
「もう、滅多に来れないんだからちゃんと観光もするのよ?」
「はーい」
「はははっ楓は昔から食いしん坊だったもんなぁ」
二人の話を聞いていた浩介は、思わず笑った。
「失礼だなぁ。楓はよく食べるけど、スタイル最高に良いよ?ボン・キュッ・ボンってやつ?」
「へぇ・・・」
浩介は「見た目は細いのにそうなのか?」と言いかけたが、後部座席に座っている人の事を考え、軽く流す事にした。
茜は女性としては背も高く、スレンダーでスタイルは良いと言えるのだが、やはり比較的一つ目のボンの部分が小さいからだ。

「・・・懐かしい言葉ね。最近聞かないわ」
「・・・ははは、そうだな。でも函館も行きたかったなぁ」
やはり少し不機嫌そうな茜に気を使い、浩介は話題を変える事にした。
函館は日程的に回りきる事ができなさそうだったので、断念した場所だった。
「あっ楓、オルゴール館は行きたかったなぁ」
「あぁ確かに雰囲気良さそうだなあそこは」
「でしょ?オルゴールの奏でる音色がちょ~ロマンティック!!あっこの前友達がね・・・」
茜は今時の女子高生らしい言葉遣いで、オルゴールの音色の良さからいつの間にか友達の恋愛話を熱弁した。
茜と容姿がそっくりなため、とても違和感があるな、と浩介は思った。
そして、美佐と楓を会わせたらとてつもなく五月蠅くなりそうだ、と苦笑いした。

「あ~なんか話してたら本当に行きたくなってきちゃった。どうしても無理なんだっけ?函館」
「う~ん・・ちょっと無理だなぁ。削るとしたら今日のあさひや・・」

「動物園は駄目よ?」

「・・・また今度な」
「・・・うん」
茜の一言で、気持ちが盛り上がっていた浩介と楓は、一瞬で黙らざるを得なくなった。
本気で怒りそうな茜の気配を、しばらく離れていてもしっかりと覚えていた楓に感謝をしつつ、浩介は運転に集中した。

251:『きっと、壊れてる』第8話(4/8)
10/10/02 17:58:54 SZbvIUdd
旭山動物園は行動展示と言われる、動物の生活や習性を来園者に見せる展示方法をいち早く取り入れ、有名になった動物園だ。
近年では北海道の代表的な観光地として、海外からも数多くの観光客が訪れているらしい。
浩介達は受付で入園チケットを購入し、園内に入った。

近年、北海道といえど夏場は30度を超える日もめずらしくなく、この日は最高気温32度の予報だった。
ふと、浩介は楓の格好が目に入った。
いかにも夏らしいTシャツにホットパンツ姿の楓は、健康的な美を振り撒いていて、
可愛らしいとは思った浩介だったが、ここは楓の貞操観念の欠落を危惧して、
注意しておかなければいけないと思っていたところだった。

「しかし・・・楓、その格好もう少しなんとかならなかったのか?」
「え?変?」
「茜、足出し過ぎじゃないのか?これ」
浩介は茜に同意を求めようと話を振った。
「兄さん、今の若い子はこれが普通よ」
そう言った茜は、どこかのお嬢様のようなゆったりとした白いワンピースに、黒い日傘を差している。
茜は昔から、ゆったり目のロングワンピースのような服を好み、色も地味な物が多い。
茜と楓で比較すると、どうしても浩介には楓の格好が、露出し過ぎているように感じてしまっていた。
「そうだよ。お兄ちゃんオヤジくさい」
「オヤ・・・」
女性陣に反論され、浩介は何も言い返せなった。
もう自分の世代と考え方が違うのだ、そう割り切る事にした。

「ねぇ、どこから回るの?」
3人は、動物の絵が描かれている入口近くの園内地図の前まで来た。

「白熊よ」

茜は地図をチラッと見ると、スタスタと浩介と楓を置き去りにするかのような勢いで、歩き始めた。
どうやら、最初から回る順番は決めていて、場所を確認したかっただけらしい。
茜の歩くスピードに唖然とした浩介は、隣でヤレヤレといった表情で立っていた楓に向けて口を開いた。
「・・・なぁ、アイツはここまで動物好きだったのか?」
「えぇ!?やだお兄ちゃん、知らなかったの!? 昔なんて週末になると、しょっちゅう一人で動物園行ってたんだから」
「一人で!?」
博物館や美術館、それに映画館やカラオケは、一人で行く人間の存在を知っていたが、
動物園は聞いた事がないな、と浩介は思った。

「うん。あぁお兄ちゃん週末も部活でいつも遅かったから、知らなくても無理ないかも。お姉ちゃん夕飯までには帰ってくるし」
「そうだったのか」
「それでね、帰りにはブサイクな動物のぬいぐるみ買ってくるの、必ず」
「なるほど、その為にバイトしてたんだな」
楓の話を聞いた浩介は、茜が高校の頃コンビニで週に1度か2度アルバイトしていた事を思い出した。
そして、『いつもどこで買ってくるんだ』と思っていた茜の部屋に置いてある、
ぬいぐるみ達の出身地がようやく判明した事に、不思議な達成感を感じた。

「言われてみればそうかもね。お姉ちゃん、自分の物は極力自分で買ってたみたいだから」
「でも当時は焦ったよ、茜が接客業やるって言い出すから」
「確かに。でも高校生のバイトって接客業ぐらいしかないしねぇ。ちゃんとできてたのかな」
「一度心配で見に行った事があるんだけど、一応形にはなってたぞ。営業スマイルはなかったけど」
浩介はコンビニのレジを無表情でこなしている茜の姿を思い出し、楓に気付かれないように微笑んだ。

「・・・」
浩介は楓が何か思いつめた顔をしている事に気付いた。
「楓?」
「・・ん?あぁちょっと思い出しちゃって!昔の事」
楓はそう言うと、浩介の腕に突然手を絡ませてきた。
フワッと楓の香りが浩介の無防備な鼻に届く。
茜と同じ香り。
浩介はその懐かしい香りに、嫌気が差した。
もう自分の心は決まっているのに、この香りを嗅ぐと決意が弱まる気がしたからだった。

252:『きっと、壊れてる』第8話(5/8)
10/10/02 17:59:28 SZbvIUdd
「お、おい・・・どうした?」
「なんとなく・・もうこれからは素直に甘える事が出来なくなるかもしれないから」
「??・・・別に大人になろうが、一緒に住んでなかろうが楓は俺の妹だろ?」
「それはそうだけどね。女の子には色々あるのよ。おねーちゃんにもよく言われない?」
「そういえば、何回か言われた事があるな。・・・とりあえず恥ずかしいから離してくれよ」
「やだ~」
楓は腕を組んだまま、浩介を引きずるように歩きだした。
「おいっ楓」
浩介が楓を説得しようとすると、注意された反抗期の中学生のような顔をした楓が浩介に振り返った。

「いいじゃん、兄妹なんだし」
「兄妹だから恥ずかしいんだよ」

浩介の本心、それは『茜に見られたくない』だった。
もう普通の兄妹を築こうとしている最中なのに、「それはおかしい」と諭されるかもしれない。
それでも浩介は、美佐と腕を組んでいる姿すらも、できれば見せたくなかった。
まだ完全にフッきれていないのだな、と浩介はお腹の中がまだ消化し切れていないような気分になった。

「だめ~。白熊の所に着いたら解放してあげるから!」
しかし、浩介の意向は無視するかのように、楓は腕を離さなかった。
そこまで、浩介と腕を組みたいのだろうか、楓の顔は真剣だ。

不意にある想像が浩介の頭の中を走った。
急に二人の兄妹がいなくなり、これまでの数年間楓は寂しかったのかもしれない。
そう考えると、ここで断るのも不毛に終わりそうな気がしてくる。楓はおそらく甘えたいだけだ。

浩介は抵抗する力を弱めると、楓の頭を撫でた。
「えっ!?何?」
「・・・何でも。じゃあ熊の所までな」

浩介の急な心変わりに驚いたのか、楓は真面目な顔を崩さず、何かを考えている。
こうして真剣な顔をしていると、本当に茜とソックリだ、と浩介は思った。
浩介は楓を見ながら、後ろを振り向きもしないで、白熊の所へ急いで歩いている人物の事を考えた。
「・・うん!!じゃあ白熊までね!!」
楓は最後には嬉しそうな表情を見せ、浩介の腕に改めて抱きついた。
意外に力が強く、抱き枕にでもするかのように、きつく浩介の腕を抱いている。

車中で楓が言っていた事は本当かもしれないと浩介は思った。
浩介の腕に当たる女性特有の柔らかさは、茜や美佐よりも確実に勝っていた。

何くだらない事を考えているだ俺は。

浩介は雑念を振り払うかのように、歩きだした。
遠く前方を歩く茜を見る。様子は変わっていない。

周りを見渡す。やはり家族連れが多く、皆楽しそうに園内を歩いている。
自分達3人も、傍から見ればただの仲の良い家族に見えているだろうか、と浩介は思った。

そうでなくてはいけない。

浩介は密着して隣で楽しそうに歩く楓を見た。何も欲情は湧かない。
それは茜の異質さの再確認だった。

もう終わった事だ。考えるのはやめよう。

浩介は歩く速度を速めた。
茜に気付かれてしまったとしても、何も困る事などない、それが普通なんだ。

途中で楓に文句を言われるまで、浩介は、歩幅を大きくして歩いた。
結局、白熊のエリアに着くまで、茜がこちらを振り返る事はなかった。

253:『きっと、壊れてる』第8話(6/8)
10/10/02 17:59:57 SZbvIUdd
夕方になり、予約していた宿に到着した。
航空会社が経営している、市内でも比較的大きいホテルだ。
3人はフロントで受付を済ますと、エレベーターに乗り込んだ。
途中一緒に乗っていた中年の男性が降り、エレベーターの中が浩介達だけになると、
楓がガラス張りになっている後面に走った。
おそらく外が見渡せるようにガラス張りに設計されたのだろう。旭川の街並みが夕日と重なって美しく映っていた。

「すごいよ、おねーちゃん!見て!ちょ~綺麗!!」
「高い所は苦手」
楓が茜の手を引っ張ろうとすると、茜は逃げるように浩介の陰に隠れた。

「そうなのか?茜、高所恐怖症だったんだな」
浩介は意外そうに後ろを少し振り返り、茜の顔を見た。
割と真剣な顔をして、隠れている茜は本当に高い所が苦手なようだ。

「だって・・・落ちたらどうするのよ」
仕方ないじゃない、といった顔で口を尖らせる茜を見て、浩介は茜の数少ない弱点を発見した気がして微笑ましくなった。

「おねーちゃん、たまにボケるよねぇ」
「でも子供の頃は平気だったよな?」
これは間違いないだろうと浩介は思った。
遊園地で、高い所に上るアトラクションに乗っていたのを覚えていたからだ。

「そうね、鳥に憧れた時期もあったわ」

茜は旅行を満喫して気分が良いのか、めずらしく冗談を織り交ぜ、浩介の問いかけに答えた。

廊下を渡り自分達の部屋に入ると、値段の割に広々とした光景が目に入った。
シングルベッドが3つ並んでいる。
浩介の本音では、また茜を意識してしまうかもしれない自分が恐ろしく、できれば別々の部屋が良かった。
しかし楓がもし『何も知らなかった』場合、なぜ兄妹なのに別室にするのか、と不振に思いそうなので同室にしたのだ。

「楓は窓側~」
楓は入り口から一番遠いベッドまで小走りで駆け寄り、体を投げ出し大の字に寝転んだ。
「茜は?」
「私はどちらでもいいけど・・お金を出した人が真ん中に寝れば?」
そう言うと、茜は一番手前のベッドに腰掛け、荷物を整理し始めた。

茜の機嫌は特に悪くはなさそうだった。
昼間、楓と腕を組んで後ろを歩いていた時、いつ茜が振り向き、その視線が腕に向くのか、
浩介は実質脅えていたが、結局茜は白熊に夢中で気付かなかったようだ。

「ねぇお風呂行こうよ。汗かいちゃった」
いつの間にか起き上がっていた楓は入浴の支度をしていた。
旅行用のシャンプーやトリートメントが入っている小さなポーチを取り出し、同意を求めるかのように茜を見た。
「そうね、夕食までまだ少しあるし。兄さんはどうする?」
「俺はもう少ししたら行くよ。どうせ風呂は男の方が早いしな」
浩介は携帯電話を取り出すと、メールの作成画面を開いた。
美佐に連絡を取るためだった。

「そう、じゃあ楓、先に頂いてましょう」
「ねぇ、おねーちゃん。なんでお風呂も『頂く』って言うの?」
「ご馳走だからよ」
姉妹は他愛もない話をしながら、部屋を出ていった。
浩介はベッドに寝転がり、メールの文を考える。

う~ん、なんて書けばいいんだ。美佐はまだ仕事中だろうし・・。

浩介は普段あまり使わないメールの文章に悪戦苦闘したが、結局『お土産は何がいい?』という一文を送信する事にした。
3分と待たず帰ってきたメールの文章は『スイカ熊が欲しい』という、浩介には理解できない謎の文章だった。

254:『きっと、壊れてる』第8話(7/8)
10/10/02 18:00:46 SZbvIUdd
茜と楓が風呂に行ってから約1時間後、浩介は窓の外の旭川の街並みを眺めていた。
茜と楓が部屋を出てから10分後、浩介も大浴場に向かった。
部屋のキーの事もあり、あまり長湯はしているつもりはなかったが、
久しぶりに広い風呂に直面した浩介は、普段よりはゆっくり浸かったつもりだった。
それでも茜達よりかは出てくるのが早かったようで、安心していたところだ。

コンッコンッ

控えめなドアを叩く音に気付き、浩介がドアを開けると、そこには茜がいた。
まだ遠目から見ると楓との判別は付けにくかったが、この距離なら間違える事はない。

「遅かったな、あれ?茜だけか?」
少し身を乗り出して廊下を見ても、楓の姿はなかった。

「えぇ、ゲームをやってから戻るって」

茜は湯上り姿で、顔には赤みがさしており、濡れた髪からは普段よりも強く茜の香りがする。
スレンダーの身体に浴衣もよく映えていて、浩介は直視できずに目を背けた。
「ゲーム?」
「ほら、大浴場の近くに小さいゲームセンターみたいなのがあったじゃない」
「子供か・・あいつは」
楓は少し幼いような気がする。高校3年ならもう少し背伸びしようとしていてもいいのでは、と浩介は少し心配になった。

「フフッ体は成長したのにね」
茜はそう言いながら微笑むと、部屋の中に入り、自分のベッドに腰掛けた。
姉としては放っておいても大丈夫だと考えているのか、
確かにそこまで深刻な話でもないか、と浩介は深く考えない事にした。

「しかし・・良い所だな北海道は。食べ物もうまいし、なにより空気が綺麗だ」
浩介は窓の外を見ながら、ガラス越しに茜に語りかけた。
空は、そろそろ夜の帳が下りそうだった。

「えぇ、良い所。欲を言えば飛行機は避けたかったのだけど」
「??高所恐怖症は飛行機も怖いものなのか?」
素朴な疑問。
飛行機嫌いな人は聞いた事があったが、高所恐怖症とは結びつくものなのか、浩介にはよくわからなかった。
「えぇ、そうね。とても怖いわ」
「そっか、悪かったな。でも行く前に言ってくれれば良かったのに」
「ううん、気にしないで。今回は楓が主役だから」
「あぁ、そうだな」

・・・
・・

10分程度経っただろうか、茜と二人で静かな時間を過ごした。
最近は楓が居候しているので、久しぶりの静寂。
浩介にとって、長年変わらないこの茜と二人きりの静かな時間は、とても居心地が良かった。

ふと、浩介は文庫本を読んでいる茜に視線を移した。
透明なビンに入った白い液体を飲もうとしている。

「牛乳?」
「えぇ、さっき買ったのよ。お風呂出た所にあったでしょ?売店」
茜はそう言うと、コクコクと喉を鳴らし、ビンの約3分の1程の牛乳を飲み干した。
「なんでまた」
浩介は茜が牛乳を飲んでいる姿など見るのは、小学校の時以来だった。
嫌いなわけではないだろうが、買ってまで飲む物でもない。

「・・・もう少し、グラマラスになろうかと思って」
「?」

255:『きっと、壊れてる』第8話(8/8)
10/10/02 18:01:18 SZbvIUdd
「兄さんは、大きい方が好きみたいだから」

浩介は、自分の見通しの甘さに愕然とするしかなかった。
車中でこの話が出た時は、何も反応をしなかった自信があるし、実際に心の中でも何とも思っていなかった。
茜は、動物園で浩介が一瞬だけ見せた、隙ある心理状態の事を皮肉っていた。

気付いていた。
自分の後ろで楓と浩介が腕を組んで歩いていた事を。
しかし、それだけなら、歩く茜の前にガラスなどの反射する物があれば確認する事も不可能ではない。

浩介が一番驚いた事。それは茜の洞察力と注意力。
気付いていた。
浩介が、一瞬だけ楓と茜の身体を比較し、男性特有の感情を出した事を。

茜はベッドから立ちあがり、浩介の目の前まで来た。
浩介の頬に掌をそっと添えると、何かを確認するように浩介の目をじっと見つめた。

「フフッ冗談よ。そんなに脅えた顔しないで?」
そして、愛おしそうにゆっくりと頬を撫で、この世の物とは思えないほど美麗な微笑みを浮かべた。
浩介は何も言えず、ただ立ち竦んでいただけだった。

・・・
・・

茜はしばらく浩介の頬を撫でると、「牛乳だけで成果が上がるなら苦労しないわ」と呟き、寝る準備に戻っていった。
楓が部屋に戻ってきた後も、浩介は茫然としていた。
無理もないかもしれない。
浩介は考えてもみていなかった事だ。
しかし、茜の言動、なにより先程の目や仕草を加味すると、疑わざるを得なかった。

茜はまだ浩介を一人の男として認識している。

二人が兄妹に戻った日から、まだひと月経つか経たないかだ。
茜も割り切れていないだけだろうか。浩介はその可能性は低いと思った。
先程の目、茜の切れ長で作り物のように壮麗な目。
それは深く深く黒かった。
絶対的な自信。
それがあの目には宿っていた。

ベッドの中で浩介はふと、この間行った鎌倉での出来事を思い出した。

美佐もだった。
美佐もあの時、浩介の頬を愛おしそうに撫で、微笑みを浮かべていた。
茜も昔からやっている動作だ。

二人とも、同じ仕草で同じように微笑み、同じように浩介を愛でる。

根拠はない。
ただ、浩介は『宿命』と『運命』の存在を信じた。

第9話へ続く

256:『きっと、壊れてる』第8話
10/10/02 18:02:11 SZbvIUdd
以上です。ありがとうございました。

257:名無しさん@ピンキー
10/10/02 18:55:23 8gfOeqmR
GJ!
規制続きで全く書き込めなかったよ

258:名無しさん@ピンキー
10/10/02 19:05:29 DFBqiCt3
>>256
GJ
さて茜はどうでるか…

259:名無しさん@ピンキー
10/10/02 19:51:21 ZIfomV0q
GJ

260:名無しさん@ピンキー
10/10/02 23:29:06 Mt+EhlZy
>>256
GJです
ただ今のところ楓が普通なのがちょっと残念です。これからに期待というコトで次話が楽しみです

261:名無しさん@ピンキー
10/10/02 23:50:48 nl2z2TlL
>>256
GJ
おれには嵐の前の静けさにしか感じないぜ

262:名無しさん@ピンキー
10/10/02 23:59:43 x7MgKw5y
きっと壊れてるキター!
>>256GJ!
楓と茜が今後どうするのか楽しみ

263:名無しさん@ピンキー
10/10/03 08:15:06 XpN/OW5p


264:名無しさん@ピンキー
10/10/03 17:25:53 pjqdDjkh
いしてるよ、お兄ちゃん!

265:名無しさん@ピンキー
10/10/03 18:23:38 eW8LkS2O
ああ、あのブス?○したよ♪
いいことした後は気分がいいなあ
うん、待っててねお兄ちゃん
え?聞こえないよお兄ちゃん
お兄ちゃん、捕まえた♪くすくす

キモウト五十音表「あ」の段

266:名無しさん@ピンキー
10/10/03 20:26:37 hwSVEXEQ
>>265
続きに期待

267:名無しさん@ピンキー
10/10/04 03:42:17 HTTlQzTG
265じゃないけど

かまってほしいの、よその女より
きっと願いをかなえてみせる
くるしい胸の内は秘密なの
けっこんできなくても事実婚
こんなわたしでごめんねお兄ちゃん

268:名無しさん@ピンキー
10/10/04 03:57:33 Q6JO3z9y
>>267
IDが放課後ティータイムwww
そういや憂もキモウトの範疇にはいるのかな?

269:名無しさん@ピンキー
10/10/04 09:10:41 DTWv2LWS
IDが放課後ティータイムwww
そういや憂もキモウトの範疇にはいるのかな?

270:名無しさん@ピンキー
10/10/04 13:45:12 HTTlQzTG
およ本当だ
憂は、攻撃性を発揮することはないが、
毎晩おねえちゃんを想って幸せな気持ちになったりすごく悲しくなったり。
悶々として一睡もできないことがあっても、それを唯には一切悟らせない子だと思う。

271:名無しさん@ピンキー
10/10/04 21:50:33 +fbkAjxo
三番煎じ。長めの保守と思ってくれ。

さらってしまおう、あの牝豚から
しね! 兄さんは私のものだ!
すごい! 兄さんとするの、一人でするよりずっといい!
せっくすしよう。二人で濃い血の赤ちゃん、いっぱい作ろう。






そんな……。嘘、嘘でしょう? 目を開けて兄さん!

272:名無しさん@ピンキー
10/10/05 00:23:56 mAH4iBiS
たりないの、もう妹ってだけじゃ
ちは水よりも濃いのよ? だから私と引き合うのは当然よね。
つきあってる子がいる? いいえ、もういないわ。
てんごくよ、今頃はね。
ともだちもいっぱいいるからきっと寂しくないよ、あははははは

273:名無しさん@ピンキー
10/10/05 23:17:10 RgTq9g7x
兄「何してるんだ妹!やめろ!!」
妹「兄さんは私を嫁」
  ぬぷぷ……
兄「ね、姉さんっ!助けてくれ!!」
姉「NO。妹ちゃん、次は私の番ね」

274:名無しさん@ピンキー
10/10/06 00:57:28 TXC63d+Q
>妹「兄さんは私を嫁」

意味わからないが「言葉」でなく「心」で理解できたッ!

275:名無しさん@ピンキー
10/10/06 01:26:13 yvAF/CBj
投下いきます

276:キモガールズトーク
10/10/06 01:27:23 yvAF/CBj
「好きな人とかいないの?」
 暗闇の中、ドアの隙間から漏れる光を眺めていたら、突然、質問された。
 私が寝返りをうつと、ニヤニヤといやらしい笑みを浮かべた友人の顔が、私に迫る。
 仮に、彼女の名前をAさんとしておこう。
「ねえ、いないの?」
 Aさんは、ずりずりとこちらに体を寄せて、再度問う。
 その小さい体で、布団ごと移動してくるなんて、無駄なところで器用な娘だ。
「私も気になるな。匡子(きょうこ)のそういう話は、聞いたことがないから」
 今度は、足元から私の名前を呼ぶ声がする。
 仮に、Bさんと呼ぶことにしよう。
 Aさんと同じように、Bさんもにやけた顔で私に這いよる。
 ちょっと二人とも、なんか怖いんだけど。
 思わず後ずさる私の足を、Bさんの長い手が捕まえた。
 そのまま、四つの布団の真ん中まで引きずられる。
 ちょっと、やめて、と制止する私の声を無視して、ケラケラと笑うBさん。
「先生が来てしまいますよ」
 それを止めたのは、浴衣の乱れ一つなく寝ていたはずの、Cさんだった。
 どうやら、私達の声で目を覚ましてしまったらしい。
 ごめんね、と口々に謝る私達に、「お気になさらず」とあくまで上品に微笑むCさん。
「私も気になります。匡子さんの好きな方のこと」
 Cさんまでも、こんな事を言い出す始末だ。
 明日は、丸一日、自由行動で名所を巡るのだから、早く寝た方が良いんじゃないの、
と言っても、三人の友人は、一向に諦める気配を見せない。
「いいじゃん、なんなら協力するし」
「水臭いな、友達だろう?」
「ドキドキしますね」
 私だけが置いてけぼりだ。
 確かに、このテの話は、修学旅行の夜の定番である。
 しかし、困ったことに、現在、私には特に意中の人がいるわけでもなく、
もっと言えば、生まれてこの方、恋愛というものをしたことがない。
 正直に白状すると、三人は、信じられない、という顔をした。
「ちょっと気になる、でもいいんだよ? 何となく目で追ってる、とか」
 Aさんの問いにも、首を左右に振ることしかできない。
「まさか、女に興味がある、とか言わないよな?」
 勢いよく首を振って、Bさんの疑いを晴らす。
「匡子さん、どんなに頑張っても、二次元には行けないんですよ?」
 Cさんから、とんでもない言葉が飛び出した。

277:キモガールズトーク
10/10/06 01:29:44 yvAF/CBj
 改めて考えてみても、私の頭には「気になる男性」が、浮かばない。
 今度は、私が三人に質問してみることにした。
 あなた達は、今、好きな人はいないの。
 あはは、ふふん、うふふ、と三者三様の忍び笑いが返ってくる。
 まずは、Aさんが語りだした。
 それは、私にとって想像を絶するものであり、彼女のことをよく知らないうちに、
その話を聞いていたら、私は間違いなく友人にはならなかったであろう、
と思わせる内容だった。
 なんと、Aさんの好きな人は、彼女のお兄さんだという。
 全てを聞いていたら、夜が明けてしまう。
 Aさんの話を三十分ほど聞いて、そう判断した私は、特に印象に残っている
エピソードを聞かせてもらうことにした。

 Aさんのお兄さんは、つい先日、誕生日を迎え、世間一般で言うところの成人となった。
 Aさんとは四つ違いで、妹を非常に可愛がってくれる兄なのだそうだ。
 ご両親が苦笑気味に、あの子は、いわゆる「しすこん」ね、と言うくらいだから、
本当に溺愛しているのだろう。
 当然、Aさんもお兄さんが大好きで、彼女は、自分たちは、ずっとこのまま、
仲良しでいられると思っていた。
 しかし、その未来予想図は、唐突に切り刻まれた。
「会ってほしい人がいるんだ」
 ある晩、家族団らんの席で、お兄さんは言いだした。
 ご両親が驚いたのは勿論だが、何よりも、衝撃を受けたのは、Aさんだった。
 付き合っている女性がいる。
 その人との結婚を考えている。
 相手も同意してくれている。
 お兄さんが口を開くたびに飛び出してくる、信じられない、信じたくない言葉の数々。
 Aさんは、突然、猛烈な吐き気に襲われ、胃の中の夕食を全て床にぶちまけた後、
気を失ってしまった。
 過度のストレスが原因だった。
 それから、Aさんは部屋にこもり、たとえ、それが大好きなお兄さんであっても、
部屋にいれようとはしなかった。
 一週間後、Aさんは部屋から顔を出した。
 葛藤につぐ葛藤を乗り越え、久しぶりに目に入れた外界は何もかもが輝いて見えた、という。
 気持ちは、もう決まっていた。

「それで、私はお兄ちゃんをレイプしたの」
 耳がおかしくなったのか、頭がおかしくなったのか、どちらを疑うべきか迷った。

278:キモガールズトーク
10/10/06 01:31:52 yvAF/CBj
 もう一度、いい?
 私が聞くと、Aさんは顔を真っ赤にして、こう言った。
「だからね、お兄ちゃんの手足を縛り上げて、大好きだよ、って言いながら
おちんちんを口で綺麗にしてあげた後、もうびしょびしょだった私の」
 すいません、もう勘弁してください。
 誠心誠意、土下座して、話を打ち切らせてもらった。
 ただ、一つだけ気になった私は、最後にこう質問した。
 お兄さんは、その後、彼女とどうなったの、と。
 Aさんは、きょとんとして、首を傾げる。
 だから、お付き合いしていた女の人とは、結局別れたの?
 言葉を変えて、もう一度質問してみたが、Aさんは困り顔だ。
「彼女なんて、いなかったよ?」
 だから、訳が分からない。
「お兄ちゃんに彼女なんて、最初からいなかったんだよ」
 いつも快活なAさんから、表情という表情が消えた。
 これ以上追求すれば、私の存在もなかったことにされそうなので、話題を変えることにした。
 次に語りだしたのは、Bさんである。
 Bさんとの付き合いは、それなりに長い。
 だから、私も彼女に歳の離れた弟さんがいることは知っていた。
 でも、流石にこれは予想外だった。

 Bさんの弟は、小学生。
 顔立ちは実に可愛らしく、ひねくれたところのない、素直な少年だ。
 目上の人間には、敬意を忘れず、女性には優しい。
 ご両親の熱心な躾の賜物であろう。
 このようなルックスと性格を持ち合わせているのだから、人気者にならないはずがない。
 男女問わず、彼は人気者だ。
 そんな弟さんも、年相応に甘えん坊で、夜になると、姉であるBさんの布団に潜り込んでくる。
 姉としては、庇護欲を大いにそそられるのも仕方のないことだ。
 ソトでしっかりしている分、ウチでは甘やかしてあげよう、とBさんは考えていた。
 ところが、だ。
 ある日、Bさんは見てしまった。
 弟さんとしっかり手を繋いで歩く、上級生の女の子の姿を。
 嬉しそうに、腕にすがりつき、「お姉ちゃん」と甘える弟さんの顔を。
 Bさんは、逃げるようにその場を立ち去った。
 どうやってたどり着いたのかも分からない。
 気がつくとBさんは、自分の部屋の布団にくるまっていた。
 顔中がベタベタで、喉はちくちくと痛みを訴える。
 泣き疲れて眠ってしまったのだ。

279:キモガールズトーク
10/10/06 01:34:31 yvAF/CBj
 涙と共に、嫉妬や屈辱感は、すっかり抜け落ちてしまったようで、Bさんの心中は、
台風一過の青空のように、晴れ渡っていた。
 隣を見ると、いつものように弟さんの寝顔がある。
 もう真夜中で、家の中は静まり返っていた。

「それで、私は弟をレイプしたんだ」
 どうしてこうなった。
 頼むから、結果に至る理由をきちんと述べてほしい。
「だから、寝ている弟を起こして、唇を奪ったあと、全身を舐めてあげて、
耳元で、お前はもう、姉ちゃんのモノなんだからな、他の女を見ちゃいけないんだよ、
と囁きながら、皮を被ったままのあの子のぺニスを、私の」
 少しだけ我慢してみたけど、やっぱり無理です、勘弁してください。
 深々と土下座をする。
「大体、あの子の姉なんか私以外に務まるものか」
 当時を思いだしたのか、憤懣やる方ない、といった表情で、Bさんは口を開く。
「私が、拳骨を数発くれてやっただけで逃げだす女に、弟を守れるものか」
 帰り道にばったり会ったので、つい、やってしまった、とBさんは言った。
 完全に通り魔だ。
 この狭い部屋に暴行犯が二人もいる。
 しかも、片方は殺人犯の可能性もある。
 AさんはBさんと更に深い話を始めているし、Cさんはにこやかに相づちを打っている。
「さあ、次はCの番だぞ」
 Bさんの言葉に、Cさんは、笑顔を浮かべて、
「実は、私も匡子さんと同じで想い人はいないんです」
と答えた。
 良かった、やっぱりCさんは、まともだった。
 私は胸をなで下ろすと、じっくり探していきましょうよ、とCさんに語りかける。
 そうですね、とCさんは応え、「私には、手間のかかる家族がいますから。
そちらの世話だけで手一杯です」と、ふざけた調子で言った。
 おそらく、双子の弟さんのことであろう。
 彼もCさん同様、顔立ちから仕草まで何もかもが上品だ。
 もしかしたら、家では、そうではないのだろうか。
 Cさんが、いつもより、少しだけ姉の顔で、双子の弟を叱る姿を想像すると、
ついつい頬が緩んでしまう。
「あの子ときたら……いつも、いつも、いつもいつもいつもいつもいつもいつもいつも
いつもいつもいつもいつもいつもいつもいつもいつもいつもいつもいつもいつもいつも」
 頬が緩んだままの状態で固まった。

280:キモガールズトーク
10/10/06 01:35:54 yvAF/CBj
「他の女の子にばっかり優しくして。ねぇね、と呼んでもくれないし、部屋には
勝手に鍵をつけるし、最近は、専属のガードマンまで雇って、私を遠ざけるし、
挙げ句の果てに、私」
 Cさん、寝ましょう。
 明日は朝が早いですから。
 知らない。私は何も知らない。
 Cさんの目がくわっと見開いて、瞳孔が収縮仕切っているのも、その手が掴んだ枕が、
綿飴のようにブチブチちぎれていくのも。
 実は担任の村井先生が、Cさんの弟と恋仲という極秘情報も、私は知らない。
 知らないのだ。

 AさんとBさんのノロケ話とCさんの呪詛の声に包まれながら、私は、ただひたすらに
夜が明けるのを願う。
 もうおうちかえりたい。
 家に帰って、いつものように、兄さんに抱っこされてのんびりしたい。
 時刻は二時。
 夜明けは、まだ遠い。


 終

281:名無しさん@ピンキー
10/10/06 01:37:14 yvAF/CBj
投下終了
暇つぶしになれば幸いです

282:名無しさん@ピンキー
10/10/06 01:48:39 RdpxikxJ
乙乙。一瞬本物の良識派かと思ったが我々の期待を裏切らないオチで安心した。

283:名無しさん@ピンキー
10/10/06 11:29:49 pMf0itFV
GJっす
とりあえず…村井先生逃げてーーー!!!

284:名無しさん@ピンキー
10/10/07 00:21:13 RApIfUo/
そいえばここの住人はタクティクスオウガのリメイクは買うのだろうか
良いキモ姉がいるんだが

285:名無しさん@ピンキー
10/10/07 00:28:58 Ywifa0FI
>>284
姉には興味が無いからなぁ・・・

妹なら速買いなんだが

286:名無しさん@ピンキー
10/10/07 00:34:16 bFyom4XQ
巷では嫌われてるようだがどんな姉か覚えてない

287:名無しさん@ピンキー
10/10/07 03:03:09 qdVe4RFm
>>284
kwsk



久しぶりに使ったぞ。

288:名無しさん@ピンキー
10/10/07 11:52:07 7IzmRlT5
カチュアっていうと修羅場統合SSの山本くんとお姉さん思い出すな。

289:名無しさん@ピンキー
10/10/07 12:20:05 ZUK+Vk1k
>>287
少数民族の英雄と掲げられた弟を戦いから離れて欲しいとひたすら願う健気な姉さんだよ
弟と一緒にいたくてゲリラ活動に参加するし、独占欲のあまり弟を一刺ししようとする素敵な姉さんだよ
個人的にはブレンパワードの伊佐美姉弟を思い出す

>>284
僕は姉さんを愛している!
オリジナルスタッフ再集結で出来たタクティクスオウガが待ち遠しいよ

290:名無しさん@ピンキー
10/10/07 19:33:15 d0szGU6j


291:名無しさん@ピンキー
10/10/07 22:50:24 oAb7Ad2m
今後も更新きそうなのって、三つの鎖、転生恋生、幸せな2人の話、きっと、壊れてる
ぐらいかな。

292:名無しさん@ピンキー
10/10/07 23:43:29 BgsFFZx8
桔梗の剣ェ……

293:名無しさん@ピンキー
10/10/08 00:13:43 aJ7ypXwP
ちんまい姉に「姉さんはいい嫁になるんだろうなァ」と無責任なこと言ったらどうなるの

294:名無しさん@ピンキー
10/10/08 00:50:44 u0hnVJJC
当たり前じゃないの。
でもなるんじゃないわ、するのよ。あなたがね。

と、当然のようにさらりとお答えに


295:名無しさん@ピンキー
10/10/08 00:51:12 1DCHzDbr
>>289
ブレンパワードの姉さんって最初はちょっとブラコンな姉かと思ったけど弟がフラグを折ったばかりに…

296:幸せな2人の話 8
10/10/08 21:38:59 OGZSO7HA
今晩は。
表題について投下いたします。


297:幸せな2人の話 8
10/10/08 21:39:32 OGZSO7HA
みんみんと蝉がどこかで甲高く鳴いている。
太陽に蒸し返された草の匂いが充満する。
そんな原っぱしかない坂をだらだらとどこかへ延びる小道を二人の子供が歩いていた。
黒い髪の少年がはぁはぁ、と息を切らしながら歩く。
その少し後ろを白い少女が静かに後をついて歩く。
「はぁはぁ、シルフ~、疲れてないか~」
「うん、大丈夫」
少女が静かに答える。
少年は、俺も元気だぞ~、と息も絶え絶えに少女に言って足を高く挙げながら歩く。
一休みしたかったのだが、妹の手前で情けない所は見せられないと強がる。
そんな少年の様子を少女はいつもの様に無表情なまま見ていた。
でも、別につまらなかった訳じゃ無かった。
こうやって少年と一緒に居る事が少女にとっては何よりも嬉しい事だった。
少年はいつも、少女を楽しませてくれたし、ほっとする気持ちにさせてくれた。
でも、それでもいつも無表情だった、泣きも笑いもしない。
少女は知っていた、そうしている事が正解なんだと。
昔、笑えば何様のつもりなんだと怒られたから。
昔、泣けば邪魔なだけなのに煩い奴だと怒られたから。
黙ってても白くて陰気臭い子供だと影口を言われるけど、その方がましだった。


298:幸せな2人の話 8
10/10/08 21:39:55 OGZSO7HA
道が途切れていた。
その先には、白いドーム状の建物がある。
少女の腕を握って少年が元気良く駆け出した。
重厚な扉を小さな腕に力を入れて開く。
ドームの中は小さな劇場の跡地だった。
もう椅子はないけど、ドームの真ん中には丸い舞台。
舞台の周りには、小道具だっただろう物や布が規則正しく置かれている。
天井はもうなくなっていて、そこから舞台の上へ光が差し込む。
そこから上を見上げれば、青い空と入道雲が覗いている。
建物の中はまるで別世界のような不思議な場所に見えた。
「きれい……」
「だろ、夜になるとたくさん星だって見られるんだぞ。
 ここは、俺と雪風だけしか知らない秘密の場所なんだ」
少年が得意げに胸を張る。
「でも、私に教えちゃったよ?」
少女には分からなかった、どうして大事な事なら自分なんかに教えるのか。
自分みたいに要らない子供なんかに。
「良いんだよ、シルフは俺の妹なんだから。
 大事な人には大事な秘密を教えて良いんだ!!」
「大事……」
その言葉に少女の胸が温かくなった。
「だから、これからは俺と雪風と、シルフだけの三人だからな。
 絶対に誰にも言うなよ」
そう言って少年が人差し指を立てて、しー、というジェスチャーをする。
「うん、私と姉さんと、それからお兄ちゃんの三人だけの秘密」
少女も人差し指を立てて少年の真似をした、笑いながら。

299:幸せな2人の話 8
10/10/08 21:40:16 OGZSO7HA
************************************************

手を握ったまま私達は歩き続けた。
町を抜けて坂を上る、そして道路の横に伸びる小道を抜ける。
私にはお兄ちゃんが何処に行きたいのかもう分かっていた。
だって、その先にあるのはあそこしかないのだから。
そこは未だに人に知られていないのだろう、白い劇場はあの頃と何も変わっていなかった。
「ここに来るのも10年ぶりか。
 ここで遊んでいるのがばれて叱られてからずっと来ていなかったからな」
懐かしそうにお兄ちゃんが言い、扉に開き、私たちは中に入る。
「うん」
ここは私にとって複雑な場所だ。
お兄ちゃんと一緒に初めて笑えた場所。
お兄ちゃんにきっと捨てられると思って泣いた場所。
お兄ちゃんの側に居ても良いって泣いた場所。
「どうして、ここに来たの?」
でも、お兄ちゃんはその質問には答えてくれなかった。
手を握ったままお兄ちゃんが私のほうを振り向く。
「シルフは可愛いな」
「え! あ、あ、うあ、あの、か、可愛くなんかないよ、白くて暗くて気持ち悪くて、
 幽霊みたいだって、皆きっと思ってる、私、可愛くなんか、無い」
「そういうことを言うやつは見る目が無いか、妬んでるかだ。
 白い髪も肌もお前の名前通りまるで妖精みたいで、
 さっきの笑っているところなんかは「お兄ちゃん!!」
「どうしてなの、今日のお兄ちゃんはやっぱり変だよ!?」
その質問にもお兄ちゃんは答えてくれない。
その代わり私に質問をする。
「今日は、楽しかったか?」
さっきここに来る前にされた質問をお兄ちゃんがもう一度繰り返す。
私にはその理由が分からなかった。
「え、う、うん、凄く楽しかったよ」
「そうか……」
お兄ちゃんは何か難しそうな顔をしていた。

300:幸せな2人の話 8
10/10/08 21:40:48 OGZSO7HA
「……シルフは俺が変だって言ってただろ?
 ずっとお前の事を見てたんだ。
 ほら、いつものシルフってあんまり笑わないからさ。
 今日みたいに笑うのが凄く珍しかったんだ。
 いや違うな、懐かしかった、なのかな?」
「私、笑ってたの?」
「ああ、とても楽しそうに笑ってたよ、凄く綺麗だった。
 俺が最後に見たのがいつだったか思い出せないくらいにね」
その言葉が私に不安を呼び覚ます。
忘れてた、お兄ちゃんは明るい子の方が好きだったんだ。
「やっぱり、……いつも笑っている方が良いの?」
「そんな事はないよ、シルフはシルフのままで良い」
ぽんぽんと私の頭にお兄ちゃんの手が優しく触れる。
でもな、と言ってお兄ちゃんが乾いた声で笑う。
「お前もちゃんと今日みたいに笑ってくれるんだって思ったら、
 今まで俺は何をしていたのかなって考えちゃってさ」
気恥ずかしそうに視線を逸らした。
ぽつりと、お兄ちゃんが言葉をこぼすように尋ねる。
「シルフは、恋人として、男性として俺なんかの事が好きだっていう事で良いのか?」
心臓にずきりとした痛み。
それは一番お兄ちゃんに聞かれたくないとても怖い質問だった。
「うん」
それでも、勇気を振り絞って答える。
ここで言わないときっと取り返しがつかなくなるから。
お兄ちゃんは私の言葉を聞いて、真剣な面持ちになった。
「実は、俺はお前の気持ちにずっと前から気付いていたんだ。
 でも、お前がそういうことを俺に伝えないなら、今のままで良いんだろうって思っていた。
 それでシルフの事をちゃんと大事にしている事になるんだって、自分に言訳をしてな。
 だから、俺は今までずっとシルフのお兄ちゃんとしての距離を保ち続けていた」
「そうだったの……」
後悔した。
やっぱりお兄ちゃんに言わなくちゃいけなかったんだ、私の気持ちを。
姉さんの言う事は正しかったんだ。

301:幸せな2人の話 8
10/10/08 21:41:13 OGZSO7HA
「けど、この前雪風に言われたんだ。
 それは俺がただ自分に都合の良いように振舞っているだけだって。
 初めは否定したよ、でも考えていくうちに分からなくなってしまったよ。
 雪風と俺のどっちの考えが正しいのかをな。
 でも、今日のシルフを見てはっきりと分かったよ。
 間違っていたのは、俺だ」
「お兄ちゃん?」
「それに俺自身の事も良く分かった。
 俺はシルフのお兄ちゃんとして寂しそうなお前に接するよりも、
 幸せそうな顔や今日みたいな嬉しそうな顔を見ているほうがずっと心地良い。
 そうだな、俺も幸せな気持ちになれたよ。
 俺はきっとシルフが、、、」
そこから先を言おうとしたお兄ちゃんは慌てて口を閉じた。
その代わりに、どうして今更、と小さく呟いたんだと思う。
ははは、と乾いた声で寂しそうにまたお兄ちゃんが笑顔で笑う。
でも、それは私の好きなお兄ちゃんの笑顔なんかじゃない。
それから、その曖昧な笑みのままお兄ちゃんが溜息を漏らした。
「ったく、結局あんな変な気の回し方は俺もシルフも望む事じゃなかったんだな。
 こんなのが本当の幸せの訳がないって、そりゃそうだよ。
 そうだな、俺はずっと前から間違っていた、本当に雪風の言うとおりだったんだ」
「そんな事、ないよ」
そう、お兄ちゃんは間違ってなんていない、私に勇気が足りなかっただけ。
そんなのはお兄ちゃんが背負わなければいけないような事じゃない。
「シルフはいつも俺の言う事に賛成してくれるよな。
 でも、それはお前の本心じゃないだろ?」
「全部、私の本当の気持ちだよ」
「シルフ、本当の事を話すんだ」
お兄ちゃんの命令調の言葉に体が凍りつく、怖くて嘘がつけなくなる。
「……ごめんなさい、本当はお兄ちゃんと違う事を考えていた時もあると思う。
 でも怖かったから、嘘をついていたの。
 その、そういう訳じゃないけど、お兄ちゃんと違う事を言ったら、
 お兄ちゃんが、私の事を、要らなくなるかもって。
 そしたら、お兄ちゃんの側に居られなくなるかもって思っちゃって、
 私は、お兄ちゃんと居たかったから、だから」
声が震えて、その続きが出てこない。
続きを言おうと苦悶していると、お兄ちゃんが頭を優しく撫でてくれた。
とても悲しそうな顔をしていた。

302:幸せな2人の話 8
10/10/08 21:41:42 OGZSO7HA
「泣くくらいに辛かったんだよな?」
「……うん」
「ごめんな、シルフ。
 今までお前をずっと苦しめた、そして傷つけた。
 そういう風に怯えてるお前の事なんて振り返らなかったんだ。
 まあ呆れただろ。
 無神経で、いい加減で、自分勝手。
 お前の好きだったお兄ちゃんはそんなもんだ。
 だから、もうシルフは俺に付き合わなくていい」
「それは、どういう事?」
「ここに来たのはそういうことだよ。
 悪いが、俺じゃシルフの良いお兄ちゃんにも大事な恋人にもなれないって事さ。
 だからもう、あの時の優しいお兄ちゃんの背中なんて追いかけるのは止めよう。
 そんなのは何処にも居なかったんだ。
 それで、シルフが自由になってしまうのが一番良い。
 こんな恋人ごっこもこれでおしまいだ、俺にはシルフの恋人である資格なんて無いよ。
 ま、お兄ちゃんでいる資格も今更無いだろうけどな」
さ、帰ろう、とお兄ちゃんが私にだって分かるくらい無理に明るい作り笑いをしながら手を伸ばす。
その手を握って、お兄ちゃんと私はただの形だけの兄妹になってしまおう。
そういう意味の握手をお兄ちゃんはきっと私に今望んでいる。
でも、そこには私の望む居場所なんて無い、そんなのは嫌だ。
私はそんなお兄ちゃんのお願いなんて、絶対に聞かない。
だから、その手を取らずに叩いた。
叩かれたお兄ちゃんは驚いて固まっていた。
「……私はそんなの嫌だよ。
 お兄ちゃんはさっきまで何を聞いてたの?」
お兄ちゃんを叩くなんてこれが初めてだった、手じゃなくて胸がすごく痛い。
「だってさ、シルフも迷惑だろ、俺みたいなのがいたら?」
その言葉が頭に来た。
やっぱりお兄ちゃんは鈍い、信じられないくらいに鈍感だよ!!!

303:幸せな2人の話 8
10/10/08 21:43:49 OGZSO7HA
「勝手に私の気持ちを決め付けないでよ!!
 私はお兄ちゃんの側に居たいの!!
 お兄ちゃんが居ないのに、どうしたら笑えるの!?
 お兄ちゃんが、無神経、いい加減、自分勝手、そんなの全部知ってる!!
 私はあの日から、ずっとお兄ちゃんの妹だったんだよ!?
 それで良いの!!
 お兄ちゃんに完璧である事なんて私は全然望んでない!!
 私は、無神経で、自分勝手で、いい加減だけど、それでも優しい今のお兄ちゃんと居たい!!
 お兄ちゃんはお兄ちゃんで良い!!」
今までずっと言えなかった気持ちが胸から溢れ出してきて、それが苦しすぎて、私は叫んだ。 
「お兄ちゃんはお兄ちゃんのままでいい!!
 私がいるから、お兄ちゃんを否定する人なんて私が皆否定するから!!」
だからずっと私と居てよ、そう叫んだ。
「お兄ちゃんが居なくなっちゃうなんて、そんなの嫌だよ」
お兄ちゃんはただ茫然としていた。
それから、ふっと目が覚めたようにお兄ちゃんの目に色が戻ってきた。
「俺も、シルフの側に居て良いんだな?」
「だから良い悪いじゃない、私は兄さんに側に居て欲しいって言ってるの!!
 それに姉さんだっているんだよ、なのに、どうしてそうやって一人で悩もうとするの!?」
「そうだよな、シルフも、そして雪風も俺にいるんだ。
 俺は一人で悩む必要なんてないんだよな」
「うん!!」
「本当は、雪風に言われてからずっと怖かったんだ。
 俺は間違っているって、頭では分かっちまってたから。
 それでもシルフは許してくれるんだな?
 俺も、俺のままで本当に良いんだよな?
 ありがとう、それから今までごめんな、シルフ。
 ごめんなさい、あんなに事を酷い事をして、本当にごめんなさい」
お兄ちゃんが自分の手を顔に当てる、嗚咽が聞こえる。
私はお兄ちゃんの頭をそっと私の胸で抱きとめた。
私の中で泣くお兄ちゃんの体はいつもよりずっと小さく感じた。
お兄ちゃんが私の両手で抱きとめられるほど小さい、それがとても嬉しかった。

304:幸せな2人の話 8
10/10/08 21:44:30 OGZSO7HA
**********************************************

いつまでも、私はお兄ちゃんを抱き締め続けている。
このまま、ずっとこの時間だけが続けば良いのに。
丸い空を見上げるとたくさんの星が煌々と燃えていて、綺麗だった。
「もう大丈夫だよ」
お兄ちゃんが顔を上げる。
「ありがとう、シルフ、やっと楽になれたよ」
「ううん、お兄ちゃんの事が分かって、私も嬉しかった」
「それから、もう一つ、頼む」
「うん、何でも言って、お兄ちゃん」
「……俺にはお前の本当の気持ちで答えて欲しい事がもう一つある」
私から体を離して、お兄ちゃんが私に向き合う。
その顔には不安と緊張が入り乱れていた。
そんなお兄ちゃんなんて見た事が無かった。
「シルフ」
「は、はい」
お兄ちゃんがゆっくりと噛み砕くように言葉を発する。
「俺と結婚して下さい。
 馬鹿だけど、やっと俺は分かりました。
 シルフの事がずっと好きでした、これからもずっと愛し続けます。
 そして、ずっと一緒に居たい、俺にはシルフが必要なんです。
 だから、俺と結婚して下さい」

お兄ちゃんのあまりに真剣過ぎる姿に思わず笑ってしまいそうになった。
だって、余りにもその言葉のせいで私は幸せになりすぎたのだから。
だって、それは私がいつも願うだけしか出来なかった、都合の良い夢そのものだから。
だって、いままでも、これからも私の気持ちは一つだけなんだから。
だって、私はずっとお兄ちゃんの側に居るのだから。
だって、お兄ちゃんが例え望まなくてもずっとそうするのだから。

私は、私の本当の気持ちをお兄ちゃんに答えた。
答える私は笑っていた、きっと今まで笑えなかった分も一緒に。
でもおかしいよね、涙も一緒に流れているんだよ?
おもしろいよね?
私、泣きながら笑っているんだ!!
私は泣きながらお兄ちゃんと抱き合う。
お兄ちゃんも私を力強く抱き締めてくれる。
そして、何度も何度も私の名前を呼ぶ、愛してるって私に言ってくれる。
あれ、お兄ちゃんも泣きながら笑ってるの?
そうなんだ、私と一緒なんだね。
お兄ちゃんがこんなに泣き虫なんだって、知らなかったよ。

305:幸せな2人の話 8
10/10/08 21:45:02 OGZSO7HA
私は幸せだ。
本当は幸せなんかじゃない、そんな言葉では表せないもっと大きすぎる何かだ。
でも私にはそんなのを何て言えば良いのかなんて全然分からない!!
だから、私は幸せなんだ!!

306:幸せな2人の話 8
10/10/08 21:49:50 OGZSO7HA
以上です。
色々書き足しながらで不安でしたが、何とか中盤も終わりそうです。
これも読んでくれる方がいればこそです、ありがとうございます。
結構、コメント等がヒントになったりもしました。
区切りが良いので次回は、書きあがれば番外編を投下させて頂きたく思います。
次回もよろしくお願いいたします。

307:名無しさん@ピンキー
10/10/08 22:03:31 U1YTghiN
いいねぇ…これからの雪風の行動が楽しみだ

308:名無しさん@ピンキー
10/10/08 22:31:52 RkmUTtJG
GJ
おっしゃああああああ!!!!
キモウトは幸せになるべき存在だよね

309:名無しさん@ピンキー
10/10/09 01:01:51 qj9Ol6cb
雪風のこれからが楽しみすぎるぅうううううう!!!!!
GJ!!

310:名無しさん@ピンキー
10/10/09 08:08:33 pnxvHbRl
どうしてお前らは素直にシルフちゃんおめでとうって言えないんだよ!
職人さんGJ!!このままシルフちゃんEND一直線ですね!


あれ?雪風ちゃんなんで包丁持ってr

311:名無しさん@ピンキー
10/10/09 10:36:58 FFXs3M9s
雪風的にもこれで良いんじゃねーの

312:名無しさん@ピンキー
10/10/09 20:40:47 UIrXEl0z
戦闘妖精ェ…
メイヴが黙っていないぞ

313:名無しさん@ピンキー
10/10/10 00:43:50 qciwFyxr
雪風ってみるとトレインボットを思い出す。

314:名無しさん@ピンキー
10/10/10 00:56:23 CvWmuhyz
雪風はスーパーシルフから後にメイヴに乗り換えるからお姉ちゃん用済み。

315:名無しさん@ピンキー
10/10/12 20:32:47 DFRmnkMO
誰かいませんかー?

316:名無しさん@ピンキー
10/10/12 20:41:30 rgnmOsdV
>>315
兄(あの声は妹…!何でこの場所が分かったんだ!?)

317:名無しさん@ピンキー
10/10/12 20:49:09 pYMVQ0+g
丸2日以上何もないなんて…。まさかゴルゴムの…
妹「そんなわけないでしょ。私がやっつけたんだから」

そっかあ…。そりゃ安心……えっ?
リアルに職人さんが来ないのは寂しいものですね。

318:名無しさん@ピンキー
10/10/12 20:51:18 DFRmnkMO
生き残りはこれだけか・・・

319:名無しさん@ピンキー
10/10/12 21:29:28 vm5fIm+6
この時期忙しいからね

320:名無しさん@ピンキー
10/10/12 21:41:05 RLQKz7tg
この前、三つの鎖のHPが更新されているのをお手製RSSリーダーが教えてくれた
更新されたHPを見たら、過去ログだったorz

321:名無しさん@ピンキー
10/10/12 21:47:08 pWvUjNyu
おいおいぬか喜びさせんなよ

322:名無しさん@ピンキー
10/10/12 22:18:11 aUgkG4lo
疲れたのでキモウトに膝枕をお願いしたらどうなるの

323:名無しさん@ピンキー
10/10/12 22:48:32 xTA/n6tQ
キモ姉が乳枕で対抗します

324:名無しさん@ピンキー
10/10/12 22:49:02 wtEuvODX
膝枕で寝てしまったら、それが最後。
目覚めたらスカートの中に顔が潜り込んでいました。
鼻面に妹のおぱんつ、その布地の感触。
布一枚むこうは神秘の花園、しかし臭いはなく、石けんの香りがします。
兄にイタズラしてもらうときのエチケットですね。

「やっ……だめらよぉ、お兄ひゃん……!」

びっくりして顔を上げようにも、妹が全力で上から頭を押さえ込んでて動けません。
じたばたすればするほど、頭上で妹が変な声を出します。

「あっ、はげっし……うん……」

なんかおぱんつがだんだん湿り気を帯びてきました。
あああどうする、と思っていると背後でどさっと何かを落とした音が。

「な、何……してるの……」
「……あらこんばんは、お兄ちゃんのお友達さん。
 見ての通り、お兄ちゃんの恥ずかしい性癖を処理してるんです、けどっ…。
 その袋はお夕飯ですか? んっ、わざわざありがとう、ございます。
 でもお兄ちゃんはまだ満足してないので、少し待って……うんっ……」
「っ……変態……へんたいっ!」
「ええそうです。おわかりになったなら、どうぞお帰りください」
「うわあああん! みんなに言いふらしてやる、変態兄妹!」

こうなるんだ

325:名無しさん@ピンキー
10/10/13 04:21:27 EerMsU56
>>295
ブレンパワードの長台詞が姉さん風に改変されたのがあったのを思い出してこのスレ向けに改変してみた

姉 「馬鹿か!お前は!世間の目があるからって弟の事を我慢するほど、私は良く出来ちゃいないんだ!
親父達が何と言おうと私は弟の子を乗せる為のスペースを用意して生まれたんだ、それは何故だか分かるか、ええ?
私が自分の進化の歴史の中で学んだ事だよな。弟の肉体と精神と性感、それに生殖だけは弟のものを利用するつもりだからだ、他人の子供は面倒だもんな!
しかし、弟の体の自由は私のものにした。フッ、弟って奴はデレの使い方を知らない照れ屋な弟だからだろう?
だから私は、私に必要な精子だけを摂取して、私の育てた卵子と受精させて既成事実を作るつもりだ!それが私達だ!
けどそういう私達が何故か姉と弟という二つに分かれて生まれた。しかも雄と雌との関係で。もっと根源的に、磁石とか、SとかMとかぐらいはっきりと求め合う習性をもっている、何故か!?
一つで完全無欠に永遠であるものなどこの世の中にはない。だからこうやってぐちゃぐちゃにここを濡らして生まれてきたんなら、弟だってそうだろう!?
自分の股にあるモノで突いて探している穴があるんだろう!?オマ○コとかアナルとかさ!
オーガニックで官能的な愛は1つのものでしかないのに!弟、おまえは!あの程度の女に唆されて・・・うっ・・・馬鹿野郎!」

326:名無しさん@ピンキー
10/10/13 13:08:22 5FNlBCxx
妹「長文乙。今のうちに兄さんはもらってイきますね」

327:名無しさん@ピンキー
10/10/13 22:16:07 Sjb8gQAC
>>326
妹「他人の子供が面倒だからお兄ちゃんを選んだの? サイテー! さっすがに人生の一時期だけとはいえお兄ちゃんのお姉ちゃんじゃなかった人は言うことが違うわね!」

328:名無しさん@ピンキー
10/10/13 22:29:33 67MLGDea
なかなか投下来ないな
気長に待つか

329:名無しさん@ピンキー
10/10/13 23:12:14 phIev3rZ
今週末にはきっとくるさ

330:名無しさん@ピンキー
10/10/14 00:20:09 l2P3Njzj
20レス以上使う場合は避難場でいいですか?

331:名無しさん@ピンキー
10/10/14 00:22:26 9492J7Ct
大作ktkr

332:名無しさん@ピンキー
10/10/14 00:25:58 UavoP8AN
よっしゃー

333:名無しさん@ピンキー
10/10/14 01:23:24 La2VNUW9
こっちでもいいんじゃね?


334:名無しさん@ピンキー
10/10/14 03:21:54 Kuy5pp0N
キモ姉物書いたのでとりあえず投下します。
弟もキモイので嫌な人はスルーして下さい。
初めてなので読みにくいかもしれませんが、ご容赦を。
エロ有りです。


335:狂依存 1
10/10/14 03:23:21 Kuy5pp0N
「もう行くけど、何かあったらすぐ私達に連絡するのよ。」
「わかってるって。大丈夫。大輝の面倒はちゃんと私が見るから。」
「そう……じゃあ、お願いね。」
「うん、気をつけてね。」

「ふふふ……」
両親が海外赴任してこれで弟と二人きり。
もう誰にも邪魔されることもなく、自由に出来るわ。
待っててね、大輝。
お姉ちゃんがあなたを必ず幸せにしてみせるから……

「はぁ……今日から麻由お姉ちゃんと二人きりか……」
色々大変だろうけど、二人で協力してやってくしかないか。
まあ、麻由お姉ちゃんはしっかりしてるから、大丈夫だろう。多分。
「そう言えば、子供の頃も麻由お姉ちゃんと一日だけ二人きりで過ごした事あったけな。」
もう何年前の事だったけか。
あの時は確か……
-数年前-
某小学校体育館
ダン、ダン、ダン
「パス回せ!パス!」
ダン、ダン!
「!」
「よおし!ナイスカット!」
ダン、ダン!
「ふん!」
ピィっ!
「おおし、ナイッシュ!」
ピィィィ!!
「ふーん、ふふーん♪今日は絶好調。」
「……大輝先輩、今日は随分と機嫌が良いですね。何か良い事あったんですか?」
「え、わかる?ふふふ、ちょっとね♪」
これが喜ばずにいられるかってんだ!
何せ今日は……
お父さんとお母さんが泊りがけで親戚の結婚式に行っていない。
つまり、今夜は麻由お姉ちゃんと二人で甘い夜を……
「へ、へへへ、でへへへへ……」
「おいっ!三船!さっさとコートに戻らんかい!」
「はーい♪」
おっと今は試合に集中しないとな。
ちゃっちゃと終わらせて早く帰らなければ。
待っててね麻由お姉ちゃん。

同じ頃 某中学校のグランド
コーン。
「行ったよー。」
「ふんっ!」
シュっ!
「アウトー!」
「ナイスキャッチ、麻由」
「あ、うん。」
「はぁ……」
「どうしたの?さっきから浮かない顔してるけど?」
「あ、ううん!何でもないよ。ほら、声出して!」
今日は一日お父さんとお母さんが結婚式に行くとかで、いない。
つまり……
今夜はあの馬鹿と二人きり……
あああああ、想像しただけで胃が痛くなる。帰りたくねえ……
カキーン

336:狂依存 2
10/10/14 03:24:29 Kuy5pp0N
「お疲れ様でしたー。」
「はぁ、今日は快勝だったな。」
「ああ。三船、帰りにどっか……」
「ごめん!今日用事あるから!それじゃ!」
ピューーーー!
「あ、おい!」
「な、なんだあ?」
「またいつもの病気だろ……」

「ふふふーん、まだかな?まだかな?」
そろそろ愛するマイハニーが帰ってくる時間だ。
へへへ…麻由お姉ちゃんと二人きり……
きっとお母さん達が将来の予行演習の為に今日という日を用意してくれたんだね!
ありがとう!お父さん、お母さん!
ピンポーン
ガチャっ
おお!!帰ってきた!
ドタドタドタドタ!
「……(ニコニコ)」
「……ただいま。」
「おかえり!麻由!ちょっと遅かった……」
ドカっ!ベシっ!ドンっ!
「何、私の事呼び捨てしてんだよ、ああ?」
「だって、将来はそう呼び合う仲になるんだし……ぐぅええええ!!」
ギシギシ
「それ以上ふざけた事言うと、本気で頭踏み潰すわよ。」
「イタイイタイイタイ!もう…麻由お姉ちゃんったら、恥ずかしがる事な……ぎええええええええっっ!!!」
もう、麻由お姉ちゃんはツンデレさんだな。
「ったく……ちゃんと風呂掃除やったんだろうんな?」
「うん!ついでに洗濯もやっといたよ!」
「は?頼んでないんだけど。」
「麻由お姉ちゃんの下着もちゃんと洗っておいたからね。今僕の部屋のベランダの干してあるよ。」
ああ、麻由お姉ちゃんの下着は何度見ても可愛いよなあ。
愛する嫁の下着を洗うのは旦那として最高の幸せだよ、うん。
「……な、な、な………」
「何やってんだこの大馬鹿やろおおおおおおおおおおおっっっっっ!!!!!!!」
バキっ!ドスっ!グサっ!ボキっ!
「痛いよっ!ちょっ!死ぬ……」
「死ねっ!死ねえっっ!!お前なんか死んでしまえええええっっっ!!!!!」
もうウチの嫁は本当に照れ屋さんだな。
いずれお互いの全てを曝け出す関係になるんだから、下着くらいで恥ずかしがる事ないのに。
「ねえ、麻由お姉ちゃん。今日の夕飯は何にするの?」
「何か出前でも取うと思ってるけど。」
「ええええええ?麻由お姉ちゃんが作ってくれるんじゃないの?」
折角、妻の手作り料理を独り占めできると思ったのに……
「はあ?嫌よ面倒くさい。今日も部活で疲れてるんだし、明日だって朝練あって早いんだから。」
「えええ?でもでも、僕もミニバスの練習試合で疲れてるし、こういう時は奥さんの愛のこもった手料理で英気を養って……」
「ピザでいいわね。」
「ああん、待ってよ。何でもいいから麻由お姉ちゃんが作ってえ。」
く、簡単に諦める訳には……
せっかく掴んだチャンスなんだ!
麻由お姉ちゃんとラブラブな夜を過ごすという、掴んだチャンスを……
「ええと、何にしようかな……」
「麻由お姉ちゃん、そんな面倒くさがってちゃダメだよ。将来は僕のご飯を毎日作らなきゃいけないんだからね!」
「お前、私を将来あんたの家政婦にでもする気か?ええ?」
「う、うぎぎぎぎ……首絞めないで……、い、息が……」
愛する妻を家政婦なんてとんでもない!
でも、悪くないかも……
「ったく!ええと、これとコーラ二本でいいか。」
う、流石に今のは言い過ぎたか……

337:狂依存 3
10/10/14 03:25:06 Kuy5pp0N
「ごめんね、麻由お姉ちゃん。やっぱり家事はちゃんと分担……」
べしっ!!
「あ、もしもし……」

「………」
「ぷ、ははは……」
「うー……」
結局ピザにしちゃったし……
おかしいなあ。こんな筈ではなかったんだが……
(妄想)
「はい、大輝、あ~~ん。」
「あ~~ん。」
パク
「えへへ、美味しい?」
「うん!」
「えへへ、大輝の為に一生懸命作ったんだよ。あ、ほら、これも食べて。」
「うん。えへへ…麻由お姉ちゃんの作ったものなら、何でも美味しいよ。」
「もう、大輝たら。今日は二人きりなんだから、『麻由』って呼んでって言ってるのに。」
「え……じゃ、じゃあ麻由……」
う、何か恥ずかしいな……
「なあに?あ・な・た。あ、ご飯粒ついてるよ。」
ちゅっ

なーんて、展開になるんじゃなかったのか?ええ、おい?
それなのに、麻由お姉ちゃんったらさっきからテレビ観て黙々と食べてるだけだし……
そうだ……
「えへへ、麻由お姉ちゃん。はい、あーん。」
僕が麻由お姉ちゃんに食べさせてあげれば良いんだ。
チャンスは自分で作らないとね、うん。
「麻由お姉ちゃん!あーん。」
「ぷ、あははははっっ!」
むぅ、手強いな。
ここまでツン成分が強いとは、ちと予想外だったよ。
まだまだ嫁の理解が足りなかった様だね。
「ごちそうさまっと。ちゃんと残さず食べなさいよ。」
そうだ。
「麻由お姉ちゃん。」
あーん……
えへへ、麻由お姉ちゃんが食べさせてくれないと、食べきれないよ。
「………」
おお!ピザを手に取って、僕の口に入れようとしてる。
何だかんだ言って麻由お姉ちゃんも、こうやってラブラブな雰囲気で食事をしたかったんだね。
さあ、こい!
「あーん……ん!ふごおおおお!!」
ちょっ、押し込まないで……
「美味しい?そう、それは良かったわねっと。」
ゴンっ!
「ったく汚いわね。食べたらちゃんと片付けときなさいよ。」
「むきゅう……」

「なーんて、感じだったか……」
ああああ、子供の頃の話とは言え何という馬鹿な事を。
恥ずかしすぎる!
「何とか麻由お姉ちゃんに出来るだけ迷惑かけないようにしないとね。」
もうあんな馬鹿な事やろうとは思わんけど。

338:狂依存 4
10/10/14 03:25:57 Kuy5pp0N
ピンポーン
「おかえり、大輝。」
「ただいま。麻由お姉ちゃん。」
「今日は早かったんだね。」
「そりゃあね。もう部活も引退しちゃったし。」
最後の大会は、県大会一回戦負けでしたけどね……
「へへ、鞄持ってあげるね。」
何だか新婚さんみたいなやりとりだな。
「ありがとう。あの、何か手伝う事ないかな?」
「ありがと。でも別に何もないよ。家事とかは全部私に任せていいから、大輝はゆっくりしてて。」
「え?でも……」
それは流石に悪い気が……
「いいから、いいから。お母さんに大輝の面倒任されてんだし。さ、ご飯の支度しないと。今日は大輝の好きな物作ってあげるからね。」
「あ、ちょっと……」
やけに機嫌が良いな。どうしたんだろう?

「大輝。ご飯出来たよー。」
「あ、うん。」
って随分豪勢な食事だな。
本当に僕の好きな物ばっかだし……
「えへへ……大輝の為に張り切って作ったんだよ。」
「あ、ありがとう、麻由お姉ちゃん。」
何だろう……この複雑な感情は。
麻由お姉ちゃんが僕の為にこんなに頑張って豪華な食事を作ってくれたんだから、本当なら凄く嬉しい筈なのに、何故か素直に喜べない。
「じゃあ、いただきまーす。はぐ……」
「ど、どう?」
「うん!とっても美味しいよ!」
「そう?良かったああ。」
麻由お姉ちゃん、本当に嬉しそうだな。
つか、いつの間にこんなに料理上手くなったんだろう。
「へへ、あ、これも食べて。良く出来てると思うから。」
「どれどれ……うん!美味しいよ。」
「良かった!まだまだ、たくさんあるからどんどん食べてね。」
「うん。」
こんなに嬉しそうにして……
これは頑張って残さず食べないといかんな。
「……大輝。」
「ん?」
「あーん。」
「な、何?」
「私が食べさてあげる。ほら、あーんして。」
ええええええええええええ?何それ?
「で、でも、何か恥ずかしいし……」
「二人きりなんだから、恥ずかしがる事なんて何もないでしょ。はい、あーん。」
ど、どうする?
とりあえず一回だけ……
「あ、あーん……」
パク
「へへへ、どう?」
「う、うん。美味しいよ。」
「本当?じゃあもう一回。あーん。」
「あ、ありがとう!もう充分だから。ほら、早く食べちゃおう。」
「あん、もう……何回でもやってあげるのに……」
これ以上はちょっと恥ずかしくて無理っす。

339:狂依存 5
10/10/14 03:27:03 Kuy5pp0N
「ごちそうさま。とっても美味しかったよ。」
「ありがとう。あ、何か食べたいものがあったら遠慮なく言ってね。これから毎日大輝のご飯作ってあげるから。」
「え?毎日?流石に悪いよ。頑張って僕も何か作るようにするから。」
「もう、家事とかは全部私に任せて良いって言ってるでしょう。遠慮なんかしないでこき使って良いからね。」
「あ、あの、麻由お姉ちゃん。家事はやっぱりちゃんと分担してろう。麻由お姉ちゃんだって大学とか色々あるんだし……」
「ありがとう。大輝はやっぱり優しいね。でも大丈夫。私が何とか全部やっちゃうから。大学ももうあんまり授業ないし、バイトの数も減らして家事の時間取れるようにしてあるから。」
いや、それでもなあ。
何か気が引けるというか……
「それに、大輝は受験でしょ?家事なんかに時間取られて勉強の時間削るような事があったら絶対にダメだよ。」
「それはそうだけど……」
「だから、私が大輝の面倒全部見てあげるからね。」
「わかった。でも、何かあったらいつでも言ってね。手伝える事があれば何でもするから。」
「うん。ありがとう。」
何故だろう。
この麻由お姉ちゃんの笑顔が何故か少し怖く思えてきた。
こんなに僕の事を思って尽くそうとしてくれてるのに……

「ふぅ……もうこんな時間か。」
少し休憩するかな。
麻由お姉ちゃんが僕の為に、家事を全部やってくれるとまで言ってくれてるんだから、受験勉強も頑張らないと。
「でも、何でだろうなあ……」
あそこまでしようとする何て、やっぱり変だよなあ。
嬉しくない事はないんだけど……
「まあ、大変そうだったら、手伝えばいいか。」
いくらなんでも無理があるだろうから、すぐにそういう時が来るだろう、うん。
「ちょっと喉が渇いたな……」
麦茶でも飲んでくるか。
「あ、大輝。何処行くの?」
部屋を出たらすぐ麻由お姉ちゃんとバッタリ会った。
「ああ、ちょっと喉が渇いてから、麦茶でも飲もうかなって。」
「じゃあ、私が持ってくるよ。部屋で待ってて。」
「え?あ、ちょっと……」
行っちゃった……
別にそんな事までしてくれなくても良いのに。
「はい、どうぞ。」
「ありがとう。」
持ってきてくれた麦茶を一気に飲み干す。
「他に何かして欲しい事ないかな?お腹が空いたって言うなら、何か夜食でも作ってあげるし、欲しい物があるっていうなら、今からでもコンビニ行って買ってきてあげるから。」
「別に無いって。夕飯あれだけ食べたんだから、お腹も空いてないし。」
「そう……あ、何かわからない事とかあるかな?私が教えてあげるよ。」
「あ、うん。今の所大丈夫かな……」
麻由お姉ちゃんがやたらと体を近づけて、そう尋ねてきた。
何だか、凄く嫌な予感がする……
「遠慮なんかしないで……本当に何でもしてあげるから……」
「ちょっ…別に遠慮なんか……」
麻由お姉ちゃんは体を密着させ、さすってくる。
うっ…ちょっと色々ヤバイ状況な気が……
「ど、どうしたの?今日は何か変だよ?」
「別に変じゃないでしょ。大輝の面倒は全部私が見るって言ったじゃない。だから、大輝がして欲しい事は何でもしてあげるわ。」
ぎゅっ
う!後ろから抱きついて、胸を背中に押し当ててきた。
「ねえ……本当に何か私にして欲しい事はない?」
むにむに
「う……本当に無いから!だから、そんなにくっ付かないで……」
「そう……」
そう言うと一旦僕から離れる。
でも、また体を近づけてきた。
どうしよう?
何とか麻由お姉ちゃんを部屋から出さないと。

340:狂依存 6
10/10/14 03:33:41 Kuy5pp0N
「あ、あの今日はもう遅いから、寝ようと思うんだ。だから、もう良いよ。」
「………」
「あっ、これ片付けてくるね。じゃあ……」
ガシっ
「な、何……?」
「大輝……」
「え……?」
がばっ!
麻由お姉ちゃんはいきなり僕を押し倒してきた。
ちょっ……一体何を……
「大輝……好きよ。愛してるわ……」
「ええ?ちょっと、いきなりどうしたの!?」
あ、愛してるって……
まさか……
「どうしたも何も、言葉通りの意味よ。私は大輝の事が好きなの。弟してはもちろんだけど、それ以上に一人の男性として……」
ちゅっ、ちゅっ……
頬にキスして、そう告白してきた。
す、好きって……僕の事を?
麻由お姉ちゃんが?
信じられない……
「えと……本気?」
「もちろんよ。だから私と付き合って。そしたら死ぬまで大輝の傍にいて、あなたに尽くしてあげる。本当よ。何でも言う事聞いてあげるし、どんな事でもするわ。」
そ、そんな事急に言われても……
麻由「これでも、まだ信じられない……?」
そう言うと麻由お姉ちゃんは自ら胸元をはだけて、乳房を露にする。
「(これが、麻由お姉ちゃんのおっぱい……)」
大きくて、適度に張りがあって、乳首の大きさも丁度良くて、均整の取れた本当に美しい形をしている。
今までエッチな本や、DVDで見てきたこれ程の物は見たことがない。
「(って!そうじゃないだろ!)」
実の姉が弟にこんな事してくるなんて……
「大輝……昔はあなたにあんなに酷い事しちゃって本当にごめんね。だから、今更あなたの事が好きだって、言われてもすぐには信じてくれないかもしれない。でも今は本気なの。本当にあなたの事愛してるのよ。」
「麻由お姉ちゃん……」
あんなに酷い事って……
どう考えても、麻由お姉ちゃんは何も悪くない。
僕が無神経に麻由お姉ちゃんにベタベタくっ付いたり、変な事言って怒らせていたのだから、むしろ謝らなければいけないのはこっちの方だ。
第一、麻由お姉ちゃんに怒った事なんて一度もないし、実際に少しも恨んだ事もない。
麻由お姉ちゃんを嫌いになった事なんて一瞬だってないよ。
なのに、何で謝るの?
「あの……子供の頃の事だったら、謝らなければいけないのは僕の方だよ。本当にごめんね……許してくれなんて言わないけど本当に悪かったと思ってるから……」
「大輝……ありがとう。やっぱり優しいのね。」
「う、うん……だから……」
「だから、今度は大輝のして欲しい事何でもしてあげる。あの時のお返しにどんな事だってしてあげるよ。大輝は優しいからそう言ってくれるんだろうけど、私はその優しさに甘えたりしないから……」
えええええええ?何でそうなるの?
「大輝……愛してるわ……だから、私の事抱いて……あなたも私の事愛して……」
「麻由お姉ちゃん……」
どうしよう?
麻由お姉ちゃん本気みたいだぞ……
麻由お姉ちゃんの事は大好きだ。
それは生まれた時から今まですっと変らない。
子供の頃は好き過ぎて色々迷惑をかけてしまったぐらいだ。
だから、もう二度とあんな事して迷惑かけたりしないって固く誓った。
ちゃんと家族として姉弟として接していこうって……
でも形はどうあれ、麻由お姉ちゃんの事が好きな気持ちは昔と変らない。
でも、やっぱり実の姉弟で大切な家族でもあるし……
「(どうする……?)」


341:狂依存 7
10/10/14 03:37:39 Kuy5pp0N
そうだよな……
気持ちは本当に嬉しいけど、やっぱり姉弟で家族でそういう関係になるのはよくないよね。
だから……
「あ、あの……麻由お姉ちゃん……僕も麻由お姉ちゃんの事は大好きだよ……でもそれは、その、姉弟してというか家族としてというか……」
「………」
「だから、麻由お姉ちゃんの事、今では一人の女性としてとかそういう目では見れないんだ。だから……」
「ごめんなさい。」
「………」
言っちゃた……
やっぱり怒ってるかな……?
うう、これからちょっと気まずくなるかも……
「そう……」
麻由お姉ちゃん……
「姉弟だから、何なの?」
「え?」
何を言ってるんだ?
「私達は姉弟とか家族である前に、年頃の男と女よ。だから愛し合うことに何の問題もないはずよ。」
ええ!?
「いや、だから、それは……」
むにゅっ
「ほら、お姉ちゃんのおっぱいどう?柔らかくて気持ちいい?このおっぱい、大輝の好きにしていいのよ。ほらほら……」
むにむに
うっ!
麻由お姉ちゃんが僕の手を胸に押し付け、揉んでくる。
柔らかくて気持ちいい……
「ふふふ……もっと間近で見せてあげるね……」
「ちょっと、麻由お姉ちゃん……」
そう言うと体を倒して、僕の顔に胸をうずませる。
「う……」
麻由「どう?気持ちいい?ふふふ……しゃぶってもいいのよ……私のおっぱい好きなようにしていいから……」
うう……これは、ヤバイ……
このまま本当に、麻由お姉ちゃんと……
いやっ!駄目だ!
このまま、流されて関係を持ったら取り返しのつかない事になる気がする。
早く止めさせないと……
「麻由お姉ちゃん。もう、いいから。本当に止めて……」
「あら。本当は凄く気持ちいいんでしょ?だって……」
ずるっ……
「大輝のおちん○んはこんなに勃ってるじゃない……」
「そ、それは……!」
僕のズボンとパンツを下ろして、肉棒を露にする。
そりゃあ、あんな事されたら誰だって反応しちゃうよ……
「わかったでしょ?私達は男と女なの。姉のおっぱいでもこんなに興奮して欲情してるじゃない。姉弟だろうが何だろうが私達は愛し合えるのよ。」
「そ、それでも……」
はち切れそうな欲情を懸命に抑え、何とか耐える。
麻由お姉ちゃんの事は大好きだけど、今の麻由お姉ちゃんは何か変だ。
このまま流されたら大変な事になる……
「まだ素直になれないの?仕方ないわね……」
麻由お姉ちゃんは、スカートとショーツを脱ぎ、下半身を露にすると股間に肉棒を押し付けてきた。
「何を……」
「これで、気持ちよくしてあげるね。ん……」
「ちょっ……やめっ……!」
麻由お姉ちゃんは、肉棒を性器に押し付け、擦り始めた。
これって素股ってやつだよな……
「ん……んく……ふふ…どう?んっ……」
「どうって言われても……」
正直に言えば凄く気持ちいい。
肉棒が麻由お姉ちゃんの柔らかい肌と肉唇に擦れて、今までに経験したことの無い快楽に襲われる。

342:狂依存 8 
10/10/14 03:40:23 Kuy5pp0N
「こんなにおちん○んビクビクさせて……気持ちいいんでしょ?お姉ちゃんのおま○こに入れたいんでしょ?」
入れたい。
でも、ダメだ。
それをやったら引き返せなくなる。
「ん……んふ……さあ、入れて下さいって言いなさい。それとも自分で入れる?好きなのを選んでいいわよ……」
「ダメだよ……早くどいて…」
襲い来る快楽をぐっとこらえて、拒否する。
そうしてる間にも麻由お姉ちゃんは太腿に肉棒を擦りつけ、肉棒にさらに刺激を与える。
「そう……ならこのままイキなさい。」
「ふんっ!……ん!んく……んっ……!」
麻由お姉ちゃんは肉棒を擦り付けるスピードを一気に速め、僕をイカせようとする。
姉がもたらす魔の快楽に、肉棒は一気に爆発寸前に陥る。
「んっ!んふ……ん…気持ちいい?入れて欲しい?ん……だったら私を押し倒して自分で入れなさい。私の気持ちはもう決まってる。後はあなたが決めるのよ。」
あくまでも最後の一線を超えるかは、僕自身に決めさせるという事か。
「早く、どいてよ……僕達は姉弟なんだから……」
理性を振り絞って拒否する。
ここで折れる訳にはいかない……
「んっ……んく……うんっ……ふふ……私も気持ちよくなってきたわ……ん…」
僕の言う事をまるで聞こえていないかのように無視し、あくまで素股を続けてくる。
どうしてそこまでして……
「ん……んふっ……んっ…さあ、出して……大輝の精液、お姉ちゃんにいっぱいかけてえ……」
もう肉棒は爆発寸前だ。
このままだとイっちゃう……
「んっ……うんっ……さあ、早く出しなさい……んっ……」
麻由お姉ちゃんはますます擦り付けるスピードを上げてイカせようとする。
クリトリスに肉棒が擦れ合う時の感触がとても気持ち良い……
「……ん、んく……ん、ほら……ほらっ!ん……ふふふ……」
「(う……出る……)」
どぴゅっっっ!どぴゅるるるっっっ!!!
遂に絶頂に達し、麻由お姉ちゃんの体に精液が思いっきりかけられる。
ああ……麻由お姉ちゃんを汚しちゃった……
「ん……ふふふ……これが大輝の精液なのね……ふふ……ん、んちゅっ……」
麻由お姉ちゃんは嬉しそうに体に付着した精液を眺め、指で拭い舐める。
こんな事して、そんなに嬉しいの?
「あの……ゴメンね…その、汚しちゃって……」
「ふふふ……本当に嬉しいわ……私で気持ちよくなってくれて。出来れば私のおま○この中で気持ちよくなてなって欲しかったけど……」
また、僕の言ったことを無視して……
どうして聞こえない振りをするの?
「もう、いいよね?早くどいてくれよ!」
そういうと、ようやく麻由お姉ちゃんは僕から離れた。
「大輝……どうして私があなたのおち○ちんを私の中に入れなかったのかわかる?」
「あの態勢なら入れようと思えばすぐ入れられたわ。でも大輝の意思を無視して入れたら只の強姦と変らない。だから、最後はあなたに決めて欲しかったのよ。」
「麻由お姉ちゃん……」
あくまで僕の意思を尊重するという事だろうか?
「それに……私の処女とファーストキスは大輝の意思で奪って欲しいの。キスは頬にはしたけど口にはしてないでしょ。」
そういえばそうだったな……
「だから、私の初めてのキスと処女を欲しかったら、いつでも奪いに来て。寝こみを襲ってくれても構わないわ。生理中でも遠慮なんかしなくていい。欲望の赴くままに私を犯して。楽しみに待っているから……」
麻由お姉ちゃん……
「それじゃあお休みなさい。ふふふ……」
バタン

……


343:名無しさん@ピンキー
10/10/14 03:41:37 Kuy5pp0N
とりあえず以上です。
続きは、いつになるかわかりませんが

344:名無しさん@ピンキー
10/10/14 09:01:40 S86ALPwT
>>343
GJじゃないか・・・
初めての投下らしいけどしっかり堪能させていただきました

345:名無しさん@ピンキー
10/10/14 16:52:52 lI1MJ+JP


346:名無しさん@ピンキー
10/10/14 16:56:56 zceh2rLp
これはいいキモ姉GJ!

しかしお姉ちゃんの数年間にナニがあったのか…

347:名無しさん@ピンキー
10/10/14 19:46:06 rtkhrODs
GJ
しかしなんという劇的ビフォーアフター
弟を軽く上回るとは

348:名無しさん@ピンキー
10/10/15 00:42:11 py/jgT3f
お姉ちゃん別人じゃねーか
くそっ、家の姉とは大違いだぜ

349:名無しさん@ピンキー
10/10/15 11:04:48 0zEdSTQn
GJ
弟の成長?がこれから姉のキモさを際立ててる

350:名無しさん@ピンキー
10/10/15 18:52:34 W1oVMg0S


351:名無しさん@ピンキー
10/10/15 22:39:22 W1oVMg0S


352:三つの鎖 28 後編 ◆tgTIsAaCTij7
10/10/15 23:49:56 mebDjS4t
三つの鎖 28 後編です
※以下注意
流血あり
エロ無し

投下します


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